タカラトミーが5月25日に発表した,オンラインストラテジー「ZOIDS ONLINE WARS」。発表会当日,タカラトミーのフロンティア事業本部 デジタルエンターテイメント事業部 NA事業グループ NA企画チーム 係長の小澤文彦氏と,開発元である翔泳社のソフトウェアソリューション局 エンタテイメント事業部 ネットワークメディアチーム リーダー 課長補佐 有高 実氏に,話を聞くことができた。
ZOIDSのポータルサイトである「ZOIDS UNIVERSE」のことも含め,概要や今後の展望などについても聞いているので,ZOIDSファンはご一読を。
4Gamer:
今日はよろしくお願いします。
まず,「ZOIDS UNIVERSE」(以下,ZU)についてお聞かせ下さい。ZUの特徴の中で,アバターを使ったコミュニケーションができるというものがありますよね。現在日本にも,アバターを使って遊べるサービスは数多くありますが,サービスの数に見合うほどにはヒットしていないのではないかと思うんです。そのあたり,どうお考えでしょうか。

タカラトミー フロンティア事業本部 デジタルエンターテイメント事業部 NA事業グループ NA企画チーム 係長
小澤文彦氏
小澤文彦氏(以下,小澤氏):
ZOIDS UNIVERSEや「ZOIDS ONLINEW WARS」(以下,ZOW)に関しては,パイロットキャラ(プレイヤーキャラクター)のアバターよりも,ZOIDSがメインになっていくと思います。もちろん,パイロットキャラのアバターに関しても課金アイテムを販売しますが,補足的なものになるかな,と。
ただ,アバターのデザインは,アニメでキャラクターデザインをしていた坂崎忠さんによるものなので,ZOIDSの世界の一員という気分は味わっていただけるんじゃないかと思っています。
4Gamer:
なるほど。ZUというポータルは,あくまでもZOIDSやその世界が前提にあるというわけですね。
小澤氏:
ええ,そういうことになりますね。アバターはゾイドの世界に没入するためのものです。
4Gamer:
販売されるZOIDSは,ZOW以外でも使用できるとのことですが,そのあたりを詳しく教えていただけますか?
小澤氏:
はい。ZOIDSは一度購入すれば,ZOWだけでなく,今後予定している3Dアクションであるとか,そういったタイトルでもそのまま使えるようになる予定です。もちろん,ゲームの内容によっては,変わってくることもあるかもしれませんが。
4Gamer:
というと?
小澤氏:
例えば「シールドライガー」を一度購入したら,ほかのゲームでも使えるほうが嬉しいですよね。そういったニーズを考慮したシステムを作っています。ですが,今後投入するZOW以外のゲームで,最初からシールドライガーを持っていると,ゲームバランスが崩れてしまうようなケースが出てきたとしたら,そこは変えなければいけないかもしれません。ただ,基本的には同じZOIDSをZU内のほかのゲームでも使えるような形を考えています。
4Gamer:
となると,表には見えないデータベースの設計というのが,重要になっているわけですね。
小澤氏:
ええ,かなり地味な部分ではあるんですが,非常に大事な部分になっています。
有高 実氏(以下,有高氏):
一番パワーがかかってます(笑)。
小澤氏:
コンシューマゲームもそうだったんですが,見た目だけでなく,ZOIDSのさまざまな部位に細かい情報を持ったパーツを装備できて,色も変えられて……という部分が,ZOIDSファンにとって重要なポイントだと思うんですね。
4Gamer:
なるほど。今後の予定として,3Dゲームなどの構想もあるようですが,こちらの開発はもうスタートしているんでしょうか。
小澤氏:
えーと,まだまだです(笑)。
ゲームキューブでリリースしているZOIDS VSシリーズや,プレイステーション2でリリースしている「ZOIDSインフィニティ」のように,3Dの空間で3DのZOIDSを操りたいというニーズがあるのは分かっています。また,ZOIDS VSシリーズや,アーケードの「ZOIDSカードコロシアム」を開発しているのがZOWと同じく,翔泳社さんということで,データの蓄積もありますし,比較的実現しやすいであろう,と考えています。
4Gamer:

翔泳社 ソフトウェアソリューション局 エンタテイメント事業部 ネットワークメディアチーム リーダー 課長補佐
有高 実氏
翔泳社さんは,今回のタイトルに,どういう形で関わっているんでしょうか。
有高氏:
初期開発と,保守運用,運営系を含め,長くお付き合いさせていただこうと思っています。
小澤氏:
翔泳社さんには,ZOIDSを題材にしたゲームをこれまでも開発していただいてきて,苦労も含めて蓄積されてきたものが多く,ZOIDSのことをある程度理解していただいているということで,今回も一緒にやらせていただいています。
4Gamer:
タカラトミーさんとしては,PCオンラインゲームはこのタイトルが初めてですよね(編注:子会社のティーツーアイエンターテイメントは「人生ゲームバトルオンライン」を手がけている)。
小澤氏:
そうですね。私どもはこれまでゲームに関しては,コンシューマ向けのZOIDSを中心にやってきました。4月からは,NTTドコモ様のFOMA向けに「ZOIDS ONLINE SAGA i」というタイトルも始めています。こちらでは,自由なチャットなどはできませんが,定型文によるメッセージ機能など,コンシューマではできなかったものを実現しています。また,アーケードゲームからXbox 360に移植してリリースした「ZOIDSインフィニティEX NEO」なども含め,オンラインゲームに積極的に取り組んでいます。
PCのオンラインゲームは我々としても初めてのことですので,予期できないこともあるとは思うんですが,ZOIDSのファンの皆様の中にも今回,初めてオンラインゲームに触れる人もいるでしょうから,ゲームだけじゃなく,一緒にコミュニティを作っていきたいと考えています。
4Gamer:
コミュニティという点では,そのコミュニティに入っていくための料金的なハードルが高いように思うのですが……。
小澤氏:
そうですね。現時点で料金などはあくまでも予定に過ぎませんので,βテストを行いながらテスターの意見を聞き,いろいろと検討はしていきます。
4Gamer:
例えば,入会キットのようなパッケージを販売する予定はありませんか?
小澤氏:
プロモーションとして,そういった販売方法を行うこともあるかもしれません。例えば,限定のキットが付属するような形は,今までのコンシューマ向けタイトルではやってきています。ただ,どちらかというと今回は,当社やZOIDSシリーズにとっての新しい提案をし,それを確立していくというチャレンジをしてみたいと思っています。
ただやはり,βテストを通じて上がってくるテスターの反応を見て,正式サービスを予定している夏には,いろいろ検討することがあるかもしれませんね。
4Gamer:
例えば,ゲームではなくおもちゃとして販売しているZOIDSのキットを購入すると,その中にゲーム内で使用できるアイテム用のシリアルが封入されているような形があれば,ZOIDSファンにとっては嬉しいのではないかと思うのですが。
小澤氏:
もちろん,今後の展開としてそういうことは考えています。
また,ZUでは,ZU会員限定の限定版のような玩具のZOIDSを,Ziポイント(ZU内で使用する通貨)で販売するようなこともできるのではないかと考えています。
4Gamer:
オンラインならではということだと,コンテンツの切り売りなんかもできますよね。
小澤氏:
アニメの音楽配信や動画配信という形だと,権利関係でクリアしなければならない点が多いため,難しいかもしれません。でも,ZUオリジナルの動画や,壁紙,デスクトップアクセサリーなどの販売は,可能ではないかと思います。
現状のZUは,ZOWのためのポータルサイトという位置づけですが,最終的にはZOIDS全体のポータルサイトにしていきたいですね。もちろん,ZOIDSファン以外の方々にも楽しんでいただきたいですが,まずはZOIDSファンの皆様に喜んでいただけるようなものにしていきたいです。