■長い耳はもちろん,髪型や肌の色もエルフ独自
Flowerのヘアスタイルを選んだエルフ。2Dクライアントで見ると,こめかみあたりに可愛らしい花が |
当サイトでも過去に何度かお伝えしているが,「ウルティマ オンライン」(以下,UO)の新拡張パック「ウルティマ オンライン 宝珠の守人」(以下,宝珠の守人)が導入されてほぼ1か月が経過した。
導入当初は各種クエスト,ダンジョンともに大変な混雑で,順番待ちに耐え切れないユーザー間の口論なども見られたが,今はようやく落ち着いた感がある。なお拡張内容全般については,発表会時のニュース記事や開発者インタビューで確認してほしい。
魔道師モンデインの宝珠が砕け散ったときから,その身を隠してしまった森の住人「エルフ」。ある者達は人間を憎みながら地下へ潜り,ある者達は人間との共存を望み,ひっそりとブリタニアに暮らしていた。北欧/西欧の物語では自然を愛し,自然と通じ,美しい容姿と長い寿命を持つ生き物として知られるエルフが,ブリタニアの大地にもらたしてくれた恵みと謎を追ってみよう。
UOそのものの紹介と,今までの長い歴史については,ここではとても説明しきれないので置いておくとして,まず,宝珠の守人ではご存じのようにマイキャラクターとしてエルフが選べる。キャラクターメイキングの段階からエルフについて紹介していこう。
エルフのトレードマークといえば長い耳だが,UOのエルフもご多分に漏れず,髪からのぞく耳は長く尖っている。スキンカラーの選択肢はヒューマンとだいぶ異なり,浅いブルー,漆黒,鮮やかなグリーンと珍しい取り合わせのカラーチャートから選べる。
髪型も独特だが,とくに人気なのが女性エルフ専用の「Flower」。名前のとおり花の髪飾りがついたもので,各種頭部装備をかぶっても外見に反映されず,常にこのFlowerが表示されるため,愛らしさを損なわないのが人気のポイントだろう。
こうした特徴を生かし,ブルーの肌に緑の髪でも組み合わせれば,2Dクライアントで見ても一発でエルフと見分けられるキャラクターが作れる。
エルフも選べるようになった,新しいキャラクター作成画面。それぞれの種族の特徴も説明がなされている |
エルフは髪型,髪の色ともかなり独特。ただし肌の色との組み合わせを間違えると,派手を通り越して少々気持ち悪い外見にもなる。ここはセンスの発揮しどころだ |
ヒューマン>エルフへの転生は,難しくはないのだが,かなり面倒。まずはクエストを受けるに先だって,転生させてくれるエルフからとてつもなく長〜いお話を聞く必要あり |
見た目には反映されない部分だが,エルフはいくつかの独自能力を持ち合わせている。夜目が効く「NightSight」,マナ上限の高さ,「エネルギー抵抗最大値」の高さなどは一般的なRPGの設定っぽいが,UOのエルフはそれに加えて,自然を愛するエルフらしく「特殊資源を発掘しやすい」という能力もある。
NightSightの有無は些細な違いに思えるかもしれないが,例えば装備のとても良い組み合わせを考えついても,どこかにNightSightボーナスを持つアクセサリーを着けるために妥協を強いられることもあるので,けっこうバカにできないメリットである。
プレイヤーの好みにもよるが,マナの高さを活かすならば魔法をガンガン使う純粋メイジか,スペシャルムーブを連発する戦士に向いている。
一方,特殊資源の採掘が有利な点を重視するならば,生産系の道を歩むのも手だ。試しにヒューマンとエルフで同じ土地を1000回掘ってみたのだが,採掘できた「宝石」はヒューマンで2個,エルフで4〜5個であった。一応2倍もの量と言えるが,エルフを選んで生産系キャラクターを育てるメリットと言い切るには,いささか微妙な数字である。
レベル/ジョブ制でなくスキル制を採るUOでは,たとえ生産系スキルを絞っても,1キャラクターですべてのスキルに習熟することは難しく,どうしてもキャラクタースロットを消費してしまう。UOを長く楽しんできたプレイヤーならば,4個のキャラクタースロットはまず間違いなくいっぱいのはずだ。
そうした事情を考慮してか,宝珠の守人には既存のヒューマンキャラクターからエルフに「転生」できるクエストが用意されている。逆にエルフからヒューマンへの転生も,別のクエストで可能だ。
エルフへの転生クエストに戦闘能力はさほど必要ないので,生産系キャラクターでもできないことはない。ただ,手順は思ったよりも多く,各地に出向くことになる。一部危険な地域も通過するため,戦闘能力が低いキャラクターで挑むなら,仲間の協力を求めたほうがよい。
下に画面で示した三つ以外にも,お腹のすいた熊クエスト,狼退治クエストなどさまざまなクエストが待っている。すべてを完了させたら,最初に話してくれたエルフに再度話しかけて,転生は終了となる。転生時にはすべての装備を外し,騎乗動物からも降りておこう。
■最初から死ぬ覚悟が必要な新ダンジョン
Twisted Wealdのボスモンスター「Dread Horn」を,実に35分をかけて,ようやく討伐。帰りはこの後の画面に出てくる船で一直線だ |
宝珠の守人では,ブリタニアの各地に新ダンジョンが9か所追加された。これについては発表会などで「DOOMよりツラい」と述べられていたが,恐るべきことにそれは冗談でも何でもない。
ダンジョンによっては通路がひどく狭いうえに,トラップが仕掛けられていることもある。また,中にいるモンスターの強さも半端ではなく,キャラクターの抵抗値がMAXでも,一撃で70近いダメージを受けたりする。音楽スキル「沈静」が効かない敵もいるのが,さらに凶悪なところだ。結論として5回や6回の死亡,はたまたパーティの全滅は,最初から覚悟しておく必要がある。
これまでのダンジョンはデキるプレイヤーが3,4人いればほとんど制圧できたが,新ダンジョンに限っては最低6人,できれば10人くらいのパーティ編成が望ましいだろう。
そして従来,モンスター狩りにおいては最強キャラクターといえたテイマーやメイジも,新ダンジョンでは補佐に回るほかない。パラディンやネクロマンサー剣士などの前衛と,後衛のメイジのバランスを考えて構成しないと,これまたあっけなく全滅してしまうからだ。
また,ダンジョン深部にいるボスモンスターを狙うなら,トータルで2時間はかかることを覚悟したい。これは敵が強いのもさることながら,宝珠の守人で導入されたボスが,生産系キャラクターにとって重要な「上級レシピ」に示される素材を落とすため,順番待ちも多いのがその理由だ。
マラスのダンジョンは,その名もズバリLabyrinth。入り口両脇には牛の頭に人間の体を持つミノタウロスの彫像が立つ。ここに出現する「Rend」は,抵抗力100のキャラクターに70近いダメージを与える攻撃力の持ち主。HPの少ないバード,メイジ系キャラクターなら一撃で死亡する |
こちらはトクノアイランドから行けるThe Citadel("城塞"の意)。このダンジョンに入るまでには,複数の手順を踏まねばならない。隠し扉を抜ければ,通称"ニンジャ屋敷"に到着だ | The Citadelの1階層めの通路は狭い。そこの10数人の忍者が出るため,パーティの連携は必須。通路中央にはトラップがあるので,左側を歩くのがコツだ。メイジより戦士系キャラが3人は欲しい |
白い角を持つ,ユニコーンのようなモンスターがボスのDread Horn。といよいよ対峙 | それなりの装備で固めて戦いを挑んでいるのだが,斬っても斬ってもHPが減らない…… |
■好きなときに気軽に参加できる「寄付」システム
ムーングロウ島の中央にある"ロイヤルズー"は,テイマーのための寄付システム。現金も歓迎らしいが |
戦闘キャラ/非戦闘系キャラを問わず,空いた時間にちょっとできるのが「寄付」システムだ。
ヴェスパー博物館(Museum of Vesper),ムーングロウの王立動物園(Britannia Royal Zoo),ブリテイン図書館(Britain Public Library)の3か所では,それぞれ特定のアイテムの寄付を募っており,アイテムの種類と数によってポイントがもらえる仕組みになっている。このポイントが一定以上溜まれば,それぞれの建物でしかもらえない特別褒章と称号を手に入れられるので,全種類のコンプリートを目指しているプレイヤーは多い。
例えばヴェスパー博物館で寄付が求められる材木関連は,7種の材木に加えて,大工道具が寄付リストに入っている。寄付ポイントは最も簡単な「wood board」が1枚1ポイント。採取率が低い板になるにつれて上がり,最大48ポイントにもなる。大工道具は一律4ポイントだ。
材木は丸太のままでは寄付できず,板に加工してあることが条件のため,ヴェスパー博物館を訪れる多くのキャラクターは力持ちの生産系だろう。しかし褒章をもらうためには最低でも10万ポイントが必要であり,荷ラマやビートルといった動物に,限界まで材木を積んだとしても,一度に寄付できる数には限りがある。
いずれにせよ何度も往復する必要があるので,根を詰めて一気に進めるより,空いた時間にコツコツとやるほうがよいだろう。そもそも原材料を集めるための木こり作業は,孤独で寂しい……。
ムーングロウ動物園では動物の寄付がメインのため,テイミングスキルが必須。ほかの2か所と大きく違うのはブリテイン図書館で,寄付を受けるNPCの数と寄付できるアイテム種類がダントツに多い。注意してほしいのは,同じNPCに寄付しないとポイントが分散してしまい,せっかくの努力が実らないこと。
ブリテイン図書館では動物の皮,武器/防具,生魚に秘薬に地図まで,さまざまなアイテムの寄付が可能なため,それこそ戦闘系/非戦闘系を問わずに参加できる。
80万ポイント溜めるともらえる褒賞アイテムの「メガネ」は,超レアアイテム扱いでとくに人気が高い。キャラクターの外見もさることながら,各抵抗値が10〜20%アップ,ステータス値のうちどれかがが5〜10アップ,さらに耐久性が255と,すこぶる優秀なアイテムなのだ。宝珠の守人導入直後に,アイテムではなく現金(GP)で一気に寄付を行い,メガネを手に入れたプレイヤーがいるが,その寄付の金額は,なんと1200万GPにもなった。
先を急がないのであれば,1年計画で80万ポイント溜めるというのはいかがだろうか。
ヴェスパー博物館は無人。紫の箱をクリックすると寄付リストが開く。ユーザーが寄付すればするほど,空っぽのディスプレイコンテナにアイテムが増えていくらしい | ブリテインの街中にある図書館は,寄付に参加する前に専用のクエストをクリアする必要がある |
■エルフの街のクエストで,新アイテムのレシピを入手
これまでは緑色のにごった沼地だったユーは,エルフの登場により美しい緑の森に姿を変えた。町の真ん中にはハートウッドへの出入り口となるゲートが出現 |
宝珠の守人ではプレイヤーキャラクターとしてエルフが選べるようになったのみならず,当然ながらエルフ達が住む新しい地域も追加されている。
辺境の地「ユー」の中央に突然出現した門こそが,エルフ達の街「ハートウッド」への入り口だ。ユーは周囲に特別何もない場所で,ほとんど通りかかる人もいない寂しい場所だったが,最近はハートウッドへの出入りで大賑わいである。ハードウッドの街内部からはリコール(移動魔法)が効かないのも,その理由の一つだろう。
中に一歩入ってみればそこはエルフが住む常春の街。ブラブラ歩いているだけでさまざまなエルフが声をかけてくるはずだ。
「仕事を探してるのかい?」
「ちょっとお願いしたいことがあるんです」
もし名前の下に「クエスト」とあれば,彼らに話しかけてみよう。頼み事の難度はさまざまで,「人間の衣装に興味があるから10個もってきてくれないか」といった簡単なものもあれば「ドレッドスパイダー20匹殺してほしいんだ」といった戦闘系のものなど,多種多様である。同じエルフでも,話しかけるたびに違うクエストを依頼する場合もあるので,これは無理だと感じたら,一度断って再度話しかけるのもOKである。
戦闘系ならば,決められた数のモンスターを倒した時点で,クエスト完了の音楽が鳴るので報告に行こう。アイテム系のお願いの場合,バッグの中に頼まれたアイテムを入れた状態で自キャラをクリックする。その後「クエストアイテムを指定」を選んで,指示されたアイテムにカーソルを合わせていく。
そしてクエストをくれたエルフに再度話しかけると,カラフルに染色されたバッグが自分の荷物に加わるので,中身を見てみよう。小さな白い巻物が入っていたらそれは「レシピ」だ。
大工系のクエストならエルフ風家具のレシピ。裁縫系のお願い事ならエルフ専用装備のレシピが入っているはず。レシピの中でも出現率が非常に低い「上級レシピ」で作れるアイテムは,プロパティとボーナス値が高い,まさに一級品だ。自分で装備してもよいが,物によってはファンサイト上の(ゲーム内通貨による)アイテム売買掲示板で取り扱われるほどの人気商品なのだ。
宝珠の守人については,ユーザーカンファレンスで「どんなプレイスタイルでも,必ず新要素のどれかを楽しんでもらえるようになっている」との説明があったが,その言葉に偽りはなかった。まったりプレイしたい人にはそれなりの,本気で取り組みたい人には難度が高く達成感も大きい課題が,きちんと用意されている。
拡張パックが実装されるたびに大きく変化し,しかしながら決して既存プレイヤーを失望させることのなかったUO。プレイヤーがUOに何を求めているのかを把握してるからこそ,8年という長期サービスを実現できているのだろう。
まだまだ終わらないUO,その最新の形である「ウルティマ オンライン 宝珠の守人」に,ぜひ触れてみてほしい。
やたら気軽に頼み事をするエルフ達。たまに無理難題をふっかけられ,その割に納得のいかない報酬の場合もあるので注意したい。そんなときはいったん断って,別のクエストを受けるのも手だ | 生産系クエストは「○○○を××個持ってきてくれないか」といった単純なものが多い。報酬には必ずレシピが入っているわけではなく,重複することもしばしば。プレイヤー同士で交換するのもよい |