― プレビュー ―
テクニカルテスト版からさらにゲーム性が向上したオンライン版「真・三國無双」
真・三國無双BB
Text by 大路政志
2006年10月27日

※本稿は10月26日(プレオープン)時点でのゲーム内容に準じています

 

 ELEVEN-UPとコーエーがサービス予定のMMOアクションゲーム「真・三國無双BB」では,9月27日にプレオープンβテストが開始されている。当初は10月22日までとなっていた同テストは,プレイヤーからの好評を受けて10月29日まで延長(新規アカウント登録は10月25日23:59まで)となり,現在も,テスターにとっては嬉しい日々が続いている。
 三國無双シリーズといえば,三國志ファンだけでなく,多くのアクションゲームファンを虜にしてきた人気シリーズである。主なプラットフォームはコンシューマだが,PCゲーム版としても「真・三國無双3 ハイパー」「真・三國無双4 Special」が発売されているため,ご存じのPCゲーマーも多いことだろう。
 三國無双シリーズは,魏,呉,蜀の3国が争った中国の三国時代を舞台とする,三人称視点の3Dアクションゲームだ。プレイヤーは三国時代の武将となり,行く手に立ちはだかる無数の敵軍をなぎ倒していく。まさに,「一騎当千」の爽快感が楽しめる秀作だ。生粋の三国志ファンから見ると,美形揃いのキャラクターデザインや派手すぎる戦闘シーンが,若干荒唐無稽に思えてしまうかもしれないが,三國無双をきっかけに三国志ファンになったという人も多く,三国志モチーフのゲームとしては,今や一,二を争う知名度を誇っていると言えよう。
 そんな同シリーズのオンライン版が,真・三國無双BBである。先述したように,同作では現在プレオープンが行われており,11月1日には正式サービスが開始される予定となっている。本稿では,クローズドβテストに相当する「テクニカルテスト」から,どう変化したのかを紹介すると共に,プレオープンβテストでのプレイフィールをお伝えしよう。

 

 

テクニカルテストとプレオープンの違い

 

 ネットワーク技術の検証およびサーバーのストレステストを目的としていたテクニカルテストでは,基本的に最小限の戦闘しかプレイできないバージョンのクライアントが用いられていた。そのため,キャラクターメイキングは本来よりも簡略化されたものだったし,ロビー(街)には必要最低限のNPCしか配置されていなかった。
 作品の軸となる対戦/協力プレイに関しては,推奨スペックを満たした環境でプレイすれば,驚くほどなめらかなアクションが楽しめた。時折,サーバーとの接続が切断されたり,ゲームのクライアントが落ちたりといったトラブルも発生したが,オンライン版の三國無双が予想以上にしっかりと動いていたことに,思わず感心したというテスターも多かったことだろう。
 プレオープンは,テクニカルテストの目的に加え,ゲーム性を確認するためのテストである。それゆえ,ロビー機能の充実や「特務」(クエスト。クリアすることで報酬が得られたり,勢力の拡大に貢献できる)の実装,都市争奪戦の導入など,さまざまな要素が揃えられた。あくまで「テスト」段階のバージョンであるため,コンシューマ版の三國無双ファンにとっては物足りない部分もあるだろうが,ゲーム性をテストするには十分な内容だったと言っていいだろう。

 

チャット機能やロビー機能が強化され,「オンラインゲームらしさ」がさらに強くなった。特務(クエスト)の実装も,ゲーム性の向上に一役買っている

 

 

キャラメイクシステムの自由度が大幅アップ

 

 本作をまだプレイしたことがないという三國無双ファンのために,簡単にゲームの流れを説明しておこう。
 キャラクターメイキングで入力/設定可能な項目は,下記のとおりだ。

 

  • ●名前(全角5文字,半角で10文字まで)
  • ●出身地(マップ上から選択)
  • ●性別
  • ●体型
    • 男性:普通/筋肉質/細身/小柄
    • 女性:普通/筋肉質/グラマー/小柄
  • ●顔
    • 男性:青年/渋味/好男子/冷徹/厳格/武闘派/知的/童顔
    • 女性:元気/柔和/清楚/真剣/あでやか/強気/端整/童顔
  • ●顔の特徴
    • 男性:通常/軍師ひげ/ちょびひげ/長ひげ/虎ひげ/眼帯/歴戦の証/ペイント/刺青
    • 女性:通常/ペイント/踊り子/眼帯/歴戦の証/呪術の印/刺青
  • ●髪型
    • 男性:束ね髪/丸刈り/さっぱり/おだやか/前立て髪/逆毛/長髪/ぼさぼさ/優美/三つ編み
    • 女性:もとゆい/上品/活動的/おだんご/どうぶつ/短髪/まっすぐ/自然/まとめ髪/さげ髪
  • ●髪の色(カラーピッカー上で選択)
  • ●肌の色(カラーピッカー上で選択)
  • ●声のタイプ
    • 男性
      武闘派:豪快/古風/忠順/無頼/怪力/剛勇/強面
      知性派:聡明/偏執/温和/老かい/真面目/冷静/一生懸命
      情熱派:爽やか/不屈/賢良/勇敢/熱血/実直/純粋
      技巧派:頑固/尊大/求道/気まま/曲者/非情/強がり
      個性派:達観/野生/きざ/勝ち気/やんちゃ/わがまま/虎の子
    • 女性
      武闘派:老練/剛毅/快活/不敵/鉄火肌
      知性派:博学/控えめ/撫子/沈着/利発
      情熱派:おてんば/妖艶/高貴/大胆/高潔
      清純派:おっとり/ぶりっこ/無邪気/しとやか/静か
      個性派:短期/気丈/端麗/奔放/熊の子

 テクニカルテストに参加した人なら分かるだろうが,プレオープンβテストでは,プレイヤーが選択できるパーツが非常に増えている。髭の大男から小柄な美少女まで,実にさまざまなキャラクターが作成できるので,プレイヤーの理想に近い武将が生み出せるはずだ。
 なお,声のタイプは計60種類。セリフもそれぞれ異なったものが収録されている。無双武将(本作ではNPCとして登場する三国志武将)の声に関しても,従来作と同様のキャストが起用されており,そのボイスデータ総量は,従来作の約1.5倍にも及んでいるそうだ。三國無双シリーズの「声」の面に注目しているという人も,まず満足できるレベルなのではないだろうか。

 

テクニカルテストと比べて設定できる項目が多く,さまざまなタイプのキャラクターが生み出せる

 

武器の種類も大幅に増えた。武器によって攻撃範囲や攻撃力,強化スロットの順番などが異なるので,初期武器は慎重に選びたいところだ

 キャラクターが完成したら,続いてシナリオ,サーバー,勢力を決定する。プレオープンβテストでは,シナリオは「反董卓連合」しか実装されておらず,サーバーも一つだった。勢力に関しては,曹操/孫堅/劉備/董卓/袁紹の5勢力の中から選択可能となっていた。
 またテクニカルテストでは,武器はキャラメイク時に選択できたが,プレオープンβテストでは,ゲーム本編開始後に選択するよう変更されていた。武器のタイプは12種類(双剣/双戟/鉄剣/双錘/直槍/桜扇/砕棒/鉄鞭/戦斧/長棍/燕扇/獄刀)となっており,こちらも,テクニカルテストから大きくパワーアップした点だ。

 

 

ゲーム性を高める新システムの数々

 

自室に設置されている武器庫には,武器を四つまで保管できる。武器の収集と強化が楽しいタイトルなので,非常にありがたい機能といえる

 基本的なゲームの流れに関しては,テクニカルテストから大きく変わってはいない。武官に話しかけて戦場に出撃し,次々と襲ってくる敵軍を蹴散らしたり,敵軍の拠点を占領したりしつつ,さまざまなアイテムを入手し,キャラクターを強化していく。そのへんに関しては,テクニカルテスト版のプレビュー記事に明るいので,そちらを参照してほしい。
 プレオープンβテストで新たに導入された新要素/システムは,真・三國無双BBにさらなるゲーム性を付与できている印象を受けた。街には新たに「仲買商」「行商」といったNPC商店が配置され,前者ではプレイヤー間のアイテム売買が,後者では消費アイテムの購入ができるようになった。そのほかにも,特定のNPCから特務が受けられるようになったので,プレイの幅はかなり広がっている。
 衣装を販売するNPCや,新たな家具の入手など,一部未実装の仕様もあるようだが,それについては,正式サービス後に順次導入されていくはず。今後のアップデートにも,大いに期待が持てそうだ(馬や弓矢,居合い武器といったフィーチャーは,現在のところ未実装。三國無双ファンとしては,ぜひとも実装を検討してほしいところだ)。

 

 

プレオープン版とはいえ,
リプレイアビリティは非常に高い

 

 戦闘システムそのものの面白さや,操作性の善し悪しに関しては,ことさらここで語る必要はないだろう。キーボードでのプレイはさすがに厳しいが,ゲームパッドを利用すれば,爽快感溢れるアクションが簡単に繰り出せるので,三国志に詳しくない人や,アクションゲームが苦手な人でも,十分楽しめるはずだ。
 1回の戦闘は,15分前後で決着がつくようになっているし,オンライン版ならではの協力/対戦プレイも,基本的にゲームシステム側でマッチしてくれるため,実に遊びやすい。協力プレイで勝利すれば,味方が入手したアイテム類が全員に(平等に)配られるという仕様も,味方同士によるアイテムの奪い合いを防止し,味方意識の向上に一役買っている。

 

協力プレイで得たアイテム類は,参加者に平等に配られる。アイテムの奪い合いなどは発生しないので,初心者でも気軽に楽しめるはずだ

 

 基本的には,「激突」(通常の戦闘)をえんえんとプレイしつつ,武器や防具,武器強化のための貴石を入手していき,キャラクターを強化する作業の繰り返しになるのだが,さすがはコンシューマ版でブラッシュアップされた三國無双。アクションゲームとしての出来がいいので,飽きがこない。装備によって,キャラクタータイプやプレイスタイルがかなり変化するため,新たな武器/防具を入手するたびに,新鮮な気持ちで戦えるのだ。
 「激突」以外に,「特務」「争奪」という戦闘モードがある点については,前述したとおり。一般的なMMORPGでいうところのクエストに相当する特務は,無双武将や武官,酒場の主人といったNPCからもらえ,制限時間内に山賊の頭を退治したり,500人斬りを達成したりなど,バリエーションも複数パターン用意されている。ちなみに特務をクリアすれば,戦場で得たアイテム類に加えて報酬が得られるので,キャラクター強化には欠かせないモードといえる。
 もう一つの戦闘モードである「争奪」は,真・三國無双BBのメインコンテンツともいえる存在。本作では,すべての戦闘行為が,所属勢力の繁栄/衰退につながっている(戦闘結果や勢力の規模により,進攻度/激突度/国力といった勢力パラメータが変動する)。それらは激突や特務によって変動するのだが,争奪では,主に激突度が高い地域を対象とした,都市争奪戦が楽しめるのだ。
 プレオープン中には,10月28日/29日に実施される。争奪の結果により,そのサーバー/シナリオの勢力図は目まぐるしく塗り替えられていき,状況によっては,統一勢力の誕生/勢力の滅亡といったダイナミックな出来事も発生するのだろう。争奪は,正式サービス以降,月に数回のペースで実施されていくそうなので,現テスターとしては,ぜひプレオープン初の争奪に参加し,ゲームバランスや仕様の意義を確認しておきたいところだ。

 

さすがは三國無双シリーズ。アクションゲームとしての面白さは抜群だ。正式サービス以降,ストラテジー要素のある「争奪」が頻繁に行われるようになれば,オンラインゲームならではの,ダイナミックなゲーム展開が楽しめるだろう

 

 

ゲームとしては文句なしの合格点
問題はサービスとしてのハードルの高さ?

 

 先日4Gamerでもお伝えしたが,真・三國無双BBの正式サービスは,11月1日よりスタートとなる。Yahoo! BBおよびSoftBankブロードバンドサービスの利用者のみ参加でき,基本的には,月額315円(税込)+1回の戦闘(激突/特務/争奪)につき30円程度の無双軍檄が必要となる(2006年12月31日までは,「桃園の誓いキャンペーン」期間中により月額料金は無料)。
 それに加え,比較的スペックの高い環境(OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0以上),CPU:Pentium 4/2.4GHz以上,メインメモリ:512MB以上,グラフィックスメモリ:128MB以上,グラフィックスチップ:DirectX 9.0c以上に対応,HDD空き容量:6GB以上,下り接続速度1000Kbps以上)がないと,本作の優れたアクション性は十分に楽しめない。
 プロバイダ制限にはより優れたサービスの提供,アーケードゲーム感覚の従量課金には健全なプレイの推奨,推奨スペックの高さには,PC版ならではの優れたクオリティの維持,という理由がある。開発/運営ポリシーとしては,実に素晴らしい思想だとは思うが……,サービスとしてのハードルが極めて高いことは事実だ。プロバイダ制限に引っかかり,本作をプレイできない三國無双ファンの無念を思うと,ゲームとしての出来が良いだけに,残念でならない。
 今後,サービスの形態がどのようになっていくのかは分からないが,より多くのファンがプレイできる環境へと,(緩やかにでもいいので)移行していってもらえればと思う。

 

 

タイトル 真・三國無双BB
開発元 コーエー 発売元 ELEVEN-UP
発売日 2006/11/01 価格 従量課金制
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP/Vista(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium 4/1.80GHz以上,メインメモリ:512MB以上,グラフィックスチップ:プログラマブルシェーダ1.1対応以上,グラフィックスメモリ:64MB以上,HDD空き容量:9.5GB以上,ディスプレイ解像度:800×600ドット以上

(C)KOEI Co., Ltd. All rights reserved.
Presented by ELEVEN-UP Inc.

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/review/musoubb_preview/musoubb_preview.shtml