― プレビュー ―
スチームパンクのSF的設定も有した世界観が魅力のMMORPG
ネオスチーム
Text by デイビー日高
2006年10月4日

※本稿は9月19日(オープンβテスト)時点でのゲーム内容に準じています

 

クローズドβテスト最終日のイベントの様子。巨大モンスターを相手に,何十人ものプレイヤーキャラが一斉攻撃! さすがにこのキャラクター数ではフレームレートが一桁に……

 ハンビットユビキタスエンターテインメントの提供作第3弾となる,3D MMORPG「ネオスチーム」のオープンβテストが,9月15日にスタートした。同社は単純にローカライズした作品を運営するのではなく,積極的にクリエイターとのコラボレーションを実現させたり,プレイヤー参加型運営制度などを設けたりなど,日本独自の戦略を打ち出しつつ,テストを進めている。
 なお本作は,早ければ年内の正式サービスインが予定されており,課金方式はアイテム課金とアナウンスされている。

 本格的なレポートに入る前に,まずはネオスチームの概要を説明しよう。本作は,世界観に「スチームパンク」という異世界SFを取り入れているのが特徴だ。スチームパンクとは,現実の世界では第一線を退いて久しい蒸気機関が極端に発達して,主要な動力として使用されている世界を描いたSFの一ジャンル。大友克洋氏の作品「スチーム・ボーイ」なども,同ジャンルの作品である。

 本作では,そんな蒸気機関が生活基盤となっている世界で冒険するわけだが,ここでは「魔法」も同時に存在している。つまり,科学技術とファンタジーが同居した世界なのだ。中世ヨーロッパや古代中国風のイメージではなく,かといって完全にSF的な未来世界でもない。神秘的な大自然の中に,巨大な機械の一部が見え隠れしていたりする,一風変わった世界観のゲームなのである。

 ちなみにネオスチームとは,すでに滅んでしまった過去の科学文明が発明した,この世界特有のエネルギーだ。交通機関の燃料としてだけではなく,武器のエネルギー源として,プレイヤーもゲーム内で使用することになる。ネオスチームは,街や城にある「ネオスチーム充填機」から個人用のネオスチームタンクに充填して持ち運ぶのだが,配給量はゲーム内の1日ごとに決められているため(レベルによって配給量が変化する),無駄遣いは禁物だ。ゲームタイトルになっていることからも分かるように,ネオスチームはゲームの世界観を形作るのみならず,ゲームプレイ上でも重要な存在なのである。

 

水蒸気漂うキャラクター作成画面。プシューと水蒸気の白煙が視界をさえぎり,スチームパンクらしさを演出 SF的な,技術系の建造物も多数。ファンタジーとSFが融合した世界観なのが,本作の特徴

 

海辺に建つ,巨大な風力発電(?)施設の残骸。悠久の,時の流れを感じてしまう光景だ スチームパンク的な建造物ばかりかと思っていたら,ファンタジー風のお城も登場する

 

 

覇権を争う三か国と,そこに住まう四種族

 

筆者のキャラクターはポムのアニメーター。ライフル系の銃器を装備している。後ろはペット

 本作でプレイヤーが選べる種族は,「ヒューマン」「エルフ」「ポム」「タルン(ルイプ)」の4種類。なお,性別はポムを除いて各種族固定。エルフは女性で,ヒューマンとタルンは男性だ。今後,ポム以外の種族でも性別を選択可能になるよう期待したい。

 

●ヒューマン

バランスの良さと敏捷性が特徴で,後述する四系統ある職業のうち,放浪者系に向いている

 

●エルフ

一般的なイメージのまま魔法に長けた種族で,当然職業も魔法系に向いている

 

●ポム

本作オリジナルの種族であるポムは,物作りに長けており,技術者系に向いている(さらに,唯一銃器類を装備できる)。外見はずっと可愛らしいデザインだが,ファンタジー系種族に当てはめると,ドワーフに近い感じといえよう

 

●タルン(ルイプ)

自然を崇拝する,いわゆる獣人である(ただし,変身したりはしない)。頑健な巨躯を誇り,もちろん戦士系の職業に向いている。環境破壊をするポムとは長年にわたって敵対していたり,ヒューマンとは気が合わなかったりするなど,少々気難しい種族のようである

 

ヒューマン。RPGのヒューマンには珍しく,自分達の国家を持たないうえに,敏捷性が高いという設定だ エルフ。一般的なイメージどおりの種族で,魔法使い向き。現在のところ,性別は女性で固定の模様

 

ポム。本作オリジナルの種族である。技術に長けており,銃器を使えるのが特徴だ。こちらは男女あり タルン。こちらも本作オリジナルの種族。獣人的なイメージで,戦士系に向いている。ポムの2倍以上ある巨漢

 

 三つの国家「エリアッド王国」「ログウェル共和国」「タクシャン連合」は,それぞれ敵対している。敵国に所属するプレイヤーキャラクターとは,個人対個人,パーティ対パーティといったPvP戦から,もっと大規模なRvR(国家間戦争)まで可能だ。
 エリアッド王国は,エルフが建国した,魔法を中心とする国家。ログウェル共和国はポムの国で,かつて滅んでしまった文明を部分的に受け継いでおり,技術を中心としている。最後のタクシャンはタルンが営んでおり,自然崇拝の国家ということである(現時点では,タクシャンは未実装)。
 なお,ヒューマンは各国を比較的自由に出入りできる代わりに,自分の国を持っていない。ただし,これはあくまで設定上のもので,実際には4種族とも,どこの国にでも所属できる。

 職業は四系統あり,それぞれに2種類の職業が用意されている。つまり8種類から選べるというわけだ(国家ごとに各職業の名称は異なる)。どのような職業があるかは,一覧表をご覧いただきたい。
 筆者は,生産が好きなのと銃器を扱いたかったことから,メインキャラクターは,国家がログウェルで,種族がポムという選択。本作では,レベル10から職業を選択できるようになるのだが,技術者系を目指すことにした(最終的に,職業選択時に技術者の一つ「アニメーター」を選択)。なお,職業はレベル10になったらすぐに就けるわけではなく,目指す職業の転職クエストをクリアして,初めて就ける。
 前述のとおり,種族ごとに職業の得手不得手がある。例えば筆者の選んだ「アニメーター」は,ほかの職業よりも多くのものを作れるが,ほかの職業でも生産という行為は可能である。その点は安心して,職業を選んでほしい。

 

ログウェル共和国

系統職業名タイプ特徴扱えるスキル扱える魔法
戦士ウェポンマスター攻撃肉弾戦の達人鈍器,肉体強化,矛,防御
ディフェンダー防御防御や補助,回復にも長けた戦士鈍器,防御暗黒,回復
魔法使いルーンキャスター殲滅相手の弱体化が得意な氷系の魔法使い攻撃,状態変化,回復
ゴッドコラー支援氷系魔法,召喚魔法,味方の強化魔法が得意攻撃,召喚,強化,回復
放浪者トラッカー射撃モンスターを仲間にでき,弓スキルが得意刀剣,テイミング,弓回復
シャドーワーカー暗殺暗殺を得意とし,服毒による瞬間的な攻撃が得意刀剣,暗殺,弓,毒
技術者アニメーター射撃武器・コア生産銃による射撃スキルが豊富で,複雑な機械の生産が得意刀剣,機械生産,銃器,防御
アーティファクトメーカー装備生産刀剣スキルが豊富で,頑丈な装備の生産を得意とする刀剣,機械生産,弓,銃器

 

エリアッド王国

系統職業名タイプ特徴扱えるスキル扱える魔法
戦士魔戦士攻撃攻撃魔法も使える戦士鈍器,矛,防御暗黒
テンプラー防御召喚魔法が使え,接近戦と防御に秀でた戦士鈍器,防御召喚,補助
魔法使いウィザード殲滅相手の弱体化が得意な炎系の魔法使い攻撃,状態変化,回復
サーマナー支援炎系魔法,召喚魔法,味方の強化魔法が得意攻撃,召喚,強化,回復
放浪者チェーサー射撃モンスターを仲間にでき,弓スキルが得意刀剣,テイミング,弓回復
ビコン暗殺暗殺を得意とし,アミュレットを用いた強化スキルに優れる刀剣,暗殺,弓,アミュレット
技術者エンジニア射撃武器・コア生産銃による射撃スキルが豊富で,複雑な機械の生産が得意刀剣,機械生産,銃器,防御
スミス装備生産刀剣スキルが豊富で,頑丈な装備の生産を得意とする刀剣,機械生産,弓,銃器

 

本作のワールドマップ。右下のログウェル共和国と,左側のエリアッド王国が実装されている ログウェル共和国の拠点の街ガネティン。その広場では,パーティメンバー募集のかけ声や売店などで賑わう 敵国エリアッドにて,単独行動ながらもRvRで奮戦中。画面の相手を倒すが,別プレイヤーの攻撃で戦死した

 

 

戦闘と経験値を稼ぐための仕組み

 

街や城などから出ると,モンスターがウヨウヨ。ここはレベル10後半から20前半の甲虫系モンスターの棲息地

 戦闘について見てみよう。安全地帯の街や村,城などを出ると,モンスターがフィールドを動き回っており,それらを倒すことで経験値を稼げるのは,一般的なRPGと同様だ。外見に関するイメージとしては,いわゆるファンタジー系+SF系というイメージ。主流派は,動物そのものや,動物をモチーフにした一般的なモンスター系,霊的なものなどファンタジー系でお馴染みのタイプだ。そのほか,SF系の代表として,人の支配を離れて野生化した(?)と思われるロボット系もいる。
 プレイヤーキャラクターの四種族と外見は同タイプな,野盗などのアウトロー集団もモンスターとして登場する。モンスター名に関してはオリジナル色が強く,ファンタジー系で馴染みのあるものでも,独自の名称がつけられていることが多いようだ。

 ソロプレイでの経験値稼ぎについては,序盤は割と楽な作品だと筆者は感じた。ただし,これは使用する武器によって変わるかもしれない。というのも,筆者はレベル10で技術者系のアニメーターになり,銃器を使うようになったので,あまり移動せずとも周囲のモンスターを次々と攻撃でき,それが大きかったと思われるのだ。
 ちなみにアニメーターについてだが,銃器は弾丸代わりに「ネオスチーム」を消費する。また,戦士と同じ甲冑系の硬い防具を装備できるので,防御力があるのも特徴。たとえ接近戦になっても,それほど心配する必要がないのである。
 なお,武器の装備に関しては,どの職業でも剣と鈍器は装備可能。杖,鉄砲などは特定の職業じゃないと装備できないという具合だ。防具に関しても同様で,全職業が装備できるものもあれば,特定の職業じゃないとダメなものもある。

 ソロプレイはレベル10ぐらいまでは軽いが,それ以降はやはりパーティプレイがオススメとなる。とくに,指定された頭数のモンスターを退治する系統のクエストの場合,パーティメンバーの誰が倒しても,自分が倒したのと同様にカウントされ,なおかつ経験値も入るというお得な仕組みになっている。できるだけパーティを組んで,効率よく経験値を稼ごう。敵国へ侵入してPvP(RvR)をする場合も,パーティを組んでいないと結構きつい。PvPを楽しみたい人は,パーティ仲間を作っておくようにしよう。
 ちなみにパーティを組んでのモンスター戦では,MMORPGで一般的な手段が有効だ。タンク役が引きつけ,アタッカーが直接戦い,回復役が援護し,魔法使い系が大砲役としてドカンと攻撃という,いわずもがなのスタイルである。戦士と同じ防御力の高い防具を身につけられる銃器使いは,後方からの攻撃だけでなく,タンクや盾の役もこなせることをお伝えしておく。

 経験値を稼ぐ手段として,本作にもNPCからのクエストをこなしていく方法が用意されている。報酬としてもらえるアイテムやお金がおいしいことが多いが,クエストだけでどんどん成長していけるかというと,少々難しいようだ。あくまでもモンスターを倒すだけより効率がいい,というレベルと思ってもらったほうがいいだろう。
 クエストにはレベルが設定されている。プレイヤーがそのレベルに到達すると,それまでは話しかけてこなかったNPCの頭上にプレイヤーを呼ぶフキダシが出現し,話しかけると引き受けられるようになるのだ。ちなみに,賛否両論あるかもしれないが,本作はクエストで次に行くべき場所がマップ上に指示されるという親切設計だ。もちろん,その地点に行ったからといって,退治すべきモンスターなどがすぐ見つかるとは限らないのだが。ともあれ,とても便利なので,筆者としては取り外されないように祈りたい。

 

霊的と思われる系統のモンスター,黒魂剣。レベル15前後で経験値を稼ぐのにもってこいの,おいしいやつ 銃器による攻撃は,射程ギリギリから攻撃を開始することで,モンスターが接近してくるうちに倒せる 左のキャラクター情報画面で,武器と防具を装備させる。技術者は重甲冑を装備でき,防御力も結構高い

 

戦闘で油断すると死が待っている。通常は街に戻って復活する。レベル10以上は経験値のペナルティがある クエストは,こうした「悩みを聞いてくれ」的なことをいっているNPCと話すことでもらえる クエストに関連するキャラクターの頭上には,ビックリマークが。マップ上では目的地に旗が立つ

 

 

スキルは一般と特性とマシーンアビリティの3種類

 

一般スキルのツリー画面。スキルはレベルアップできるが,3でいったん頭打ちとなる。背景はスキル修練場

 本作のスキルは大きく分類して,「一般」「特性」「マシーンアビリティ」の3種類がある。
 一般スキルには,より大きなダメージを与えられる「攻撃スキル」と,自分や味方の能力などを強化できる「バフスキル」がある。一般スキルはツリー構造になっており,刀剣,肉体強化,防御といった分類ごとに縦に並んでいる。ツリー順に修得していく必要があり,より強力なスキルは当然ながら簡単には修得できない。
 スキルの修得には,キャラクターのレベルアップ時に1ポイント与えられるスキルポイントを必要数消費して行う。また,スキル自体にもレベルアップの仕組みがある。1回使用すると熟練度が上がり,一定数でレベルアップするというわけだ。
 なお,一般スキルの大多数は,自分で使用するタイミングを決められるアクティブ型になっている。1回の使用ごとにスタミナを消費するため,クールダウン(スタミナ回復)の時間も必要。攻撃スキルの場合はだいたい必殺技的な破壊力を有するので,際限なく使えるわけではないのだ。
 またスキルは,修練場で熟練度を上げられる。修練を開始すると,プレイヤーキャラクターのグラフィックスが何かの機械のような「スキル修練状態」に変化し,プレイヤーがマウスを触ったりしない限りは,その状態でわずかずつ熟練度が上がっていく。PCを長時間つけっぱなしでOKの人は,外出前や就寝前にこの状態にしておくといいだろう。

 特性スキルは,種族や職業固有のスキルだ。細かくは,材料生産スキル,種族特性スキル,セルフバフスキルなどがある。こちらは一般スキルと異なり,修得にスキルポイントを消費せず,必要なレベルに到達すると自動的に修得する仕組みだ。

 そして本作特有のスキルが,マシーンアビリティだ。これは特定の機能を持った武器や防具を装備すると使用可能になり,なかなかお目にかかれないのが特徴。というのも,武器や防具には,同じ名称でもレアアイテムとして,ソケットのある「ソケットアイテム」が手に入ることがある。このソケットに,「コアマシーン」というこれまたレアなアイテムを埋め込むと(街中にある精錬機を使用),特殊機能を備えた武器や防具「スチームマシーンアイテム」となるのだ。
 このスチームマシーンを装備することで,マシーンアビリティが使用可能になる。その特殊な機能とは,ネオスチームを大量消費する代わりに絶大な破壊力を持つ,必殺技中の必殺技を繰り出せるといったもの。戦力が倍ぐらいになるといっても過言ではないほどの威力を秘めている。
 ただし,マシーンアビリティを使用すると,オーバーヒートとオーバーフローが発生する。つまり,1回使うと,次に使えるようになるのにとても時間がかかるし,ネオスチームが気化して爆発する反動で,自分自身がダメージを受けることもある。使いどころを見極める必要がある,少々両刃の剣的なスキルが,マシーンアビリティというわけなのだ。

 

戦士か技術者系のどちらかにすると,デフォルトの攻撃スキルはフルスイング。通常攻撃の何倍もの破壊力あり 初期のトレーニングマシーンアビリティーを駆使したところ。2〜3レベル上の敵なら,一撃で倒せる

 

 

ほかの作品ではあまり見ない移動手段

 

スチームバルーン。飛行地図さえ入手できれば,いつでも利用可能だ。比較的近距離用の移動手段

 レベルが上がってくると,行動範囲が徐々に広がっていく。そこで活用したいのが,各種移動手段だ。本作では,「ネオスチーム」を活用したテクノロジー系の移動手段が複数用意されている。まずは,多くの人が最初に利用することになる「スチームバルーン」と「地下鉄」から紹介しよう。
 スチームバルーンは,いわゆる気球。我々の世界でいうところの区間バスのような感覚で,比較的短距離の移動に使用し,乗り継いでいけばかなり遠方の村や街まで移動可能だ。特徴は,本作の独特な景観を上空から眺められること。一定の速度で目的地まで実際にフィールド上を飛んでいくので,その間は景色を360度眺められるのだ。大自然の中に突如巨大なパイプなどが地中から突き出ているような光景や,モンスターの棲息する様子なども見られ,非常に面白い。
 ただし,すぐ乗れるわけではなく,目的地までの飛行地図を購入し,一定量のネオスチームを消費する必要がある。地図は一度買ってしまえば何度でも乗れるが,目的地で売っていることが多いので,一度は自分の足で行かなければならない場合が多い。

 もう一方の地下鉄は,街や村や城などを直接をつなぐ長距離用の移動手段。こちらはかなりの高速で力強く突っ走るムービーが数秒間挿入され,一気に目的地に着く。移動先によって異なる料金を支払うだけでよく,スチームバルーンより利用しやすい移動手段だ。
 なかなか手に入らないモンスターのドロップアイテムが,隣街近辺のモンスターからはすぐ手に入る,なんてのはよくある話なので,原材料集めのクエストなどがうまくいかないときは,地下鉄で出かけてみるといいだろう。

 このほか,レベル条件が課せられていて,1回の料金もかなり高い特殊な乗り物も複数用意されている。その一つが,レベル20以上と2000ゴールド(ゲーム内通貨)が必要という,料金だけでも地下鉄の倍かかる「スチームサブマリン」。この潜水艦は,自国とリアランド(どこの所属でもない土地)を往来する交通手段だ。リアランドは高レベルにならないと行けないため,詳細は不明だが,レベルの高いモンスターが多く危険度は高いものの,見返りの大きい冒険を楽しめるようである。
 さらに本作において,とても重要な土地である「ロフアイル」と各国の間の移動手段として,飛行船「ゼブルリーン」がある。こちらはレベル50以上および3000ゴールドが必要で,さらにロフアイル移動資格試験クエストをクリアしていなければならない。なおゼブルリーンもスチームバルーンと同様,地上から空を見上げると,たまに飛んでいるのが見える。

 このほか個人用の移動手段として,「スチームライダー」(自家用車のようなもの)もある。こちらも搭乗制限が厳しいうえに,自分で多数の部品を揃え,クラフトで製作してもらう必要があるため,乗るまでが大変である。また,資源探掘地へ向かうための「スチームマイン」という乗り物もある(マップ上の各所に鉱物が採取できる場所がある)。
 これは交通手段というわけではないが,後述するペットには,拠点として設定した街や城へ帰還できる「タウンポータル」(テレポート)という能力を持つ者もいることを付記しておこう。

 

地下鉄。距離のある大きな街や城などを接続している。あっという間に目的地に到着する移動手段だ たまたま走っているところを見かけたのだが,スチームライダーと思われる乗り物 ペットのタウンポータル能力で街まで帰還した直後。タウンポータルの魔法はクールタイムが非常に長い

 

 

ペットに個人商店,そして生産

 

エサやレベルアップ,進化などペットに関する作業は,すべて街にいる調教師にお願いする必要がある

 今どきのMMORPGとして欠かせないものといえば,ペットもその一つ。本作では,開始時からプレイヤーキャラクターとワンセットで1体用意されており,手に入れるために四苦八苦する必要はない。ペットはプレイヤーが召喚することで,自キャラの背後に登場。召喚されている間はお腹が減っていき,空腹時には能力を発揮できなくなってしまう。エサは街にいるペットの調教師が売っているので,マメに面倒を見てあげよう。
 ペットは,アップグレードによって「ノーマル」「ハイ」「エキストラ」の順で等級が上がる。また,「攻撃型」「治療型」「スティール(ドロボウ)型」の3種類から選んで進化させることも可能だ。そして経験値が100パーセントになると,レベルが一つ上がる(レベルは最大5)。これらはすべて調教師に頼むことで行える。
 筆者は治療型にしたので,手強い敵や,複数の敵に囲まれたときなどにかなり助けてもらった。HPが半分を切ると自動的に回復をしてくれるので,そのおかげで何度か死なずに済んでいる。ただし,連続して使えるわけではなく,一定間隔を置かないと回復魔法を使用できないので,ちょっと頼りすぎて痛い目に遭ったこともあった。

 黎明期のころより,MMORPGには「生産」という要素があったわけだが,最近,とくに工夫がなされている分野の一つといえる。本作も武器や防具など,さまざまなアイテムを生産できる。生産は技術者系が得意とする分野なので,ほかの職業が手を出せない物を作り,ガシガシ売って儲けよう。
 販売の話が出たので,個人商店についても少し触れておきたい。いまや,個人商店といえばMMORPGの基本的な要素となっているが,もちろん本作も備えている。前述したスキルの修練時と同様に,プレイヤーキャラクター自身が,買い取り用または売却用のお店に変身する。なので,こちらも外出前や就寝前に使うといいだろう。

 

正面にある金属製のツボのようなものが,ログウェルの売却用個人商店。キャラクターがこれに変化するのだ モンスターが落とす原材料アイテムをもとに,材料アイテムを生産する製造器。武器や防具の材料となる

 

こちらは生産機。製造器で作った材料アイテムをもとに,武器や防具などを作れる。「生産開始」で実行だ 生産機には,武器や防具のアップデートを行う機能もある。防具にはセリロンというアイテムを使用するのだ

 

 

PvPやRvRの楽しみ方とPK防止の仕組みについて

 

敵国に行くときは,パーティを組んでいくこと。一人だと,あっという間に倒されてしまう危険性大

 最後に,PvPやRvR(国家間戦争)について述べよう。本作では,他国所属のプレイヤーのみとPvPが可能だ。では,どうするとその状況になるかというと,まず手頃なのが,街にある「コロシアム」を利用することだ。ここは,いわゆるレベルの低いプレイヤーでも腕試し的にPvPを楽しめる施設で,他国のプレイヤーと戦えるというわけだ。
 そして,一般的なのが,自分で他国へ攻め入るか,もしくは他国のプレイヤーに自国に攻め入られた場合の戦闘だ(他国へ攻め入る場合は,レベル15以上必須)。ただし,ここでも工夫がなされており,他国へ攻め入った場合,その攻め入ったプレイヤー側からは攻撃を仕掛けられないのだ。つまり,防衛側が撃退すべく攻撃して初めて,戦闘が発生するのである。しかも,プレイヤーごとに設定されているので,防衛側の初心者プレイヤーが間違えて手出ししない限りは,戦闘に巻き込まれる心配もない(侵入した側は防衛側に攻撃されない限りは,敵国の観光または偵察をしていられるともいえる)。なお,他国のプレイヤーに侵入されると,その国のプレイヤー全員に,どこどこに侵入者あり,というメッセージが配信される。そのメッセージが出たら,現地へ移動して敵国のキャラクターを見つけ,攻撃を仕掛ければ,めでたくPvPの発生というわけである。
 どこの国家にも所属しない,リアランドやロフアイルもいわゆるPvPゾーンとなる。つまり,これらの土地で冒険する際は,モンスターだけでなく,敵国所属のプレイヤーキャラクターによる攻撃も対処しないとならないというわけだ。

 

国家間の移動は,飛行船ゼブルリーンで行う。敵国内の飛行船の着陸場所が侵攻拠点となる 他国に侵入した場合,その国のプレイヤー側から攻撃してこない限り,侵入者からは攻撃できない 敵プレイヤーがこちらのNPC警備兵と戦っているところ。システムメッセージで襲撃地点が報告される

 

どこの国家にも属さない土地の一つがリアランド。そこへの移動は,潜水艦スチームサブマリンを利用 リアランドのスチームバルーンは,飛行地図なしで利用可能。昼間も薄暗い,不気味な雰囲気の土地だ 近づくと攻撃されて即死なので,遠くから撮影。リアランドのモンスターはレベル50台が普通のようだ

 

 

プレイヤー参加型運営制度第一弾「ゲーム評価制度」

 

ゲーム評価制度のアンケートは,ゲーム中ではなく公式サイト内で行う。トップページからすぐに移動できる

 本作の日本独自の展開として,たいへん特徴的なのが「ユーザー参加運営制度」だ。現在は第一弾「ゲーム評価報酬制度」として,キャンペーン「あなたのつまんないを教えて!」が実施されている。
 これには,レベル10以上のプレイヤーが参加可能で,アンケートに答えると,謝礼として500HC(ハンビットコイン,ハンビットユビキタスエンターテインメントの3作品で使える電子マネーの一種)がもらえるという仕組みだ。
 アンケートを通して寄せられた意見や要望は,日本からの正式な要求事項として韓国本社の開発サイドに送られ,検討を経たのちゲームに反映されていくというものである(さすがにすべての意見や要望が反映されるわけではない)。報酬が渡される時期は,第1回として10月3日13時(前日10時までの応募分)がすでに発表されている。「せっかく意見や要望を伝えたのに,無視されるだけ」という思いをした人は多いかと思うが,今回は反映されないにしてもちゃんとその理由を明確にするということなので,ぜひゲーム作りに参加してみてはいかがだろうか?

 本作は近年のMMORPGのトレンドを押さえつつも,独自の要素も採り入れられており,個人的には非常に楽しめているとお伝えしておこう。現在,オープンβテストが行われているので,ぜひとも参加して自分の目で確かめてもらいたい。
 ただ,一点だけ改善してほしい部分があった。移動に関してである。地面をクリックするとそこへ向かって移動するのだが,長距離の移動が結構難しいというか,少々面倒なのだ。画面右上のミニマップ上で特定の地点をクリックしたら,そこへ向かって(地形にひっかからずに)自動的に走って移動,といったシステムにしてほしいところである(できれば,ワールドマップ画面でも同様に)。もしくは,FPSのようにW/S/A/Dキーで前後左右への移動を行えるようにしてほしいのだが,いかがだろうか。

 とまあ,移動に関してほんの少しだけ機能追加の要望はあるものの,なにはともあれネオスチームは十分楽しめる作品だと思う。ファンタジー系の多い昨今のMMORPGの中で,あえてSF的設定も導入し,そしてソロプレイでもパーティプレイでも楽しめ,離席時間も活用できる仕組みが用意されているなど,多くの人が新鮮な気分で楽しめそうである。今後要注目のMMORPGなのだ。

 

アンケートの説明。そのものズバリ「つまんない」というあたりに,スタッフの潔さを感じる 実際のアンケート画面。これに答えると,500HCがプレゼントされる。とてつもなくお得だ

 

タイトル ネオスチーム
開発元 Mars Team 発売元 ハンビットユビキタスエンターテインメント
発売日 2006/10/19 価格 無料(アイテム課金)
 
動作環境 OS:Windows98/Me/2000/XP,CPU:PentiumIII/800MHz以上,メインメモリ:256MB以上,グラフィックスチップ:GeForce 2 MX以上

(C)2004-2007 Hanbitsoft Inc. Studio Mars All Rights Reserved. Published by Hanbit Ubiquitous Entertainment Inc.

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