狙いは的中。裁縫スキルの高さ(低いけど)と赤いメガネによる女の子らしさで,K君をすっかりトリコにしたEmma。毎日,夜になるとカルガレオン広場に彼と待ち合わせて,カルガレオンでのデートを重ねる二人……そしていよいよ冒頭に戻ってきました。
今宵こそ決めたる。そう決意したEmmaは,神殿にK君を呼び出した。この日のために貯金を使い果たして購入した,清楚な黒いワンピースと真っ白のロングブーツ姿を披露したEmmaが,神聖なこの場所で,ついにもじもじと彼に告白を試みかけた,その時。
「……」
えっ? 何この紙袋。そういえばK君との冒険の間中,ずっと視界の端にチラチラと映っていたような……。
この女,EmmaとK君がミッションのためのパーティを組んだその日から,常に二人の周囲をうかがっていたらしい。ちょっと,なんなのよ! その紙袋脱いで,なんとか言いなさいよ!
「……」
うわ,きもっ。こちとら,今まさにK君とリーチ寸前なんだから,ちょっと勘弁してよね。K君もなんとか言ってやって!
「ごめん,俺が間違ってた」
……は?
「おまえをもう一度振り向かせたくて,こんなバカなことしてたんだ。もう二度と,おまえのそばから離れないよ」
うっそ〜ん。「バカなこと」って,もしかして私と過ごした,この1週間のことですか? お二人は以前,付き合ってらしたんですか。へぇ,そうなんだ〜。
こうして,もとの鞘に収まった二人。一方,この幸せな1週間がどうしても忘れられないEmmaは,その場に落ちていた紙袋をかぶり,ラブラブな二人を温かく見守るのであった……。
立ち去る二人の後ろ姿を見送り,立ち尽くすしかないEmma……って,前にも似た光景を目にしたような |
わぁ,二人とも幸せそう。この連載いつまで続くのかなあと考えてみたら,なぜか紙袋が涙で濡れてきましたよ? |