プレビュー : Level-R

ハンガリー発の本格派オンラインレースゲーム

Level-R

Text by デイビー日高
2007年1月26日

※本稿は12月17日(技術テスト)時点でのゲーム内容に準じています

 

「Versus」モードでは,最大8人でのレースを楽しめる。人数が増えれば増えるほど,楽しさは増す

 ハンガリーのInvictus Gamesが開発し,ゲームポットが日本サービスを行うオンラインレースゲーム「Level-R」。クローズドβテストの開始を,2月2日(金)に控えているが,この記事では2006年12月15日から17日までの3日間実施された“技術テスト”の模様をごくごく簡単に紹介していこう。本記事でLevel-Rに興味を持ったら,「こちら」からクローズドβテストに応募してほしい。締め切りは1月29日(月)だ。

 

 

ネットワーク関連の動作確認が中心の技術テスト

 

ルーム画面。左上が参加者を確認できるウィンドウで,コンセントはP2Pの接続が確認できたサイン。サムアップは準備が完了した合図。その下のウィンドウはチャット画面だ

 Level-Rの技術テストは,ネットワーク関連の動作確認を主な目的としたものだった。ゲームポットは,数多くのオンラインゲームを運営しているが,同社にとってレースゲームは初めて。ほかのジャンルと比較しても,より高速かつ確実に情報をやり取りする必要があるため,本作では接続方法に工夫が施されている。
 具体的には,通常のロビー画面やルーム画面では一般的なクライアント/サーバー方式だが,レースが始まるとプレイヤー間でのP2P(Peer-to-Peer)方式に切り替わるというものだ。こうした特殊なシステムを採用しているため,これを重点的にチェックすべく行われたのが,技術テストというわけだ。

 技術テストで用意されていたモードは,「Versus」「Tutorial」「Practice」「Ranking」「Fun」「License」「Shop」「Tuning」「Replay」の9種類。なお,本記事ではレースゲームとしての核であるVersusモード,そしてPracticeモードを中心として,コースの様子などに重点を置いてお伝えする。

 

 

参加人数が多ければ多いほど楽しいVersusモード

 

メインメニュー画面。今回は,Versusモードの様子を中心にお届けする

 レースゲームが好きな多くの人にとって,最も気になるのは車の挙動だろう。以前にもお伝えしたとおり,本作では車のパーツごとに物理演算をしているだけあって,コーナリング時の車体の沈み込みや,旋回の仕方などは実にリアルだ。
 走行時には,「コーナー手前でのブレーキング」が重要であるという印象を受けた。減速が不十分なまま無理にコーナーに飛び込めば,あっという間に外周へふくらんでしまい,コースサイドに激突してダメージを負うハメになる。途中で慌ててブレーキを踏んでも,アンダーステアが出たり,スピンしてしまったりする。
 つまり,アーケードゲームのようなムチャな走りは一切できず,実車同様に荷重移動をしっかりとしながら走らないことには,いいタイムを出すのは難しいということだ。

 Versusモードは,とにかく参加人数が多いほど楽しい。人数が多いと,同じぐらいの腕前,同じレベルのクルマを使っている人を見つけやすく,対戦は自然と白熱する。
 多くのレースゲーム同様,相手のミスをついて抜いたり抜かれたり……といった展開は,同じレベルの腕前/クルマの人と走ってこそ楽しめるものだ。

 筆者は技術テスト時,「Tokyoマップ」のルート「Team drift」で走る機会が多かったのだが,最大参加者数(8人)でのレースは,ぶつかり合いも含め激しい展開になりがちだった。とくに個人的には,スタート直後の1コーナーの混乱ぶりが印象に残っている。
 スターティンググリッドは,速い順に決まるわけではないため,最初のコーナーで追突,激突が頻発するのだ。この混乱と,これをくぐり抜けたときの爽快感は,なかなかのものだった。また,ほかのプレイヤーとのサイド・バイ・サイドやテール・トゥ・ノーズのデッドヒートは,CPUを相手にしたときとは比較にならないほど緊張感に溢れ,とても楽しめた。

 

減速が不十分だったため,コーナーで外側へと飛び出し,そこに止まっていたキャンピングカーに衝突 アーケードチックな強引な走りはできず,真剣にハンドリングしないとスピンしてしまうことも

 

同じレベルのプレイヤーを見つけられると,抜きつ抜かれつになるので,より楽しくなる ドライバーは首を振って左右の視界を得ることも可能。サイド・バイ・サイドのときはちゃんとチェックしたい

 

 

「Tokyo」マップのコース「Team drift」に人気集中

 

「Tokyo」マップのオーバルコース「Team drift」は,全長500メートルで,反時計回り。難度は5段階で2

 続いては,VersusモードおよびPracticeモードで走れたコースを紹介しよう。前回のレポート記事でお伝えしたのと同じく,技術テストでもストリートコースの「Tokyo」と,オフロードコースの「England」,そしてサーキットの「Circuit」という3種類のマップが用意されていた。
 また,これもすでにお伝えしたとおり,マップには複数のルートが用意されていて,今回はTokyoが4ルート,Englandが2ルート,Circuitが1ルート確認できた。
 なお,デフォルトで与えられる2台のクルマのうち,四駆のC Racer Xが走れるのはオフロードとストリート,Corus S2が走れるのはストリートとサーキットとなっている。

 技術テストで人気を集めていたルートは,TokyoマップのオーバルコースTeam driftのようだった。やはり3日間という短期間だったこともあるせいか,1周に時間がかからないものが好まれたのかもしれない。
 オーバルコース……といっても実際には,中央分離帯のある片側4車線の大通りの上下線を,交差点と交差点でつないだ,横長の長方形に近いイメージである。一見するとシンプルなので初心者向けに見えるのだが,実は意外に難しい。
 というのも,ストレートの両端にあるコーナーが,直角ターン二つがつながる複合コーナーになっていて,クリッピングポイントが分かりづらいのだ。道幅が広いぶん,どのラインがベストなのかも分かりにくい。理想としては,二つめのターンで立ち上がりを重視したライン取りをしたいところ。これが,次のストレートの最高速に影響するからだ。
 しかし,理想をそのまま実現するには,それなりの腕前が必要。その結果,うまい人とそうでない人の差が出やすく,1周は短いはずなのに,タイム差も大きくなりがちで,5周,7周と周回を重ねると,周回遅れになる事態も見られた(というか,筆者が周回遅れにされた)。

 

 

初心者はまず「Around the block reverse」を

 

レース終了後の経験値獲得場面。走行終了後には,ボーナスPP,獲得PP,ラップボーナスを獲得できる

 どうやら初心者向けには,Tokyoマップの縦の長方形のコース「Around the block reverse」がちょうど良かったようだ。コーナーはどこも直角ターンかそれに近いのだが,クリッピングポイントも分かりやすく,コーナー(直角ターン)を抜けやすい。また道幅が広いので,減速が不十分なままコーナーに進入してしまっても,なんとか抜けられることが多い。クローズドβテストに参加する人は,まずこのコースで練習を積むと良さそうだ。

 ちなみに,そのほかのTokyoマップのルートには,「Short Circuit 1」と「X-Treme Drift」がある。
 Short Circuit 1は,Around the block reverseをもう少し複雑にした形で,コーナー数が三つ増えて八つになっている。しかし,難度の高い複合コーナーはないので,コーナー手前でキッチリ減速さえすれば,切り抜けられるはず。ただし,あくまでもストリートなので,大通りには中央分離帯があり,そこに街灯が等間隔で立っている。しかも街灯は,コーナー手前の微妙な位置にまで立っているので,サーキットのように自由にラインを取れないのが,イヤらしい。

 もう一つのX-Treme Driftは,ルート名から想像がつくように,かなり高めの難度が設定されている。終盤にある高架の高速道路のセクションは,とくに厳しい。高架へ上るときと下るときのコース幅が極端に狭いだけでなく,上りで2回,下りで1回のヘアピンが用意されているのだ。そのため,WRCばりにサイドブレーキターンを決めないと,いいタイムを出せないのである。ドリフトするにしても,しっかりコントロールできるだけの腕前が必要だ。

 

技術テストで走れたルートのなかで最も難度が低い「Around the block reverse」。5段階で1だ。これも反時計回り。コーナーを曲がった先の直線は,中央分離帯なしで片側3車線の道路になっているので,しっかり減速してから曲がれば,外側でクラッシュすることはまずないはず

 

こちらも初心者向けといえるルート「Short Circuit 1」。反時計回りだ。「Around the block reverse」より気持ち難度が高いという程度。中央分離帯のところどころに街灯があり,コーナーを攻めるのに邪魔だったりする

 

最高難度の5を誇るルート「X-Treme Drift」。マップの右側のクネクネした辺りが,連続するヘアピンと鋭角ターンの超高難度セクション。サイドブレーキターン必須の,時計回りコース。高速道路へと上るわずかなヒルクライム区間は,入口がいきなりきつくなり,右へと曲がるヘアピンになっている。このあと,左へ曲がるヘアピンを抜けるとそこが高速道路だ

 

 

そのほかの2マップはオフロードとサーキット

 

「England」マップの「Route #2」。1周が1.7kmあり,7周設定にした日には,ゴールまでかなりの時間がかかる。時計回りだ

 Tokyo以外のマップについても軽く触れておこう。
 Englandには,「Route #2」と「Route #5」の二つのルートがある。Route #2は,小川がコースの一部に含まれているのが特徴で,Route #5は,途中,鋭角なヘアピンがあるのがポイントだ。どちらも難度は高い。両ルートとも,半分以上が舗装されているものの,未舗装区間はガタガタなうえにスリッピー。慣れないうちは,コースをたどることすら困難だ。
 ちなみに,Englandマップのようなオフロードコースは,前述のとおりデフォルトの2台のうち,四駆のC Racer Xでしか走れない。しかし,グラベルやマッド部分には良いのだが,ターマック(舗装)部分には向いていない。そもそもが悪路用であるために車高が高く,サスも柔らかい。そのため,もう1台のデフォルト車であるCorus S2で,ストリートやサーキットを走るのと同じ感覚でターマック区間を走ろうとすると,かなりヨタッてしまう。
 車ごとに特性が大きく異なるので,それを見極めて走る必要があるというわけだ。このあたりは,レースゲーム好きのプレイヤーを唸らせる,本作の魅力の一つだろう。

 「Circuit」マップは,「ルート5」と名付けられた全周コースのみが用意されていた。コース幅も広く,エスケープゾーンもあり,全開でアタックしやすい。
 TokyoやEnglandの高難度ルートにあるような,トリッキーでテクニックを要するコーナーこそないが,好タイムを狙うには,細かい部分を確実に攻めていく必要がある。
 ちなみに,デフォルトの2台のうちでは,Corus S2でしか走れないが,ノーマル状態だと直線が長く感じられるかも知れない。

 

「Route #2」の特徴は,コースの一部が小川になっていること。非常にスリッピーな感触の路面である。四駆はサスが柔らかいので,ターマック区間でもスピードを出しすぎると,コーナーで粘りが効かないので要注意。壁に横っ腹をこすりつけることになる

 

左下の突き出たヘアピンが特徴の,反時計回りのルート「Route #5」。このヘアピンがちょうどターマックからグラベルに切り替わる地点だ。鋭角のヘアピン部分は,サイドブレーキターンでロスタイムを極力減らそう

 

「Circuit」マップの「ルート5」。技術テストでは,サーキットはこの全周ルートのみだった。全長4km強と,実在するサーキットと同程度の長さの,反時計回りコース。直線が長く感じるのがこのコースの特徴だ。サーキットを攻めるには,エンジンパワーなどが必須だろう

 

 

フォースフィードバックにも対応

 

本作では,「Shop」モードで車を購入したり,チューニングしたりできる。ちなみに左に写っているのが「Buggy Evo II」で,右が「Quadro SD T5」。前回のレポートで,「Quadro SD T5」を高級4ドアセダンと書いてしまったが,2ドア車だった……

 さて,コースのバリエーションを中心に,“レースゲーム”としてのあらましを一通りお伝えしたところで,テストプレイ中に気付いたことにも触れておきたい。
 冒頭で,本作ではレースパートでP2Pを採用していると述べたが,技術テスト時にP2Pが確立されないトラブルがあった。そのためクローズドβテストでは,レースに参加するメンバーのうち,誰か一人でもP2Pを確立できなかった場合は,全員がクライアント/サーバー方式に切り替えられるとのことだ。
 技術テスト時は,大きなラグに直面したことはなかったのだが,クライアント/サーバー方式の導入により,ある程度のラグも予想される。それがどの程度なのかは,クローズドβテストが始まらないことには分からないが,レースゲームで大きなラグが発生してしまったら,ゲームそのものが根底から崩れてしまう。このあたりが,どうクリアされるのか,それもクローズドβテストの見どころの一つと言えるだろう。

 何はともあれ,クローズドβテストの開始が待ち遠しい。技術テストはキーボードだけで操作していたのだが,フォースフィードバックにも対応しているとのことなので,個人的にはステアリングコントローラーの購入も検討している。それくらい,展開が楽しみな作品なのだ。

 

Shopモードで購入できるパーツのうちの,ハンドリングに関するパーツ。サスペンション,タイヤ,ブレーキなどがラインナップされていた デフォルト車種の一つ,Corus S2用のFバンパー。もう一つのデフォルト車種C Racer Xや,Shopで購入できるBuggy Evo IIとQuadro SD T54用にも,4種類ずつのバンパーが存在しているようだ

 

Shopモードのアップグレードコーナーでは,シャシー剛性を上げる「ボディ」と,エンジンパワーを上げる「最大出力」の2項目が用意されていた タイヤバリアは転がると,このようにコースのど真ん中に鎮座することもある。多人数で走っているときにこれはかなり邪魔であるが,こうしたトラブル時における駆け引きも,本作の魅力の一つだろう

 

タイトル Level-R(旧題 Cross Racing Championship 2005)
開発元 Invictus Games 発売元 ゲームポット
発売日 2007年内 価格 N/A
 
動作環境 OS:Windows XP(+DirectX 9.0c),CPU:Pentium 4/2GHz以上,メインメモリ:512MB以上,空きHDD容量:1GB以上,グラフィックスチップ:GeForce 6600以上もしくはRadeon X700以上

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【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/review/level_r/level_r.shtml