― 特集 ―

AOGC

 

 2005年2月28日と3月1日の二日間,東京は新宿の工学院大学新宿キャンパスで開催された,AOGC(Asia Online Game Conference:アジア オンラインゲーム カンファレンス)。AOGCは,産/官/学の各界でリーダーシップをとるオンラインゲーム関係者を招き,オンラインゲームの普及や啓発,また抱える問題点の提起や研究結果の報告を講演の形式で行うカンファレンスだ。

 主催の「ブロードバンド推進協議会」は,ブロードバンドの普及によって初めて成立する新たな産業について考察し,通信事業者,機器メーカー,コンテンツ事業者に交流の場を提供すると共に,多くの課題について議論を行う機関。設立は2003年7月で,2004年12月時点で126社(現時点では170社前後)のメーカーが参加しており,講演会や専門部会,研究会などの活動が盛んに行われている。

 中国や韓国といったアジアのオンラインゲーム研究員や教育関係者から,コーエーやスクウェア・エニックスといった国内メーカー関係者までが参加するということで,気になる内容を読者にお伝えするべく,4Gamer編集部でも取材を実施。講演者の知識や見解と共に,多くの貴重なデータも公開されているので,業界関係者や業界に興味のある人はぜひ一読してみてほしい。アジア市場の現在と未来,また国内メーカーがアジアへ進出するにはどういったハードルをクリアしなければならないかが見えてくるはずだ。

【INDEX】

[AOGC#8]コーエー松原氏,「アジア市場への進出に必要な要素」
 AOGC二日めに行われた,コーエーのネットワークゲーム担当執行役員,松原氏によるセッション「Japan発Onlineゲームを成功させる戦略」の模様をお伝えしよう。アジアと欧米で人気を博す「World of Warcraft」などを引き合いに,アジア市場展開の方法論についての講演を行った。

[AOGC#7]ガンホー堀氏が語る「オンラインゲーム開発」
 国内のオンラインゲーム市場を語るうえで外せない企業といえば,人気MMORPG「ラグナロクオンライン」を擁するガンホー・オンライン・エンターテイメント。その技術担当取締役である堀誠一氏も,AOGCで講演を行った。オンラインゲームを開発するにあたっての注意点や課題,そして今後進むべき方向性などが語られた。

[AOGC#6]ID数1100万! ハンゲームのサービス事業の軌跡を語る
 カジュアルゲームを中心に2000年からサービスを提供してきた「ハンゲーム」。今や同時接続者数が10万人を超えようかという人気サービスだが,そのハンゲームのサービスを手がけるNHN Japan戦略実践室 室長の室田典良氏が,ハンゲームのサービス事業4年間の軌跡について講演を行った。その時々の決断とその理由など,なかなかタメになる話が満載の内容となった。

[AOGC#5]エンターブレイン浜村氏,オンラインゲームの展望を語る
 AOGC二日めの第1セッションは,エンターブレイン代表取締役社長,浜村弘一氏の基調講演「オンラインゲーム産業の現状と展望」。現在オンラインゲームの分析に使われているデータは果たして正しいものなのか,といった点を軸に,オンラインゲームの現在と将来について講演を行った。

[AOGC#4]インターネットカフェのオンラインゲーム展開について
 AOGC一日めの最後のセッションでインターネットカフェの現状と今後の展開について講演を行ったのは,Necca秋葉原店の運営に携わるタイトーの鈴木氏。企業として大切なデータをいくつか公開しての非常に興味深い発表だった。

[AOGC#3]アナリスト矢田真理が語る世界のゲーム市場動向
 ゲーム産業を客観的に分析した書籍「ゲーム立国の未来像―世界をリードするコンテンツビジネスのすべて」の作者としてして知られる矢田真理氏が,世界各地域のゲーム市場についてレポートを報告した。調べ上げた"数字"から,現在,そして未来のゲーム市場の展望が語られた。

[AOGC#2]韓国オンラインゲームにおけるRMTの実態調査分析
 オンラインゲームの研究会関連でお馴染みのソウル中央大学経営戦略学科助教授 魏晶玄(ウィ・ジョヒン)氏の講演は,「韓国オンラインゲームにおけるRMTの実態調査分析」というお題。氏のこれまでの講演と同じく,韓国国内のゲーマーを対象にしたアンケートによる調査結果の分析などを披露した。

[AOGC#1]SqENIX和田氏の基調講演「オンラインゲームが抱える問題は,社会の抱える根源的な問題」
 本日(2月28日),東京は新宿の工学院大学新宿キャンパスで開催された,AOGC(Asia Online Game Conference:アジア オンライン ゲーム カンファレンス)。すべてのセッションの一番手を飾ったのは,スクウェア・エニックスの代表取締役社長,和田氏の基調講演だ。「企業の戦略は明かせない」としつつも,オンラインゲームの収益モデルについて,RMTについて,またPlay Onlineについてなど,脇道の話ばかりではあるが,実に内容の濃い話を聞かせてくれた。