― 不定期連載 ―

オープンβテスト開始「飛天online」プロマネに聞く今後のゲーム展開

Text by aueki 

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 「飛天online」のオープンβテストが開始されて2週間が経過した。クローズドβテストが始まる前に一度日本での展開についてインタビューを行っているわけだが,今回はプロジェクト推進本部第1グループマネージャーの能島城亮氏とディレクターの大久保氏にオープンβテスト,およびそれ以降の展開について話を伺った。前回のインタビューでは,プロジェクトマネージャの能島氏が台湾に出張中で不在だったのだが,今回は,2人揃って質問に答えてくれた。今回は,クローズドβテスト中のアップデートの状況や課題点,オープンβテスト以降の展開などについて話を聞いてみた。今回話に挙がっている事項のうち,すでに実装されたものも少なくない。また,話が弾んで3時間に及ぶインタビューとなり,かなり長文の記事となってしまったが,有益な情報も多いので最後までご覧いただきたい。

 

クローズドβテストの課題

 

プロジェクト推進本部第1グループマネージャー能島城亮氏

4Gamer(以下4G):無事オープンβテストが始まりましたね。

大久保:クローズドβテストも終わり,反省点も多々ありましたが,それを改善しながらオープンβテストをやって,正式サービスにつなげていきたいといったところです。

4G:まず,クローズドβテストの途中で何回かパッチが当たっていますが,その内容はどういったものだったのでしょうか?

能島:日本先行でジョブのバランスを取っている部分があるので,そのあたりの調整。あとは,先日発表された画面のグロー効果などがテストされました。
 
4G:グロー効果の評判はどうだったのでしょうか? 
 
大久保:もうちょっと輝度を調整できるといいのにといった意見も見られましたが,おおむね評判はよかったですね。 
 
能島:あとはスキルのエフェクトを日本用に一から作り直してもらいました。 
 
4G:スキルの効果自体が結構変わっているようにも思えます。 
 
能島:はい。スキルは日本版での再調整で全部変えています。これまであったスキルの名前と効果が入れ替わっていたり,結構変えていますね。現状では一部,スキルの説明文と内容があっていないところとかも残っていますが。これも一から再調整しています。
 

プロジェクト推進部 久保岐信氏

大久保:そのほかでは,妖魔の名前で漢字が多かったので,それを日本語っぽくしたのですが,前のほうがよかったという意見がかなりきています。我々としても改悪したつもりはなかったのですが。 
 
4G:元々のモンスターって,そんなに漢字の名前が多かったでしたっけ。 
 
能島:たとえば,最初のあたりに出てくる蛾とか,「大蛾」という名前だったのを「モス」にしたのですが,あまり評判はよくないですね。 
 
4G:なるほど。私は,あまり気にならなかったですけど,雰囲気という意味では微妙なのかもしれませんね。
 
 

大きなカエル。これはクローズドβ版の画像だ

  あとで確認すると,クローズドβテストでよくいじめられていた,かなり大きめのカエルの名前が「珠カエル」だったのが,オープンβテストでは単に「ケロ」という名前になっていたり,怖そうな犬(確か「餓狼」という名前だったはず)が「ノラ」になっていたりとか,ちょっとあっさりしすぎているのではないかと思われるものも見受けられた。
 まあ,珠カエルがよかったかというと,ちょっと微妙なのだが。
 
 
能島:実は,元のプログラムがガチガチに名前長を固定で作り込まれていて,ちょっと苦労しているところはあります。モンスター名は16バイト(全角8文字)で固定されているので,なかなか難しいですね。
 
大久保:たとえば,あるモンスターを「エリマキトカゲ」にすると,あとでその「ボス」とか修飾詞がついてきたのも出てきて困ることもあるわけです。それで8文字にまとめるとなると,長い名前のモンスターは短めに直さざるをえませんでした。
 
4G:確かに「キング」とか「ベビー」とかいろいろ出てきますからね。
 
大久保:「赤くて大きくて……」というのが漢字だと8文字で表現できるんですが,それ以外の言語にすると16バイトでは苦しいですね。そのあたりはローカライズで非常に苦労した部分です。
 
4G:なるほど。漢字8文字ならたいていのものは表現できそうですが,日本語ではちょっと無理っぽいですね。
 
大久保:モンスター名がアイテム名にも関連してきますので,そのあたりの整合性を取るのでもかなり苦労しました。というか,まだ苦労しているところです(笑)。
 
能島:苦労をしただけあって,今の名前にはそれなりに愛着もありますね。
 
4G:もともと,全体的な日本語版のネーミングセンスは結構よかったと思います。ププがいて,ホルスタイン模様のモーププがいたり,純白モーププ(現:ハクププ)とかは,かなり個性的で印象に残ってました。
  

 

能島:モンスター名はまだなんとかなる部分なのですが,ボタン名などユーザーインタフェースの部分で「全角2文字」制限のある部分とか,そちらも大変でした。本当は,露店なども「バザール」とか分かりやすい言葉にしたかったのですが……。
 
大久保:前のインタビューでも話しましたが,旅団をパーティにしたいとかいろいろ考えていたのですが,文字数を変えるのは難しいということで,同じバイト数で収めるようにしています。
 
4G:字数制限を根本的になんとかしてもらうという線はないんでしょうか。
 
能島:現状ではなんともいえないところですが,もしかしたらその方向で解決できるかもしれません。
 
 4G:これは開発側次第ですかね。データベースや画面の基本設計から直さないといけないかもしれませんし。
 
能島:はい。モンスター名については,評判が悪いものについては公募して決めるなども検討しています。
 
大久保:名前にしても,100人が100人満足できるものはないと思うんですよ。できるだけ多くの人に満足していただけるように,ユーザーの意見を積極的に取り入れてきたいですね。 クローズドβテストでは,そのあたりがうまくいかず,反省点として挙がっています。なにか変更して「悪くなった」というのはすぐに耳に入るのですが,「変わってよかった」という意見はなかなか聞こえてこないので,できるだけ幅広い意見を運営側に届けてほしいですね。
 
4G:名前についてはまだ変わる可能性があるわけですね?
 
大久保:そうですね。  ということなので,「この名前はちょっと……」とか「この名前はいい」と意見のある人は連絡用フォームで送ってみるのもいいかもしれない。

 

クローズドβテストの課題

 

 これまでも何度か飛天onlineのクローズドβテストはやや完成度に問題があるような気がしていたのだが,テストということを踏まえても,ゲームとしていくつかマズいところがあったようにも思われる。そのあたりについても聞いてみた。
 

 

4G:クローズドβテストでは,レベル10までの部分にかなり問題があったと思います。オープンβテストでは,ある程度慣れていたのでそれほど気にならなかったのですが,おそらく初めてやった人はチュートリアルのクエストをそのままやっていくだろうと思うのですが……。
 

これが「みかん」だ。最初のクエストアイテムなのだが,かなりレアドロップ

大久保:「サトウキビ」と「みかん」はなんとかします。

4G:大豆もよろしくお願いします(笑)。ただ,大豆はまとめて持っていくと高値で引き取ってもらえるものなので,むしろ「大豆3個」というのを「大豆1個」くらいにしたほうがいいかもしれません。いやぁ,大豆1個見つけるまでにレベル二つ上がっちゃいましたよ(笑)。

大久保:そのあたりは,ユーザーからの意見を取り入れてバランス調整していきたいですね。
 

 

こちらは「大豆」。絵はしめじっぽいんだけど

 日本版のβテストでは台湾版に対して経験値修正が入っていたようで,簡単にレベルアップしていくのだが,アイテムドロップが非常に渋い。おそらく台湾版では,渋い経験値と渋いドロップのかなりマゾめなゲームになっているのではないかと想像される。日本への導入で経験値などが修正されて,プレイ環境は改善されるはずだったのだと思われるが……。初心者用装備クエストを進めると,収集物は全然揃わないまま,どんどんレベルアップしていってしまい,結果として,クエストアイテムを求めて延々と弱い敵を倒し続けることになる(それでも経験値はかなり入ってくる)。レベルアップするごとに新たなクエストもやってくるのだが,とても捌ききれないという状況だった。
 その初心者装備クエストのクエストアイテムが「サトウキビ」と「みかん」である。
 

 

4G:ある程度ゲームの様子が分かってくるとなんとかなるんですが,クエスト通りに進めていくと序盤はちょっと厳しいですね。あと,とにかくお金が入りませんので,装備が全然買えません。まあ,鎧とかすぐ壊れるので,もったいなくて着てませんけど。

能島:装備の耐久度はちょっと厳しくしています。

4G:厳しくというと?

能島:台湾版では,その部分が緩すぎて耐久度の意味がまったくなくなってしまっているので,日本版では変更してもらっています。

4G:現状ではちょっと厳しすぎる気がします。耐久度の減りが速いんですか?

能島:減り自体は同じで,修理したときの上限値の減少が大きめになっています。
 

 

 武器や装備は,使用すると少しずつ耐久度が減少して,耐久度がゼロになると壊れてしまう。鍛冶屋で修理することで耐久度は回復できるのだが,同時に耐久度の上限が下がってくるという仕様となっている。何度か修理すると,狩りに出てしばらくすると危険信号が出てくるようになる感じだ。武器の場合は「昇化」することで耐久度を元に戻せるのだが,次の段階の昇化まで一つの武器でもたせることは難しいと思われる。現状では同じ武器を数セット使い回していく,または使い捨てにしていく感じだ。お金が十分に入ればそれでもいいのだが。
 
ひびの入った刀 修理後の耐久度が半分近くに減っている

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タイトル 飛天オンライン 第弐之季節(旧題:飛天online Dream of Mirror)
開発元 SOFTSTAR ENTERTAINMENT 発売元 ガマニアデジタルエンターテインメント
発売日 2006/01/27 価格 基本プレイ無料(アイテム課金)
 
動作環境 CPU:1.4GHz,メモリ:256MB,グラフィックスメモリ:64MB

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