連載 : Second Lifeの匠を訪ねて


Second Lifeの匠を訪ねて 〜メタバースの挑戦者達〜

第3回:服屋から総合アミューズメントパークへ BAREROSE TOKYO

 「Second Life」(以下,SL)をプレイ中の優れたクリエイター(匠)達を訪ね,SLの魅力とメタバースの今後について考える本連載。今回紹介する匠は,日本人プレイヤーの中でもとくに著名な服飾デザイナーの,June Dionさんだ。

 

June Dionさん以外のスタッフは,ほぼ全員外国人。にもかかわらず,多くのスタッフがJuneさんに対して日本語で話しかけていたのが,印象的だった

 

 

目指すのは,“誰もが楽しめる場所”

 

 June Dionさんが現在運営中のお店が,BAREROSE TOKYO(B@Rと呼ばれている)だ。
 B@Rが,どんなお店かを一言で表現するのは難しい。中心は,Juneさんがデザインして作った服の販売だが,服以外にもさまざまな商品を取り扱っているし,無料で手に入るアイテムも多数置いてある。それに加えて,毎週いくつものイベントが絶え間なく行われており,本や絵画の展示スペース,さらにはマッサージを受けられるSPAなんかもある。

 

B@Rのオーナー,June Dionさん

 「服屋というより,どちらかというとアミューズメントパークを目指す感じでやっています」とJuneさんは言う。B@Rは現在,Bare RoseとBlack Catという二つのSIMにわたる広大な土地を持ち,スタッフ35人を擁する巨大な組織となっている。もはや単なるゲームという範囲を超えた,スケールの大きい活動といえるだろう。
 ではJuneさんは,一人の普通の住民としてSLを始めて以来,一体どうやって,ここまでB@Rを発展させてきたのだろうか。その話をじっくり聞く前に,まずはB@Rの店舗全体を案内してもらった。

 

 B@Rは黒を基調とし,落ち着いた雰囲気の中にも華やかさを備えたデザインの店舗だ。巨大な壁が各スペースを区切っていて,その壁に商品のパネルがずらっと並んでいるという,およそ現実世界の店舗とはかけ離れたレイアウトになっている。
 各スペースは広くとられており,また屋根がないため,とてもゆとりがあって開放的に感じられる。

 

 テレポート地点周辺はインフォメーションエリアで,ここにはお店全体の案内やスタッフの紹介,イベントの告知などがある。また,常連のお客さんがチェックしやすいよう,最近作られた新商品もここに集められている。

 

主なスタッフが,画像付きで紹介されている。スタッフが親身になって応対してくれるのが,B@Rの特徴だ 画面中央にあるのがテレポータ。ここから,店舗の各地区へ瞬時に移動できる

 

屋根がない開放的な構造の店舗は,SLならではといえるかもしれない。各フロアも,かなり余裕を持って広くとってある 壁にずらりと並んでいるパネル一つ一つが商品だ。SLでは,アバターの位置にあまり関係なく視点を自由に移動できるため,こういった構造が可能だ

 

 このように南半分には,Juneさんが作った商品が陳列されている。今までにJuneさんが作った服の数は,550点を越えているというから驚きだ。
 北半分は主にテナントスペースとなっており,ほかの住人がスペースの一角を借りてお店を出せるようになっている。

 

フリーで貸し出している店舗スペースは,なんと80人待ちだというから,凄まじい人気である マッサージを受けられるリラクゼーションスペース。画面右に,マッサージをしてくれるスタッフのリストがある

 

ここも,イベントスペースの一つ。参加者がリレー形式で一つの話を作っていく,「Story Telling」が行われている 服以外のものもたくさん売られている。ここは,Juneさんやほかの人の作った家具が置いてあるスペース

 

 Juneさんが最近北東地区にオープンさせたのが,「Ten Linden Store」だ。
 これはさしずめ,SL版100円ショップといったようなもので,すべての商品が10リンデン ドル(L$)で売られている。
 ここは入り口からテレポートしてくることはできず,歩いて(あるいは飛んで)直接入る必要がある。テレポートを使わずに,SIM内を実際に移動してもらうことで,人の流れを改善するのが狙いだそうだ。

 

すべての商品が10L$(現在の相場で,日本円にして4〜5円)で売られているTen Linden Store。その安さからは想像できないくらい,いいもの揃いだ とにかく品物の数が多く,一日ではとても見尽くせないほど。新しい作品も頻繁に追加されるため,足繁く通いたくなってしまうのだ Upload Fee Onlyというお店。名前のとおり,すべての商品がそのアップロード手数料分の金額(=10L$)で販売されている。つまりTen Linden Storeと同じだが,こちらはJuneさんの友人がやっている

 

最近新しくオープンした,書店スペース。ここでは,SL内で刊行されている主な本,雑誌を閲覧できる ここはFreebeeスペースといって,アイテムが無料または1L$で手に入る。NAGAYAのRumi Simpsonさんと,共同で設置したという ダンスフロアは,クリスマスへ向けての装飾が始まったところだった。スクリプトを使った雪のアニメーションが美しい

 

 中央部分はダンスフロアになっていて,イベントの多くもここで行われる。ここには,イベントがないときも含めて常にスタッフがいて,服を選ぶ相談をしたり,分からないことがあったときに質問したりできる。
 この「お店に常に誰かがいる」というのが,SLではありそうでなかなかない,B@Rならではの魅力であるようだ。

 

これはスタッフ向けの給料支払機。スタッフは働いた分,ここから自動で給料を受け取ることができるという B@RのRaffle Ballは,5分ごとに,近くにいる人にランダムで何かの商品が当たるシステムだ。ここでもらえる商品は非売品である

 

 最後に案内してもらったのが,とある場所からテレポートして来ることができる,スタッフの仕事場兼休憩スペース。BAREROSEのSIMの上空に浮かぶ形で存在している

 

テレポートしてきた先は,SIMのはるか上空,秘密の(?)スタッフ用フロアだった 1か月に1回,主要なスタッフを集めて,ここでミーティングが行われるという

 

人気があるという商品を,いくつか見せてもらった。どれもユニークなものばかりである。デザインのアイデアを考えるときの秘訣を聞いてみると,「これ面白いかも,というのがユニークな服を作るときの始まりです。あと,今では,お客さんが毎日のように『こういうの作って』とヒントになるようなものを送ってきてくれます」(Juneさん)

 

 

B@Rの歴史と今後の展望,運営体制や集客の秘訣とは

 

 取材中も,ひっきりなしにお客さんに話しかけられて,大忙しのJuneさん。貴重な時間を割いてもらい,スタッフルームでインタビューさせていただいた。

 

4Gamer
 では,いろいろと質問していきますね。よろしくお願いします。

 

Juneさん
 はい,よろしくお願いします。

 

4Gamer
 まずは,SLを始めたきっかけを教えてください。

 

後ろにある白や青や黄のボードは商品写真撮影用のもの

Juneさん
 前は「スター・ウォーズ ギャラクシーズ」(Star Wars Galaxies。以下,SWG)というゲームで,TailorやImage Designerという,洋服や髪型の作成や,化粧ができる職業をやっていました。もともと英語の勉強もしたいという希望があったので,英語のサーバーでプレイしていたんですよ。
 ところが,大規模アップデートを境に多くの友人がSWGをやめてしまって,私もどうしようと思っていたところに,SLを見つけたんです。SLでも服を作れるし,英語の勉強できるしと思って,始めてみました。

 

4Gamer
 SLのプレイヤーには,SWGの経験者が多いですよね。

 

Juneさん
 SWG,面白いですもの。戦闘はほとんどしなかったんですけど,友達としゃべってたまに服作ったりして。材料はみんなが持ってきてくれて,私が作る感じでした。

 

4Gamer
 そしてSLを始めた,と。B@Rを始めるまでの経緯はどのようなものだったのですか?

 

Juneさん
 最初の頃は,SL Exchangeというお店で,服をいろいろ見ていました。そしたら買い物魔人になって,一日で3000円ぐらい使っちゃって,これはまずいなと。で,自分で作ってみようかなって思ったんです。

 

4Gamer
 うんうん,よく分かります。

 

Juneさん
 もともとPhotoshopとかをちょっと使えたので,SLでのアイテムの作成にも,すんなり馴染めました。簡単なタトゥーから始めて,キャミソール,パンツと作っていって,自分で着たり友達にあげたりしていました。
 そのうち,友達が「売ってみたら」ってアドバイスをくれたので,もともとお店屋さんごっこが好きだったこともあり,小さい場所を借りてお店を始めたのが最初です。

 

4Gamer
 お友達のアドバイスがきっかけだったんですね。

 

Juneさん
 実は,あまりよく分からないまま,プレミアムアカウントにしていたんですよ。プレミアムアカウントだと土地を持てるというのを1か月ぐらいしてから知り(笑),そこで,512屬旅さの土地でお店を始めました。その頃にBAREROSEって名前を初めてつけました。その頃は,主にカジュアルとかゴシック系を作っていました。

 

4Gamer
 それが,口コミで人気になっていた,という感じですか。

 

Juneさん
 いつだったかは忘れましたが,私の作った服が,クラブのコンテストで優勝したことがありまして,そこから口コミでお客さんが増えていきましたね。
 クラブの賞金が250〜500L$なので,そこを狙う人は結構多いんです。SLの場合,服が,MMORPGでいうと武器や鎧で,クラブが狩りをするところ,みたいなものなんですよね。

 

4Gamer
 いい装備を身に着けるほど,狩りの結果に期待できるというわけですね。

 

Juneさん
 はい。なので,とにかく目立つ物を作っていきました。今も,コスプレみたいなものとか怪獣みたいなものを作ることが多いです。

 

4Gamer
 なるほど,確かに目立つ服ほど,欲しくなりますものね。

 

Juneさん
 その頃,お客さんの中に,ずっとお店にいて,売っている服を自分で着て来た人に見せたり,ほかのお客さんを助けてたりしてくれる人がいました。とにかくずっとお店にいるので,じゃあお店屋さんみたいに働く? って話になり,その人が初めての従業員になりました。

 

4Gamer
 売っている服を,着て見せてくれるというのは,嬉しいですね。

 

地上のにぎやかな店舗とは対照的に,上空のスタッフルームは静かな空間だった

Juneさん
 私も,服を買ってもらう前に実際に見てもらえれば一番いいなと思って,すべての服を,先にあげていたりしたんですよ。気に入ったら,その後で買ってもらうわけですね。買ってみて「これは何か違う」ってことになると,やっぱりお互い嫌ですから。私はアーティストの勉強とかは全然したことがないので,今も自信ないです。

 

4Gamer
 なるほどなるほど,それはお客としては凄くありがたいサービスですね。
 SLでは,商品が箱に入って売られていて,買うまで実物を見られないことが多いから,いいなと思っても,買うのを躊躇しちゃう場合がありますものね。

 

Juneさん
 そうなんですよ。私自身,買って着てみたら合わないとか,今もときどきあります。

 

4Gamer
 試せればそこらへん安心ですものね。

 

Juneさん
 はい。服は,スキンや髪みたいなDemo(お試し版)を作るのが大変なので,その方法しかないかなって思います。

 

4Gamer
 そこからだんだんとお店を拡張していったわけですね。

 

Juneさん
 そうです。だいたい2,3か月して4096屬療效呂鮗擇蠅蕕譴襪らいになり,服の数も100を超えそうだったので,思い切って移動しました。
 あとはもう段階的に,店の大きさと同じように売り上げも上がっていって,8000屐16000屬函で笋蠑紊欧鮓ながら追加していきました。最終的に今年の7月頃に,SIM(Bare Rose)を買えるまでにいたりました。
 従業員も,それに比例して増えていきました。みなさん,お金はいらないから,面白そうだからって協力してくれて。でも悪いので,やっぱりお金をお支払いしています。……一人だけ,未だに受け取らない人がいますけど。無理やり渡そうとすると怒るくらい。

 

4Gamer
 それは奇特な人ですね(笑)

 

Juneさん
 そうなんです。まぁだいたい,これが今までの経緯ですね。

 

4Gamer
 では今現在,B@Rはどのように運営されているのですか? その中でJuneさんの主な役割についても教えてください。

 

Juneさん
 私自身については,従業員の方のマネージメントと,やはり服作りがメインです。仕事でやっているわけではないので,一番好きな服作りに時間がとれるよう,それ以外のところをほとんどほかのスタッフにお任せしています。
 そのほか,最終判断をしたり,服のリクエストを受けたり,あと,ほかのクラブへの対応や取材などの対外的な活動や,アイデア出し,お店の装飾などを行っています。

 

4Gamer
 従業員のみなさんは,どのように役割分担しているのですか?

 

ビジネス的にも成功しているJuneさんだが,「仕事ではないので」と何度も言っていたのが印象的だった

Juneさん
 大きく分けてGreeter,Helper,Manager,DJがいます。
 Greeterは,SLを始めたばかりの人のためのポジションです。簡単なノートを読んでもらって面接した後,採用になります。Managerが面接するので,同時にその人が責任を持って一緒にSLのことを教えたりするMentor(助言者・相談相手)になります。アルバイトに近いですね。
 その上がHelperです。GreeterよりもSLについて詳しいはずなので,初心者の人を助けたり,服を一緒に探してあげたりします。あとはGreeterのように,来たお客さんとおしゃべりしてもらう感じです。
 Managerは専門的で,みんな一人一人特定の役割を持っています。Web managerはWeb関連の広報,Mall managerはショッピングモールの管理,などです。
 Furry担当Managerもいます。Furry(※1)は,10年ぐらい歴史があるそうで,SL内でもとても大きなコミュニティを持っているんですよ。Furryのお客さんが多分30%以上だと思います。

 

4Gamer
 そんなにいるんですか。

 

Juneさん
 はい。そこでFurryのお客さんやグループ,コミュニティに接するのは,やはりベテランのFurryがいいと思ってお願いしました。Furry担当Managerの彼女も,10年Furryやっているそうです。全体的に見るとFurryの割合はもっと少ないかもしれませんが,うちのお客さんはそれくらい多いです。

 

4Gamer
 その道の独特の世界があるんですね。

 

Juneさん
 あと,クラブ担当Managerもいます。クラブの商品として,アイテムが欲しいというところが多いので。その代わり,クラブ側は看板を置いてくれたり,フリーでMallの場所を提供してくれたりします。
 そしてDJは,音楽のリクエストを受けたり,イベントのアナウンスをしたりと,エンターテイメント面でのお客さんへのサービスを担当します。SLではStreamのレンタルがあって,だいたい月4000L$で,100人まで聞けるものを借りることができます。それを使うことで,簡単にDJとしての仕事ができるんですよ。

 

4Gamer
 それぞれの従業員の役割が細かく決められているんですね。
 では次に,Juneさんのクリエイターとしての側面について聞かせてください。何か新しいものを作るときに,意識していることはありますか?

 

Juneさん
 お客さんを見ていると分かるんですが,服を選ぶ理由として,品質が高いからという人ももちろんいますが,それよりなにより,デザインが好きだからって人が圧倒的に多いんですね。多分,日本の人は品質が高いのが好きなんじゃないかなと思いますが,外国の人は,たとえ多少品質が悪くても,デザインが好きか嫌いかで選んでいる感じです。
 なので私は,全体としては作業時間が短いのですが,その中で,デザインになるべく時間を割くようにしています。複雑なものでも,できるだけバランスをとるようにしますし,文化の違う服をミックスするときは,どちらかの色を強くして,うまく融合するようにしています。

 

4Gamer
 作業時間が短いということですが,Juneさんの場合,服を1着作るのにはどれくらいの時間がかかるのですか?

 

Juneさん
 4〜6時間ぐらいです。有名なデザイナーの中には,40〜70時間かかる人もいるそうですが,私はあまり根気ないので(笑)。あとは,もともと作っておいたベースから作るなどして,時間を節約しています。やはり,仕事でやっているわけではないので,ちょっとそこまで大変なのは厳しいですね。

 

4Gamer
 服1着で70時間……。それはとてもまねできませんね。お値段も凄いんでしょうけど。
 Juneさんの場合,商品の価格はどのような基準で決めているのですか?

 

ここまで大きなことは,一人ではできない。ほかのスタッフとうまく役割分担をしているのがポイントなのだろう

Juneさん
 基本的には,かかった時間で決めています。あとは,スクリプトを作ってもらったときなどに,払ったお金を少し上乗せしていますが,それでも200L$を超えないようにしています。
 今,stipendというお小遣いが500L$ですから(※2),1着買って,まだほかになにか買う余裕があるくらいがいいんじゃないかと思いまして。
 価格にはもちろん品質も考慮しますが,私はプロじゃないので,そんなにもらうのは気が引けるので,始めた頃から同じような値段です。それが結果的に,商品の安さにつながって,ある程度売れてるんじゃないかなと思います。

 

4Gamer
 ええ,どれも安いですもんね。価格のほかに,多くのお客さんを集め,そして繰り返し来てもらうための工夫には,どのようなものがありますか?

 

Juneさん
 まず,従業員の方によるサービスですね。なるべく,お客さん達と友達みたいな関係が作れるようにしています。SLは基本的にはゲームですので,ほとんどのプレイヤーが,遊んでいる/楽しんでいるわけですよね。なので,うちに来たお客さんにも,とにかく楽しめるように気を遣っています。Raffle Ballやダンスフロア,DJ,イベントなどは全部そのためにあります。
 服に関していうと,やはりデザインを詰めるということです。後は,値段が一定以上を超えないようにするとか,定期的にあるグループのお客さんが好みそうな物を作るとか,季節に合わせてものを作るとか,ですね。
 そして一番大事なのは,必ず毎週,新しいものをいくつか作るということ。そうすることで,お客さん達が,頻繁に見に来てくれるようになります。

 

4Gamer
 ふむふむ,やはりそうですよねえ。

 

Juneさん
 それと,まず売れないけど,笑ってもらえるようなものも作ります(笑)。例えばマタニティとか,絶対に着ないようなものですね。
 といっても,SLには,妊娠,赤ちゃん配達サービスもあるから,売れることもあるかもしれませんが(笑)

 

4Gamer
 ええ,需要あると思いますよ(笑)。さて,聞きたいことはいっぱいあるんですが,すでに長時間になっていますし,そろそろまとめに入りますね。では,今後の展望,今後新しくやりたいことを教えてください。

 

Juneさん
 新しいSIM(Black Cat)に,お客さん専用のサンドボックスを作る予定です。それが終わったら,また考えたいです。一度のたくさんのことを考えても,うまくいきませんからね。
 あと,とにかく服のアイデアが尽きるまで作っていきたいし,現実世界でも見ないような,新しい服やデザインを作ってみたいです。やはりメインは服ですから,とびっきりユニークでバランスが取れていて,ほかの人には作れない,それでいてSLならではの服が作れたらって思います。

 

4Gamer
 これまでにも十分素敵な服を作っているとは思いますが,今後にも期待させていただきますね。
 では,Juneさんにとって,SLの魅力とはどんなところにありますか?

 

Juneさん
 世界中の人と,普通に話せるところです。個人サイトだと,ただ情報を読んで,どちらかというとこちらが一方的に情報を受け取るだけになりがちですよね。SLだと,アバターやその人のお店が個人サイトやBlogにあたると思うんですが,その人達とお互いに話して情報を交換できることが,凄いことだと思いますし,可能性を感じます。
 インターネットというものに初めて触れたとき,どんな情報も知ることができるんじゃないかなってドキドキしましたけど,SLでは,その向こうのどんな人達とも知り合えるってところでドキドキしています。

 

4Gamer
 その気持ちは,私もよく分かります。本当,文字どおり,セカンドライフ(第二の人生)が広がっている感じですよね。そこでお聞きしたいのですが,Juneさんがネットの世界でしたいと思っていたことは,SLでどの程度実現できていますか? それと関連して,今後のネットの可能性として何か期待してることがあれば,教えてください。

 

上空はラグも少なく,集中して物作りをするのに適した空間のようだった

Juneさん
 おそらく,思いつく限りのほとんどのことが,SLで実現できていると思います。まだ,ラグとかがあったり,読み込みが遅かったりといった問題もありますが,インターネットやPCの環境が整備されてくると,もっとよくなるんじゃないかと思います。
 3Dで構築された仮想世界というのは,これからどんどん広がっていくんじゃないでしょうか。SLだけじゃなくて,いろいろとこういうゲーム/サービスが出てきて,より一般的になるかもしれませんね。

 

4Gamer
 SLのようなサービスが,日本でも一般的になると思いますか?

 

Juneさん
 日本では,やっぱりまだまだじゃないかと思います。SLは少し操作が難しいですし,私みたいに,3D酔いする人もいるでしょうし。でも,そういったことを吹き飛ばすくらいの勢いがあったら,一般的になる可能性も十分あると思います。
 携帯電話のメールでも,最初は「あんなので全然文章打てないよー」って思ったのと同じで。みんなが使い始める“何か”がSLにあれば,やる人は少しずつ増えていくと思います。

 

4Gamer
 なるほど,分かりました。本日はありがとうございました。

 

※1……擬人化された動物キャラクターの総称。もしくはその愛好者

 

※2……プレミアムアカウント(有料)のユーザーは,ログインしているか否かに関係なく,毎週決まった時間に一定額のL$をお小遣いとして受け取ることができる。これはアカウントの種類,ユーザー登録した時期などにより金額が異なっているので注意が必要だ

 

 

■■Sluta(ライター)■■
現役大学生兼ゲームライター。この連載で,Sluta氏のキャラクター“Satully May”は毎回さまざまな服装をしているが,現実世界のSluta氏自身も,やっぱりオシャレなんだろうか。……と思って聞いてみたところ,次のような返事が。「服装ですか? 真面目な話,一種類しか持っていないですね。靴は1足しか持っていないし,ジーパンは同じものを二つ。コート,マフラーも1種類。時計もベルトも1個。アクセサリ類も,一つだけ持っています。上着やシャツなんかはさすがに数枚持っていますが,ほとんど同じ柄で色違いのものです」。こんなライターが,JuneさんのようなSL界の人気服飾デザイナーにインタビューしちゃっていいんだろうか……。
タイトル Second Life
開発元 Linden Lab 発売元 Linden Lab
発売日 2007年内 価格 無料(ファーストベーシック)
 
動作環境 対応OS:Windows 2000(SP4)/XP(SP2),Pentium III 800MHz以上,メモリ256MB以上,Geforce 2(グラフィックスメモリ:32MB)以上,またはRadeon 8500(グラフィックスメモリ:32MB)以上,DSLまたはケーブルモデム,LAN(ダウンストリーム256kbps以上)

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