― 連載 ―



 いよいよ日本語版の正式サービス開始が来週に差し迫った,「エバークエストII」(以下,EQ2)。前回の連載で行ったファイターの紹介に続いて,今回はプリーストを紹介していく。
 グループにおけるプリーストキャラクターの役割は,仲間のヘルスを守る"ヒーラー"だ。バフ&ヘルス維持の能力に関しては,クレリック,ドルイド,シャーマンの3クラスはほぼ同等の性能を持っている。ただしヘルスに対するアプローチの仕方は,それぞれに違いがある。
 グループ全体のヘルス維持という仕事は,それのみに専念するのであれば一人のヒーラーでまかなえることも多い。もちろん二人いれば,戦いはより安定する。さらにヒーラーが二人いる場合には,ヘルス維持以外の特技を使う余裕も生まれる。状況に合わせて戦い方を変えられるEQ2のプリーストは"単なる回復担当"以上の活躍も可能な,プレイしていて楽しいクラスである。

→用語解説は「こちら」



 プリーストアーキタイプが使用するスペルは,三つのカテゴリに大別できる。

 一つめはプリーストの十八番ともいうべき「味方のヘルスをケアするスペル」だ。レベルが1桁のうちは,ほかのMMORPGでもよく見かける,いわゆる"ヒール"を使って味方のヘルス回復を行う。
 しかし,すべてのプリーストキャラクターはレベル12で,いわゆるヒールとは違う,さらに効果の高いヘルス維持能力を習得し,以降はその使用をメインにグループのヘルスを守っていくことになる。これについては後述する。
 二つめは「味方の防御力やヘルス最大値を上げるバフ」だ。大抵のバフは,一度かければその後も効果が持続するため,戦闘を中断してかけ直しをする必要はない。グループ全体をバフアップするスペルも,早い段階から覚える。EQ1に比べれば,バフの管理は大変簡単になっている。
 三つめは「敵にネガティブな効果を与えるスペル」である。これらはヒーラーが複数いる場合など,プリーストがヘルス維持のみに専念しなくてよい状況で有用だ。どのような効果のスペルを覚えていくかは,クラスによって異なる。

 ちなみに戦闘不能になってしまった味方を復活させるRezは,プリーストの段階で習得する。つまりEQ2では,ドルイドでもシャーマンでもRezが可能で,しかもクレリックが使うものに劣らない性能を持っているのだ。


EQ2ならではのヘルス維持のしくみ

 本連載ではこれまで,ヒーラーの仕事を"ヒール"や"回復"とは言い表さず,"ヘルス維持"と表現してきた。その理由はEQ2のヒーラーの仕事の仕方が,多くのMMORPGとは少し違っているからだ。
 多くのRPGにおいて,ヒーラーの仕事は減ってしまった体力を回復させること,ヘルスを一度にぐぐっと回復させるインスタントなヒールである。EQ2のプリーストも,プレイ開始後しばらくはインスタントヒールによってヒールワークを行うことになるが,レベル12で各クラスが新たなヘルス維持のスペルを覚えてからは,そちらをメインに使っていくことになる。その新たなスペルは減ったヘルスを回復させるというよりは,「使用することでヘルスがほとんど減らないようにする」ような使い心地になる。ヒーラーの主な仕事は,戦闘中メインタンクにかけた,その効果の維持となる。インスタントヒールはそれだけでは間に合わない状況や,メインタンク以外がダメージを受けてしまった場合に補助的に使うといった具合だ。

 複数の敵を同時に相手にすることの多いEQ2において,最も高いヘルス維持パワーが必要となるのは,エンカウンターのMobすべてが生きている戦闘開始直後だ。そのため大抵のプリーストは戦闘が始まる直前に,メインタンクに対してヘルス維持用のスペルを施術したいと考えている。戦闘開始後に使用すると,自身が無用なヘイトを稼いでしまうからだ。前衛担当者達がそのことを理解し,プルの前にはグループに一言声をかけるといった気遣いをすれば,ヒーラーはとても仕事がしやすくなる。結果的に戦闘は安定し,メンバー全員が危険な目に遭う確率はグッと低くなるのだ。




 クレリックのヘルス維持のためのスペルは,"リアクティブヒール"である。レベル12で習得する"Bestowal of Vitae"が,初めて覚えるリアクティブヒールだ。これはかけた瞬間には効果はないが,術をかけられたキャラクターが攻撃を受けるたびに効果を発揮し,そのキャラクターをヒールするというもの。一定量を回復しきるか一定時間が過ぎるまで,その効果は持続する。
 戦闘におけるクレリックの第一の仕事は,このスペルが常にメインタンクにかかっている状態をキープすることだ。適正レベルの敵を相手にしている場合,この点を守ればメインタンクのヘルスをほぼ常に満タン状態に維持できる。

 クレリックのバフには,防御力やヘルスの値を直接引き上げるものが多い。攻撃的なスペルとしてはDDやACデバフを覚えていくほか,"Mark of Pawns"というユニークなスペルも使えるようになる。これは敵にかけることで,その敵の攻撃にターゲットをヒールする効果が付加されるというものだ。ヘルスの最大値を上昇させられ,防御能力も増強可能,さらに複数の手段を使ってヘルスの回復を行えるクレリックは,まさにヘルス維持のエキスパートと呼べるクラスである。




 ドルイドのヘルス維持のためのスペルは,"リジェネレーション"である。レベル12で習得する"Regrowth"が,初めて覚えるリジェネレーションだ。これは対象のヘルスを一定時間じわじわと回復し続けるスペルである。攻撃を一手に引き受けるメインタンクに,常にこのスペルがかかっている状態をキープできれば,ヘルスの減少スピードをかなり抑えられる。敵の攻撃がリジェネレーションの回復速度を上回った場合には,インスタントのヒールで補う。

 味方メンバーを強化するスペルにおいても,ドルイドはクレリックにひけをとらない。とくに得意とするのはアジリティアップだ。アジリティは防御能力にも攻撃命中率にも直接作用するので,これの強化はタンクだけでなくダメージディーラーにとっても有用である。攻撃的なスペルとしてはDDに加えて,敵のヘルスをじわじわと減らすDoTを覚えていく。さらにドルイドならではのスペルとして,敵の攻撃を反射する能力を味方に与えるダメージシールドの呪文を覚える。十分なヘルス維持能力に加えて,直接あるいは間接的に攻撃にも貢献できるドルイドは,グループのすべてのメンバーにとって頼もしい存在となれるクラスである。




 シャーマンのヘルス維持のためのスペルは,"ウォード"である。レベル12で習得する"Spectral Ward"が,初めて覚えるウォードのスペルだ。ウォードは対象の周囲に張るダメージ吸収バリアのようなもので,一度かけると,一定時間が経過するか一定量のダメージを吸収するまで効果が持続する。常にウォードがキープされていれば,メインタンクはほとんどダメージを受けずに戦い続けられる。その状態を目標としてウォードを使い続け,足りない分だけインスタントヒールで補うというのがシャーマンのヘルス維持スタイルだ。クレリックやドルイド同様,シャーマンも味方を強化する術に長けており,メンバーのストレングスやスタミナをアップさせられる。

 グループのヒーリング能力に余裕がある場合には,シャーマンは別の形でもグループに貢献できる。そこで出番となるのが,シャーマンならではの能力である攻撃速度低下のデバフだ。スロウは敵の攻撃の機会を大きく減らせるので,メインヒーラーのヒールワークを楽にするのに役立つ。さらにシャーマンはDoTによるダメージディーリングも可能だ。ただ,どちらも戦闘中に直接敵にかけるものなので,使いすぎるとヘイトが上昇してしまう恐れがある。


■■星原昭典(ライター)■■
このプロフィール欄に書くための近況などを聞き出そうとして,いつも苦労する星原氏。「普通なんです」とのことですが,過去の話を総合してみると,それはどうでしょう。とんでもない逸話を,日々量産し続けている気がしてならないのですが……。
タイトル EverQuest II
開発元 Sony Online Entertainment 発売元 Sony Online Entertainment
発売日 2005/06/16 価格 オープンプライス,月額1480円(税別)
 
動作環境 Windows 2000/XP,Pentium III/1GHz以上(2GHz以上推奨),メモリ512MB以上(1GHz以上推奨),空きHDD容量7GB以上,Pixel Shader機能およびVertex Shader機能に対応したVRAM64MB以上のビデオカード(VRAM128MB以上推奨),DirectX9.0b以降

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