― 連載 ―

奥谷海人のAccess Accepted
2005年12月21日掲載

 ゲーマーならば誰しも,ボーナスやお年玉を費やしてでも押さえておきたいグッズというものに,いくつか心当たりがあるだろう。それは,ゲームソフトやPCの周辺機器ばかりではないはずだ。世の中には,どこか“マニア心”をくすぐってくれるような,ゲーム関連の日常雑貨も,数多く存在する。クリスマス直前の今回は,現在欧米で発売されている“希少な”PCゲーム関連グッズを探してみた。

 

ゲーマーのための珍品集

 

 一部の大作オンラインゲームなどを除くと,日本にいては,PCゲーム関連のグッズはなかなか入手が難しい。そもそも世界的にもシェアが低下しているPCゲームでは,アメリカでさえグッズが作られることは少ないし,あっても宣伝用の配布を目的としたロゴ入りTシャツくらいなもの。そもそも情報収集する人だって少ないだろう。
 そこで今回は,ちょっとユニークな,PCゲーマーのためのグッズを集めてみた。面白い品の中には,「Half-Life」に登場するヘッドクラブの帽子など「自家製」ものも多いが,ここでは実際に販売されている「商品」のみに限定して紹介しよう。

 

Half-Life 2コンバイン版画
Half-Life 2: Combine Wall Lithograph

 もはや伝説と化しつつあるPCゲーム「Half-Life 2」を送り出したValve Softwareが,自社サイトで同作品を題材にした版画を販売していた。ディレクターのGabe Newell(ゲイブ・ニューウェル)氏とアーティストのVictor Antonoc(ビクター・アントノフ)氏の証明サイン付きで100枚限定という,超レアアイテムである。
 ブリーンの居城であるCity 17の塔をモチーフにしたもので,ゲームに利用されたCGアートから版画を起こしたもの。コピー防止措置として,λ(ラムダ)マークの透かし彫りもあるという。
 ……が,残念なことに,販売が開始されるやいなや,あっという間に完売し,現在はプリントのポスターが34.95ドルで売られているのみ。海外へも発送してくれるので,ファンならポスターを部屋に飾っていただきたい。

GTAキューブリック
Grand Theft Auto Kubrick Box Set

 Medicom社が開発したキューブリックは,キャラクター達がブロックタイプのオモチャのようにデフォルメされた形状で,流行に敏感な若者達を中心に,世界的な人気となりつつある。アメリカでもさまざまなシリーズがリリースされているが,ゲーマーにとってとくに気になるのが,「Grand Theft Auto III」の5体入りボックスセットだろう。7月にサンディエゴで公開された,3000箱限定というコレクターズアイテムだ。
 フィギュア化されたのは,主人公のトミーをはじめ,ドナルド・ラブ,8ボール,ミスティ,サルバドールの5人。最新作「Grand Theft Auto: San Andreas」のキャラクターではないのが少し残念だが,同人気シリーズを扱ったグッズでは唯一のものであり,プレミアが付く前に入手しておきたいところ。少し割高となるが,日本のオンラインサイトでも購入可能のようだ。

I Hate Jack Thompson Tシャツ
I Hate Jack Thompson T-Shirts

 Grand Theft Autoで名を馳せた人物といえば,「第44回:セックス・スキャンダルを仕掛ける男」でも詳しくレポートした,“反ゲーム弁護人”Jack Thompson(ジャック・トンプソン)氏だ。もはやアメリカでは有名人の仲間入りをしているらしく,ついにTシャツまで登場している。
 GTAに関しては,販売会社や小売店までを相手取った訴訟を起こしていたトンプソン氏は,“倫理に反した行動”によって,地盤の一つだったアラバマ州より弁護士ライセンスを剥奪されている(この顛末は,いずれ詳細を紹介しよう)。日本でトンプソン氏を知っている人物がどれくらいいるか分からないが,洋モノゲームのファンを自称するなら,このTシャツは今が買いどきだろう。同サイトでは「Viva Miyamoto」など数パターンのゲーマー向けTシャツを発売している。

緑の綿シャツ
Green Linen Shirt

 もう一つPCゲーマーに紹介したいTシャツが,こちらだ。MMORPGを長くプレイしていると,他人がどのような衣装を身にまとっているのか,気になってくるかもしれない。現実世界でも,日頃から「あの人は高級そうなレザーアーマーを身に着けているな」とか「装飾品が多いのでレベルが高いに違いない」などと思いつつ町行く人を眺めてしまう,根っからのMMOゲーマーもいることだろう(?)。
 このTシャツには,「World of Warcraft」風にGreen Linen Shirtの文字が書かれている。アトリビュートもなく,モンスターはおろか寒風に対しても防御力が低そうだが,普段はもっぱら家の中にいるだろうゲーマーにとっては,ファッションのニュービーに違いない。とりあえずはこれを着て,お洒落になるためのクエストを始めよう。

ビデオゲーム主人公切手
Broc Jeux Video

 記念切手は毎年多くの国で発行されるが,フランスの郵便公社La Posteは,ゲームの主人公を集めた10枚組のセットをリリースした。任天堂のキャラクターものが多く,ほかにもフランスからRaymanシリーズのレイマンと,Prince of Persiaシリーズのプリンス,そしてイギリスのララ・クロフトや,さらに「The Sims」の無名キャラクター達がなぜか混じっている。
 具体的には,上で紹介した4人(?)に加え,マリオ,リンク,ドンキーコング,パックマン,スパイロ,さらにフランス出身のAdibouというキャラクターまで,往年のものから最近のものまで,幅広く選ばれている。日本の切手ショップの中には,輸入販売をしているところもあるようだ。

「The Elder Scroll IV: Oblivion」バックパック
The Elder Scroll IV: Oblivion Backpack

 ゲームのロゴ入りTシャツは,元手もかからず手軽に製作できるためか自社サイトで販売するメーカーも少なくないが,Bethesda Softworksではなんと,「The Elder Scroll IV: Oblivion」のバックパックを販売している。
 Xbox版でも大きな反響を呼んでおり,同社の名前が話題になることも増えている。このビジネスチャンスを逃さないでおこう,というところだろうか。
 靴などを出し入れできるように,下部にコンポーネントがあるアウトドア指向なバックパックだが,内部にはノートPCを保護するパッド付きポケットも装着されている。フロントのポケットにはゲームのロゴが刺繍されているが,どこから見てもファンタジー性のない現代風バックパックだ。なお,執筆時点での在庫は15個のみ。欲しい人はお早めに。

America's Armyアクションフィギュア
America's Army: Real Heroes

 ゲーム系グッズの代表格といえば,やはりフィギュア。当然のごとく,アメリカでもゲーム小売店などで扱われている。「Unreal Tournament」や「Call of Duty」など,質の良いゲーム関連フィギュアを制作するRadioActive Clownがこの2005年にリリースしたのが,陸軍の隊員リクルート用FPS「America's Army」を題材にしたシリーズだ。
 兵隊をフィギュア化するだけならライセンスする必要はないと思うが,やはり700万ダウンロードという“隠れた大ヒット作”の影響力は大きいのだろう。ゲームに登場する特殊部隊から6種類が選ばれて,市場に出回っている。
 なおこのフィギュアには,もちろん「America's Army」のCDも同梱されている。長引く戦争で人材募集が急がれるアメリカ陸軍は,クリスマス商戦を利用した宣伝にも抜かりがないようだ。

 

 


次回は,2005年の総まとめとして,「第2回 Access Accepted大賞」を掲載予定。果たして奥谷氏は,どんなゲームを選ぶのか?

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。ドイツで8月に行われたゲームイベントGame Conventionでは,「Hot Coffee MOD」とGTAタッチな文字(というかロゴ)が書かれたTシャツを着ていた奥谷氏。なんでも,今回紹介した「I Hate Jack Thompson」シャツを販売しているサイトで購入したとのことだ。奥谷氏は,GTAのラジオCMに登場する「overnight-pet.com(ペットを一晩でどこへでも宅配します)」と書かれたTシャツも持っているらしく,近所の人から「動物を虐待しているのではないか」と疑われているという。


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