― プレビュー ―
ZOIDS初のオンラインゲーム,オープンβサービス直前の第三次クローズドβテストプレビュー
ZOIDS ONLINE WARS
Text by YOSHIHARA
2006年10月16日

※以下の記事は,2006年9月15日時点(第三次クローズドβテスト)でのゲーム内容をもとに制作しています。あらかじめご了承ください。

 

 タカラトミーによるZOIDSのポータルサイト「ZOIDS UNIVERSE」(以下,ZU)とオンラインストラテジー「ZOIDS ONLINE WARS」(以下,ZOW)では,明日(10月17日)開始予定のオープンβサービスに向けての準備が進められている。
 今回は,オープンβサービスの一つ前の段階,9月15日午後5時に終了した第三次クローズドβテストの模様を,第二次クローズドβテストとの差異を中心に紹介する。

 

 

アニメで見たあいつらがついにやって来た!

 

 5月の発表会で紹介されていたものの,第一次と第二次のクローズドβテストでは実装されていなかった「サポートパイロット」が,第三次クローズドβテストでようやくお目見えした。
 登場したのは,バン・フライハイト(子供),フィーネ(子供),アーバイン,ムンベイの4人。つまり,ZOIDSにとって最初のテレビアニメシリーズである「ゾイド -ZOIDS-」に登場した,最初の主人公パーティである。
 ちなみにサポートパイロットは,プレイヤーの所属国がガイロス帝国(以下,帝国)でも,ヘリック共和国(以下,共和国)でも雇用できる。アニメでは,帝国軍と戦うことの多かった4人だが,基本的にはどの勢力にも属していない設定になっているので,まあ問題はないだろう。第三次クローズドβテストでは実装されていなかったが,オープンβサービス以降に帝国軍人のシュバルツやレイヴンを共和国で,共和国軍人のハーマンを帝国で雇用できるような形にならないことを願いたいところだ。

 サポートパイロットの能力は,さすがアニメの主人公クラスというだけのことはあり,彼らを搭乗させるとZOIDSの性能が通常の兵士を乗せたときに比べて格段に上昇する。シングルプレイをとことんやりこめば,素のZOIDSやアバターの乗ったZOIDSの能力もサポートパイロット並になるが,いかんせん時間がかかる。それに,レベルの高いZOIDSにサポートパイロットを乗せれば,さらに性能が上乗せされるのだから,これを使わない手はない。
 攻撃時や行動開始時には,それぞれのキャラに準じたセリフも出るので,アニメを見ていた人ならばそれをチェックする楽しみもある。個人的には,特定のサポートパイロット同士による戦いでは,イベント的なセリフを言ってほしいところだが,さすがにそれは高望みしすぎか。
 なお,彼らの雇用には120〜140Ziポイント(ゲーム内通貨。以下,ZiP)が必要だ。仮に大人になったバンやレイヴンといった,性能上昇率がさらに高くなりそうなサポートパイロットが実装されたら,より高いコストが必要になるかも知れない。雇用期間は3日のみ。期間の短いβテストならまだしも,長期間プレイすることになるであろう正式サービスでは,雇用前に目的や時機を見極める必要があるだろう。

 

サポートパイロットの雇用は,ZUのサイトから行う。今回は帝国も共和国も同じ陣容。これから新キャラが増えるのだろう バン(子供)とフィーネ(子供)は120ZiP。アニメに思い入れのある人は試してみよう。でも3日しか雇えない……

 

ベテランで大人のアーバインとムンベイは140ZiP。値段が高い分,ZOIDSの能力上昇率も高くなっている アニメでも腕の立つZOIDS乗りとして知られているだけあり,アーバインの能力はかなり高くなっている ムンベイはアーバインに比べると,能力的にはやや控えめ。搭乗するZOIDSによって差が出るのだろうか?

 

雇う金額は120ZiPなのに,乗せるとZOIDSの能力が急上昇するバン。さすがはアニメの主人公だ ヒロインのフィーネは,あまり攻撃向けではない? でも可愛いから許す! まあ,このあたりは趣味の問題か 行動開始時には,アバター以外は何かしらセリフを言うのだが,フィーネはやはり,女の子らしい一言

 

 

ZUのサイトがリニューアル。前より使いやすくなった

 

これが部隊編成画面。前回までのテストと比べると,編成や隊長機の選定がかなりしやすくなっている

 例によって……という言い方はしたくないのだが,今回のテストでも開始当初は,通信エラーやゲームのフリーズなどといった問題が多発した。また,ZOWのゲーム内容についても,バランス調整したくらいで大きく目についた変更もないという状況で,一抹の不安を抱かずにはいられなかった。
 だが,9月7〜8日に行われたZUの大幅メンテナンスで,先に挙げたサポートパイロットの実装を筆頭に,さまざまな変更が加えられ,同時にZUのサイト自体も大幅にアップデートされた。
 とくに大きく変わったのは「MYガレージ」で,所有しているZOIDSがすべてサムネイル表示され,自分がどんなZOIDSを所有しているのかを一目で把握できるようになったのは嬉しい。
 「部隊編成」の項目では,ZOWに参加させるZOIDSやアバターが乗る隊長機の選定などがしやすくなっている。「格納庫」を使うほどZOIDSを買いすぎるプレイヤーはしばらくいないだろうが,正式サービスが軌道に乗ったら,こうした機能の重要性も増すだろう。所有しているZOIDS達の詳細データも,基本性能から付けている武装パーツまできちんと表示されるようになったので,カスタマイズのプランも立てやすくなった。以前は換装パーツの確認にかなり手間取っていたので,これは大きな進歩である。
 「ショップ」でも,換装パーツに新型が多く追加され,カスタマイズのレベルから戦略を考えることができるようになった。ただし,アバターの価格は30ZiPと以前のまま。仕様にも変更はなく,ZOWのマップ上で,兵士やサポートパイロットの顔は見られても,アバターの顔かたちは自分のものも含めて見られなかったのは残念だ。

 

買ったZOIDSのカイタマイズは,この「ZOIDSガレージ」で行なう。今までよりも,操作が楽になった 現在の換装パーツが何か,きちんと表示されている。ショップでムダな買い物をするというミスも減るだろう

 

 

新しいZOIDS,
それもアニメでも活躍した名機たちが登場

 

接近戦というと,EPが少なくなったときの窮余の策みたいに思われるが,コマンドウルフでは切り札だ

 第三次クローズドβテストでは当初,第一次,第二次クローズドβテストと同じく,共和国は「ゴドス」「カノントータス」「ダブルソーダ」「ガイサック」「バリゲーター」「ゴルドス」で,ガイロス帝国は「モルガ」「イグアン」「シンカー」「ゲーター」「ヘルディガンナー」「ヘルキャット」と,両陣営共に6種類ずつしか機体が用意されていなかった。
 そのため,テスト開始直後は失望の声も少なくなかったのだが,前述のメンテナンスにより,共和国に「コマンドウルフ」,帝国側に「レッドホーン」,そして両陣営共通で「グスタフ」が追加された。いずれもMサイズだ。コマンドウルフはアーバインの愛機,グスタフはムンベイの愛機として,アニメにも登場した有名な機体である。レッドホーンも,おもちゃでは帝国最初の電動ZOIDSとしてリリースされた古典的名機で,アニメでも第4話「ふたりの用心棒」を皮切りに何度も登場している。
 このうち,最も有力なのはコマンドウルフだ。接近戦で強大な力を発揮する「エレクトロンバイトファング」があるうえ,強力な「8連装ミサイルポッドC」を装備できる。コマンドウルフを大量配備すれば,共和国側プレイヤーは勝ったも同然である(後述)。レッドホーンも「8連装ミサイルポッドA」をはじめとする強力な武装が多く,HPも高いが,動きが遅いためにミサイルの連発を食らいやすい。また,グスタフはそのままだと戦闘に出せないほど非力だが,換装パーツで大型キャノンを装備すれば,カノントータスやモルガの代わりに遠距離攻撃用として活用できる。
 いずれにしても,今回のテストではコマンドウルフが最強のZOIDSになっていた印象。これから先,アニメやほかのゲームで登場した,より強力なZOIDSが登場したときに,このバランスがどう変化するかは気になるところだ。

 

グスタフはそのままでZOWに投入すると,体当たりしかできない。使うなら,換装パーツは絶対装備しよう 飛び道具の種類が多いレッドホーンだが,「クラッシャーホーン」もなかなかの強さを誇る

 

 

巨砲時代からミサイルの時代に!
新兵器でバランスが変化

 

ミサイルはどれも攻撃力が高く,命中率も低くない。これが連続でくると1ターンで全滅もあり得る

 MISSION数は前回テスト時と同じだったが,そのバランスは大きく変わっていた。というのも,MAP兵器であるミサイルが導入されたからだ。今までも「ミサイルシート」などミサイルそのものは存在していたが,あくまで敵単体に向けてのものだった。
 しかし,コマンドウルフ用の8連装ミサイルポッドCやレッドホーン用の8連装ミサイルポッドA,ゲーター用の「全方位ミサイルセット」などは,攻撃範囲内にいる敵ZOIDS全部を攻撃できるという脅威の存在である。攻撃範囲が広いのみならず,命中率も高く,そのうえ敵に与えるダメージも大きい。とくに,これまでは索敵ぐらいにしか使い道のなかったゲーターは,ミサイルを装備することによって攻撃の主力にのし上がった。
 逆に,モルガやカノントータスといった大型の砲を装備してきたZOIDSは,これまで密集した隊形で敵に連続攻撃するという攻撃パターンを得意としてきたが,攻撃範囲に入る前にミサイルの波状攻撃で撃破されるケースが増えてしまった。
 これからは,まずミサイルを装備できる敵ZOIDSを見つけしだいそれを最優先に攻撃。ミサイルの撃ち合いで,先に敵ミサイルZOIDSを全滅させた側が王手ということなりそうだ。
 となると,ミサイルに対抗する新兵器を実装するか,ミサイルの破壊力を弱めるかしない。結果,戦略がワンパターンになってしまうのではないかという懸念もある。このあたりがオープンβサービスで,どう変わっているかは注目だ。

 また,第二次クローズドβテストでは「高度」コマンドで空中移動できるようになったシンカーが,再び地上限定のユニットになっていたのは,少し気になった点だ。ちなみに,空中戦ZOIDSという設定があるダブルソーダは,今回も高度コマンドなしであった。  空中に浮かばれると対空兵器でしか攻撃できないので,バランスが悪くなると考えた結果なのかもしれないが,もしそうであるなら,このあたりの施策は少しちぐはぐなものに思えた。
 というのも,バリゲーダーだけができる水中攻撃は健在のままだからだ。しかも,帝国側には対水中用の武器が少ないため,「レイクコロニー」あたりのマップで水に入られたら勝ち目はない。新しいZOIDSの追加により,バランスはまた変化するのだろうが……。

 メンテナンス後に変化した点にはこのほか,シングルプレイの敵配置もある。これまでは,ひとかたまりに密集していたのだが,今回はマップのあちこちに点在するようになった。索敵していないユニットは半透明なので,どこに敵隊長機がいるのか分からない。やりこめば,どこに何がいるか覚えられるのだが,最初のうちはどこにどのZOIDSを何機向かわせるか,作戦を考える楽しみが増えた。
 シングルプレイは基本的に,マルチプレイに向けての修行の場といった色合いが強いため,マップの特徴の確認や経験値獲得といった単純作業になりがちである。そういう意味では,こういった仕様変更により,プレイヤーが緊張感を持ってゲームに臨めるのは好ましいといえるだろう。これをもう一歩進め,敵ZOIDSの配置や敵隊長機の位置のバリエーションも,増えることを期待する。

 

近接している敵には攻撃できないが,攻撃範囲はこんなに広い。範囲内の敵ZOIDSはみんな攻撃対象だ。 攻撃が命中すると,各ZOIDSにダメージが表示される。半端に集まっていると一網打尽にされかねない

 

 

3度のクローズドβテストで,
ようやくスタート地点に到達か

 

このマルチプレイではまさか相手がレベル27の猛者だとは知らなかった。結果は,こちらの部隊が見事に全滅

 マルチプレイにおける,MISSIONのレギュレーション変更は前回とほぼ同じで,「作戦内容」「演出DEMO」「ターン数」「総出撃数」などを調整できた。とくにスムースなゲーム進行のためには,演出DEMOのオフが欠かせない。サポートパイロットのセリフは,シングルプレイで楽しめばいいだろう。
 マルチプレイの参加者は,今回も少なかった。やはり,ZUにコミニュティ機能がないため,対戦相手を探すにはZOWを起動するか,ほかの掲示板などを利用するしかないのが,その大きな原因であるように思える。ZOIDSファン同士が気軽にマルチプレイを楽しめる環境が,一刻も早く整備されることを期待したい。

 マルチプレイでは,システム全般がブラッシュアップされて遊びやすくなったぶん,やりこんでいるプレイヤーが多くなった印象を受けた。だがそれに応じて,やりこんでいないプレイヤーとの差が顕著に表れていたのも事実だ。
 毎日ZOWをプレイし,帝国か共和国側いずれかに専念しているプレイヤーは,ZOIDSもアバターも高レベルとなり,武装も充実している。そういう人と,始めたばかりの人が対戦することになると,結果は明白である。
 こうしたケースを回避すべく,マッチングシステムに工夫が凝らされているオンラインゲームも多いが,本作ではルームに入った時点では相手のレベルすら分からない。もちろん,ゲーム開始前にチャットで互いのレベルを確認することも可能だが,面倒に感じる人もいるだろう。せめて,「Unit Name」のところにプレイヤーの名前だけでなく,アバターのレベルが表示されていれば,初心者が瞬殺されてゲームを楽しめないようなケースを回避できるように思うのだが……。

 また,時間の都合で確認できなかったのだが,テスト終了の7時間前(9月15日午前10時),「チャットコンソール」という機能がZOWに実装されたようだ。ZUに掲載されていた説明によると,「予めフレンド登録したユーザー様同士でチャットで出来る機能です。フレンド登録の方法は、マルチプレイによる対戦中に、画面左端のプレイヤー情報枠をクリックする事で行えます」というものだったようだ。
 だが,平日である金曜日の日中にこれを体験できた人はどれだけいたのだろうか……。おそらくオープンβサービスでは,スタートした段階でこの機能を使えると思われるので,そこであらためてチェックしてみたい。

 第三次クローズドβテストでは,サポートパイロットと有名ZOIDSが追加され,発表会で明らかにされたゲーム内容は一応揃った形だ。テストを重ねながら,少しずつ改良が加えられ,オープンβサービスに向け,スタートラインに立ったといったところだろう。
 今後も,ZOIDSファンを満足させるべく,さまざまなコンテンツが追加されると思われる。そのときにゲームバランスが変わってしまうのは致し方ないところではあるが,クローズドβテストでは新要素が追加されるたびに,あまりにドラスティックなバランス調整が行われてきた印象が強い。そういう意味では,このあたりのさじ加減がどう進歩していくのかも注目したいところだ。
 明日(10月17日)には,オープンβサービスが始まる。これまでのテストでは,開始直後にさまざまなトラブルが発生し,その段階でテストへの参加を諦めてしまった人も少なからずいた。オープンβサービスでは,このようなつまずきがないことを願いたい。

 

全滅で負けても,敵ZOIDSを倒せればレベルアップはできる。が,レベル差があるとなかなかそれも難しい 隊長機も撃破されると出撃できなくなる。一度ZOWを閉じて,ZUのサイトで隊長機を変更する必要がある

 

登録した相手とだけチャットできるのはいいが,その前にマルチプレイに参加する人がいないと…… 残りターン数と持ち時間も表示されるが,左上のダイアログとかぶっているので蛇足に思えた ゲーム全体の戦況は,以前から共和国有利だったのだが,コマンドウルフ効果で拍車がかかった

 

 

タイトル ZOIDS ONLINE WARS
開発元 翔泳社 発売元 タカラトミー
発売日 2006/11/07 価格 N/A
 
動作環境 対応OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0b以降),Penrium 4 1.3GHz以上[Pentium 4 1.7GHz以上推奨],メモリ512MB以上,グラフィックスメモリ32MB以上[64MB以上推奨],HDD空き容量:2GB[2.5GB以上推奨]

(C)1983-2006 TOMY (C)ShoPro・TV Tokyo
ZOIDS is a trademark of TOMY Company, Ltd. and used under license.

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http://www.4gamer.net/review/zoids_ol3/zoids_ol3.shtml