■ローエンド向けのGeForce 7300 GS
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GeForce 7300 GS |
NVIDIAは,デスクトップ向けにはこれまでハイエンドモデルしか存在しなかったGeForce 7シリーズに,ローエンドモデル「GeForce 7300 GS」を追加した。GeForce 7300 GSは,搭載グラフィックスカードの価格が1万円前後と想定されていながら,ピクセルシェーダ3.0(シェーダモデル3.0)やPureVideoなど,GeForce 7シリーズとしての機能を余すところなく搭載しているのが特徴だ。
ピクセルシェーダ(Pixel Shader)が4基,頂点シェーダ(Vertex Shader)が3基というスペックは,GeForce 6シリーズのローエンドモデルだったGeForce 6200シリーズと同じ。メモリバスが64bitで,メインメモリの一部をフレームバッファとして利用する技術「TurboCache」に対応していることを考えても,メインストリーム向けとは言い難い。なお,リファレンスの動作クロックはコア550MHzで,グラフィックスメモリの動作クロックは製品ごとに異なるようだ。メモリチップはGDDR2/3の両方をサポートする。このほか,主な仕様は表1にまとめたので,参考にしてほしい。
■ファンレスのGeForce 7300 GSカードを評価
さて,今回入手したのは,GIGABYTE TECHNOLOGY製の「GV-NX73G128D」。Low Profile風のカードに,大型のヒートシンクを搭載することで,ファンレス動作を実現したPCI Express x16接続製品だ。
グラフィックスメモリには,Hynix Semiconductor製のDDR2 SDRAMである「HY5PS561621A FP-25」をカードの両面に2個ずつ搭載。ForceWareから調べたところ,メモリクロックは810MHz相当(405MHz DDR)だった。
外部インタフェースはデジタル/アナログRGB(DVI-I)とアナログRGB(D-Sub),コンポーネント/Sビデオ出力。ビデオ出力は,付属の分岐アダプタを利用することで実現する仕様だ。
■ファンレスのGeForce 7300 GSカードを評価
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PowerColor X1300 PRO
問い合わせ先:アスク
メールアドレス:info@ask-corp.co.jp
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ローエンド向け製品とはいえ,GeForce 7の名を冠するだけに,パフォーマンスが気になる人はいると思う。そこで,表2のテスト環境において,ベンチマークテストを行ってみることにした。比較対照用として,Albatron Technology製のGeForce 6600カード「PC6600」(以下GeForce 6600)と,TulのRadeon X1300 Proカード「PowerColor X1300 PRO」(以下Radeon X1300 Pro)を用意している。
また,テストに当たっては,垂直同期をオフにする以外,特別な設定は行っていない。また,1月18日現在の時点でNVIDIAのWebサイトからダウンロードできるForceWare 81.98はGeForce 7300 GS対応していないため,今回はGV-NX73G128Dのパッケージに付属するForceWare 82.65を利用することにした。
順に見ていこう。まずグラフ1は「3DMark05 Build 1.2.0」の総合スコアだが,GeForce 7300 GSは,GeForce 6600の8割程度のスコアしか得られていない。グラフィックスドライバレベルでの最適化が進んでいる同ベンチマークテストにおいて,NVIDIAとATI Technologies両社のグラフィックスチップを直接比較することにあまり意味はないが,それを割り引いても,Radeon X1300 Proとの差は歴然だ。同じピクセルシェーダ数であることを考えると,GeForce 7300 GSのスコアは少々いただけない。
グラフ2〜4は,テストの詳細を見たものだが,全体的に,GeForce 7300 GSはGeForce 6600よりも一歩劣る内容になっている。
続いて「Quake 4」では,「The Longest Day」というマップで7名によるデスマッチを行ったリプレイを利用し,Timedemoから平均フレームレートを計測した。その結果がグラフ5なのだが,GeForce 7300 GSとGeForce 6600とでは,どの解像度においても大きな差が見られる。一方で,Quake 4において,GeForce 7300 GSがRadeon X1300 Proのスコアを上回ったことは評価していいと思われる。
「Battlefield 2」では,「Dragon Valley」で実際に行われたコンクエスト(16人×16人対戦)のリプレイをスタートから120秒間再生し,「Fraps 2.60」で平均フレームレートを計測している。グラフ6がその結果だ。GeForce間の歴然たる差は,ここでも変わっていない。
さらに,Radeon X1300 Proと比較すると,こちらではQuake 4と異なり,すべての解像度でRadeon X1300 Proの後塵を拝している。頂点シェーダ性能が問われるゲームにおいては,Radeon X1300 Proのほうが有利になるようだ。
最後に,比較的軽めのゲームとして「TrackMania Sunrise」を用意。1周53秒程度の「Paradise Island」というマップのリプレイを3回連続で実行し,その平均フレームレートをやはりFraps 2.60で測定した。その結果をグラフ7にまとめているが,GeForce 7300 GSとGeForce 6600との差がさらに広がった印象を受ける。とくに,低解像度時におけるフレームレート向上の幅が非常に少ないのが気になるところだ。断言まではできないが,これはメモリバス幅が64bitと,比較対照用の2製品の半分しかないことで,グラフィックスメモリへの書き込みや読み出しがボトルネックになっている可能性が高い。
■残念だがゲーマーには必要ない
以上,いくつかのベンチマークで検証してみたが,はっきり言って,最新の3Dゲームをプレイするには,完全に力不足だ。GeForce 6800 GSなどの登場により,ローエンド製品になったと言ってしまって問題のないGeForce 6600にさえスコアで遅れを取る製品では,残念ながらゲームには不要と言わざるを得ない。GeForce 6世代のローエンド製品,GeForce 6200はゲームに向いていると言えなかった。その意味で,その後継であるGeForce 7300 GSに,多くを望むのはやはり無理があったということだ。
もちろん,GV-NX73G128D自体の特徴,例えばファンレス動作が可能であるとか,標準でコンポーネント出力が可能であるとかいった特徴が,ゲーマー以外にとって相応に魅力的であることを否定するつもりはない。しかし,“GeForce 7シリーズらしい3D描画性能”を,GeForce 7300 GSに期待すべきでないことは,覚えておいたほうがいいだろう。