― レビュー ―

レビューコンテストたけのすけさん作品

たけのすけさん

「ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド」

2006年11月2日

※レビューコンテストの性質上,エントリー原稿をそのまま掲載します。ただし,諸般の事情により4Gamer編集部で,必要最低限の修正を行っている場合がありますので,ご了承ください。

レースっていったらストリートだろ?!

 

 車大好き! ワイルドスピード大好き! いつかレースでNOS発動(ニトロ)したいという,PTAが聞いたら怒髪天ものの願望をお持ちのみなさん,こんにちは。
 今回取り上げる「ニード・フォー・スピード・モストウォンテッド」(以下 モストウォンテッド)は,男ならある意味ではちょっとあこがれてしまう,そんな映画チックなストリートレースの世界観を見事に再現したカーアクションだ。
 BMW M3,スープラ,ベンツ,ポルシェなどなど,その手の人にはもうお馴染みもお馴染みな車種が勢ぞろいし,三つの町を合わせた広大なフィールドでライバルをぶっちぎる。とある理由によりストリートレーサーとしての悪名を上げなければならなくなった主人公は,米国ニュースのように警察とチェイスし,時としてハリウッド映画のようにオブジェクトをぶっ壊し,よっぽどピンチだったらスタジアムやショッピングモールにつっこむなんて無茶な走りをする。子供がしているところを見たら,なぜか将来を心配してしまいそうな,人にちょっぴりやさしくなれるゲームだ。

 

 

意外と間口は広い

 

 概要はだいたい説明したが,ではどのへんまで間口の広さがあるのだろうか,まずはプレイ感覚のあたりからレポートしてみたい。
 モストウォンテッドはリアルとは程遠い非常にライトな操作感を持っている。コントローラでのプレイがやはりベストだが,非常に反応が良い。モストウォンテッドの場合は前述したように警察と過激なチェイスを行うので,この反応のよさはかなり重要だったりする。
 一度や二度のクラッシュですぐ立ち直れないような操作感だと警察の猛攻には耐えられないのだ。
 また操作方法に関しても,高度な技術を使わずともゲームは進められる。オートマ/マニュアルの切り替えは当然として,ハンドブレーキドリフト,後方確認,ニトロ,そして流行のスローモーションになるタイムブレイカーなるものまで装備している。
 ドリフトに頼らずともほかの要素で十分にカバーできる。試しにやってみたのだが,オートマでもマニュアル操作をキーに設定しておくことによりレース中マニュアル操作することが可能だった。
 また警察側はダメージにより車両が破壊されるが,こちら側は基本的に性能低下がない。警察車両に完全に押さえ込まれるか,スパイクベルト(パンクさせるトラップ)を踏まない限りバリバリ走ることができる。
 おそらくアクションゲームやFPSで遊ぶ人なら,誰でも十分に楽しめる範囲だと思われる。

 

 さてここまで読んで,じゃあこのゲームは雰囲気だけのヌルイゲームなのか? と思われたとしたらそれは誤解だ。確かにこのゲームは簡単に操作できることを目標の一つとしているのだろう,しかし面白さにぬかりはなく,警察とのチェイスは非常に熱いものがあるのだ。
 その最大の理由が,チェイス中はずっとリアルタイムでの対応を要求されるという点だ。
 主人公はある意味バカなのかもしれないが,目的なしで警察にケンカを売っているノータリンというわけではない。ストーリー上,ライバルの出す条件を満たすのが目的だ。その内容は,例えば「5分以上警察に追われてから逃げ切る」「20台以上の警察車両にぶつけてから逃げる」「5種以上の交通違反を犯してから逃げきる」といったように,いずれもまともではない。
 これらの無茶な条件をクリアするため,「ここでパトカーつぶすより,もっと溜めたほうがいいな」「このへんでトラップを仕掛けられると不利」と,刻一刻と増援やトラップをしかける警察を相手に,どう煙にまくか考える。場合によっては複数条件を達成できるときがあり,どのあたりを引き際にして逃走ルートに向かうかも重要な駆け引きになっている。へたに敵車両を引きつけすぎると,まさに一瞬の油断で事故即逮捕なんてことにもなりかねない。もちろん逮捕されれば条件を満たしたことにはならず,この緊張感が純粋に面白さを呼び込んでいる。いつしか目的達成したときの快感がやみつきなっていることだろう。

 

 

 

おしゃれさんも安心

 

 昨今のレースゲームの写実的なグラフィックスなら,できるだけ好みのデザインにしてみたい人は多いだろう。モストウォンテッドでもカラーリングは当然として,基礎ボディそのものからホイール/リアウィング/ルーフスクープ/バイナル(図柄),果てはメーカーロゴなどのステッカーも用意されている。
 試しにスープラのデザイン過程を何個かスクリーンショットを撮ってみたので,その印象の変化を確認してほしい。このときの色変更で「該当車両は赤のスープラ」のように警察側の無線が変化するのも気分の盛り上げに一役買っている。

 

 

 

最後に

 

 ニード・フォー・スピードシリーズの歴史は実は1994年から始まっており,約15作品も作られている。これはかのリッジレーサー(1993年)並に古く,その出来もその深さを感じさせる非常に遊びやすい作りになっているのが好印象だ。
 だがプレイしていくにしたがって気になることがいくつかあった。そのなかで重要な要素と思われるものを三つ挙げておこうと思う。
 一つは車の性能がトップスピード/アクセル/ステアリング三つの評価でしか分からないことだ。車の個性としてせめて車体重/車高/駆動方式ぐらいは表示してもよかったはずだ。
 もう一つは車体改造にマイナスがない,そして参加条件に“〜限定”といったものがないため,結果的にお気に入りの一台が見つかると後はレース出場車の選択は割とどうでもよくなってしまうこと。初期のミニサイズの車種など,とっておく意味はまるでないのだ。
 例えば狭い路地ばっかりの軽量限定レースとか,4WD限定オフロードコースなど,せっかくのフィールドの広さを生かしたもっと大胆なコース設定があればもっと面白くなっただろう。
 最後に広告でもプッシュされているムービーについてだ。これが目当てで購入という人はいないとは思うのだが,最初から始めると驚くほどムービーが流れる。

 

 ゲームの世界に入るという意味では美人や悪役,吹き替え,そして「あくまで主人公は画面を見ているプレイヤー」とする演出はよくできていて良いのだ。だがいざゲームが本格的に始まると延々とムービーによる会話シーンはなく,定期的にメールと留守電が入ってくるだけ。いや,ヒロインからのメールは欲しいけど,なんで悪役のあいつにまでメアドばれているのよという気持ちにもなる。そして再びヒロインの姿が見られるのはかなーり最後のほうなのだ。うーんもうちょっとバランスよくストーリーを感じさせてくれてもよかったのではといったところだ。
 では最後にこのゲームをやった人はニヤリとする言葉で締めよう。
「実際に車を運転するときはシートベルトを締め,交通ルールを守って安全運転よ」だ。

 

 

タイトル ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド
開発元 EA Canada 発売元 エレクトロニック・アーツ
発売日 2005/12/22 価格 オープンプライス
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium III/933MHz以上,メインメモリ:256MB以上,グラフィックスチップ:DirectX 9.0c以上に対応,グラフィックスメモリ:32MB以上,HDD空き容量:2GB以上

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