― 連載 ―

トラックマニア マニアックス

第1回 「トラックマニア サンライズ エクストリーム」マシン&ゲームモード紹介

 

 トラックマニアシリーズといえば,アクロバティックでトリッキーで,現実ではあり得ないコース(トラック)ばかりが登場する奇抜なドライブゲームだ。「相手より早くゴールすること」の前に,まずは「奇っ怪なコースを完走すること」が目的というゲームなのである。「他人に勝とうなんて十年早い! まずは己に勝て!」なのだ。
 ある意味イカれたドライブゲームで,海外では非常に人気があるシリーズなのに,我が日本ではトラックマニアについて聞いても「たぶん知ってる」とか「なんか跳ぶやつ」とか,何ともまぁ素っ気ない返事が返ってくることが多い状況である。
 実にもったいない。本作はドライブゲームの革命的存在であり,「普段あまり車のゲームはやらない」という人も,ゲーム史に名を刻むこと間違いない本作だけは,「へー,これが21世紀のドライブゲームかー」と知っておくべきなのである。
 オーバーランドから6月30日に発売された「トラックマニア サンライズ エクストリーム 日本語版」,そして同社から7月28日に発売される「トラックマニア オリジナル 日本語版」のおかげで,日本でも手軽に入手できるようになった本シリーズの魅力を,4Gamer読者にお届けしたいのだ。

 

 というわけで,猛暑にもめげることなくお届けしていく2006年夏の週刊連載記事「トラックマニア マニアックス」。まずはシリーズ最新作「トラックマニア サンライズ エクストリーム」(TMSE),続いて元祖のリメイク作にあたる「トラックマニア オリジナル」(TMO)の,奇抜なコースやゲームモードについてお伝えしていこう。

 

 

 

ステージとマシン

 

 TMSEには,それぞれ挙動特性が異なる3タイプの車が登場する。また,使える車がステージ(環境)により固定されているため,一つのマシンだけを極めていってもダメで,おのずと3台とも乗りこなす技術が必要になる。ざっくばらんに言うと,「アイランド」はスピード,「コースト」はテクニック,「ベイ」はアクロバットを楽しめるというステージ構成だ。

 

アイランド

 スピード重視のコースが揃っているアイランドステージ。ストレートや高速コーナーが多めのレイアウトで,時速300〜500km/hで走るのは当たり前。ブースターを通過すれば,一気に700〜900km/hオーバーの世界へご招待。馬鹿みたいなスピードでかっ飛ばすだけじゃなく,ジャンプ台を使ってシャレにならないほど大ジャンプをしたり,ハーフパイプや360度ループなどジェットコースター並の仕掛けもあるため,酔いやすい人はちょっとばかり辛い思いをするかも知れない。

●スーパーカータイプ
 ここで使用する車は,フェラーリやランボルギーニを彷彿させるスーパーカータイプ。挙動自体はほかの車と比べて扱いやすいが,高速ゆえに小さな起伏で挙動を乱すし,突然ぴょ〜んと跳ねて,あらぬ方向へすっ飛んでいくこともしばしば。圧倒的なスピードの中,どれだけ車をコントロールできるかがキモとなる。ハイスピードを維持したままドリフトでコーナーを抜けたときは言いようのない爽快感を得られるが,ドリフトさせすぎると車速が落ちてタイムロスにつながるので,ほどほどに。

 

コースト

 地中海をモチーフにしたコーストステージ。高低差のある,狭く曲がりくねったレイアウトのコースが豊富に用意されている。レースサーキット風のコースが登場するのも,このステージの特徴だ。コースサイドには低い壁があるのでコースアウトはしづらいが,コース幅が狭いため壁に擦りやすく車速を落としやすい。これが原因で,ジャンプの飛距離が足りなくなることも多い。

●スポーツカータイプ
 ここで使用するスポーツカータイプは,微妙なコントロールが必要になる,なかなか気むずかしい車。あまりスピードは出ないが(といっても250km/hくらいは出る),コーナー進入時はアンダーステアが強くて曲がりにくい。逆にステアリングを大きく切り込んだり,バランスを崩した状態でハンドルを切ろうとすると派手にリアが流れて,4輪が滑ったままアウトへと滑っていく。ちょっぴりクセの強い車で,乗りこなすのが難しい。スピードコントロールとライン取りがポイントで,絶妙なマシンコントロールとコーナーを綺麗に抜けるドライビングテクニックが求められる。

 

ベイ

 ビルが建ち並ぶ湾岸地帯が舞台の,ベイステージ。海岸沿いの埠頭からビルとビルの間を走り抜けたり,海上にあるコースを走り回ったり,移り変わる風景は一番身近に感じられるステージかもしれない。ただし,コースは全体的にアクロバティック。勾配の急な坂道を登り,ぽ〜んとジャンプして道がない!(左右に直角に曲がってた)なんてことは当たり前。ときにはビルの屋上へ飛び移り,そのままビルからダイブしてコースへ復帰。停泊中の大型貨物船までコースとして使ってしまうのだから,ここまで来ると,笑うしかない。

●四輪駆動タイプ
 街中のとんでもないコースを走るために用意された車は,四輪駆動車タイプ。ほかの車と比べると車高は高く,足回りもふにゃふにゃ。その分,ちょっとくらい凹凸があってもひっくり返らずに踏ん張ってくれる。ジャンプの着地などでは挙動を大きく乱すことも多く,そのままコース外へと吹っ飛んでしまうことも多い。ハンドリング性能,加速性能,ブレーキ性能などが優れており,トリッキーなコースとの相性はピッタリで,乗りこなせると楽しくて仕方がなくなる。

 

 

ゲームモード「オフィシャルキャンペーン」

 

 TMSEには「ソロ」「マルチプレイヤー」「エディター」の3モードがあるが,まず挑戦してほしいのが一人で遊ぶ「ソロ」。ソロには,さらに「オフィシャルキャンペーン」「コミュニティキャンペーン」「シングルチャレンジ」といったゲームモードが用意されている。今回は,この中でもメインであるオフィシャルキャンペーンのレースを紹介していこう。
 ちなみに「コミュニティキャンペーン」は,コミュニティにアップロードされている,ほかのプレイヤーが作成したキャンペーンをダウンロードして挑戦できるモード。もう一つの「シングルチャレンジ」は,オフィシャルキャンペーンコースの練習に使ったり,ミニゲーム的なボーナストラックに挑戦できるだけでなく,自分で作成したオリジナルコースやネット上にアップされているほかのプレイヤーが作ったチャレンジに挑戦できるモードだ。
 実は,チャレンジやコースを無限大に増やしていけるところが本シリーズのウリでもあるのだが,このあたりについてはエディット機能と併せて,連載の最後で触れる予定なのでお楽しみに。
 というわけで,今回は真っ先に全部クリアしたいオフィシャルキャンペーンのレースモードを紹介していこう。

 

 オフィシャルキャンペーンは,Nadeoが用意したコースを舞台とした,数々の「チャレンジ」を走破していくモード。各チャレンジは何戦かのレースが集まったシリーズ戦で構成されており,すべてのチャレンジにあるレースを合計すると,その数なんと150種類にもなる。各レースともクリア成績により,ゴールド,シルバー,ブラウンのメダルが授与され,メダルを獲得していくことでワンステップ上のレベルのチャレンジがプレイできるようになるという具合だ。

 

「レース」チャレンジ「エクストリームレース」チャレンジ

 「レース」チャレンジと「エクストリームレース」チャレンジは,スタートからフィニッシュラインまでを可能な限り速く走ることに挑戦する。ライバルカーも同時に走るが,順位は関係なく,ターゲットタイムを切ることが目的。ライバルカーの走り=ターゲットタイムになっているため,彼らの前でフィニッシュする走りをすればよい。「エクストリームレース」チャレンジは,コースマップ全体を使うような大規模なコースが用意されており,「レース」チャレンジよりも攻め応えがある。シルバーメダルまでは比較的簡単に獲れるが,ゴールドメダルのターゲットタイムともなると,かなりシビア。明らかにショートカットを使わないと達成できないコースや,大ジャンプするとブースターを踏めずにタイムロスするコースもあるので,ライバルカーの走りを見つつ研究したいところだ。タイムアタックが好きな人は燃えること間違いなし。

 

 

「プラットフォーム」チャレンジ

 「プラットフォーム」チャレンジは,スタートからフィニッシュラインまで,いかに失敗(リトライ)を少なく完走できるかに挑戦する。フィニッシュまでの走破タイムは関係なく,どれだけ時間がかかっても構わない。とにかく復帰ポイントへのリトライさえしなければよい。リトライ回数により授与されるメダルが変わってくる。もちろん,スタント顔負けのトリッキーなコースレイアウトばかりなので,たとえコースを完全に覚えていても些細なミスでコースアウトしたり,ひっくり返ったりするため,ノーミスで走破するのは猛烈に大変だ。

 

 

「パズル」チャレンジ

 「パズル」チャレンジは,一部が欠落したコースに道路やジャンプ台,ブースターなどの建設ブロックを配置して,全チェックポイントを通過してスタートからフィニッシュラインまで最短時間で到達できるよう,コースを補完していくゲームモード。使用できる建設ブロックは種類と数は決められており,実際に走ってタイムが上がるように微調整をしていくわけだ。コースを作るだけでなく,実際に走ってタイムを出す必要があり,最短コースを作っても走りが悪くてタイムが上がらないとクリアできないので,走りのテクニックも磨いておきたい。

 

 

「スタント」チャレンジ

 「スタント」チャレンジは,制限時間内にスタントアクション(技)を出しながらコースを走ったり,ジャンプ台を使ってド派手なスタントアクションを決めたりしてポイントを稼ぐ。滞空時間の長いジャンプをしたり,空中で何度も車が回転するようなジャンプを決めたりするとポイントが入る。どんなスタントアクションをするとポイントが入るのかは,マニュアルにも記述がないため種類など正確なところは不明だが,「Spin 180」「Chained Spin 360」「Aerial 360」など,スノーボード競技で見かけるようなアクションがある。同じ技を連続で繰り出したり,キレイな着地を決めるとボーナスポイントが加算されるなど,なかなか奥が深い。制限時間をオーバーするとフィニッシュラインを通過するまで稼いだポイントが減算されていくので,欲を出しすぎると損をする。

 

 

「クレイジー」チャレンジ

 「クレイジー」チャレンジは,多くのライバルカーと同時にショートレースを行い,1台ずつライバルカーを打ち負かしていく。少々ややこしいのだが,例えば16台のライバルカーを相手にする場合,スタートと同時に16台+自分がワラワラと走り出す(ある意味,壮観)。ゴールした時点で自分よりも遅かったライバルカーが自分のチームとなり,これを繰り返して,すべてのライバルカーに勝つのが目的だ。はっきりいって同時走行する車が多く,ライバルカーとの当たり判定がないため,自車と重なり合ったり,かなりジャマくさい。しかも打ち負かしたライバルカーは自車と同じ色になって見づらくなるので(中央にいるので分かるが),味方が増えて嬉しいかどうかも微妙。なんとも不思議なチャレンジだ。

 

 

 ちなみに「レース」「エクストリームレース」では,ゴールドメダルよりも上のメダルも用意されている。苦労してゴールドメダルをゲットしたら,さらに上のランクの「デザイナーメダル」なるもののターゲットタイムが現れた。このマニュアルにも載っていないデザイナーメダルを獲得すべく,いろいろなコースで挑戦したが,ゴールドメダルよりさらに高難度というわけで残念ながら一つも取れず,このメダルを獲得するとどうなるのか定かではない。とほほである。

 

 

次回予告

 

 次回はTMSEのコースに数多く登場する,ギンギンに熱いアクロバチックな要素を紹介していく。「これがなきゃトラックマニアじゃない!」といえるトラックマニアの真骨頂というべき部分だけに,じっくりとお伝えしていく予定だ。お楽しみに。

 

 

 

 

■■UHAUHA(ライター・マニア)■■
4Gamerでの初仕事は2000年9月という,大半の編集スタッフよりも古くから4Gamerに関わっている最古参関係者の一人。以来6年間,レースゲームや箱庭シムなどを中心に,多くのレビューを手がけてきた。ちなみに,UHAUHA氏と直接面識がある4Gamerスタッフは,つい先日UHAUHA氏のご自宅に直接乗り込んでいった,ハードウェア担当の佐々山薫郁ただ一人。電話で話したことがあるのも佐々山ただ一人である。なんて薄情な編集部だ。
タイトル トラックマニアサンライズ エクストリーム
開発元 Nadeo 発売元 オーバーランド
発売日 2006/06/30 価格 6800円(税込)
 
動作環境 OS:Windows 98/2000/ME/XP/XP Professional 64-bit Edition(+DirectX 9.0b),CPU:Pentium III/500MHz以上[Pentium 4/1GHz以上推奨],メインメモリ:128MB以上[256MB以上推奨],グラフィックスチップ:DirectX 9対応以上,グラフィックスメモリ:16MB以上[64MB以上対応],HDD空き容量:900MB以上,オンボードグラフィックスは動作対象外,オンラインプレイ時は56kbps以上のネットワーク環境必須

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