― レビュー ―
リアルな戦車戦を手軽に楽しめるコテコテの戦術級ストラテジー
鋼鉄の騎士II 廉価版
Text by KUMA8
2005年12月21日

 

■シンプルかつ緻密な,戦車戦好きのためのゲーム

 

中隊規模の戦車部隊の戦いに特化し,リアリティとプレイしやすさを実現した戦術級ゲーム「鋼鉄の騎士II 廉価版」

 「鋼鉄の騎士供廚蓮ぢ萋鷦\こβ臉錣硫そ戦線を主な舞台に,プレイヤーがドイツの戦車部隊を指揮して戦うウォーストラテジーだ。大戦略シリーズに代表される戦略級のストラテジーゲームとは毛色が違い,プレイヤーが指揮するのは戦車部隊せいぜい1個中隊という戦術級ゲームである。
 第1作の「鋼鉄の騎士」は,今から15年前にPC-9801対応ゲームとして発売された作品で,「鋼鉄の騎士II」はその10年後に発売されたリニューアル版だ。そして,今回発売になった「鋼鉄の騎士II 廉価版」は,鋼鉄の騎士IIに最新版のアップデート・プログラム(Ver1.82)を反映させたうえ,より買いやすい価格設定で再登場したものである。バージョンアップ内容は,登場兵器の増加やゲームバランスの調整など,かなり多岐にわたっている。
 先に発売された「空母戦記2」もそうだが,このゲームはジェネラル・サポートお得意の,現実の兵器を緻密にデータ化する手法が生かされ,過剰な演出を排したリアリティ指向の高い作品となっている。
 登場する兵器は,第2次世界大戦の欧州戦線に登場した主要な戦車を中心に171車種。太平洋戦域のシナリオが1本あるので,日本軍の戦車も登場する。戦車戦に特化しているため,対戦車自走砲や装甲兵員輸送車などは登場するが,固定配置の対戦車砲や航空機はいっさい登場しない。戦車のグラフィックスも3Dなどではないし,ムービーもないが,兵器のスペックや解説は実に緻密で,“戦車愛”(?)が伝わってくる作品といえよう。
 なお,プレイヤーが指揮する戦車には,それぞれ戦車長がグラフィックス入りで設定されており,戦闘時には「弾を無駄にしたな」とか「運のいいやつだ」などと軽口を叩いてくれる。シナリオによってはミハイル・ビットマンなど実在した戦車エースも登場(顔グラフィックスがあまり似てないのはご愛嬌)する。戦車だけでなく,搭乗するクルーにも愛を注いであげよう。

 

シナリオでは,第二次世界大戦でドイツ機甲部隊が戦った有名な戦場がほぼ網羅されている シナリオを選び,部隊を編成したあとの配置画面。真上から見下ろす視点で拡大表示も可能 敵の車両は,視認するまで表示されない。索敵に注力し,いち早く敵の動きを知ることが重要だ

 

ポーランド軍戦車に味方の砲弾が命中した瞬間。撃破可能な距離でも,角度などによって弾かれることもある 戦車のパラメータは,砲の威力や装甲,機関の故障率など緻密に設定されているが,表示自体は分かりやすい 兵士(戦車クルー)はほとんどが架空の人物だが,実在の人物も登場。画面は,有名な戦車エースのビットマン

 

 

■ソロプレイとキャンペーン,計23本のシナリオを収録

 

各シナリオでは,戦いの経緯がしっかり解説されている。プレイ前に読んでおけば気分は盛り上がるはず

 ゲームモードは「ソロプレイ」のほか,「LAN対戦」「インターネット対戦」にも対応している。ネット対戦では,双方が鋼鉄の騎士II 廉価版を使うか,あるいは従来の鋼鉄の騎士兇忘膿靴離▲奪廛如璽箸鯏用しておく必要がある。
 ソロプレイには,1939年のポーランド侵攻から1945年のベルリン陥落にいたる,欧州と北アフリカの主要な戦いを舞台にした20のシナリオが収録されている。さらにフィリピンを舞台に日本とアメリカが戦う「鋼の武士」と題したシナリオ(プレイヤーは日本軍を担当……)が1本,そして「東部戦線従軍記」という独ソ戦を舞台にしたキャンペーンシナリオ(プレイヤーは独立第130戦車隊という架空の部隊を指揮して転戦する)に加えて,また部隊編成などを自由に設定できるフリーセットアップシナリオも収録されている。
 プレイ画面は,戦場を真上から見下ろすスタイルだ。戦闘はターン制で,それぞれ移動ターンと射撃ターンに分かれており,例えばソロプレイの場合,シナリオを選んで部隊編成などの設定を行い,プレイを開始するとすぐに車両の配置ターンとなる。そのあとは車両の移動ターンと射撃ターンを交互に実施するという,非常にシンプルなシステムだ。
 車両の移動指定はマウスでマップ上にプロットする方式で,移動のタイプとしては移動中の射撃も可能な「警戒移動」と,スピードは出るが射撃できない「全速移動」がある。また,隊形を保ったまま部隊を移動させるのに便利な,コピープロット機能も備えている。
 登場する車両は,例えばドイツではティーガーやパンター各型,ソ連のT-34,JS-2(スターリン2),アメリカのM4シャーマンなど,有名どころはもちろん網羅されているほか,ドイツの超重戦車マウスやE-100,日本の五式戦車などといった幻の未完戦車も収録されている。ソロプレイの部隊編成で登場車両をこれら怪物的な戦車に変更し(五式戦車は怪物ではないが),史実の無念(?)を晴らしてやるといった遊び方もできる。また,キャンペーンシナリオではクリア後にプレイヤーが指揮した部隊の履歴も見られる。戦車だけでなく部隊にも愛着が持てる,嬉しいおまけといえるだろう。

 

車両の塗装も指定できる。編成画面で車両を入れ替えたら、シナリオの戦場に合わせて塗装も変えよう 機関の故障率はかなり重要なパラメータ。迅速な移動を必要としているときにエンストされるとつらい ソロプレイの場合,編成画面での車両変更に制限はない。日本軍にドイツ製戦車を配備するのもアリ

 

史実では完成しなかった日本の五式戦車。日米フィリピン決戦シナリオに登場させてやると面白いかも イギリスの突撃砲型重戦車「トータス」。枢軸国だけでなく,連合国の怪物戦車も収録されている ドイツの超重戦車E-100。史実ではドイツが敗北したシナリオを「超重戦車」で覆してみるのも楽しい

 

 

■戦車の性能だけでなく,地形と機動で戦車戦を再現

 

命中判定の表示はシンプルだが,初弾命中で撃破したときなど,戦車戦ならではの爽快感は充分に味わえる

 戦車戦の基本は,被弾を極力避けつつ,敵戦車の最も弱い部分を撃つことだ。車両には,装甲厚と装甲の傾斜角,標的面積,砲弾の貫徹力,機関の故障発生率などのパラメータが設定されている。装甲は厚いほど,また垂直よりは傾斜していたほうが被弾に強い。車体も,なるべく小さく,または車高が低いほうが被弾しにくいし,発見されにくい。そんな戦車個々の特性を考えながら機動させ,射撃させるのが戦車戦に勝つ最大のポイントだ。とくに装甲車や自走砲は装甲防御力が低く,被弾に弱いので戦闘時の移動場所には気を使う必要がある。
地形の影響も細かく設定されていて、たとえば平地は見通しがいいが,丘陵や森林など地形障害の向こうにいる車両は,近寄ってもなかなか目視できない。また砂地や泥濘地など,いわゆる足場の悪い地形では,戦車の走行性能が大きく減殺される。こういった地形の特色を利用するのも,勝利を得るためのポイントだ。
 例えば敵の部隊が平地を進んでくる場合,戦車の性能を頼りに正面からガチンコ勝負を挑むのも,それはそれで男らしいが,待ち伏せや迂回で側面を突くといった作戦を考えないと,大きな戦果は望めない。足の速い装甲車や軽戦車などを警戒移動で先行させ,敵と接触したら後退しながら敵を引き寄せる。その間に,中戦車などを全速移動で森や丘陵の陰に移動させて,後退する味方を追う敵戦車の側面を砲撃する,といった戦法だ。装甲の厚い重戦車であっても,自走砲などを使って背後から至近距離で撃てば撃破可能だ。
 ただし,シナリオによっては敵がまったく攻撃を仕掛けてこない場合もある。そういう場合は防御力の高い戦車を先頭に出し,敵の防備の弱い部分(配備されている車両の数が少ない部分)に強襲をかけることも必要になる。まずはソロプレイシナリオの「電撃戦」など,軽めのマップで機動戦闘のコツを掴んでおくといいだろう。編成画面で,自軍の戦車を敵よりも強力なものに替えておけば,ストレス発散(?)にもなって一石二鳥だ。
 キャンペーンシナリオの場合は,戦車に搭乗する兵士を育てていくことも大切である。プレイヤーが指揮する車両の戦闘能力には,戦車自体の性能だけでなく,搭乗するクルーの能力も影響するからだ。クルーのランクには,新兵,一般兵,古参兵があり,ベテランになるほど射撃の命中精度が高いなどのメリットがある。
 ソロプレイシナリオの場合でも兵士の質は大切だが,キャンペーンシナリオでは育てた兵士を次のシナリオに引き継ぐので,クルーを死なせないように育てていくことがとりわけ重要になる。被弾時には脱出してくれることもあるが,単独で敵中に突っ込ませて集中砲火を浴びるようなことだけは,断じて避けたい。
 1本のシナリオであれば最短で十数分,長くても1時間を超えないものがほとんどだ。キャタピラの形状で戦車の型式が判別できるほどの熱烈な戦車大好き人間はもちろん,硬派な戦術級ストラテジーを手軽に楽しみたいという人にもお勧めである。

 

地形パラメータ画面。降雨による泥濘化など,悪天候下の地面の状況は,戦車の機動力に影響する 大戦後期のシナリオに登場するドイツ戦車は強力だが,多数の敵に囲まれるような状況は避けたい 被弾したドイツの三号突撃砲。このように撃破されても,戦車クルーが脱出して助かる場合もある

 

これは脱出に失敗して戦死した場合。ソロプレイはともかく,キャンペーンで戦死は極力避けたい シナリオクリア後の戦果判定はかなり地味。キャンペーンの場合は戦果の多寡によって評価が変わる クリア時の最高評価は大勝利。キャンペーンでは,司令部からプレイヤーへの信頼度評価も下る

 

タイトル 鋼鉄の騎士II
開発元 ジェネラル・サポート 発売元 ジェネラル・サポート
発売日 2005/12/09 価格 4935円(税込)
 
動作環境 Windows 95/98/Me/2000/XP,CPU Pentium/150MHz以上,メモリ 32MB以上,HDD空き容量 680MB以上

(C)2005 GENERAL SUPPORT Corporation.

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http://www.4gamer.net/review/kos2/kos2.shtml