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エバークエストII推奨スペックPCの実力

 前回はPentium 4環境における「エバークエストII」(以下EQ2)のプレイについて解説したが,2005年9月現在,市場にはPentium 4のほかにも,Pentium Dという新しいCPUが存在している。このPentium Dは,「デュアルコア」という新しい仕組みを採用しているのが特徴だ。EQ2はこのPentium Dに対応しており,実際に,パートナー企業がリリースする「EQ2推奨スペックPC」の中にも,Pentium D搭載モデルが用意されている。EQ2推奨スペックPCのリストを見て,Pentium 4と何が違うのか,気になっている人も多いのではないだろうか。
 そもそも,デュアルコアとは何か。一言でいえば,「コア」と呼ばれるCPUの中枢部分を2個まとめて一つのパッケージに収めたものだ。Penitum Dには,Pentium 4が2個入っていると考えると分かりやすいだろう。
 Pentium 4には「Hyper-Threadingテクノロジ」(以下HTテクノロジ)という技術があり,HTテクノロジに対応したPentium 4は,CPUが1個であるにもかかわらず,Windows 2000/XPからはあたかも2個のCPUが動作しているように見える。これはHTテクノロジが,CPU内の使っていない部分に別の命令を割り当てることで,CPU 1個の動作効率を向上させた結果,Windowsから「二つの命令を同時に処理できる=コアが2個ある」と判断されているからだ。対してPentium Dは,本当にコアが2個あるから,1個のコアを高効率化することで"2個のコアがあるように見える"HTテクノロジよりも,全体的なパフォーマンスは高くなることが期待できる。

 

一般的なアプリケーションで非常に高速なPentium D

 Pentium Dの詳細なスペックと,Pentium 4 600/500シリーズとの比較ついては表1にまとめたので参照してほしい。Pentium Dは,64bit OSに対応する「Intel Extended Memory 64 Technology」(EM64T)と,CPU負荷に応じて動作クロックと駆動電圧を調整し,負荷があまり高くない場合にはPCを静かに,より低消費電力で運用できる「Enhanced Intel SpeedStep Technology」(EIST),そして,ハードウェアレベルのウイルス対策機構「eXecute Disable bit」(XD bit)を搭載。L2キャッシュ容量はコアごとに1MB(合計2MB)なので,Pentium 4 5x1シリーズにEISTを加えたコアが2個あるとイメージすればいい。
 一方,動作クロックは最高でも3.20GHzなので,この点が気になる人はいると思う。前回,EQ2を快適にプレイするためにはPentium 4 650/3.40GHzクラスが理想と述べたので,デュアルコアのPentium D 840/3.20GHzが,200MHzの差を埋められるのかといった,当然の疑問を持つ人もいるだろう。



Windowsのタスクバーを右クリック→「タスクマネージャ」→「パフォーマンス」タブと進むと,CPU使用率をチェックできるが,Pentium XE 840/3.20GHzの場合,Windows 2000/XPからは4個のCPUが動作しているように見える

 そこで,ここからはそんな疑問に答えるべく,ベンチマークテストを行っていきたい。テスト環境は表2のとおり。今回は比較用に,前回(「こちら」を参照)計測したPentium 4 600シリーズのデータと,Pentium Dのベンチマークスコアを比較してみることにする。また,EQ2推奨スペックPCのBTOオプションにはないので,あくまで参考程度となるが,IntelのプレミアムCPUとして最上位に君臨するPentium Extreme Edition 840/3.20GHz(以下Pentium XE 840/3.20GHz)についても検証してみることにした。Pentium XEは,基本的なスペックこそPentium D 840/3.20GHzとまったく同じだが,HTテクノロジが有効になっている。つまり,Windowsからは4個のCPUコアが同時に動いているように扱えるというモンスターCPUだ。



 さて,今回もEQ2によるテストの前に,PCの総合性能をテストできるベンチマークソフト「PCMark04 Build1.3.0」(以下PCMark04)を実行し,CPUパフォーマンスを見る「CPU Test Suite」で,Pentium Dの基本的な能力をチェックしてみることにしよう。今回も見やすさを第1に考えて,数値の大きさごとに結果をグラフ1〜3にまとめたが,Pentium DやPentium XEは,デュアルコアによって,多くの項目でPentium 4よりもよいスコアを出しているのが分かる。


File Encryption:ファイルの暗号化,File Decompression:圧縮ファイルの解凍,Image Processing:画像処理,File Decryption:暗号化済みファイルの復号化,WMV Video Compression:WMV形式ビデオファイルへの圧縮,DivX Video Compression:DivX形式ビデオファイルへの圧縮,File Compression:ファイルの圧縮,Grammer Check:文法チェック,Audio Conversion:サウンドデータのエンコード


 

同クロックのPentium 4よりフレームレートが向上

 ゲーム以外の用途におけるパフォーマンスが理解できたところで,いよいよ本番,EQ2だ。テスト方法は前回(「こちら」を参照)と同じ。画面と処理速度のバランスは,EQ2の「オプション」→「画面表示」にある,「規定のパフォーマンスレベル」というプルダウンリストから,画面の美しさがかなり保たれたまま,フレームレートの向上が期待できる「平均的」設定を選択した。解像度は読者の多くが使っていると想定される1280×1024ドットを利用し,フルスクリーンでプレイしている。


 キャラクターはノーム(レベル22,ウィザード)を用いた。アントニカというマップのノールスレイヤー砦の近くで,ソロで敵を30分間倒し続け,その間のフレームレート推移を計測している。フレームレートの判断基準は前回同様だから,「最低30fpsを割らずにプレイできれば相当快適」という判断基準で見ていってほしい。

 ではさっそく,CPUの違いがフレームレートにどの程度影響するかをチェックしてみよう。グラフ4は,30分間にわたって「Fraps 2.60」でフレームレートの変化を追い続けた結果,グラフ5はその平均値を棒グラフ化したものだ。Pentium D 840/3.20GHzとPentium XE 840/3.20GHzを比較すると,平均フレームレートは約41fpsと,ほぼ同じような結果となった。一方,同じ動作クロックのPentium 4 640/3.20GHzは約38fpsだから,Pentium D(やPentium XE)は,デュアルコアである分,同じ動作クロックのPentium 4よりもパフォーマンスが高いことになる。同じ3GHzで比較しても,Pentium D 830(約36fps)のほうが,Pentium 4 630(約32fps)より高いフレームレートを出している。



タスクマネージャからCPUの使用率をチェックしてみた。ご覧のとおり,今回のテスト用システムではEQ2の負荷がコアBに寄っている

 右のスクリーンショットは,Pentium D搭載のテスト用システムからEQ2を実行しているときのCPU負荷をグラフ化したもの。便宜的に左側にコアA,右側をコアBを呼ぶことにして話を進めるが,EQ2を実行するとコアBにほとんどの負荷が割り当てられ,同時にコアAの負荷も上昇している。EQ2を実行すると,一つのコアで処理できる以上の負荷がCPUに対してかかり,それがPentium Dだと二つのコアに分散されているわけだ。Pentium 4では,HTテクノロジを備えているので,"見かけ上は"Pentium Dと同じように分散処理ができているのではないかと思う。しかし,前述したとおりHTテクノロジはCPUの使っていない部分を有効活用する方法のため,"見掛け上の2個のコア"に分散して処理することで得られるパフォーマンスアップは,Pentium Dほどはない。この差が,今回のテストではフレームレートの差として表れたようだ。

 このように,デュアルコアCPUを選択すると,同じ動作クロックのPentium 4と比べてパフォーマンス面でのメリットがある。とはいうものの,同じ3.20GHzで比べたときに,Pentium D 840はPentium 4 640よりもBTOオプションの価格差で2〜3万円程度高く,このテスト結果だけでは,Pentium 4のほうがより魅力的と感じる人もいるだろう。
 だが,Pentium Dには,デュアルコアだからこそ得られるメリットがある。

 

デュアルコアで2アカを快適にプレイ

 先ほど,Pentium DからEQ2を実行すると,EQ2は片方のコアを中心に割り当てられたことを説明した。このとき,もう片方のコアは主に,Windowsを動作させ続けたり,ユーザーのマウス操作をゲームに伝えたりといった,いわば裏方作業に従事している。なら,その作業の負荷はどれくらいかといえば,せいぜい1〜2割で,かなり余裕のある状態といえるだろう。

 EQ2に限らずMMORPGのヘビープレイヤーの間では,二つのアカウントを取得し,メインキャラとそれを補佐するサブキャラとしてそれらを同時に操作して,ゲームの安全化/快適化などを図る,通称「2アカ」と呼ばれるものが一般的に行われている。4Gamer読者なら,よくご存じのことだろう。そしてEQ2は,1台のマシンで2アカが同時に動くのだ。
 その状態なら,いうまでもなく二つのEQ2が同時に動作するわけだから,2個のコアを持つPentium Dなら,二つめのアカウントをもう片方のコアに割り当てて,Pentium 4以上に快適な2アカ動作を実現できそうだ。MMORPGの記事において全力で2アカを快適にするのも微妙ではあるのだが,Pentium Dのメリットを確認するため,敢えて挑戦してみることにした。

 

サブアカウントのキャラクターを「フォロー」させた状態で,メインキャラクターを操作するという2アカ動作を行った

 今回は,メインキャラのアカウント(以下 メインアカウント)と,サブキャラのアカウント(以下 サブアカウント)を同時にプレイする2アカ状態において,メインアカウントのフレームレートを計測してみる。なお,サブアカウント用に用意したキャラはフロッグロック(レベル6,プリースト)で,メインアカウントとパーティを組んでいる。画面は,1280×1024ドットのディスプレイに対し,各アカウントを1024×768ドットのウインドウで表示させた。

 先ほどのテストで得られたシングルアカウント(以下 1アカ)時のテスト結果と比較した結果がグラフ6,7だ。前者は30分間のフレームレート推移,後者はその平均フレームレートを棒グラフ化したものである。
 まず一見して分かるのは,2アカ動作時には,1アカ時と比べてフレームレートが大幅に下がることだ。例えば,Pentium D 840/3.20GHzの平均フレームレートは約24fpsと,1アカ時と比べて17fps低下してしまった。この傾向はPentium D 830/3GHzやPentium D 820/2.80GHzでも同じである。同じ動作クロックなのに,Pentium 4 640/3.20GHzの1アカ時と比べて平均フレームレートが下がってしまうのは,CPUコアが2個あっても,その計算結果を表示するグラフィックスカードが1枚しかないことが理由としては大きいと考えられる。



 なら意味がないのかというと,決してそうではない。同じテストをPentium 4最上位モデルとなるPentium 4 670/3.80GHzで行うと,グラフ7における平均フレームレートは28fpsで,Pentium D 840/3.20GHzと比べて600MHz高速なこともあって,デュアルコアよりも優れているように見える。ただ,グラフ6をよく見ると分かるのだが,Pentium 4 670/3.80GHzのテストで平均スコアが高いのは,開始17分後にサブアカウントが高負荷によって強制終了してしまい,その後はメインアカウントのみの負荷しかかからなかったからだ。テスト開始から17分までで平均フレームレートを計算すると約19fps(グラフ8)と,Pentium D 840/3.20GHzの2アカ動作時と比べて約5fps,Pentium 4 670/3.80GHzの1アカ時と比較すると,なんと約51fpsもフレームレートが下がってしまっている計算になる。1アカ環境でPentium 4がすばらしいパフォーマンスを見せるのは前回説明したとおりだが,2アカ環境では,そんなPentium 4であっても,正常に動作させるのが難しい可能性があるのだ。それと比べると,Pentium Dがいかに優れているかお分かりいただけると思う。



 とはいえ,平均24fpsだと,やはり町中など,NPCが多いような局面では動作に少々不満も出てくると思う。こういったときは,画質と処理速度のバランスを「処理速度やや優先」に切り替えるといい。この設定に変更すると,2アカ時の平均フレームレートは37fpsとなり,まったくストレスのない2アカ動作が可能になる(グラフ9)。2アカ環境で積極的にプレイしたいなら,Pentium D&処理速度やや優先が断然オススメだ。



 

EQ2とアプリケーションを同時実行

 デュアルコアで得られるメリットは何も2アカ環境の場合だけではない。2アカめのEQ2を起動してプレイできるということは,EQ2をプレイしながらほかのアプリケーションを実行する場合にも,パフォーマンスの確保が期待できるということでもある。例えば,何か作業を行っているときにアンチウイルスソフトの定時スキャンが始まってしまい,急にPCの操作感が重くなってしまった経験はないだろうか。EQ2のプレイ時も同様で,スキャンが実行されると,EQ2の動作が重くなってしまう。こういった場合,Pentium D搭載の推奨スペックPCなら,負荷の軽い(EQ2があまり使用していないほうの)コアに負荷が割り振られるので,パフォーマンスの低下は最小限に食い止められるというわけである。

 証明してみよう。シマンテック製のアンチウイルスソフト「Norton AntiVirus 2005」でウイルススキャンを実行しながら,やはりEQ2を30分間プレイし,その間のフレームレート推移と平均フレームレートをチェックしてみることにした。なお,ウイルススキャンが30分以上続くよう,HDDには大量の音楽ファイルを追加している。
 結果はグラフ10,11にまとめたとおりだ。Pentium D 840/3.20GHzやPentium XE 840/3.20GHz,Pentium D 830/3GHzではゆうゆうと平均30fpsを超えている。Pentium 4 670/3.80GHzが,通常時から約21fpsもフレームレートを落とし,なんとか平均30fpsをキープしたのとは対照的だ。デュアルコアなら,EQ2にウイルススキャンが始まってしまっても,スコアの落ち込みは数fpsで済むので,ほとんど気にならない。これは,長時間EQ2をプレイしていると,しみじみと分かるメリットといえる。



 また,ゲームに慣れてくると,プレイしながらメールチェックを行ったり,Webサイトをお気に入りのブラウザで閲覧したりといったこともしたくなると思うが,こういった局面もシミュレートしてみよう。EQ2をウインドウモードで動作させつつ,PCMark04からCPU Test Suiteを実行し,結果をグラフ12〜14にまとめてみた。さすがに,単独でPCMark04を実行したときと比べるとスコアは低くなるものの,Pentium 4 670/3.80GHzと比べてPentium D 840/3.20GHzのスコア低下は小さく,かなり良好な値になっているのが分かる。つまり,Pentium Dなら,EQ2をプレイしながらメールをやりとりしたり,お気に入りのブラウザでWebページを閲覧したり,あるいは何らかのファイル操作を行ったりしても,十分なパフォーマンスが得られるわけだ。



 

一段上のEQ2生活を実現するデュアルコアPentium D

 EQ2の1アカ"だけ"をプレイするなら,コアが1個のPentium 4を搭載するEQ2推奨スペックPCのほうがコストパフォーマンスに優れる。一方,1台のPCで2アカを積極的に行っていきたい場合は,Pentium Dがベストの選択肢となってくれるだろう。また,Pentium Dなら,EQ2と何か別のアプリケーションを同時に実行することが多ければ多いほど,体感速度面での恩恵は大きくなる。ワンランク上のEQ2ライフを過ごしたいのであれば,Pentium D搭載のEQ2推奨スペックPCを選択するといい。

 ここまでで,Pentium 4とPentium Dのそれぞれが,EQ2をプレイするうえでどういう強みを発揮するか理解していただけたと思う。そこで最終回となる次回は,Intel製チップセットの魅力であるRAID機能を利用して,CPUだけでは高速化できない,EQ2の起動時間やゾーン切り替え時間の高速化を図っていきたいと思う。(三重邦光)

 

 

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