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エバークエストII推奨スペックPCの実力

 これまで2回にわたって,Pentium 4とPentium Dの検証を中心に,「エバークエスト2」(以下EQ2)用としてパートナー企業からリリースされている「EQ2推奨スペックPC」のパフォーマンスを明らかにしてきた。だが,フレームレートを上げるほかにも,EQ2にはまだまだ高速化の余地があるのだ。
 EQ2推奨スペックPCにはBTO(Build To Order)オプションとして,HDDの容量だけでなく,スペック(あるいは製品名)を選択できる製品がある。HDDは予算と容量で選んでしまいがちだが,この選択によって,EQ2自体の起動や,「ゾーニング」と呼ばれるマップの切り替え時に生じる待ち時間が変わってくるのだ。EQ2はMMORPGなので,回線状況やサーバー負荷によりこれらの所要時間は多少変動する。とはいえ,HDDに記憶されているデータを読み出す以上,やはり待ち時間を決定する一番の要因は,HDDの読み出し性能なのである。そこで今回は,EQ2推奨スペックPCのHDDにスポットを当て,HDDによって,EQ2をプレイするときに生じる待ち時間がどれくらい少なくなるかをチェックしてみることにしよう。

 

Serial ATAとSerial ATAIIの違い
Serial ATAコネクタ(上)とParallel ATAコネクタ(下)の違い。現在でもParallel ATAは利用されており,HDDも存在するが,基本的にはHDD以外のストレージ用となっている。ちなみに,Serial ATA IIでもコネクタはSerial ATAと同じ

 一部のEQ2推奨スペックPCでは,HDDの種類として,Serial ATAとSerial ATA IIを明示的に指定できる。Serial ATAは,従来のParallel ATA(≒IDE,Enhanced IDE)と呼ばれるタイプと比べ,HDD転送速度理論値の向上が図られた規格の名前で,現在ではHDD接続インタフェースの主流。Serial ATAとSerial ATA IIは,世代が異なり,後者のほうがより多くの機能を持っている。

 違いについては表1にまとめたので参考にしていただきたいが,Serial ATA IIにはphase1とphase2の2世代があるので,この点は注意したいところだ。Serial ATA II phase1で,HDDの読み出し方法を最適化する「Native Command Queuing」(ネイティブコマンドキューイング,NCQ)をサポート。さらにphase2では転送速度300MB/s対応を実現しているほか,OSの動作中でもHDDを入れ替えられるホットプラグ(≒ホットスワップ)にも対応している。つまり,「Serial ATA II対応」と謳ったHDDであっても,300MB/sの転送速度を実現していないHDDは多く存在するのだ。EQ2推奨スペックPCの注文時にはできる限りチェックしておきたい項目といえるだろう。また,BTOのリストにはSerial ATAとしか書かれていなくても,実際にはSerial ATA II HDDを搭載している可能性もある。気になったら,パートナー企業にメールや電話で確認するといい。



 また,Serial ATA II規格のHDDを利用するには,チップセット側の対応も必要だ。HDDはPCに接続して利用する,というのはご存じと思うが,正確には,HDDは「ICH」(I/O Controller Hub)というチップ(がコントロールするSerial ATAコネクタ)に接続するようになっている。EQ2推奨スペックPCは,ICH7,ICH7R,ICH6,ICH6RのいずれかのICHを採用しており,Serial ATA II phase2に対応しているのは,ICH7とICH7Rである。

 

AHCIを無効にするには,マザーボードのBIOSから設定する必要がある

 では,Serial ATA II HDDのパフォーマンスはどれほどのものなのか。さっそくチェックしてみよう。テスト環境は表2のとおりで,HDDはSerial ATA II phase2に対応した日立グローバルストレージテクノロジーズ製「Deskstar T7K250」の160GBモデルを利用している。Deskstar T7K250は,同社のWebサイトで公開されている「Feature Tool v1.98」を利用することで,転送速度を300MB/sと150MB/sの間で切り替えられるため,Serial ATA II phase1と2の違いを見るのにうってつけだ。
 さらに今回は比較のため,同HDDをParallel ATA互換モードで動作させてみた。Serial ATA/Serial ATA II HDDは,AHCI(Advanced Host Controller Interface)というインタフェース規格に対応しており,これを利用することで高速なデータ転送を実現している。ICHはすべてAHCI対応だ。ということは逆にいうと,AHCIを無効にすれば,Serial ATA HDDを"疑似Parallel ATA HDD"として動作させられるというわけである。



 グラフ1,2は「PCMark04 Build1.3.0」(以下PCMark04)から「HDD Test Suite」を実行した結果だ。同じHDDであるにも関わらず,AHCIを利用するだけでトータルスコアは14%弱の向上を見せている。また,OSの起動速度を評価するXP StartUPでは20%以上も数値が上がっており,AHCIの有効化(≡Serial ATA II phase1の機能であるNCQの有効化)で得られるメリットは大きいことが分かる。また,Serial ATA II phase2の転送速度300MB/sを有効にするとさらにスコアが向上し,AHCI無効時と比べてトータルスコアで17%強,XP StartUPで26%弱という差が付いた。
 Serial ATA HDDを利用すると,かつて一般的だったParallel ATAと比べて大きな性能向上が期待できること,そして,最新のIntel 955X ExpressやIntel 945P/G Expressが採用するICH7/ICH7Rを利用すると,さらなる性能アップを狙えることがよくわかるだろう。


XP StartUP:Windows XP起動速度,Application Loading:アプリケーションの起動速度,File Copying:ファイルのコピー速度,General HDD Usage:一般的なWindows操作時のHDD速度


 こういったパフォーマンスの向上は,EQ2でどの程度体感できるだろうか。EQ2は起動時にプログラムやデータの読み出しを行うので,HDDの読み出し性能は大きく関わる。また,ゾーニング時にはゾーンやエンティティ(キャラクターや樹木などのオブジェクト)データの読み出しを行うので,ここでもHDDの読み出し性能が重要だ。そこで,以下に挙げる4項目において,どの程度の待ち時間を要するか,計測してみることにする。

 

(1)起動からStationログインまで

 

(2)Stationログイン直後からキャラクター選択まで

 

(3)キャラクター選択直後から実際にゲームがプレイ可能になるまで

 

(4)アントニカから南ケイノスにゾーンを切り替えたときに,ゾーニングが完了してプレイ可能になるまで

 

 所要時間はストップウォッチによる手計測なので,毎回多少の誤差を含む。そこで,テストが終了するごとにOSを再起動しながら5回計測し,その平均をスコアとしている。

 

 結果はグラフ3のとおり。まず(1)を見てみると,Serial ATA II phase2の所要時間は10秒で,2秒ほど待ち時間が短くなっている。これは転送速度300MB/sの効果だろう。(2)だと差は約0.7秒以内に収まっているが,これは(2)の間はデータの読み込み以上にロゴ表示など,HDDの読み出し速度に依存しない部分の処理時間が長いためだ。これが(3)では約2秒短縮。数字で「x秒」と書かれるとごくわずかに感じるかも知れないが,OSの起動からゲーム開始までの総時間という意味では,はっきりと体感できるレベルだ。(4)のゾーニングも同じ。とくに(4)は起動時と異なり,ゲーム中,何度も生じる待ち時間だけに,1秒でも短いほうがいい。



 

RAID 0導入でさらなる待ち時間短縮を

 EQ2推奨スペックPCのうち,ICH7Rを搭載する製品はRAID 0,RAID 1,RAID5の構築を,またICH6Rを搭載する製品はRAID 0とRAID 1の構築を標準でサポートしている。RAIDはRedundant Arrays of Independent Disks(もしくはRedundant Arrays of Inexpensive Disks)の略で,複数のHDDを用いて信頼性や速度向上を図る技術のこと。「ストライピング」とも呼ばれるRAID 0は高速化にフォーカスしたもので,「ミラーリング」と呼ばれるRAID 1は,データの保護を主眼としたもの。また,RAID 5は(RAID 0ほどではないが)読み出し速度を向上させつつ,データ保護にも力を入れているものと理解するといい。

 要するに,ICH7RやICH6Rと複数台のHDDを利用すれば,EQ2の起動時間やゾーニング所要時間を,さらに短縮できるというわけだ。
 残念ながら,EQ2推奨スペックPCにRAID 0を構築して出荷してくれるモデルはないが,ICH6RやICH7R搭載モデルには,HDDを2台購入できるものがある。このモデルであれば「まずEQ2を楽しみつつ,少しPCの勉強をしておいて,後からRAID 0に切り替える」といったことが可能だ。もちろん,HDDを1台しか搭載しないモデルでも,後でHDDを買い足せばRAID 0へ移行できる。

 

RAID 0構築のヒント
Intel Matrix Strage Manager option ROMから,RAID 0を設定しているところ

 RAID 0を構築するためには,PCの電源投入直後にBIOS設定画面に入り,Serial ATAの設定を「RAID」に変更する必要がある。次に,RAIDコントローラの初期設定中に「Ctrl+I」キーを押して「Intel Matrix Storage Manager option ROM」という画面を呼び出し,ここからRAID 0を選択。「ストリップサイズ」という,データ管理の基準単位となるサイズの指定を行ったら,WindowsのインストールCD-ROMから再セットアップを行いつつ,画面の指示に従ってRAIDドライバをインストールするという流れになる。
 手順が多いので面倒だが,それほど難しい作業ではないので,条件を満たしたら挑戦してみるといいだろう。

RAID 0(やRAID 1,RAID 5)を有効にすると,Windows上からは専用のアプリケーション「Intel Matrix Storage Console」で,RAIDを管理できるようになる

 

Barracuda 7200.7 SATA NCQ。容量は160/120/80GBが用意されているが,今回は160GBモデル2台でRAID 0を構築した
問い合わせ先:日本シーゲイト
http://www.seagate.co.jp/

 ここからは実際に,RAID 0のパフォーマンス検証を行っていくわけだが,前述のとおり,RAID 0はEQ2推奨スペックPCの標準オプションに存在しないので,構築のパターンはさまざまだろう。2台のHDDを搭載するEQ2推奨スペックPCを購入して,RAID 0に移行すれば追加投資は要らないものの,RAID 0は,2台のHDDのうち片方が壊れてしまった場合,どちらのHDDのデータも失われてしまうというデメリットもある。EQ2なら,キャラクターのデータはすべてサーバー上に存在するから,万が一RAID 0を構築したHDDに何かしらのトラブルが生じても問題はないが,EQ2推奨スペックPCをEQ2だけのために利用するという人はそれほど多くないだろう。そこで,「万が一を考えて,追加のHDD 2台でRAID 0を構築し,ここにEQ2をインストールする」という利用法についても検証してみることにした。この方法なら,万が一の事態でも,Cドライブにある,EQ2以外の,例えば過去にやり取りしたメールなどといったユーザーデータは守られる。
 なお,テスト環境は先ほど紹介した表2のとおりだが,RAID 0の構築には,Seagate製のSerial ATA II phase1対応HDD「Barracuda 7200.7 SATA NCQ」を利用した。

 PCMark04のスコアから見ていこう。結果はグラフ4,5のとおり。Barracuda 7200.7 SATA NCQ単体に比べ,同HDDでRAID 0構築したときのパフォーマンスが高いのが分かるだろう。OS起動のエミュレート(XP StartUP)では約1.5倍高速だ。また,RAID 0をシステム(Cドライブ)で利用するよりも,Dドライブとして利用するほうがパフォーマンスは高いという点も興味深い。これは,Cドライブとして利用すると,OSそのものを動作させるためのディスクアクセスが生じ,それがHDD性能に影響しているものと推測される。



 EQ2でもPCMark04と同じく,RAID 0でデータドライブを構築した状態のパフォーマンスが最もいい(グラフ6)。とくに,前述した(1)の所要時間は,HDD単体と比べて4秒以上も短縮されている。また,(2)は約3秒,(3)では約1秒,(4)では1.5秒と,ゲームの待ち時間が確実に短くなっているのが分かる。



 

理想のEQ2プレイ環境を構築するために

 待ち時間など,実際にEQ2をプレイするうえでは大したことないと思うかもしれない。だが,実際にプレイしている身から言わせていただくと,EQ2と長く付き合えば付き合うほど,数秒の違い,そしてそれが生み出すレスポンスの良し悪しといった印象の差は大きくなってくる。その意味では,Intelの最新チップセットとSerial ATA II対応HDDの組み合わせは,非常に意味のある選択といえる。EQII推奨スペックPCを選択するうえでは,HDDにもこだわってみると,より快適になるだろう。

 今回はさらに快適な動作を求める人のため,RAID 0についても言及した。RAID 0を構築するためには,ハードウェアやソフトウェアについての知識も要求されるので,初心者向けとは言いづらいが,パフォーマンス向上は確実に期待できる。Serial ATA II HDDを利用して,速度に不満が出てきたら,RAID 0にチャレンジしてみるのもアリだ。

 

 ちなみにICH7Rでは,3〜4台のSerial ATA HDDを利用して,HDDが故障してもデータが保護され,しかも(RAID 0ほどではないが)読み出し速度の向上を図れるRAID 5というRAIDもサポートしている。OSの起動にせよ,EQ2のプレイにせよ,データはほとんどが読み出しなので,信頼性と速度の両方を求め,かつ予算にも余裕があるなら,HDDを3〜4台用意してみてはいかがだろうか。

 なお,本企画の完結記念として,スクウェア・エニックスからEQ2のパッケージを3本,プレゼントとして提供いただいている。下のボタンを押すと応募用フォームのページが開くので,今すぐチェックを。(三重邦光)

 

 

 

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