― プレビュー ―
交易を軸にPKとPKKを組み込んだ,基本料金無料のアクションRPG
SiLKROAD ONLINE
Text by 川崎 政一郎
2005年11月4日

 

■シルクロードをテーマにした,3DタイプのアクションRPG

 

本作は長大なシルクロードをテーマにしたMMORPG。アジアから中東を経てヨーロッパに至る道程で,景色や文化などが移り変わっていくのが魅力だ

 今回紹介する「SiLKROAD ONLINE」は,韓国Joymaxが開発し,ゲームオンが国内展開を行うMMORPGである。かつて中国と地中海世界を結ぶ形で栄えた交易路"シルクロード"を軸に,ここで活動するさまざまな立場のキャラクターにスポットを当てた内容となっている。
 またフル3DのMMORPGでありながら,基本料金無料+アイテム課金というビジネススタイルで展開されるのも大きな特徴だ。

 まずはゲームシステムの概要を説明しておこう。単刀直入にいうと,本作は,ハック&スラッシュタイプの3DアクションRPGである。クリックで移動,ダブルクリックで攻撃,そしてショートカットに登録したスキルを駆使して戦うという,もはやマニュアルすら不要の定番スタイルだ。
 キャラクターの作成は,それぞれ個別のバックストーリーを持つ男女26名をベースに,体型や身長などをカスタマイズして行う。固定されたクラスといった概念はなく,冒険中に得られるスキルポイントを割り振ることで,さまざまな方向へと育成が可能だ。このあたり,少しややこしいので,詳しく解説しておこう。
 本作には,武器系3種(剣,槍,弓),魔法系4種(炎,氷,雷,回復)の,合計7種類のマスタリー(系統のようなもの)がある。キャラクターが戦闘をこなしていくと,レベルアップに必要な経験値とは別に,マスタリー用の経験値が溜まっていき,これが一定まで溜まることで,"スキルポイント"を1獲得する。このスキルポイントを割り振ることで,マスタリーのレベルをどれか一つ上げられる。マスタリーのレベルが上がると,該当する攻撃のベースダメージ(もしくは回復量)が増大する。

 

移動や戦闘時など操作の大半は,クリックで行える。また画面下にスキルなどをショートカット登録できるなど,比較的オーソドックスなインタフェースだ MMOタイプだが,拠点とその近辺のエリアを含めた,かなり広い規模でゾーンが構成されている。そのためゲーム中のローディング回数は少ない 3種類に大別される武器には,それぞれ違った特徴がある。写真の槍タイプは中距離からの攻撃が可能で,同時に複数の敵に貫通ダメージを与えられる

 

 本作で特徴的なのが(そしてこのシステムを複雑にしているのが),"スキルポイントは,マスタリーのレベルを上げるためだけのものではない"ということだ。マスタリーレベルが一定まで上がると,そのマスタリー専用のスキルに,このポイントを割り振れるようになる。例えば「剣」マスタリーをレベル5まで上げると,さらにスキルポイントを1消費して,「飛天一剣」を取得できる(Lv1にできる)というわけだ。この場合,スキルポイントはマスタリーではなくスキルに費やしているので,マスタリーとしてのレベルは5のまま。このあとまたマスタリーに2ポイント割り振り,剣マスタリーがレベル7になると,今度は「飛天一剣」をLv2にでき……というわけ。
 もちろんほかにもスキルはあるから,どのマスタリーのレベルを上げるか,どのスキルを取得し伸ばしていくかなどで,個性が出てくる。すべてのマスタリーを極めるには途方もない時間がかかるので,実際には,「剣+炎」「弓+氷」といったように,武器と魔法とで一つずつのマスタリーを集中的に育てていく人が多いだろう。

 ゲームの開始直後にキャラクターが降り立つのは,シルクロードの東端となる,中国の長安(現在の西安)。序盤はこの近辺でレベルアップに励み,キャラクターが成長するにつれて活動範囲は西へ西へと広がっていく。
 本作はシルクロードを舞台としているため,西域の敦煌を経て,ゆくゆくはイスラムやヨーロッパ圏にまで達するという。これによる世界観の移り変わりが本作の大きな特徴で,例えば長安を拠点としている間は,建築様式やアイテム,そしてモンスターなどから,武侠的な要素を強く感じられる。しかしゲームが進展して西方へ移動していくと,これらの雰囲気は徐々に変わっていき,いずれはヨーロッパに近づいて,いわゆるファンタジー的な世界観となるのだ。
 そのためプレイヤーは,一つのゲームでありながら,東洋と西洋の両方の世界観を味わえるわけである。

 ゲームバランスは,ソロプレイでもキャラクターを育てていけるように調整されている。
 基本的なゲームプレイはDiablo風で,クエストも,"藁人形を30匹倒せ" "白虎を40匹倒せ"などアクションRPGではお馴染みのタイプ。あとはHPやMPの回復ポーションをがぶ飲みしながら,モンスターとの戦いに明け暮れることになる。
 本作ならでは(というほどでもないが)のシステムとしては,"闘神モード"の存在が挙げられる。これは,戦闘時に得られる"破魂"を一定量溜めることで,戦闘能力を一時的に大きく向上させられるというシステム。闘神モードの最中はかなり痛快で,単調な作業となりがちな戦闘に,メリハリを与える要素となっている。

 

武器による攻撃に魔法を組み合わせると,より強力になる。写真は,鈍化効果が付随する氷系の魔法を使用中。これは弓との相性がとても良い スキルポイントを割り振ってマスタリーのレベルを上げていくと,対応する武器でのベースダメージが増大して,専用のスキルも習得可能となる 同じタイプの敵でも,時折"チャンピオン"や"ジャイアント"といった,強力なものが登場する。闘神モードは,このような状況まで温存するといい

 

26人が用意されたテンプレートの中には,オーソドックスな冒険者のみならず,眼鏡っ子(眼鏡が発明されたのって,もっと後の時代じゃ……)やキョンシーといったユニークなものも。キャラクターデザイン全般に関しては,我々日本人も違和感を感じないだろう

 

 

■商人,盗賊,ハンターの3クラスが絡み合う交易システム

 

商人はシルクロードを実際に旅しながら,交易品を運ぶことを主な仕事とする。ちなみに,背中になびく三角の旗が,商人であることの証だ

 このように,本作の基本システムは実にオーソドックスで,とくに序盤においては,特筆すべきことはほとんどない(つまり,それはそれでよく出来ている)。本作の本当の魅力が見えてくるのは,キャラクターがレベル20まで成長し,商人,盗賊,ハンターのいずれかのクラスに就いてからである。
 これらの3クラスは,それぞれがシルクロードでの"交易"に深く関わりながら,それでいてまったく異なるプレイスタイルを実現しているのだ。

 商人は,とある地域で購入した特産品を,別の地域で販売できるクラス。街から街へと自ら荷馬車を引いていき,無事に目的地で商品を売りさばけば,その差額が丸々自分のものとなる。
 特産品の相場は拠点ごとにリアルタイムで変化するため,うまくいけば巨万の富を獲得できるが,当然,"うまくいかない"こともある。道中には,モンスターや敵NPCとの遭遇など,さまざまな危険があるからだ。商人自身の戦闘能力はあまり高くなく,また同時に荷馬車も守らねばならないという負担があるため,彼らをはねのけ,交易を成功させるのは簡単ではない。

 この敵の多い商人を,狙って襲うキャラクタークラスが,盗賊である。彼らは,商人や荷馬車を襲撃して金品を強奪するのが"仕事"という,PKをメインに据えたクラスとなる。本作の盗賊は一匹狼のアウトローではなく,強奪した金品を流通させる"盗賊村"が存在するなど,彼らなりの社会が形成されているのが面白い。

 だがしかし,商人もやすやすと盗賊に倒されるわけではない。道中の安全のために,もう一つのクラス"ハンター"を雇うことが可能となっている。
 ハンターは,盗賊を撃退する能力に秀でており,護衛役としての報酬によって生計を立てるわけだ。見方を変えるとハンターは,シルクロードの秩序を守るPKK的な存在といえる。

 各クラスに就く方法は,なんと,レベル20以上まで育てたキャラクターに,専用の装備品を身に着けさせるだけ。ユニークなのは,装備品を替えれば,その場でクラスも変わるということ。三つのクラスはそれぞれプレイスタイルが大きく違うので,一人のキャラクターでさまざまなプレイスタイルを楽しめるのはありがたい。
 ただし盗賊に限っては,商人へのPK行為を繰り返すと"手配犯"となり,他クラスに就けなくなったり,死亡時に大幅なペナルティが発生したりする。

 商人なら"交易",盗賊なら"襲撃",そしてハンターなら"護衛"といったそれぞれの目的を達成することで,クラス別の経験値が溜まっていき,それによってランクが上昇する。そしてランクが上がるほど,各クラスの仕事を行いやすくなるわけだ。
 このように,交易を軸にした3クラスの関係を,ゲームシステム側でサポートしているのが本作最大のポイントといっていい。交易に絡むPKとPKKの関係は,「ウルティマ オンライン」や「大航海時代 Online」にも存在するが,アクションRPGのジャンルでこれを実現したのは,本作が初ではないだろうか。

 

商人のキャラクターが,長安で交易品を買い込んでいるところ。これをほかの拠点へ無事に持っていければ,莫大な富を生み出すのだ 長安を出立するやいなや,NPCの盗賊に襲われてしまった! 商人の戦闘能力は高くないので,交易品を守るため慌てて逃げる 盗賊用の装備品を身につけてみた。いかにも"裏稼業"といった雰囲気の,全身黒づくめの格好となっている

 

盗賊村へ行くには,長安の外れにある遊郭で2000ゴールドを支払う。βテストでは閑散としていたが,オープンβ以降は賑わうことだろう 装備品を替えるだけでクラスを変えられるのは面白い。これはハンター用の装備品"三輪"を身につけた状態で,周りからも一目でそれと分かる 長安から敦煌へ,西へ西へとシルクロードを旅する。この間の移動に要する時間は,大体1〜2時間といったところだ

 

数々の名所にも注目。この黄河は長安と敦煌の中間地点にあり,この先ではこれまでより強力なモンスターが出没する 荷馬車も守らねばならないため,商人の一人旅は危険きわまりない。同じ商人の仲間を探すか,ハンターを雇うかしないとリスクが高すぎる 健闘するも敵わず,盗賊に倒されてしまった。地面に横たわる死体と,散らばる交易品の数々。盗賊のほくそ笑む顔が目に浮かぶ……

 

 

■レベル20からがゲーム本番。アイテム課金にも要注目

 

商人にとっては,仲間が一人増えるだけでも旅路の安全性が飛躍的に高まる。そのためハンターとして生計を立てるのも,十分に現実的だ

 レベル20の商人で,何度か交易を行ってみた。具体的な手順としては,中国の長安で磁器などの特産品を荷馬車へぎっしりと詰め込み,西に針路をとる。そして黄河を渡り,西域の敦煌で売りさばくというものだ。
 黄河より西に出現するモンスターは,レベル20の駆け出し商人にとっては,かなり手強い。そのため何度か失敗に終わってしまったが,幸いなことにハンター役を買ってくれるプレイヤーを発見し,無事に敦煌へとたどり着けた。
 このときに敦煌で売りさばいた交易品の価格は,なんと購入時の4倍弱という高額だった。結果として一挙に数万ゴールドを獲得し,ここからハンター雇用分(事前に約束した金額。実は微々たる額で引き受けてくれた)の費用を差し引いた額が自分のものとなった。
 このように運良くたどり着ければいいが,もし他プレイヤーが操る盗賊に遭遇したら,交易品を丸ごと失ってしまう危険性がある。しかし,だからといって高レベルのハンターを大勢雇ってしまうと,その費用分,交易のうまみが減ってしまう。このあたりのリスクとリターンの見極めが,商人における面白さのキモだと感じた。

 クローズドβテストでは,3クラスの人数にばらつきを感じた(圧倒的に商人が多い)が,これは参加数が限られたテストのため,ある程度仕方がないだろう。少し考えれば分かると思うが,何かのクラスが少ないということは,イコールそのクラスでは商売敵が少ないわけで,極端な場合,そこで生じる利益を独占できる可能性も生じる。
 オープンβテストや正式サービスで参加人数が増えれば,いわば"神の見えざる手"によって,このあたりのバランスは次第に適正幅に収まるはずだ。

 なお,この三つのクラスに就くための条件,つまりレベル20に達するには,ある程度の労力が必要というのは覚悟してほしい。レベルが1桁台の頃は,それなりに速いペースで経験値を獲得できるが,レベル10を超えたあたりから,適正なモンスターを倒して得られる経験値が,次のレベルアップに必要な総経験値の0.2〜0.4%ほどになる。つまり,250〜500程度のモンスターを倒して,やっと1レベル上がるわけだ。
 具体的にいうと,レベル20までキャラクターを育てるには,一般的なプレイヤーであれば10日前後,集中的にプレイを行って,4,5日というところだろうか。
 対人戦をメインに据えたMMORPGには,対人戦を本格的に楽しめるようになるため,多くの時間と労力を要するものが多い。それらと比べると,本作の"レベル20から"という制限は,むしろ楽なほうだろう。本作を始めた人は,途中で諦めることなく,ぜひレベル20以降の冒険を楽しんでほしい。

 基本料金が無料のMMORPGは,今では日本でも数多く存在しているが,これまでその大半は2Dタイプであった。本作の3Dグラフィックスは,とても基本料金無料とは思えないほどのクオリティの高さで,さらに商人・盗賊・ハンターの三項対立という意欲的なシステムも導入されている。そのため本作が成功するかどうかは,いかにして初級者を,本当の意味でのスタート地点であるレベル20まで牽引するかという点にかかっている。この点さえクリアできれば,従来のアクションRPGに物足りなさを感じている読者に対して,幅広くお勧めできるタイトルとなるだろう。

 

無事に敦煌へと到着! 高価な交易品を輸送しているせいか,思わず胸をなで下ろしてしまった。次は,荷馬車を安全な場所へと移さねば 敦煌で交易品を売りさばいているところ。"市価"の値が購入時の4倍弱であることに注目。商人をプレイしていて最も気持ちがいい瞬間だ 三つのクラスでは経験値が別々に設定されている。経験を積んでいくとランクも上昇し,より幅広いクラスの活動が可能となる

 

そして商人は富を求め,シルクロードを再び西へと向かう。ベースはアクションRPGだが,あくまで交易が中心だ 経験値稼ぎはソロでも行えるが,他プレイヤーとグループを組むと,それだけで獲得経験値にボーナスがつくように ひたすら敵を倒しまくるのもいいが,たまにはクエストもこなしておくと,経験値稼ぎがより効率良く行える

 

淡い色調を多用した背景は,日時の変化と共に微妙に変化していく。また鎧も細部まで丁寧に描き込まれており,グラフィックス関連は上出来といえる 振り返ると,レベルが10から20までの経験値稼ぎがとくにキツかった。まずは三つのクラスのどれかに就くことが目標で,本格的なプレイはそこからだ 交易を主軸に,PKとPKKをここまでシステム化したアクションRPGは,これまで存在していない。商人,盗賊,ハンターの関係は,プレイしていて実に新鮮である

 

タイトル : SiLKROAD ONLINE
開発元 : Joymax 発売元 : ゲームオン
発売日 : 2005/12/21 価格 : 基本プレイ料金無料(アイテム課金)
 
動作環境 : OS:Windows98/SE/2000/XP,CPU:Pentium�� 800MHz以上 Pentium�� 1.0GHz以上,RAM 256MB以上 512MB以上,VGA GeForce2以上の3D対応 GeForce4 Ti以上の3D対応,Sound DirectX 9.0c以上 DirectX 9.0c以上,HDD 3GB以上の空き容量 3GB以上の空き容量

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