3月14日に実装される,MMORPG「ラグナロクオンライン」のアップデート,「Episode5.0 The Republic of Schwarzwald 〜シュバルツバルド共和国〜」第2弾。先にお伝えしたテストプレイに続き,ガンホー・オンライン・エンターテイメント コンテンツ制作部 第一制作課の廣瀬高志氏にお話を聞く機会を得た。いささか駆け足気味ではあるが,アップデートの詳細について質問してみたところ,なんと今回のアップデートには,開発側からの“挑戦状”も含まれているという,楽しみな発言も飛び出した。さっそく,インタビューの模様をお届けしよう。
4Gamer:
本日はよろしくお願いいたします。まずは注目のホムンクルスですが,先ほどいくつか実際に召喚してプレイしてみたところ,その可愛らしい外見や仕草が強く印象に残りました。ホムンクルス欲しさにアルケミストキャラクターを作るプレイヤーも増えそうですけど,このホムンクルスは,育成がつらいといわれるアルケミストの支援キャラクターなんでしょうか?
廣瀬氏:
もちろん支援的な動作もしますが,趣味的な要素が大きいですね。
4Gamer:
なるほど,趣味ですか。だとすると,従来のペットと同じような位置づけになるわけですね。
廣瀬氏:
そうです。ただ,趣味といっても,外見要素がすべてという意味ではありません。プレイの幅を広げるという意味での趣味です。ホムンクルスを使うことでアルケミストが相対的に強くなるわけではなく,育てることそのものがプレイの楽しみになるということです。もちろん,補助スキルを使ったり,攻撃してくれたりもしますから,狩りのサポート役として捉えることもできますが。
4Gamer:
一緒にいてくれて,育てる楽しみがあって,可愛らしくて,なおかつ狩りのお供にも連れて行ける……。
廣瀬氏:
一種の癒しアイテムかもしれませんね(笑)。
4Gamer:
ちなみに,4種類あるうち,韓国で一番人気が高いホムンクルスはどれでしょうか? また,従来のペットと同時に連れて歩けると,いっそう楽しそうですが,それは可能でしょうか?
廣瀬氏:
うーん,韓国での人気はちょっと確認してないですが,攻撃メインでいきたいなら「フィーリル」か「バニルミルト」でしょうね。ペットとは同時に使えます。
4Gamer:
テストサーバー「サクライ」にお目見えして以来,けっこう時間が経っていますが,実装やローカライズには,やはりいろいろ苦労があったのでしょうか。
廣瀬氏:
最初に発表してからはや何年,本当にお待たせいたしました。開発側では,AI部分で苦労が多かったと聞いています。
4Gamer:
次に,今ちょうど画面に出ている「生体工学研究所」についてですが,転生前でベースレベル95以上,転生後でレベル90以上が条件と,高レベルキャラクター限定のダンジョンになっていますね。プレイヤーの間では韓国サーバーでの情報を基に「経験値がおいしいダンジョン」として評判になっています。実際のところ,どうなのでしょうか?
廣瀬氏:
そうですね,生体工学研究所に出現するモンスターは1体あたりの経験値が,既存のダンジョンよりもかなり高くなってます。
4Gamer:
GvGの勝者,いわゆる砦持ちギルドだけが入れる「アジトダンジョン」と比べるとどうですか?
廣瀬氏:
モンスターの強さが格段に違うぶん,こちら(生体工学研究所)のほうが獲得経験値は高いですよ。実装時点で最強のダンジョンといえます。生体工学研究所のコンセプトなんですが,開発者からプレイヤーへの「挑戦状」だと私は捉えています。
4Gamer:
な,なるほど。挑戦状ですか。
廣瀬氏:
ええ,先ほどの質問の中にもあったとおり,獲得経験値だけを見て「おいしいダンジョン」だという評判が広がっているようですが,既存の高レベルプレイヤー向けダンジョンと違って,キャラクターの強さだけでなんとかなる場所ではありません。
4Gamer:
確かに,プレイさせていただいた感触としては,高価な装備や,防御力の高いVIT型キャラクターと支援キャラクターで行けばなんとかなる,という感じではないですね。むしろ求められるのはとっさの判断力,つまりプレイヤースキルがかなり必要なのではと思いました。挑戦状というのはそういう意味ですか?
廣瀬氏:
ええ,そのとおりです。襲ってくるのは人間型のモンスターで,使ってくるスキルも,プレイヤーキャラクターが覚えるものと同じです。いかにモンスターの足を止めて迎撃するかが鍵になるでしょうね。単純に時間をかけて戦っていけば勝てるというダンジョンではありません。通常のGvGや,今年も開催するRJC 2006(RAGNAROK ONLINE Japan Championship 2006)と同じように,必要なのはプレイヤースキルになるでしょう。積極的に動いて敵を集め,魔法などで動きを止めて各個撃破,というのが攻略方法になるかもしれません。
4Gamer:
ダンジョンに入れるキャラクターレベルについては下限設定があるわけですが,推奨パーティ人数は何名ぐらいでしょうか?
廣瀬氏:
難しい問題ですね。人数が多ければ支援回復系プレイヤーの目が届きませんから,パーティ全員に目が届く,少数精鋭がよいかもしれませんし。
ただ,まだまだプレイヤーキャラクター全体のレベルが低かった頃,よく100人規模のダンジョン討伐隊が,プレイヤーさんのイベントとして組まれたことがありましたよね? そんな感じのお祭り目的でもよいから,ぜひ挑んでほしいです。
4Gamer:
モンスターの強さ,獲得経験値などのバランスは,韓国サーバーと同じでしょうか? それとも,日本独自の仕様が用意されるのでしょうか?
廣瀬氏:
今のところ,とくに独自仕様は考えていません。まずはプレイして,ご意見をいただければと考えています。
4Gamer:
生体工学研究所の実装をめぐっては,ぜひともお聞きしたいことがあります。というのも,生体工学研究所は獲得経験値だけ見れば,従来のダンジョンより高いですから,プレイヤーキャラクターのレベルキャップ到達を早める懸念があるようにも思えるのですが。
また,これだけの高レベル向けダンジョンを用意したのはつまり,この先の展開がすでに構想されているからこそだろうと思うのですが,その点はいかがでしょうか?
廣瀬氏:
プレイヤーキャラクターのレベルキャップについては,心配する議論もありましたが,今,結論を出すべき問題ではないと考えています。
この先の展開についてはまだ分かりませんが,私自身も期待しています(笑)。
4Gamer:
なるほど,先の展開云々が明かされる日が楽しみですね。ところで,上位2次職の新スキルについてですが,今回追加されるものは,どちらかと言えば対人戦向けの割合が高いのでしょうか?
廣瀬氏:
職業にもよりますが……例えばハイウィザードの「ガンバンテイン」などは,設置系魔法を解除できるので,GvGでプロフェッサーの「ランドプロテクター」に対抗するといった使い方は可能でしょうね。狩り向けと対プレイヤーキャラクター向け,どちらの割合が高いかというのは,何ともいえないです。
4Gamer:
以前実装されたバード/ダンサーが攻城戦向けの存在なので,今回は生産系などに焦点を当てるアップデートになるかと予想していたのですが,特定の方向性を持ったものではない,ということですね。
さて,最後になりますが,今回のアップデートを楽しみに待っていたラグナロクオンラインプレイヤーと,4Gamer読者にぜひメッセージをお願いします。
廣瀬氏:
今回のアップデートは,シュバルツバルド共和国の“裏側”が見える内容になっています。ルーンミッドガッツ王国からはちょっと遠いですが,ぜひ新ダンジョンも含めて訪れていただき,共和国の謎を解いてみてください。
4Gamer:
本日はお忙しいところ,ありがとうございました。
AIに基づいて戦う“配下の戦力”としての意味が注目されていたホムンクルスだが,廣瀬氏の見解を聞く限り,必ずしもそうした大仰なモノではなく,独自設定のペットという性格が濃いようだ。
最上位のハイレベルダンジョンにして,有用な稼ぎ場と目される生体工学研究所をめぐっては,レベル上げの場となるだけでなく,廣瀬氏の強調するシュバルツバルド共和国の“裏側”とのストーリー的な関わりも,一つの見どころとなりそうだ。このダンジョンをクリアして,ストーリー展開を読み解く材料を手にするには,いかばかりの試行錯誤が必要だろうか?
腕に覚えのあるプレイヤーにもやりごたえ十分なチャレンジ要素を含んだ今回のアップデート。新しい冒険の舞台を,ぜひとも堪能してほしい。