― 連載 ―

スカッとゴルフ パンヤ アリンの「恋はチップイン」
第5回:特別編「パンヤ ジャパンカップ2005」レポート
パンヤの日本一を決めるジャパンカップ2005決勝大会が開催

 パンヤの熱心なファンならご存じかと思うが,去る10月8日に「スカッとゴルフ パンヤ ジャパンカップ2005」の決勝大会が,秋葉原のインターネットカフェ「トッププレイヤー秋葉原店」にて開催された。今回の連載は趣向を変えて,この決勝大会の模様をお伝えしていこう。

 「スカッとゴルフ パンヤ ジャパンカップ2005」は,パンヤの日本一プレイヤーを決めるゲーム大会。2005年8月下旬から札幌,仙台,東京,名古屋,大阪,広島,福岡の7都市にあるネットカフェで予選が順次行われ,各都市から上位3名ずつが代表として選出された。
 この計21名が秋葉原に集結し,激戦を繰り広げたのである。しかし"激戦"とはいっても,あくまでまったり系タイトルの代表格ともいえるパンヤ。多数のギャラリーが押しかけた会場は,そこかしこでパンヤの雑談が聞こえてくるうような,どちらかというとオフ会のような雰囲気であった。会場には先日導入された"シーズン2"のテーマ曲がBGMとして流れる中,いたって和やかに決勝大会は進行していった。

 

 

 この大会では,最初に参加者を10名と11名の組に分け,大会モードで「ウィンドヒル」コースをプレイする。その結果上位5名ずつを選出し,最後は「シルビアキャノン」で決勝戦が行われた。乱気流をはじめとした強い風に悩まされるウィンドヒルに,軍艦の甲板でラウンドが繰り広げられるトリッキーなシルビアキャノンという,パンヤ日本一を決めるにふさわしい,高難度の舞台といえよう。

 

 各選手のプレイをしげしげと眺めていたが,さすがに全国大会決勝というだけのことはあり,どの選手も恐ろしくハイレベルだ。ごく当たり前のごとくバーディやイーグルを次々と決め,まるでボールがカップに吸い込まれるかのようなチップインも数多く見受けられた。その都度,周囲のギャラリーからは大きな歓声が上がる。これが筆者が普段プレイしている同じゲーム内での出来事だとは,少々信じがたいほどだ。
 各選手の,プレイスタイルの違いも印象的である。例えばショット時の方法一つとっても,マウスクリック派とスペースキー派の2通りがある。少しでもパワーゲージを大きく表示させるために,ゲーム中の解像度を低く設定したり,逆にウィンドウモードのままプレイしている人もいた。ほかにも派手な動きでキーボードを叩く選手もいたりと,ギャラリーとしては実に見応えがあるのだ。パンヤはゲーム展開にメリハリが利いていることもあり,このようなオフラインイベントに向いているなあと感じた次第である。

 

 ちなみに緒戦のウィンドヒルをクリアして,シルビアキャノンに駒を進めた上位10名(GM除く)の成績は,−21から−15。この結果について,元々パンヤの達人プレイヤーで,現在はGamepotでGM業を行うフカヒレ氏に聞いてみたところ,「大会には独特の緊張感などがあるので,普段通りの実力を出し切るのは難しかったのかもしれません」という控えめな返答が。……とりあえずアンダーで回ることを目標としている筆者には,まったく別次元の話である。

 

予想だにしない展開,なぜか筆者が決勝戦に緊急参戦!?

画面上部に燦然と輝く"PJG2005決勝!!!"の文字。いよいよパンヤ日本一を決める試合のスタートである

 決勝大会が順調に進行する最中,会場の一角では緊急事態が発生していた。筆者は4Gamer編集部の記者として来場していることもあり,主催側のゲームポットのスタッフに挨拶回りをしていた。ありがたいことに本誌での連載も欠かさず目を通してくれているとのことで,嬉し恥ずかしというか,内容が内容なので主に恥ずかしかったのだが。その後,一体どういうわけか話がとんとん拍子に進み,筆者自身が決勝戦にゲスト枠で参加することになってしまったのだ。

決勝大会の舞台となったのは高難易度で知られるシルビアキャノン。一瞬たりとも気の抜けないトリッキーなコースだ

 もちろん,このような展開は事前には聞かされていない。それどころか過去にシルビアキャノンでプレイしたときは,必ずどこかのホールでギブアップしていた記憶がある。果たして,このような未熟者がパンヤ日本一を決める舞台に共に立ってよいものなのか。
 しかし,「少しでも記事が盛り上がるのであれば」という気持ちもあり,複雑な心境で承諾。こうして会場の隅では,2000円分のネットキャッシュを片手に,泣きながらアカウントを作成する筆者の姿が見受けられた。

 

 「PJC 2005決勝!!!」と記された大会モードの参加者一覧には,日本全国から選りすぐりの10名の猛者と,ゲームポットのGMキャラクター,そして何故か"4G-チップイン"の文字が。このとき筆者は「"恋はチップイン"の連載担当者」として会場で紹介されたのだが,頭の中では延々と「何かの罰ゲームなのだろうか?」と考えていた。こうして参加者達のさまざまな思惑が飛び交いつつ,決勝大会が開始された。

 

そして何故か筆者も参戦……。いったいどのような気持ちでプレイしていたか,多少なりとも想像してもらえたらと思う

心強い助っ人を(無理矢理)獲得して,何とか最低限プレイできる環境に。個人的にはギブアップをなくすことが唯一の目標である

 

 すでに本連載でも紹介しているが,シルビアキャノンは現在パンヤで最も難度が高いコースである。海上の軍艦の甲板上をコースにしているため,高低差が激しくOB率も高い。しかもヘリコプターや定期的に発射される大砲などが,急激な気流を発生させてしまうため,これを見極める判断力も要するのだ。
 自力でプレイしたらライター生命としての危機を迎えると直感した筆者は,うしろで観戦していた"コマ侍"と"幽々子"の2選手(共に九州・沖縄代表)に急遽,協力を要請。一瞬何が起こったのか分からず戸惑っていた両選手だが(当たり前だ),事情を説明すると哀れに思ったのか,快く引き受けてくれた。

 彼らのアドバイスによると,このコースではさまざまなアイテムの使い方がポイントとなるようだ。アイテムで一時的に無風状態にしたり,急激なカーブをかけたりすることで,バーディ以上のスコアが狙いやすくなる。  だが筆者は,ゲームポットからのご厚意で与えられたネットキャッシュで,真っ先にアリンちゃん用の"パンヤカフェユニフォーム"を購入していたのだ。もはやCP残高はほとんどゼロで,アイテムなどは一切所有していない。この筆者の体たらくを見ていた両選手は,どんな思いだっただろうか。

 

戦闘機などが空中にふわふわ浮かんでいることも。強い気流を発生させるが,逆にこれを利用した飛距離アップも狙えるようだ

ゲームの中盤まではLilis.選手がリードしていた。それにしても参加者のレベルが凄い……

上級者の的確なアドバイスの下でプレイするのはとても面白かった。まさか私がこのようなショットを決められるとは!

 

 しかしアイテムや特殊ショットなど駆使せずとも,各ホールにはそれなりの攻略法がある。両選手のアドバイスのもと,筆者はそのことをしみじみと実感しながらプレイした。とくに顕著なのは,1オンできないホールの攻め方で,例えば8ホールや11ホールではティーショットをかなり弱めに打つと,あとが楽になる。これらの知識は,仮に本決勝大会に出場するような人にとっては常識レベルだとしても,筆者には目からウロコの連続で,あらためてパンヤというゲームの奥深さを再認識した次第であった。

 

しかし筆者らしい展開も忘れてはいない。ちなみにアリンちゃんが着ているのは,先日新たに導入された"パンヤカフェユニフォーム"

 決勝戦全体の流れに視点を移すと,参加者のアベレージがほぼバーディという,ハイレベルな展開である(一部を除く)。中盤までは中国・四国地区代表の"Lilis."選手が僅差でリードしていたものの,そこから怒濤の追い上げを見せてきたのが,中部地区代表の"がん太"選手だ。
 前半戦のウィンドヒルでギリギリ6位通過の(5位以内にGMがいたので一人繰り上げ)がん太選手は,制限時間をフルに使って熟考するタイプ。そのため,全員がリアルタイムで同時進行する大会モードにおいては,一見スコアが低いように見える。だが,ほぼ確実にバーディ以上でコースを回っており,そのことに気づいた観客達は,次第にがん太選手の画面に釘付けとなっていった。

 そして最終的には,がん太選手が2位のLilis.選手に3打差を付け,24アンダー(!)という素晴らしい成績で優勝。20万円相当の旅行券を初めとした豪華な副賞を獲得した。ちなみにどうでもいい話だが,筆者の最終スコアは+3でブービーという結果であった(GMクラモト隊長が最下位)。
 誰が何といおうが,これは筆者にとって上出来の成績である。今まで自分が知るパンヤとは別世界の一端を垣間見せてくれた"コマ侍"と"幽々子"の2選手には,この場を借りてお礼を言わせて頂きたい。

 

今回の筆者は,運に助けられたショットも多かった。辛うじて面目を保ったと信じたいが,もしかすると現実は違うのかもしれない

大会モードでは画面右上に順位がリアルタイムで表示される。この対戦相手が同じ会場内にいるため,想像以上に臨場感があるのだ

がん太選手の"現在位置"に注目してほしい。ペースはゆっくりなものの,しかし確実に追い上げてくるタイプのプレイヤーだ

 

ゲーム内のチャットですらこのような盛り上がりよう。会場内の雰囲気を多少でも読者に伝えられればよいのだが

これが最終結果。上位プレイヤーの獲得PP量も半端ではないが,それ以上にこの大舞台で,2位に3打もの差を付けたがん太選手が凄い

かなりどうでもいいが筆者の成績もついでに掲載。今回の大会を通じて何かを得,そして何かを失ったような気がする

 

▼今回のスコア▼

がん太選手のスコアカードを掲載。パーが2,バーディーが8,イーグルが8というホールの内訳になっている。いやはや,これが日本一の腕というものか

 

今後の展開にも大いに期待が持てるイベント内容

がん太選手インタビュー

 閉会式で慌ただしい中,本大会を制し日本一に輝いた"がん太"選手に,簡単なインタビューを行ってみた。その内容をお伝えしよう。

 

4Gamer:

この日がシルビアキャノンの自己ベスト記録更新となった,がん太選手。アンダー24というスコアで,見事優勝を勝ち取った

優勝おめでとうございます! 今の感想を聞かせてください。

 

がん太選手:
まさか勝てるとは思いませんでした。実は決勝大会まではあまり調子が良くなくて,地区予選はぎりぎりで通過,今日の緒戦もギリギリの6位(GMが5位だったので,繰り上げで突破)という状態だったんです。それだけに,最後の最後で良いスコアを出せて優勝でき,凄く嬉しいですね。

 

4Gamer:
シルビアキャノンで24アンダーというのは自己記録も更新とのことですが,そのようなスコアを決勝大会の土壇場で出してしまうのが凄い。プレッシャーのようなものは感じなかったのですか?

 

がん太選手:
シルビアキャノン自体はあまり得意なコースではなかったので,2日ほど前から友達と一緒にみっちり練習していました。あとは好運が積み重なったという感じです。どちらかというと最初のウィンドヒルのほうが,思ったよりスコアが伸び悩んであせりましたね。

 

4Gamer:
がん太選手のパンヤ歴はどれくらいでしょうか? それと,普段のプレイ時間についても教えてください。

 

がん太選手:
1年ちょっと前に初めてPCを入手したのですが,PCを入手したと同時に,パンヤも始めました。パンヤ以外のゲームは遊んだことがないです。当時は体調があまり良くなくて家に居る時間が長かったこともあり,どっぷりとパンヤにハマりました。最近のプレイは比較的落ち着いています。

 

4Gamer:
獲得賞金の20万で,どちらへ旅行に行くか決められていますか?

 

がん太選手:
まだ優勝できたこと自体が嬉しくて,そこまで考えていません。ただ自分にとっては大金なので,一度だけでなく何度かに分けて旅行してみたいです。

 

4Gamer:
ありがとうございました。

 

Lilis.選手インタビュー

 続いて,惜しくも2位となってしまったLilis.選手にも話を聞いてみた。がん太選手はこの大会で初めて自己ベストを更新したというが,Lilis.選手は普段からシルビアキャノンで好成績を出している実力者。今回は悔しい思いをしたのではなかろうか。

 

4Gamer:
途中までは首位に立っていましたが,土壇場で逆転されてしまいましたね。残念!

 

Lilis.選手:

ショットのときにキーボードのSpaceバーをぱーんと叩いたり,モニターに直接手を当てて距離を測るのが印象深いLilis.選手

お疲れ様です,あの連載は毎週見てますよ(笑)。今日の自分のスコアとしては,十分力を出し切れたと思います。がん太選手は,そのさらに上を行っていた,ということでしょうか。でも,やっぱり悔しいですね。

 

4Gamer:
Lilis.選手のパンヤ歴はどれくらいなのでしょうか?

 

Lilis.選手:
始めたのは今年の2月からなので,ほかの選手よりキャリアは短いのかもしれません。

 

4Gamer:
私は出場した皆さんのプレイを見て,もうとにかく圧倒されるばかりでした。パンヤの初級者が上達する秘訣,というのがあれば教えてもらえませんか。

 

Lilis.選手:
私が上達したと感じるようになったのは,トマホークショットを使えるようになってからでした。最初は基本をしっかり練習することで,具体的にはパンヤショットの成功率を50%以上まで高めるのが大切かと思います。

 

4Gamer:
なるほど,次回の連載はそのあたりで行ってみようかと思います(笑)。ありがとうございました。

 

 表彰式のあとは,本大会の総合司会を務めたGMここあ氏と,ゲームポット代表取締役社長の植田修平氏による挨拶が行われ,「スカッとゴルフ パンヤ ジャパンカップ2005」は無事に閉幕となった。

 

 今回の大会で筆者が感心したのは,運営の妙だ。司会進行の手際の良さもさることながら,GMが扮するキャラクターを参加者に加えて対戦中の引き立て役とすることで,高額賞金が懸かった大会であることを感じさせない,和やかな雰囲気を作り出す,その手腕。また,地区予選を勝ち抜き本決勝大会に進出したプレイヤー全員に交通費が支給され,見学者の募集人数は最大30名としていたものの,来場者が多いため急遽50名まで拡張,しかもその全員にプレゼントを放出するなど,とてもユーザーフレンドリーな姿勢。さらには,筆者のようなならず者をアドリブで出場させてしまったりと,要するに運営側が太っ腹なのである。

 今回の筆者個人の成績はとりあえず置いておくとして,イベント的にはこのように大成功といえる内容であった。現在のパンヤの登録アカウント数は既に90万を突破し,年内にも100万に達する勢いだという。そして,100万アカウントの暁には再びオンライン・オフラインの両方を兼ねたイベントを構想中とのことだ。今回の大会に参加した人もそうでない人も,パンヤプレイヤーは今後の展開にも注目してほしい。

 

■■川崎 政一郎(ライター/記者)■■
記事にあるように,決勝戦にゲスト参加することになってしまった川崎氏。しかし「自分のキャラクターを晒すのはいやだいやだ!」などと大の字になって駄々をこね,結局ゲームポット提供のウェブマネーで新キャラクターを作成した挙げ句,「大会モード」に参加できるようシステム側でレベルをビギナーに格上げしてもらう始末。やりたい放題だ。
タイトル スカッとゴルフ パンヤ
開発元 Ntreev soft 発売元 ゲームポット
発売日 2005/05/27 価格 無料(アイテム課金),フロンティアグルーヴ販売のパッケージ版は2100円(税込)
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP CPU:Pentium III以上(Pentium 4以上推奨),メインメモリ:256MB以上(512MB以上推奨),グラフィックスチップ:GeForce 2 MX以上(GeForce 3 Ti以上推奨),グラフィックスメモリ:16MB以上(64MB以上推奨),HDD空き容量500MB以上(700MB以上推奨),DirectX 8.1以降(9.0c以上推奨)

(C)2004 Ntreev Soft Co.,Ltd. All Rights Reserved. Exclusive License
(C)2004 HanbitSoft, Inc., All rights reserved.
(C)2004 Gamepot Inc., All rights reserved.