レビュー : TF7050-M2

“mGPU”「GeForce 7050 PV」の3Dパフォーマンスはいかほどか

TF7050-M2

Text by Jo_Kubota
2007年5月9日

 

»  NVIDIAの新しいグラフィックス機能統合チップセット「GeForce 7050 PV」搭載マザーボードが発売されたので,さっそくJo_Kubota氏が評価する。ライバルとなる「AMD 690G」もテストしている氏は,GeForce 7の名を冠した内蔵グラフィックス機能をどう見るだろうか。

 

TF7050-M2
メーカー&問い合わせ先:BIOSTAR MICROTECH
実勢価格:1万円前後(2007年5月9日現在)

 とくにこれといった発表もないまま,NVIDIAは開発コードネーム「MCP68」と呼ばれていたグラフィックス機能統合チップセット「GeForce 7050 PV+nForce 630a」(以下GeForce 7050 PV)および「GeForce 7025+nForce 630a」(以下GeForce 7025)をリリースした。日本では2007年5月2日にBIOSTAR MICROTECH(以下BIOSTAR)製のGeForce 7050 PV搭載マザーボード「TF7050-M2」の販売が始まっているので,すでにその名前を耳にした人もいることと思う。

 

 今回4Gamerでは,そのTF7050-M2をBIOSTARから借用できたので,GeForce 7ファミリーの名を冠する初のチップセットが,3Dゲームを前にどの程度の性能を発揮するのか,そして,先にマザーボードが市場投入されている「ATI Radeon X1250」搭載チップセット「AMD 690G」と比べて“どうなのか”を検証してみたい。

 

 

HDMI出力対応,世界初の(?)「mGPU」
1チップに集約され低消費電力に

 

GeForce 7050 PV。発表前には「GeForce 7050 SE」と噂されていた時期があったのを憶えている人がいるかもしれないが,チップ上の刻印は「NF-7050SE-630A-A2」となっている

 NVIDIAは,今世代よりグラフィックス機能統合チップセットを「mGPU」(Motherboad GPU)と呼んでいるため,GeForce 7050 PVやGeForce 7025は「世界初のmGPU」ということになる。ただ,実際のところは既存のグラフィックス機能統合チップセット「GeForce 6150/6100」シリーズの純然たる後継であり,「mGPUだから○○」といった劇的な違いがあるわけではない。あくまでマーケティング的な呼称変更である。

 

 さて,GeForce 7050 PVとGeForce 7025はいずれもSocket AM2対応のチップセットだ(NVIDIAは,Intel製CPU対応モデルも用意しているという)。

 

消費電力が10.7Wに留まると謳うスライド(BIOSTAR提供)

 大きな特徴は,製品名にこそ「+nForce 630a」が付いているものの,実際にはサウスブリッジの機能も集約された1チップ構成になっていること。1チップ化のメリットは,一般に消費電力の低減とマザーボード上の実装面積縮小にあるが,BIOSTARはGeForce 7050 PVの消費電力が10.7Wに留まるとアピールしている。TDP(Thermal Design Power:熱設計消費電力)は,これよりもう少し高くなると思われるが,それでも(メモリコントローラを内蔵する)「Intel G965 Express」のTDPが28Wで,これにサウスブリッジの数Wが加算されることを考えると,GeForce 7050 PVの消費電力がいかに低いかが分かるというものである。

 

 このほか主なスペックは表1にまとめたが,GeForce 7世代ということで,プログラマブルシェーダ3.0(Shader Model 3.0)に対応。シェーダユニット数が変わらないまま,動作クロックが下がっているので,パフォーマンスに関しては少々気がかりだが,GeForce 6世代からGeForce 7世代へのマイナーチェンジで,パフォーマンスは上がるということなのだろう。なお,グラフィックスメモリがメインメモリの一部を利用するUMA(Unified Memory Architecture)方式を踏襲する点もGeForce 6150と同じだ。
 なお,GeForce 6150においてnForce 430サウスブリッジが担当していたI/O機能も引き継がれており,PCI Express x16スロットのサポート,NVIDIA RAID(0/1/0+1/5)のサポート,1000BASE-T LANコントローラなどは標準でサポートされている。

 

 このほか機能面では,GeForce 7050 PVがデジタルYCbCr&RGB(HDMI)出力を標準でサポートし,さらにBlu-RayやHD-DVD再生で必須となるHDCPにも対応している点が大きなトピックだ。また,NVIDIA独自のビデオ高画質化技術「PureVideo」のサポートも,GeForce 7050 PVの特徴である。

 

 

 

AMD 690G&GeForce 6150
そしてGeForce 7世代のローエンド&ミドルと比較

 

TF7050 AM2のI/Oインタフェース部

 先述のとおり,今回はTF7050-M2を用いるが,同製品は標準でデジタルYCbCr&RGB(HDMI),アナログRGB(D-Sub),アナログビデオ(S/コンポーネントビデオ)の出力が可能なmicroATXマザーボードだ。借用した個体にはなかったが,店頭で販売されている製品にはHDMI−DVI変換アダプタが付属しており,デジタルRGB出力も行えるようになっている。
 メモリスロットが4本用意されているほか,PCI Exprress x16スロットや2本のPCIスロットなど,拡張性にかなりの配慮が見られるのも特徴。Serial ATAポート×4,IDEポート×1で,ドライブ周りの拡張性も及第点に達しているといえる。

 

店頭販売されている製品には,HDMI−DVI変換アダプタが付属しているのを確認できた 電源は3フェーズ仕様。低ESR固体コンデンサの使用により,安定度が高められているとBIOSTARは主張する

 

M2NPV-VM
DVI-IやDub,コンポーネントビデオ出力をサポートした低価格マザー
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ コーポレーション(販売代理店)
news@unitycorp.co.jp
実勢価格:1万2000円前後(2007年5月9日現在)

 そんなTF7050-M2の評価に当たっては,直接のライバル「AMD 690G」チップセットを搭載するBIOSTAR製マザーボード「TA690G AM2」,そしてGeForce 6150+nForce 430チップセット搭載のASUSTeK Computer製マザーボード「M2NPV-VM」を用意。また,「GeForce 7600 GT」と「GeForce 7300 GS」のリファレンスクロック採用モデルもそれぞれ用意し,TF7050-M2上で動作させた状態でGeForce 7050 PVと比較することにした。GeForce 7300 GS搭載カードは,グラフィックスメモリ容量128MBで,TurboCache対応のGIGABYTE TECHNOLOGY製品「GV-NX73G128D」である。

 

 このほかテスト環境は表2のとおりだ。現在のところ,NVIDIAはGeForce 7050に対応したドライバを公開していないので,今回はTF7050-M2に付属していたForceWare 100.99を用いる。比較対象はいずれもテスト時点の公式最新版ドライバを利用するため,TA690G AM2のスコアは,マザーボードに付属のドライバを利用したプレビュー時から改善を見せる可能性がある点には注意しておきたい。

 

 

TF7050-M2の主な仕様(BIOSTAR提供)

 テスト方法は基本的に4Gamerのベンチマークレギュレーション3.1準拠となるが,TA690G AM2のプレビューを踏まえて,ディスプレイ解像度は640×480/800×600/1024×768ドットの3パターンとした。ただし,「Company of Heroes」と「Lineage II」は640×480ドットを選択できないため,2パターンとなる。同時に,「高負荷時」のテストは行わず,「標準設定」のみとした。
 代わりに,「3DMark05 Build 1.3.0」(以下3DMark05)と「3DMark06 Build 1.1.0」(以下3DMark06)以外に関しては,ゲーム側の描画設定を最も負荷の軽い状態にした設定でもテストを行う。この状態を以後「Low」とし,具体的な設定内容に関してはテストごとに簡単な説明を加えたい。
 なお,UMAで割り当てるグラフィックス容量は128MBで統一。CPUの省電力設定は無効化した。また,以後はとくに断りのない限りマザーボード(など)の製品名ではなくGPU名で表記し,さらにグラフ中は「GeForce」の表記を省略する。

 

 

AMD 690Gと一進一退の攻防
ドライバの完成度が上がると有利に?

 

 以上,前置きがたいへん長くなったが,まずは3DMark05と3DMark06のスコアを見てみることにしよう(グラフ1,2)。
 いずれもGeForce 7600 GTのスコアが圧倒的すぎるため,グラフィックス機能統合チップセットのスコアは霞んでしまいがちだが,GeForce 7050 PVのスコアが,GeForce 6150のそれを確実に上回っているのははっきりと分かる。動作クロックで遅れを取るGeForce 6150よりGeForce 7050 PVのスコアが高い以上,スペックで何らかの拡張は行われていると見るべきだ。
 ちなみに,AMD 690Gが内蔵するATI Radeon X1250との比較では,プログラマブルシェーダ2.0世代の3DMark05では一歩及ばず,同3.0世代の3DMark06では不戦勝なので,まあ,ここは1勝1敗といったところか。いずれにせよ,GeForce 7ファミリーの単体GPUとして明らかにローエンドの位置づけとなるGeForce 7300 GSに対して,どちらのテストでも勝負になっていない。

 

 

 

 以上を踏まえて,ゲームにおけるベンチマークを見ていこう。
 グラフ3「Quake 4」(Version 1.2)のテスト結果である。Low設定に当たっては,「ADVANCED SETTING」にある項目から,「Multiple CPU/Core」以外をすべて「No」に指定した。
 レギュレーション3.1準拠ではGeForce 6150に対して全て上回るGeForce 7050 PVだが,それでもゲームになるのは640×480ドットで「かろうじて」といったところ。800×600ドット以上ではまるでゲームにならない。Low設定にしても抜本的な改善はなく,Quake 4をプレイするには,最低でもGeForce 7300 GSクラスが必要というほかなさそうだ。
 なお,AMD 690GのスコアがLow設定でも伸びないのは,TA690G AM2のプレビュー時と同じ。ATI Catalyst 7.4でも,状況に変化はないようである。

 

 

 続いて「Half-Life 2: Episode One」(以下HL2EP1)を見てみよう(グラフ4)。Low設定では「ビデオ詳細」から変更できるものをすべて「低」または「なし」に変更している。
 Quake 4と同じく,レギュレーション3.1準拠だとグラフィックス機能統合チップセット陣営はほぼ全滅。ところがLow設定にすると,状況はかなり変わる。ATI Radeonに最適化されているだけあって,AMD 690Gのスコアは1024×768ドットでも30fpsを超えるが,GeForce 7050 PV(やGeForce 6150)は800×600ドットをかろうじて超える程度で,満足にプレイするには640×480ドットまで解像度を落とす必要があろう。

 

 

レギュレーション3.1準拠の画面(上)と,Low設定の画面(下)。いずれも拡大画像の解像度は800×600ドットだ

 グラフ5は「F.E.A.R.」の結果である。Low設定では,「シェーダ設定」の「DX8シェーダー」は「切」にして,DirectX 9モードで動作させつつも,「コンピュータ設定」「ビデオ設定」はいずれも「最低」にしてある。
 F.E.A.R.はベンチマークレギュレーション3.1ではかなり描画負荷の高いタイトルだが,それを裏づけるように,スコアは非常に低いものとなった。横並びの比較では,確かにAMD 690Gのスコアが一つ抜け出しているが,それでも640×480ドットで17fps。チップセット同士の比較に意味はほとんどない。
 ここはむしろ,グラフィックスに関するゲーム側の設定内容が多く,すべて最低にすることでかなり負荷が低くなるというF.E.A.R.の特徴を生かした,Low設定のスコアに注目したいところである。GeForce 7050 PVとGeForce 6150のスコアは非常に高く,1024×768ドットでもゲームになるだろう。800×600ドット以下では(画質はともかく)フレームレートに不満を感じることはないはずだ。

 

 

 FPSを離れて,今度はRTS「Company of Heroes」(Version 1.4)のスコアをグラフ6にまとめた。ここでもレギュレーション3.1ではまったく話にならないので,「グラフィック」設定をすべて「低」もしくは「なし」にしたLow設定のスコアを見てみたいが,ここではなぜかLow設定の効果は不発に終わっている。何度計測し直してもGeForce 6150より低いスコアに変化がなかったので,ドライバに何らかの問題がある可能性を指摘できそうだ。2007年5月中にNVIDIAのWebサイトで公開予定とされる新しいドライバに期待したいところである。

 

 

 続いてレースシム「GTR 2 - FIA GT Racing Game」は,一言でまとめるなら,Quake 4と同じ傾向だ(グラフ7)。レギュレーション3.1準拠の設定では論外となるため,ゲーム設定の「OPTIONS」にある「VIDEO」から「GENERAL DETAIL」を「Low」にしたLow設定で計測してみたが,「ひとまずの合格点」となる40fpsに達したのは640×480ドットだけ。しかも,Low設定では実車のリアリティが失われてしまうので,かなり厳しいと言わざるを得ない。TA690G AM2のプレビュー時と同じ感想で恐縮だが,グラフィックス機能統合チップセットには荷が重いようである。

 

 

 そして最後にMMORPG「Lineage II」のテスト結果をグラフ8にまとめた。レギュレーション3.1準拠では動きがぎこちなく,いわゆる「ラグっぽい」状態になるが,「オプション」の「グラフィック」にある設定をすべて最低にすれば,1024×768ドットでほぼ問題なくプレイできるレベルになった。もっとも,それはAMD 690GやGeForce 6150でも同じ。現行MMORPGのような,描画負荷の低いゲームであれば,グラフィックス品質の落ち込みも堪えられないレベルではないため,このクラスのグラフィックス機能なら,Low設定にすれば実用に堪えるレベルにあるといえる。

 

 

 

消費電力が確実に低減
“ワット当たり性能”は非常に高い

 

 GeForce 7050 PVは,消費電力の低減もキーワードだが,果たしてどういったスコアになるだろうか。ワットチェッカーからシステム全体の消費電力をチェックしてみよう。

 

ボード裏面

 グラフィックス性能が低いグラフィックス機能統合チップセットの場合,CPUが“遊んでしまう”ため,全体的に消費電力は低く出る傾向がある。もちろんそのデータは,実際にグラフィックス機能統合チップセットでゲームをしたときに近いものだから問題はないのだが,CPUにも負荷がかかったときにどういった傾向を見せるかを探る意味で,今回はMP3エンコードソフト「午後のこ〜だ」が持つ「午後べんち」機能によってCPUに負荷をかけるテストも試みることにした。
 具体的には,OSの起動後10分間放置した直後を「アイドル時」としたほか,3DMark05,午後べんちの耐久ベンチモード,3DMark05と午後べんちの耐久ベンチモードをそれぞれ10分間連続実行し,最も消費電力の高かった時点を順に「高負荷時(1)」「高負荷時(2)」「高負荷時(3)」とし,ワットチェッカーから消費電力を計測している。

 

 その結果をまとめたのがグラフ9だが,アイドル時,高負荷時(1)ともGeForce 7050 PVの消費電力はAMD 690GやGeForce 6150より10W程度低く,1チップ化の効果が見て取れる。高負荷時(1)の消費電力が85Wに留まっている点にも注目したいところだ。
 どのマザーボードにも一定のCPU負荷がかかることになる高負荷時(2)および高負荷時(3)では,AMD 690Gと変わらないが,GeForce 6150よりは大幅に消費電力が低い。

 

 

 

 

3Dパフォーマンスは最低限だが
AMD 690G対抗としては十分に魅力的

 

 2006年以降,グラフィックス機能統合チップセットの3D性能は(わずかながら)引き上げられる方向にある。これは,Windows Vistaの「Premium」ロゴを取得するための各メーカーによる方策で,ある意味トレンドといってもいいだろう。

 

 その流れに乗って登場したAMD 690Gは,コストパフォーマンスの高さもあって,市場でかなりの注目を集めているわけだが,その直接の対抗馬としてリリースされたGeForce 7050 PVは,HDMI/DVI&HDCP対応という機能的にも,ベンチマークスコアという性能的にも,AMD 690Gとよく似た存在だ。

 

製品ボックス

 よって,結論も似たようなものになる。最新世代の3Dゲームをプレイするにはまったくもって不向きであり,バリバリの3Dゲーマーに勧められるレベルでは決してない。
 しかし同時に,オンラインのカジュアルなゲームをプレイできるレベルのPCをできる限り安価に構築したい人や,エントリー向けのゲーム用PCのベースとしては,価値があるのもまた確か。AMD 690G搭載マザーボードともども,「ゲームプラットフォームとしてのPC」の間口を広げる製品となってくれそうである。消費電力の低さに注目するユーザーのなかでは,指名買いも出てくるだろう。

 

 ちなみに,2007年5月9日時点におけるTF7050-M2の実勢価格は1万円前後。いろいろ“納得ずく”で購入するのであれば,TF7050-M2は,コストパフォーマンスの高いマザーボードだ。

■■Jo_Kubota(ライター)■■
PCに関連した守備範囲の広さに定評のあるテクニカルライター。それを生かして――というより,長い付き合いの担当編集からそこに目を付けられて――4Gamerでは,グラフィックスカードやCPU,サウンドカードなどといったハードウェアから,OSなどソフトウェアの検証に至るまで,八面六臂の活躍を見せる。DOS時代からThrustmasterのステアリングコントローラを握り続けている,無類のレースゲーム好きという顔もアリ。
タイトル GeForce 7050/7025
開発元 NVIDIA 発売元 NVIDIA
発売日 2007/05/02 価格 製品による
 
動作環境 N/A

Copyright(C)2007 NVIDIA Corporation

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/review/geforce_7050_pv/geforce_7050_pv.shtml