― 特集 ―
「ザ・シムズ2ホットナイト! データセット」幸せ家族計画スペシャル2
Text by 松本隆一 
ダウンタウンでホットな夜を堪能してみたい ぜひ!

ダウンタウン全景。前拡張パックの大学街と同様,一部に住宅地区もあり,そこに家を買って住むことも可能。移動のときに,ちょっとだけ便利になる。わりと土地が余っているようだ

 彼の名前は,"ナイトライフ・トニー"。ベロナービル在住。年齢不詳。昼は「自由業」で真面目に働いているが,サタデーナイトにはダウンタウンへ繰り出し,ディスコで熱烈フィーバー! ボウリング場でストライク! バーでガールハント! というのが,今最高にナウいのかと思っていた筆者がお届けする,「ザ・シムズ2」の拡張パック第2弾,「ザ・シムズ2ホットナイト! データセット」(以下,ホットナイト)のリプレイ記事でございます。とはいえ,なんですか,最近は「ディスコ」なんて言わないらしいのね。「クラブ」って言うんだってさ。へー,そうなの。
 すでにレビュー記事があるのでご存じと思われるが,このホットナイトは2005年3月に発売された「ザ・シムズ2キャンパスライフ! データセット」に続く拡張パックである。その内容といえば,簡単にいってシム人達の町に歓楽街ができて,そこでオトナの出会いと夜を楽しむというもの。アメリカでは発売後たちまち大売れで,セールスベスト10に本編「ザ・シムズ2」(The Sims 2)と拡張パック2本が同時にランクインという状況らしい。こりゃもう,「たいしたもんだ」ぐらいしか形容詞が思いつかないほどである。たいしたもんだ。

 

 さて,冒頭で紹介したのがマイキャラである"トニー"だ。彼の設定が,私の大好きなヘンテコ映画「サタデーナイト・フィーバー」の影響を強く受けているのはいうまでもない。しかし歳だけはとっているものの,残念ながらお酒の飲めない筆者は,夜遊びというものをしたことがない。終電を乗り過ごして,変なおじさん達と一緒に公園で夜を明かしたことはあるが,これを夜遊びと呼んでいいものかどうか。

 だが,これからは胸を張って「夜遊び? 経験豊富さ」と言えるのである。もちろん最後に,聞こえないように「シムズで」と付け足すのだが,なんと素晴らしいゲームなのであろうか。しかしゲームとはいえ,経験の乏しい私にしっかり夜遊びが可能なのだろうか? 一抹の不安が頭をよぎるのである。

 

 というわけで,トニーだ。私が以前の記事で使っていた「マツモト家」は,マツモト本人がいつ天国に召されてしまうのか分からないという情けない状況なので,ここらでいっちょ,若く,やる気満々の新キャラクターを作成したのだ。彼の目的はもちろん,「モテモテになること」である。いいなあモテモテ。うらやましいので一句詠もう,「なってみたい,一度でいいから,モテモテに」。なんてね。実はもう一つ目的がある。それは「ヴァンパイア」になることだ。
 ダウンタウンには,なんとヴァンパイアが生息しているというではないか。ヴァンパイアといっても野球の審判のことではない。あの,夜の帝王,闇の支配者,「吸血鬼」のことである。なってみないと分からないけど,吸血鬼ならたぶん,昼間はコツコツ働くこともなく棺桶で寝ていればいいのだろうし,食事しなくても血さえ吸ってりゃいいのだろうしと,想像は果てしなく広がっていくのである。

 

ホットナイト 目玉フィーチャーをいくつか
本編の主人公,ナイトライフ・トニー。苗字は原題に敬意を表したもの。何も考えていない表情と白いジャケット,首の赤いバンダナ。そして先のとんがった白い靴が素敵である ついにシムシティにもモータリゼーションの波が到来。本文ではいろいろ書いたが,ギャルと同棲して収入が増えたので買えた高級車,ワン・モーターズ社製ハンカ711
私が数えたわけではないが,120種類以上の新アイテムが登場するらしい。これは有名なエレクトロダンス・ボール。これでグルグル回れば,あなたの内耳もメロメロだ 車は,ただ乗る以外に,いろんな目的に使えるナイスアイテム。これは,「カーウフフ」しているところ。筆者はカーウフフの経験がないので,何をしているのか見当もつかない
ボウリング場では,当然ながらボウリングができる。スコアが残るわけではなく,一投一投に一喜一憂するちょっと変わったスタイルだ。レーンを購入してこっそり練習しよう 我が国発祥のカラオケは,こちらでも「Karaoke」として大評判。発音は「カラオーキ」って感じだが,シム人達も目がない様子。他人の歌なんか聞いてないんだけどね
日々の疲れを癒すにはガールハント! これしかない! たぶん!

さあ,デートに出かけよう。デートは本拡張パック中,最もゲームっぽい部分。制限時間以内に彼女のハートを射止めれば,君の勝利なのだ。もちろん,ご褒美はウッシッシッシ

 さぁ,ホットナイトの始まりだ。例によって例のごとく,最初は生活していくのだけでも大変。ベロナービルで一番安い家を選んだのだが,それでもベッドを買ったり便器を買ったりテーブルを買ったりと,人並みの生活を送れるようにするだけでも,時間なんかあっという間に経ってしまう。
 今回のホットナイトは,拡張パック第1弾キャンパスライフの「大学で4年間を過ごす」のような基本のストーリーがあるわけではなく,要するに町のどこかにダウンタウンができて,そこへ行けるようになっただけの話。なので,生活の苦労がない至れり尽くせりの学生寮で暮らす,とはいかない。立派な大人なんだから,まずはきちんと働いて生活しなければならないわけだ。なんか胸に響くお言葉。
 というわけで,早く夜遊びしたくてたまらないトニーだったが,数日がむなしく過ぎた。と思っていただければ,筆者としては幸いである。

 そんなこんなで,ようやく準備は整った。もちろん,デートのマストアイテムである自家用車も買ってしまった。まあ,モノは一番安くて超しょぼい車種だが,車は車である。なにせ最高級車となると,今のトニーにはとても手の出ない価格である。結婚して共稼ぎして子供が成人して収入を得るようになるまでは無理そうだ。走行中の車を止めて,運転手を引きずり出してかっぱらっちゃえるようなゲームも世の中にはあるらしいが,おお,恐ろしい。
 それはともかく,いよいよ出かけてみようではないか。

 

 行き先で「ダウンタウン」を選ぶと,各種施設がズラリと並ぶ。その数,約30軒。カフェありレストランあり美術館ありの,なかなか壮観なリストだ。ほお,「スピーディの追越車線ボーリング場」か。「ゴシックグリーン広場」に「シミラーサイツ彫刻公園」ね。「ハンスの仕掛けドア会社」とはなんだろう? 「メープルスプリング‐プール&スパ」ときたか……。
 はっきりいって,これは楽しい。遊び応え満点だ。それぞれの口上を読んでいるだけでも,みるみる行きたくなってくる。折りしも今日はサタデーナイト。いやな上役や退屈な仕事,つらい締め切りや,つらい宿題などコロっと忘れて,ダウンタウンへゴー!

 

 到着したのはダウンタウンで最大といわれるクラブ「ルル・ラウンジ」である。虹色のカクテルライトがくるくる回り,フロアでは新アイテム「DJブース」のクールなサウンドに合わせて人々が踊り,バーではカップルが談笑し,奥のジャグジーには仲良しグループが陣取っている。うふふ,いい感じだ。
 とはいえ,突然現実に帰っちゃうけど,さすがにこれだけのシム人がいっぺんに出てくると,かなり処理が重くなる。画面設定というより,AIがCPUパワーを消費しているのではないかと思われる。そろそろPCの買い替え時なんですかね。

 

 ともかく,ガールハントしようではないか。とりあえず,激しく踊ってみたり,激しくカラオケを歌ったみたりしたが,やっぱり黙っていては女の子は寄ってこない。筆者が最後に町で女性に声をかけたのは,たぶん幼少の頃で,相手は近所のおばちゃんか誰かだと思われるが,そのくらいまったく自信がないのである。大丈夫か,トニー? そろそろ帰ろうか?

 大丈夫である。新コマンド「あたりを見渡す」を使えば,相性ばっちりの女の子がキラキラと輝いて見えるから驚きだ。だが,「えーでも,ちょっと好みじゃないなあ」という女性が輝いてしまうこともある。トニーは,というか筆者は,意外に理想が高いのである。
 しかしまあ,せっかくキラキラ輝いているんだし,とりあえずアタックするが,そう簡単にはいかないようだ。いきなり意気投合して盛り上がってダンスしてお酒飲んで,そのまま自宅に……という状況を「お持ち帰り」と言うらしい。最近知った言葉である。妙な日本語だ。お持ち帰らない場合は,「店内で」かな。

 

 1週間ほどかけて,あちこち回ってみたが,昔から「色男,総身に知恵は回りかね」と言われるように(?),結果はあまり芳しくない。美術館では変なオバサンにわけも分からないままに怒られて泣き出すし,新アイテム「エレクトロダンス・ボール」に乗れば,転がり落ちて世間の皆さんに大笑いされるし,ボウリング場ではガーター連発だしで,いいとこなしだ。トニーの生涯の願望は「プロのパーティゲストになること」だが,こんなんじゃ,誰もパーティに呼んじゃくれないぞ。

 

 とはいえ,トニーは苦しいが,私は楽しい。どの施設も良く作りこまれていて,ただ見て回るだけでも愉快だ。もちろん,「建築モード」でいろいろ付け足すことも可能なので,「このレストランにシャワーをつけよう」とか,「ボウリング場にベッドを置こう」など,ダウンタウンだけで暮らしていけるように改造もできる。お金の心配さえなければ,ホント,ずっとここで生活したいくらいだ。ダウンタウンにいる間,自宅の時間は止まっているので,その点も嬉しい。
 だが筆者の脳内設定によると,トニーは「ウィークデーはしがない労働者だが,週末は大ブレイク」ということになっているので,平日は自宅から電話攻勢だ。ロマンス関係のスキルも上げ,暇さえあればダウンタウンで出会った女の子に電話をかけまくる。「招待」するのは面倒なので,ともかく電話電話電話。ちょっと病的な雰囲気が漂い,やってる私も心配だが,ついにある土曜日,女の子を一人デートに誘うことに成功する。

 

愛の狩人,トニー・ナイトライフ デートの真相を暴く!
やってきたのは「メープルスプリング・プール&スパ」。人々が健全な汗を流す中,トニーのお目当ては屋上のジャグジーだろうか。二人でホカホカすれば,いいことがあるのだ 右上のメーターにご注目いただきたい。ここに現在の残り時間とデートの状況が表示される。彼女の「願望」をクリックして,願いを次々にかなえてあげるのが基本戦略
いい調子,と思っていたら好事魔多し。別のデート相手に見つかって往復ビンタ。これはどうも仕様のようで,「必ず」といっていいほど見つかる。友達がどんどん減っちゃう もういっちょ! 今度は女の子同士で大喧嘩になってしまった。どっちを応援しているのだトニー? 今回から,シム人達は「激怒」できるようになったので,喧嘩シーンが多い
もう一つのデートの障害は,突然乱入してくる,わけの分からない説教オバサンだ。彼女が出てくると全行動がキャンセルになってしまうので,面倒だったらありゃしない 今後,「ご趣味は?」と聞かれたら「クラブ通いです」と答えることにしようかな。とりあえずクラブに行けば,何かが待っている気がしてならない若者の気持ちが分かってみたり
白熱! デート実況中継!

夜遊びの最終的なお目当てといったら,もちろんコレですよコレ。車もボーリングもカラオケも,すべてはコレのための手段に過ぎないのだ。筆者のホットナイトを振り返ると,男しかいないボーリングやカラオケのなんと多かったことか……大きなお世話だ!

 彼女の名前はケートリン。どこかのパブで声をかけたのだが,私の睨むところ,どうやら彼女こそヴァンパイアである。なにしろ黒ずくめのドレスを着ているし,首には真っ赤なスカーフを巻いているではないか。ブラッド・レインちゃんにもちょっと似ており,生き血の2,3リットルは軽く飲んじゃいそうだ。私の女性を見る目はかなり確かなので,まず間違いない。しかも「知り合い」リストの表示によると,相性もバッチリ合っている。
 というわけで,トニーはいそいそとマイカーでお出かけである。私としても公私共に初デートなので,マニュアルを読み返したりしてちょっと緊張する。注意すべきは,「デートに誘う」の結果がオッケーだと,そのまま自動的にトニーが車に乗って出発してしまうことだろう。あらかじめ"着替え"てから電話を掛けるべきだったが,気づいたときには後の祭り,なんとまあ,トニーはパジャマのままダウンタウンにまっしぐらだ。困ったなあ。

 

 ちょっと迷って,デートの場所はボウリング場「シムボウル」にした。ここならレストランも併設しているので,彼女が「おなかすいた〜」などと主張しても即座に対応が可能だからである。さあ,デートのスタートだ!
 右上にデートメーターが出て,持ち時間は約2分,彼女の状態は「まあまあ」との表示。速攻で「願望アイコン」をクリック。ふむ,「トニーと踊る」とな? 踊りましょう。ズンタカズンタカ。親密度アップ。踊り中止。次はなんだ? 「トニーと食事をする」か。これは時間がかかるのであとにし,ほかには何よ? 「トニーと話す」か。話し合え,トニー! 親密度アップ。会話中止。次はなんですか? 「トニーにくすぐられる」ですね。くすぐれ,トニー! 親密度アップ。くすぐり中止。おお,「まあまあ」が「良い」に。それと同時に持ち時間も増えたぞ。次の願望は「トニーとキスする」。積極的な女だなあ,もう……。

 

 という具合に,シム人のデートというのは大変あわただしいものである。これ以上の詳細は省くが,なんとデートのその日に「お持ち帰り」ではないか! うらやましいぞトニー。だが,自宅に帰ってきて私はえらいことに気がついた。トニーのベッドは一番安いシングルなのである。ここでダブルベッドがないと,えーと,なんちゅうか,大人の人はちょっと困るわけね。理由は分かりますね。だが,金がない。トニーのキャリアである「自由業」は,その名の通り自由時間は多いものの,収入の少なさでは有名なのだ。車も買っちゃったし。
 仕方がないので,「願望の報酬」で私の愛用する「愛のバスタブ」をゲットして,二人の親密度をさらに上げつつ,衣装ダンスやPC,冷蔵庫などを売り飛ばしてダブルベッドを購入,何とかその日は事なきを得たのであるが,ベッドしかない家になってしまった。
 その後のトニーの漁色家ぶりは,ぜひお写真でご確認いただきたい。すごいんですよ彼。もう,プレイしている私にさえ相手の女の子が誰が誰だか,ちっとも把握しきれないありさまだ。

 

次から次へとデートを成功させてウッシッシウッシッシ
さーて,デートがうまくいくと,このようにお相手を自宅へ連れ帰れる。待っているのは,とどめの必殺アイテム「愛のバスタブ」だったりして。もちろん,二人でベッドの上でリラックスしていると,筆者の人生では一度もお目にかかったようなことのない謎めいたコマンドがいくつも出てくるので,ぜひクリックしていただきたい。完全勝利である
ときどき,友達から電話がかかってきて「付き合い」に参加することになる。デートと同じく,時間内にうまく場を盛り上げればいいのだが,なにしろ参加者が多くて難しい 付き合いのグループでダウンタウンに繰り出し,踊りまくる。とはいえ,こんなにみんな楽しそうなのに,結果は「まあまあ」だって。どうしていいのか見当もつかないなぁ デートに成功すると,後日,贈り物や手紙や,場合によっては彫刻(!)などが届く。それらを裏庭にずらりと並べ,一人悦に入るのもいいが,世間的には悪趣味と呼ばれる
ヴァンパイアになって闇の世界を支配しよう

夜の支配者にして永遠の命を持つヴァンパイア。なってみたいという人も多いだろう。このお方が,ベロナービル在住のバッキンガム ガリー伯爵。ギターさばきもスミにおけない

 さあ,いよいよ,トニーが憧れのヴァンパイアになる日がきた。……と簡単に言っちゃったけど,実は非常に大変だったのである。結局,ケートリンは普通の女性であった。だいたい,黒い服着て赤いスカーフ巻いているだけでヴァンパイアなわけないでしょ。もう一人,これはもう確実だと思えたのが「バッキンガム ガリー伯爵」なる人物。私の人を見る目は確かなので,これはもう間違いないのだ。なにしろ日光に当たると煙が出るし,コウモリに変身して移動したりするので,これがただの人間だったら怒るよオレは。
 つまりはこの伯爵と親交を深め,ついには彼の「牙の洗礼」を受ければよいわけなのだが,これがもう,なぜかちっとも親交が深まらないのである。いくら電話したり招待したりしても,いつまでも"知人"のままで,"友人"や"親友"にはなってくれないのだ。
 これは,今回導入された「好きなもの/嫌いなもの」による相性があるのかと思い,願望の報酬で自己再プログラミング装置「リニューユー・センソ・オーブ」(長いねどうも)を購入し,願望および好き嫌いを変更,大の吸血鬼好きにする予定だったが,願望メーターがゴールドに満たない状態で装置を作動させたため,ロマンス願望が「ベイクドチーズ願望」に変化。生涯の希望が「ずば抜けたエダムチーズ食い」で,日々の願望が「おいしいチーズサンドを食べる」とか「ほかのシムにチーズサンドを作らせる」とか,わけの分からないものになって難儀した。というのはどうでもいい話なので,忘れていただいて結構である。

 

 最後の手段とばかりに,伯爵をデートに誘ったり,「抱擁」して恋愛感情を抱かせ,同棲を持ちかけてみたが,やはりダメである。吸血鬼に愛される方法なんて分かりませんよ。
 一計を案じた筆者は,長期計画に着手した。まずは何人もいるデート相手の女の子から,ラレア・オードリーと同棲する。なぜ彼女かというと,このオードリーちゃん,「愛のバスタブ」(に限らずバスタブ全般だが)に入るとき,なぜか水着ではなく素っ裸になっちゃうからだ。実は我がトニーもそうで,したがって二人で入浴すると画面がモザイクだらけになるのだ。しかし,私は以前からテレビの温泉紹介番組を見るたびに,水着で入浴する女優さん達が許しがたかったので,彼らのキップのよさはむしろ清々しい。……何の話してたんでしたっけ?
 伯爵である。最近は招待しても「ラマの群れとマイシューノをやってるほうがまし」と断られてしまうので,二人であちこちの公共施設へ出かけ,伯爵とバッタリ会うのを待つのである。伯爵の出没地点は,公園墓地の「ゴシックグリーン広場」と,そこに隣接する「地下室Oのナイトクラブ」「ラッキーシャック・カード&ドリンク」あたりなので,そこらへんを重点的に巡回していると,いましたよ伯爵。
 ここからが私の深謀遠慮の見せどころだ。まず,カリスマ値の高いトニーが伯爵に指示を出し,オードリーちゃんの首を噛ませる。ああ,なんて非人道的な行為。だが,安心してほしい,今や私の管理下にあるオードリーちゃんに間髪を入れずトニーの首を噛ませ,かくしてここにめでたくヴァンパイアカップルの完成だ。すっかり顔色が悪くなったトニーとオードリーは,これから吸血鬼としての第二の人生を送るのである。さすがに私は頭がいい。とはいえ,ホントにこんな面倒なことしなきゃならないのでしょうかね?

 

 さて,期待したヴァンパイアの生活だが,結果から申し上げますと,あんまりいいことはないのである。増えたコマンドといえば「首を噛む」と,あっちからこっちへ「忍び足で移動する」と「飛んで移動する」ぐらい。こうもりに変身できるのはカッコいいが,実用価値はほとんどない。しかも,寝るところは棺桶なので,また出費がかさむ。さらには,日光に当たると各種パラメータがグングン下がるので,油断も隙もないうえに,お腹がすいたらごく普通に食事し,汚れたらシャワーを浴び,便意もちゃんと催すのだ。うーむ,なんだか拍子抜けである。棺桶に入って寝るときドドーンと雷鳴が鳴り響き,迫力満点なのだが,そのためだけに種々の苦労を耐え忍ぶべきなのかしらねえ。
 まあ,本当にイヤになったら「出会いサービス」から「ヴァンプロシリン−D」を購入すれば人間に戻れるので,しばらくはこのままでいよう。

 

 別の目的で,とりあえず一緒になった相手とはいえ,トニーとオードリーちゃん,いい感じである。いろんな女の子とデート&お持ち帰り(ときには公共の場におけるウフフ行為)を繰り返し,なにかと罪作りなトニーであるが,なんだかもう,このまま落ち着いちゃおうかな,という気さえする。相変わらず「10人の違うシムとウフフな事をする」だの,「10人の違うシムを好きになる」だの,不埒な願望を日々抱き続ける愛すべき男ではあるが,そりゃまあ"婚約"や"結婚"したあとの行為も,このゲームじゃ日常茶飯事ですし。子供でも生まれれば,また彼の違う側面も見えてくるのかもしれないし,こないのかもしれない。
 それは今後の,私だけのお楽しみである。というわけで,このホットナイト,けっこうハチャメチャのようで基本線はしっかり踏まえた,魅力的な拡張パックに仕上がっていると思う。あなたのシム人達にも,ぜひ,そんな魅惑の夜を。それではまた。

 

ヴァンパイアとの息詰まる対決!
なんとか伯爵に噛まれたいと,住居を探してあちこち歩き回ったが,結局は徒労に終わった。喜ぶんじゃないかと,わざわざ棺桶まで購入したのに状況に変化はないようだ 吸血鬼に喜ばれるような性格にしようと思い,毎度おなじみの妙チキリンな機械を使って願望変更を試みたが,結果は失敗。やたら焼いたチーズにこだわるトニーになった
本文に書いたような非人道的な作戦を使って,まずガールフレンドのオードリーちゃんをヴァンパイアの生贄とした。普段は温厚な伯爵も,このときばかりは正体を露わにする 続いて,トニーもオードリーの手にかかってヴァンパイアへ。緊張のシーンなのに,間に入っているおじさんが,なんちゅうか,迫力を台無しにしている。さすがシムズ2
このようにして,トニーは無事にヴァンパイアへの転生を遂げた。遂げたのだけど,棺桶で寝ること以外,さほど生活に変化はない。そんなもんなのかしら 吸血鬼といえど,やっぱり食事は普通にしなければならないようだ。しかも日光に当たれないので,仕事に行けなくなってしまった。人生,そんなうまい話はないんですね

 

タイトル ザ・シムズ2 ホットナイト! データセット
開発元 Maxis 発売元 エレクトロニック・アーツ
発売日 2005/09/22 価格 オープンプライス
 
動作環境 OS:Windows 98/Me/2000/XP(+DirectX 9.0c以降),CPU:Pentium III/1GHz以上[Pentium 4/1.80GHz以上推奨],メインメモリ:256MB以上(Windows 2000/XPは512MB以上),グラフィックスメモリ:32MB以上,HDD空き容量:5GB以上

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