― プレビュー ―
テクニカルテストで見えてきた,オンライン版「真・三國無双」
真・三國無双BB
Text by Murayama
2006年6月16日

※以下の記事は,2006年5月31日〜6月12日に実施されたテクニカルテストをもとに制作しています。あらかじめご了承ください。

 

 コーエーの真・三國無双シリーズといえば,三国志の世界を舞台にした3Dアクションゲーム。プレイヤーは一人の武将となって,漫画や映画の主人公さながら,何百何千という敵兵をバッタバッタとなぎ倒す「一騎当千の爽快感」を体験できる。日本だけではなく,北米,韓国,欧州などでもリリースされ,大ヒットを記録した秀作だ。
 さて今回紹介する「真・三國無双BB」は,タイトルに「BB」とついていることからも予想できるように,真・三國無双の世界をオンラインで楽しめるというもの。オンラインになったことで,どう面白くなるのだろうか。
 ここでは2006年5月31日17時から,6月12日5時に渡って行われた「真・三國無双BB」のテクニカルテストを元に紹介する。今回のテストでは一部機能のみ実装されたバージョンが使用されており,ネットワークや対戦 / 協力プレイ時のアクション面の検証に重点が置かれたものだった。最初のテストであること,機能限定であることから,現時点で「真・三國無双BB」を評価することは不可能だが,テクニカルテストで見えた,本作の魅力に触れてみたい。

 

 

何はともあれキャラクターメイキング

 

 作成できるキャラクターは1アカウントにつき1キャラクターのみ。名前を決め,性別,顔の種類,髪型,肌の色,髪の毛の色,所属勢力,声の種類などを選択すると完了。キャラクターの作成は,それほど手間もなくできる。ちなみに,設定できる項目は下記のとおり。

 

●共通項目

・性別:

男 / 女

・初期武器:

頑双戟 / 飛双剣 / 芙蓉錘 / 鋼直槍 / 紫禁扇 / 斬鉄剣

 

●男性キャラ

・体型:

普通 / 筋肉質 / 細身 / 小柄

・顔:

青年 / 渋味 / 武闘派

・顔の特徴:

通常 / 軍師ひげ / ちょびひげ

・髪型:

束ね髪 / 長髪 / 優美

・声のタイプ:

武闘派(豪快 / 忠順 / 無頼 / 怪力 / 剛勇 / 強面)
知性派(偏執 / 聡明 / 老かい / 真面目 / 冷静 / 一生懸命)
情熱派(不屈 / 勇敢 / 熱血 / 純粋)
技巧派(頑固 / 尊大 / 気まま / 求道 / 非情)
個性派(達観 / きざ / 勝ち気 / やんちゃ / わがまま / 虎の子)

 

●女性キャラ

・体型:

普通 / 筋肉質 / グラマー / 小柄

・顔:

元気 / 清楚 / あでやか

・顔の特徴:

通常 / ペイント / 踊り子

・髪型:

もとゆい / 上品 / おだんご

・声のタイプ:

武闘派(快活 / 剛毅 / 鉄火肌 / 不敵 / 老練)
知性派(博学 / 控えめ / 撫子 / 利発)
情熱派(おてんば / 妖艶 / 高貴 / 大胆 / 高潔)
清純派(おっとり / ぶりっこ / 無邪気 / しとやか / 静か)
個性派(気丈 / 短気 / 奔放 / 熊の子)

 

 ……さらに髪の毛,肌,瞳の色を設定するとキャラクターメイキングは完了。続けて参加するシナリオ,所属勢力,所属武将を決定するとゲーム開始となる。
 ちなみに今回のテストで選択できるシナリオは「反董卓連合」のみ。所属勢力は「曹操」「孫堅」「劉備」から選び,曹操を選択すると「曹操」「夏侯惇」「夏侯淵」「典韋」「曹仁」,孫堅を選択すると「孫堅」「孫策」「黄蓋」「周瑜」「孫尚香」,劉備を選択すると「劉備」「関羽」「張飛」から所属武将を選ぶことになる。

 三国志の世界なので,作成できるのは東アジア系の武将のみかと思ったが,カスタマイズ次第では銀髪(?)に赤い目をした武将なども作成可能。また注目すべきは声の種類の多さだろう。選択できる声の種類は多く,最初に大まかなカテゴリーを選んで絞り込み,目的となる声を選択する。ここで選択した声は,敵将を討ち取ったりするときに使われるものだ。声の設定時にはサンプルボイスが聞けるのは,ありがたい仕様だなと感じた。
 詳細は不明だが,噂では今後キャラクターメイキングの項目は増えるという話も聞いているので,今後のパワーアップに期待したいものである。ぜひ武将の外見に関しては隻眼,傷,タトゥーなど,武将らしいオプションも追加してもらいたいものだ。

 

ゲームを開始すると,三国志ではおなじみ(?)の左慈が案内役として登場 男女共に4種類の体格が用意されている。性別や体格の大きさによる能力の違いはないようだ

 

カスタマイズ次第でさまざまな武将の作成が可能。東アジア系だけではなく,金髪お団子の女武将だってこの通り。肌や目の色などの色数はペイントソフト? と思えるほどバリエーションが豊富。これで思い通りの武将が作れることは間違いない!?

 

 

3Dで構築された街はゲームロビー?

 

 ゲームがスタートすると,プレイキャラクターは自室にPOP。ここでは,プレイヤーキャラと一緒に戦ってくれる副将のパラメータを確認したり,戦場で入手した武器や服飾,貴石の管理や装備の変更が行える。なお,自宅はMMORPGのように各プレイヤーが個別に家を構えているわけではなく,特定の場所に行くことで各々の自室画面に自動的に切り替わる。友達(フレンド)になれば,人の家に遊びに行くこともできるようだ。
 自室から外に出ると,そこには街が広がっており,MMORPGの雰囲気。街では同じ勢力のプレイヤー同士がコミュニケーションを楽しんだり,アイテムを購入/強化したりでき,いわば戦闘の準備をするロビーのような場所となっている。
 今回のテクニカルテストは戦闘の動きに重点を置いたテストであるため,街には最低限のNPCしか設置されていなかった。今後,この視覚化されたロビーが,どのような変貌を遂げるのか期待したいところだ。

 

自室では副将の能力を確認したり,戦場で拾ったアイテムを整理したり,装備を変更したりできる。少々殺風景な部屋なので,もうちょっと飾り付けられる機能がほしいところ。壁に剣や槍を飾ったり,室内に鎧を飾るなどの要素がほしいと思えた

 

3Dで構成された街。ここでプレイヤーは仲間を募り,買い物をする。時間帯などによって景観が変化する点も目に楽しい。なお武器の強化などは鍛冶職人,戦場への出陣は武官に話しかけることで行える。正式サービス版ではどんなNPCが増えるのだろう。楽しみである

 

 

最終目的は拠点の占拠!

 

ホストになれば,マップを設定したりゲーム設定が行える

 街にいる武官に話しかけて「出撃」を選ぶと,現在戦える戦場の一覧が表示され,プレイヤーは任意のマップを選んで戦場に出ることとなる。
 このとき「無所属」と書かれた地域を選ぶと,最大4人の仲間と協力してNPC武将の撃破を目指すPvEが楽しめる。一方,戦場を選ぶときに「劉備」「曹操」「孫堅」などの勢力名があるところを選択するとPvPとなり,最大4対4の対人戦が楽しめる。なお,参加人数が足りない場合はNPCが参戦して人数を補ってくれる。
 PvPでもPvEでも,基本的なゲームシステムは同じ。プレイヤーは2種類の攻撃ボタン,ジャンプ,ガードといったアクションを駆使して戦場を駆け回る。戦場ではアイテムを入手してキャラクターを強化し,敵を倒して無双ゲージを溜め,強力な連続技「無双乱舞」で敵軍に大ダメージを与えていく。そして戦場にある拠点をすべて制圧すれば勝利となる。

 とはいえ拠点制圧は,FPSによくある「一定時間,拠点付近に居座り続ければ制圧」のような簡単なモノではない。拠点を陥落させるには,拠点ごとに設定された条件を満たす必要がある。
 拠点の種類は「櫓拠点」「兵士拠点」「兵長拠点」の3種類があって,陥落させるには拠点に設置された四つの櫓を破壊したり,拠点に配備された兵士を一定数倒したり,拠点にいる兵長を全員倒したりといった条件を達成しなければならない。これらの条件は,拠点に突入したときに表示されるため,拠点に行ってみるまで内容は分からず,拠点の奪い合いはなかなかに楽しいものとなっていた。
 なお,戦場には制限時間があり,タイムアップになってしまった場合は,倒した敵の数で決着がつく。なので砦が最後の一つになってしまっても,うまく守りきることで勝利する可能性もなくはない(かなり苦しいが)。

 

群がる敵をなぎ倒せ! 敵プレイヤーとの戦いや,仲間との協力プレイはかなり熱い! テスト初期では複数人が同時に無双乱舞を発動すると,ゲームが落ちるという場面もしばしば見られたが,後のパッチで改善されたようだ

 

マップ上に配置された拠点を占拠すれば勝利となるので,敵の拠点目指して突き進もう! 拠点に設置された鼎(かなえ)を破壊すれば,拠点にいる敵の回復がストップ。対人戦闘では鼎だけを破壊して放置するのも地味に効く

 

 

独特の強化システム

 

 戦場ではかなり爽快なバトルが楽しめる。二つの攻撃ボタンを適当に押しているだけでも連続技は発動し,たとえアクションゲーム初心者であっても群がる敵を一掃できる。誰でも一騎当千の面白さを体験できるという意味では非常に好感触だ。また戦闘をより面白くする要素としてパワーアップシステムがよい味を出している。

 戦場で敵を倒すと,ときどき「肉まん」(HP回復)や「仙箪」(キャラ強化)といったアイテムが出現することがある。本作のキャラクター強化システムは独特で,これを熟知せずして大きな戦果は得られない。まず,画面左下の「強化スロット」に注目してもらいたい。強化スロットは戦場で仙箪を取るたびにクルクル回転し,「攻撃2倍」「防御2倍」などの項目が表示される。そこでプレイヤーが任意でパワーアップボタン(I or ボタン6)を押すと,表示中の効果が得られるのだ。

 強化スロットは,初期状態では下記のようになっている。

 

・初期状態の強化スロット

「?」>「?」>「?」>「副将強化」>「?」>「?」>「連撃強化 / 究極強化」

 

 4段階めの「副将強化」と,7段階めの「連撃強化」は固定要素。この二つは文字通り,取得すれば副将が強くなったり,プレイヤーキャラクターの連続技数が増えたりする。とくに「連撃強化」は重要で,繰り返して取得すれば最大で6連撃まで増えるほか,連続攻撃数が最大になると武器ごとに設定された独自のパワーアップ,「究極強化」が可能となる。なお「副将強化」や「連撃強化」はプレイヤーキャラクターが倒されるまで効果が持続する。

 なお「?」の部分にはランダムで,「攻撃2倍」「防御2倍」「移動速度最大」のどれかが表示される仕組み。この3種類は,前述した「連撃強化」などとは違い,その場限りの時間制限があるパワーアップだ。効果時間は段階×5秒というのが大きな特徴だ。
 また武器の強化を行っている場合は,「?」の部分に「攻撃強化」「防御強化」「体力強化」「破壊強化」「無双強化」といった項目が表示されるようになり,初期状態とは違うパワーアップが楽しめる。これは武器の強化内容とリンクしていて,武器の「攻撃強化」と「体力強化」を,それぞれ3レベル上げていた場合の強化スロットは,

 

「?」>「攻撃強化」>「?」>「副将強化」>「体力強化」>「?」>「連撃強化 / 究極強化」

 

などとなり,「攻撃強化」と「体力強化」については武器を強化したレベルの分だけ,繰り返してパワーアップできる(効果は死ぬまで持続)。さらに,武器の強化を一通り(5種類とも)行っている場合の強化スロットは,

 

「防御強化」>「攻撃強化」>「破壊強化」>「副将強化」>「体力強化」>「無双強化」>「連撃強化 / 究極強化」

 

などの形になり,「?」の部分に表示されるはずの「攻撃2倍」「防御2倍」「移動速度最大」といった項目は表示されなくなる。このあたり,戦術にどう影響を与えるのかは検証できなかったが,なかなかに興味深い内容だ。

 戦闘が終了すると対戦成績などが表示され,自動的に自室へ帰還する。戦場で箱を破壊してアイテムなどを入手している場合は,自室の書机でアイテム整理,武器の強化や装備の変更を行って,再び出陣することになる。

 

テクニカルテストを見る限り,出現した仙箪を取れば強化スロットの表示が変わるので,ほしい能力でパワーアップしよう。ただし,強化スロットを7段階まで進めた状態で,さらに仙箪を取ってしまうと1段階めに逆戻り。まるで某有名シューティングのようだ

 

 

戦場には箱が落ちていることも。箱の中には武器,防具などが入っている。拾ったプレイヤーのものになるので,仲間と箱の取り合いになることも!?

 最後に,テクニカルテストに参加した雑感などを。今回は「戦闘」における検証ということで,製品版とは大きくかけ離れたモノだった。なので戦闘シーンについての感想を中心に書いてみよう。
 PvEに関しては,かなり快適でサクサク遊べたと思う。NPC勢力を相手にした協力プレイなどはかなり楽しめたし,描画についてもなかなかのクオリティだと思えた。課題があるとすればPvPで,数人が同時に無双乱舞を繰り出すと,ゲームが落ちることもしばしば。また,死んだ場合は近くの拠点にPOPするが,POPして拠点から出てみたら,万全のパワーアップをした敵キャラクターが待ち受けていて,勝負にならないというシーンも多々見られた。状況によっては拠点ハメともいえるようなことになりかねないので,このあたりは何かひと工夫が欲しいところだ。
 初日はログインすらも難しく,筆者を含めやきもきしたプレイヤーが多かったようだが,テスト中にはパッチがあたり,日々改善されていくのは好感触だった。もともとクオリティコントロールが上手なコーエーだけに,製品版までに,もう一化け,いや数回は化けることだろう。今回のテストはコーエー側としては,良いデータ検証が出来たのではないかと思う。
 次回のテストについては何も聞いてはいないが,今回の検証やフィードバックを生かし,「真・三國無双BB」が一回りも二回りも成長して帰ってくるのを楽しみにしていたいと思う。

 

タイトル 真・三國無双BB
開発元 コーエー 発売元 ELEVEN-UP
発売日 2006/11/01 価格 従量課金制
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP/Vista(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium 4/1.80GHz以上,メインメモリ:512MB以上,グラフィックスチップ:プログラマブルシェーダ1.1対応以上,グラフィックスメモリ:64MB以上,HDD空き容量:9.5GB以上,ディスプレイ解像度:800×600ドット以上

(C)KOEI Co., Ltd. All rights reserved.
Presented by ELEVEN-UP Inc.

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http://www.4gamer.net/review/musoubb/musoubb.shtml