「The Movies 日本語版」の発売日(2006年4月20日)まで,残すところあと2日。2006年1月から続けてきた本連載も,いよいよ最終回を迎える。
連載第8回となる今回は,役者のモーション(演技)をパターン化して大量に取り揃えた,「シーン」について見ていこう。
各セットには俳優の動きやカメラアングルが設定された「シーン」が多数用意されており,このシーンを繋ぎ合わせることで映画を組み立てていく。
セットの種類によって使用可能なシーンにも違いが出るが,少ないもので約30種類,多いもので350種類以上という,膨大な数のシーンを扱える。どのセットでも共通するシーンも多いのだが,中には特定のセットでのみ使えるシーンなどもあり,正直,どのセットにどのシーンがあったのか覚えておくだけでも大変だ。
さて今回は,大量に用意されたシーンには,どんなものがあるのかを見ていこう。さすがに全シーンを紹介するのは無理! というわけで,どのセットにも共通している基本的なシーンから,このセットだけの特有シーンまで揃っている「都市:市街通り」を中心に,ほかのセットの面白いシーンなども合わせて紹介していく。
セット「都市:市街通り」で使用可能なシーンの一覧を掲載しよう。写真の都合上,これでもまだ一部収まり切っていないシーンがある。これだけ膨大な数のシーンが用意されており,設定次第で演技の内容をガラッと変えられるものも多々あるというのに,いざ映画を作り始めると「もっとこんなシーンも欲しい」と思ってしまうことだろう。
多くのシーンでは,ムード,感情,カメラアングルなどを数段階で変更して演技や演出を変更できる。その様子を,シーン「別れ」を使って見てみよう。「別れ」では,「ムード」を「普通」「嬉しい」「怒り」「カジュアル」「悲しい」の5段階で変更できる。デフォルト設定である「普通」では,カップルが向かい合って「さようなら」となるわけだが,ムードを変えることで異なるシーンを演出できるのだ。
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左から,ムードを「嬉しい」「怒り」「悲しい」に変更したもの。嬉しいは別れという感じよりも「また会いましょう」といったアメリカっぽい別れの挨拶。怒りはカップルが喧嘩して相手を追い出す展開で,悲しいは別れにガックリ肩を落とすといった演出になる |
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・重大な話
会話シーンは多くのセットに共通で登場し,一対一での会話,数人での雑談や密談,一人ずつアップでしゃべるなど,種類も豊富に揃っている |
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・殴り合いの準備
格闘シーンは,軽い小突き合いや本気の殴り合い,カンフーなどが用意されている。大立ち回りを演じてくれるので,格闘アクションもお手のもの |
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・尾行する
背後から尾行されているが,途中で不審に感じて振り返る。リアクションを変えると,振り返られたあとの,ごまかすアクションが変わる |
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全セット共通ではない,「都市:市街通り」のユニークシーンの中から,面白いものをいくつか紹介しよう。キミの考える映画で,使えそうなシーンはあるだろうか?
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・ギャングがうろつく
悪そうな若者がたむろしているシーン。街角で悪そうに話し込んでいるだけでなく,突然,みんなでダンスを披露するという楽しげな設定も可能だ |
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・ストリートでカーチェイス
市街地で2台の車がカーチェイスを繰り広げる。使っても使わなくてもよいのだが,あわてて逃げまとう通行人の動きは,なかなかリアル |
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・ひき逃げ
接触しそうになる「ニアミス」,当たって転倒させる「軽傷」,思いっきりはね飛ばす「重傷」を選べる。「事故か故意か」の「故意」はエグい |
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「都市:市街通り」以外のセットで使えるユニークシーンも少しだけ紹介しておこう。さまざまなシーンが揃っているが,これはほんの一部だということをお忘れなく。
約4か月間(途中休載もあったりしたけど)にわたって,「The Movies 日本語版」の気になる要素をお送りしてきたわけだが,いかがだったろうか?
発売前にしては少々サービスして見せすぎたかもしれないが,これで本作の全要素を紹介しきれたわけでもないし,実際にプレイしてみて「こういうことだったのか」と理解できる部分も,多々あるだろう。筆者としては本連載を通じて「早くオリジナル映画を作ってみてぇ」なんて思った読者がいてくれれば万々歳である。
何度か発売延期もあり,キリンのように首を長〜くして待っていた読者もいると思うが,あと2日の我慢だ。全米を震撼させ,ハリウッドがドル札の束を山積みにして迎え入れたくなるような映画制作者を目指して,本作に取り組んでほしい。