― レビュー ―
シリーズおなじみの追加パックが登場!
三國志11 パワーアップキット
Text by K.サワノフ
2006年9月8日

 

追加要素山盛りで,「三國志11」が新しい顔を見せる

 

「三國志11」のプレイヤーが待ちわびていた,パワーアップキットがついに登場。新システムに追加シナリオ,新モードなどなど,今回もたっぷり追加要素が用意されている

 2006年3月に発売されたコーエーの歴史ストラテジーゲーム「三國志11」に,パワーアップキットが登場した。シリーズファンにはもうおなじみだろうが,本作は「三國志11」をよりディープにプレイするための追加パックだ。発売から約半年後の登場というのも,いつものとおり。そろそろ「11」をしゃぶり尽くしたという人には,必須の一本である。

 さて,今回のパワーアップキットでの追加要素は,ざっと以下のようになっている。

 

・「吸収合併システム」

・「新内政施設」

・「能力研究システム」

・「決戦制覇モード」

・「新シナリオ/イベント」

・「エディット機能」

 

 これ以外にも,新たに難度調整で「超級」が選べるようになったり,研究できる技巧が増えたり,計略や戦法のバランスが調整されたりという具合に,あちこちに細かい変更が加えられている。プレイ感覚もかなり変わっているので,「11」を遊び倒した人も心して挑むといいだろう。

 

パワーアップシナリオで追加されるシナリオは,史実シナリオ4本,架空シナリオ2本の計6本。注目は「251年 1月 女の戦い」。三國志世界の美女達が各地で挙兵するという架空シナリオだが,ほかの5本と違い,これだけはある条件を満たさないと登場しない 今回追加された6本のシナリオも,一つ一つにオリジナルのオープニングムービーが用意されている

 

中国語だった武将のかけ声などが,日本語に変更可能になった。「環境設定」から「ボイス言語」で設定ができる 最高の難度「超級」が追加された。今までの難度では物足りないというプレイヤーは,ぜひ挑戦してみよう 内政に影響を及ぼす,新たな技巧が追加された。従来の技巧同様,「技巧研究」コマンドで研究,強化が可能だ

 

「機能」メニューの「編集」コマンドから,武将/拠点/勢力/部隊の各データを,自由に編集できるようになった。普通の遊び方に飽きたら,データを自分好みにいじってみるのもいいだろう。ゲーム開始前の「オプション」では,武将データのみ編集可能だ 「吸収合併」と「能力研究」には,チュートリアルも用意されている。ギャグがなくなってしまったのは残念

 

 

新システムと新型施設が追加され,奥深くなった内政

 

同じ種類の施設を合併していくことで,施設をレベルアップできる。これで,小さい都市でも,高い経済力を得られるようになった

 今回のパワーアップキットで,最も重要な変化といえるのが「吸収合併システム」だろう。もともと「11」は戦闘に重点を置いたシステムだが,そのぶん内政部分がシンプルになりすぎていた感はあった。都市ごとに用意されている空き地を施設で埋めてしまうと,後はやることがほとんどなくなってしまうのである。このため,プレイヤーからも「内政が簡単すぎる」という声が多く上がっていたようだ。

 この声に応えて生まれたのが「吸収合併システム」だ。これは,隣接して建てられている同種の施設を合併させることで,レベルアップさせていくというもの。吸収した施設はレベルが上がり,性能がアップする。市場なら収入が,農場なら収穫量が増えるわけだ。吸収された施設が建っていた場所は元通りの空き地になり,また新しい施設を建てられるようになる。これをうまく利用すれば,限られた土地しかない小さな都市でも,経済力を高められるのだ。

 合併可能な施設は,市場,農場,兵舎,鍛冶,厩舎の5種類。また,レベルは3までしか上がらない(初期状態は1),吸収される側の施設はレベル1のものだけに限る,といった制限がある。このため,施設を建てる位置や,合併する順番など,さまざまな点に気をつけながら開発していく必要がある。深く考えずに開発をしていると,合併不可能な位置に低レベルの施設を残してしまうこともある。十分に注意したい。

 さらには,空き地に建てられる施設の種類も大きく増えている。具体的には,以下の10種類が追加された。なお,闇市場以外の追加施設は,1都市に一つまでしか建てられない。

 

・闇市場

 通常の市場より安く建てられ,市場(レベル1)の8割の収入が得られる。ただし,毎年1月には撤去される。施設「造幣」の影響は受けない。

 

・大市場

 大都市のみに建設できる。通常の市場(レベル1)の3倍の収入が得られる。施設「造幣」の影響は受けない。

 

・魚市場

 港を持つ都市のみに建設できる。通常の市場(レベル1)の2倍の収入が得られる。施設「造幣」の影響は受けない。

 

・練兵所

 「訓練」の効果が大きくなる。また,「造船」に必要な期間が短くなる。

 

・符節台

 「行動力」の回復量が増加する。また,その都市にいる捕虜の「忠誠」が下がりやすくなる。

 

・軍屯農

 都市の兵士が多いほど,多くの収穫を得られる。施設「穀倉」の影響は受けない。

 

・軍事府

 「軍事」の各コマンドに必要な行動力が半減する。また,軍事施設,罠,障害物を安く設置できる。

 

・人材府

 「人材探索」,「武将登用」に必要な行動力が半減する。また,「技巧研究」にかかる期間が短くなる。

 

・外交府

 「計略」の各コマンドに必要な行動力が半減する。また,「流言」の成功率が上がる。

 

・計略府

 都市の兵士が多いほど,多くの収穫を得られる。施設「穀倉」の影響は受けない。

 

 見て分かるとおり,追加されたものはいずれもかなりクセの強い施設ばかりだ。これらのおかげで,都市をどのように育てていくかというビジョンに,より強い戦略性を持たせられるようになった。施設の建て替えの必要性も,これまでより大きくなりそうである。

 「吸収合併システム」と「追加施設」によって,「11」の内政の奥深さは大幅にアップした。今後は,プレイ中に内政要員を遊ばせておく余裕はなくなりそうだ。

 

レベルアップした施設は,グラフィックスも変化する。拡大すると細かいアニメーションがあるので,カメラを近づけて見てみよう 施設を建てる位置や合併する順番を間違えると,低レベルの施設が孤立して残ってしまうなど,まるでパズルのよう。注意が必要だ 建設できる施設の種類は一気に増えた。その都市にどんな役割を持たせるのか,しっかり考えながら開発していこう

 

 

配下の武将を育て上げる「能力研究システム」

 

能力研究の順番を表す「能力表」。矢印がつながっている順序でしか,能力資格を研究していくことはできない

 「吸収合併システム」と並ぶ,もう一つの大きな追加要素が,「能力研究システム」だ。これは正確には,「能力研究」と「武将育成」の2パートに分かれている。

 プレイヤーはまず,能力研究によって,「能力資格」を獲得する必要がある。能力資格は,大きく分けて3種類。「武+5 低」や「統+5 中」など,武将の基本能力値を高めるもの,「騎兵A」や「水軍B」など,兵種適性を上げるもの,「鉄壁」や「論客」など,新たな特技を与えるものだ。能力資格を獲得したら,今度はそれを「武将育成」で自勢力の武将に与えることにより,武将の能力をアップできる。

 研究できる能力資格の種類は50種類以上。ただし,研究できる順序はある程度決められている。最初は低レベルの資格しか研究できず,徐々に高度な資格が得られるようになるのだ。研究できる順番は,「能力表」で確認できる。ある能力資格を得ると,そこから矢印が伸びている先の能力資格の研究が可能になるわけだ。高度な能力資格がどうしても欲しい場合は,どのルートで研究していけばその資格を早く手に入れられるのか,能力表をしっかり確認しよう。

 なお,一度得た能力資格の使用には回数制限がある。例えば,知力70未満の武将の知力を+5する「知+5 低」の資格は,5回までしか使えない。その代わり,5人の武将それぞれを+5してもいいし,同じ武将に5回使ってもいい。

 「能力研究」は,「技巧研究」と違い,コマンド実行に武将は必要ない。ただし,一つの資格を研究するたびに,3〜6か月の時間がかかってしまう。また,「武将育成」には30日の期間を要し,その間その武将には命令は与えられない。

 結構な時間が取られてしまうので,弱点を補うのか,それとも長所を伸ばすのか,勢力全体のことを考えながら育成を行っていきたいところだ。

 

1回の能力研究には,3〜6か月の期間がかかる。長期的な展望を持って研究していきたい 獲得した能力資格を使って,武将を育成していく。資格には使用回数制限があるので,注意すること 研究を進めていくと,「能力表」に新たな能力が出現することも。空いてるスペースに注目だ

 

 

「決戦制覇モード」で,緊迫感あふれる戦闘を

 

パワーアップキットを導入すると,タイトルメニューで「決戦制覇モード」が選べるようになる

 さて最後に,追加された新モードについても触れておこう。「決戦制覇モード」では,用意されたシチュエーションの中で,戦闘だけを重点的に楽しめる。「虎牢関の戦い」では呂布になって,居並ぶ猛将達との連続一騎討ちに挑み,「赤壁の戦い」では呉軍を操って水上戦で曹操軍を撃破し……といった具合だ。いわば,戦闘を得意とする「11」の,とくにおいしい部分だけを味わえるモードである。

 用意されているシナリオは,全部で20。最初に選べるのは四つだけだが,クリアすると次々に新しいシナリオを選べるようになる。誰もが知っている三国志の名場面から,実際にはぶつからなかった武将同士の夢の対決まで,さまざまな戦いが待ち受けているのだ。

 シナリオの難度は,先に進むほどどんどん上がっていく。戦法,計略,各種兵器など,与えられた武器を十二分に活用していかないと,勝ち続けるのは難しい。逆に,すべてのシナリオをクリアできたら,「11」における合戦をすべてマスターしたといえるだろう。

 一通りの追加要素を紹介してきたが,今回も実に盛りだくさんの追加内容になっている。パワーアップキットによって,また新たな一面を見せてくれた「三國志11」。プレイヤーも,また気持ちを新たにして,中国大陸の統一に向かっていこう。

 

最初に選べるシナリオは4種類。クリアしていくと,どんどん新しいシナリオが選択可能になる いきなり合戦状態からスタート。プレイヤーが担当する勢力/武将は,シナリオごとに決められている 兵器中心の戦いや水上戦など,シナリオのバリエーションはさまざま。与えられた状況をよく確認しつつ戦っていこう

 

タイトル 三國志11 パワーアップキット
開発元 コーエー 発売元 コーエー
発売日 2006/09/08 価格 6090円(税込),with パワーアップキットは1万3440円(税込)
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium III/1GHz以上[Pentium 4/1.70GHz以上推奨],メインメモリ:256MB以上[512MB以上推奨],グラフィックスチップ:DirectX 9.0c以上に対応,グラフィックスメモリ:32MB以上[64MB以上推奨],解像度1024×768ドット以上

(C)KOEI Co., Ltd. All rights reserved.

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/review/sangokushi11pk/sangokushi11pk.shtml