「The Movies 日本語版」連載4回めを迎える今回は,前回の続きとして「オリジナル映画作成」の後編をお伝えしていく。今回は,いよいよクライマックスの部分を作り,オリジナル映画を完成させるのだ!
前回作成した,オリジナル映画の前半部を自宅でチェックしていたら,6歳になる息子がニワトリ星人が兵士を襲うシーンを見て,「怖っ!」などとビビっていた。「食べられちゃったの?」「連れて行かれちゃった!」「どうなるの?」なんて,オーディエンスからの生の声を聞けたわけだ。ちょっとした手応えを感じて思わずガッツポーズである。きっと読者の中にも,今後の展開にドキドキワクワクと楽しみにしている人も多いに違いない。そうに決まってる!
ところで,前回の次回予告を見て愕然とした。「連れ去られた兵士を待ち受ける悲劇,そして全米震撼のラストシーンに挑戦」などと書かれているではないか! 提出した原稿には,もっとやんわりとしたことを書いたのだが,担当編集者の手によって思いっきり書き換えられていたのだ。
文句の一つでも言ってやろうと担当編集者に電話したら,「そんなことより,完成映画は3分程度に収めてくださいね!」と,相変わらず無茶苦茶なことを言ってきた。3分って……ウルトラマン並の活躍を期待されても困る。先週作った前半部分だけで2分半ほどになっているのに,どうしろというのか……。
とはいえ,10分や15分もの(本作における)超大作で,終始観客を楽しませる映画を作るというのはなかなか難しい。しかし3分程度なら,逆にもし少しぐらい面白くなかったとしても,きっと寛大な読者は最後まで我慢して見てくれるだろう。というわけで(?),今回は本編が3分程度になるように,編集作業などもこなしつつ,映画を完成させてみよう。
前回は,ゲーム内に用意されているシーンとシーンをつないでいくという部分を重点的に見てきた。今回は映画の後半からラストということもあるし,前回と同じ機能の説明を繰り返すのも無意味なので,駆け足で紹介する。具体的にどういうシーンかは,実際にムービーを見てからのお楽しみだ。
後半で使用するセットは,前回も登場した「宇宙船の艦橋2」と,新たに登場する「宇宙人の世界」。流れとしては,宇宙船の艦橋2セットの「宇宙人を捕獲」「歌う」「イエスかノーか」「気絶から気がつく」「コミカルな追跡」「ロマンチックな口説き」「コメディなキス」,続いて宇宙人の世界セットの「宇宙人が降り立つ」「カンフーの戦い」などを使ってみた。突拍子もないシーンも使っているが,最終的にはどうなるのだろうか。
脚本が完成すると通常は撮影に入るが,撮影が終わると苦労して作り上げたオリジナル脚本は消え去ってしまう。再編集のことも考えて,必ず撮影前に保存してセーブデータを残しておくこと。これを忘れると泣くに泣けない。
映画を撮影したら,「ポストプロダクション」で編集作業だ。ここで作った映画をチェックする。ポイントは,あくまで観客の立場で観ることだ。何も分からない観客の気持ちでチェックしてみると,不要と思われる部分や字幕での補足が必要な部分などが,結構見えてくるはず。
まずは「カット編集」を行う。不要と思われる箇所をカットしていくのだ。「ムービーメーカー」と同様,シーン一つを丸ごと削除できるし,シーン途中の数秒間だけ削除,なんてこともできる。ほんの数秒をカットするだけで,流れがスピーディになることも多い。
しかし,第三者から見れば「いらないんじゃない?」というシーンでも,監督には捨てがたいシーンだったりすることもある。実際の映画でも,監督が泣く泣くカットしたシーンがDVDに特典映像として収録されていたりして,削除というのはそれだけ難しいのだ。
ちなみに,どういうわけかアンドゥ機能が付いておらず,不要部分を削除してしまうと元に戻せないという,割ととんでもない仕様となっている。削除するつもりのシーンは,一度後ろに移動させて流れをチェックするなど,工夫が必要だ。
今回作成した映画は,編集なしバージョンだと5分12秒あるが,これを3分程度にしろという命令が下されているため,かなりの部分をカットすることになった。このままではちょっと無理のあるシーンも多いが,ここに字幕を追加することで,物語を補完するのだ。
映像に変化を与えるエフェクト機能として,フェードインとフェードアウトが用意されている。これは基本的なエフェクトで,じわじわと映像が表示されるのがフェードイン,逆に消えていくのがフェードアウトだ。フェードイン/フェードアウトは,話の展開が大きく変わるときに使うと効果的。しかし,多用しすぎると安っぽい映像になるので,「ここぞ」と思うところで使うくらいがちょうどよい。
今回の映画では,タイトルロール終了後にフェードインで本編に入り,フェードアウトしてエンドロールが始まるという基本パターンで使用してみた。また,シーンが切り替わるときの“劇中で描かれていない時間”を観客に想像させたいような部分にフェードイン,フェードアウトを使っている。なんでもかんでも見せるのではなく,観客が想像することで映画に引き込ませる,ちょっとしたテクニックだ。
映画をより良いものにするために,字幕を入れていく。固定されたシーンで見せていく本作では,映像だけではうまく伝わらない部分も多いので,字幕で補足していくのが効果的だ。
字幕はタイムライン上の字幕欄に入力していき,表示させるタイミングと表示時間を調整する。字幕の表示時間は,長くてせいぜい2〜3秒程度。その間に読み切れる文章量で,しっかり伝わるような字幕を用意するのがポイント。ここも調整してはチェックの繰り返しだ。
字幕は,その気になればどんどん挿入できるが,字幕を読んでいただけで映画が終わってしまった……なんてのは最悪なので,そのへんに注意しながら入れてみた。字幕のほか,オリジナル音声を録音して挿入するという,アフレコも使える。
さて,こんな感じでカットしては再生,字幕を入れては再生と,地味な作業を繰り返した末にオリジナル映画が完成した。完成した映画を多くの観客に見せるために必要なのが,外部ファイル(WMVファイル)に出力するエクスポート作業だ。プレイヤーが設定するのは画質(オンライン,低い,中程度,ハイ,最高)のみで,あとはほぼ自動でやってくれる。
画質を最高にすると,記事中のスクリーンショットにある編集画面の画質に近い映像で出力されるのだが,5分程度の映画でもファイルサイズは100MBを超えるため(エンコード作業時間も長くなる),ネット上で公開するのであれば「オンライン」程度でいいだろう。
- 【出力解像度】
- オンライン,低い,中程度 384×216ドット
- ハイ 512×288ドット
- 最高 768×432ドット
試行錯誤と悪戦苦闘の連続だったが,こうしてオリジナル映画が完成した。カット編集で担当編集者の命令どおり3分程度に収めた“完成バージョン”(字幕付き)と,参考用としてムービーメーカーにシーンを並べただけの“未編集バージョン”(字幕なし)を用意した。またエクスポート時に,完成バージョンは「ハイ」,未編集バージョンは「オンライン」で出力している。記事用に作成したムービーではあるが,「このくらいの映画は作れるんだ」というのが伝われば幸いだ。
さて,次回はゲーム内時間で5年に一度開催される「ライオンヘッド映画賞」と,それまでの功績と努力を讃える「功労賞」について見ていこう。実はこれらの「賞」が,本作で最も熱い要素の一つなのだ。
編集/字幕あり(7.68MB,3分28秒) |
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編集/字幕なし(5.07MB,5分12秒) |
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