■新要素その1「釣りシステム」
今回のオープンサービスに伴い,変更が加えられた箇所はいくつかあるが,まず一番に目を引くのが,釣りシステムだろう。画面右下のコマンドメニューには,「釣り」コマンドが用意されている。早速チャレンジしたいところだが,釣りを行えるのは(釣りスキルを覚えられるのは)Lv7以降となっているので,ゲームを開始してすぐには手を出せない。ひとまずは軽く狩りをして,さっくりレベルを上げてしまおう。晴れてLv7になったら,最初の街にいるNPC「釣り聖人」に話しかけ,釣りスキルの本を買おう。
スキルを覚えたら,次に釣り竿が必要だ。この釣り竿は釣り聖人から買えるが,彼が出題する簡単なクイズに答えることでも入手できる。クイズは釣りシステムに関するチュートリアルにもなっているうえ,無料で釣り竿をゲットできるので,ぜひ後者の手段で入手しておきたいところだ。
無事にスキルと釣り竿を手にしたら,水辺に行って早速試してみよう。本作の釣りは簡単なミニゲーム仕立てになっている。池に釣り糸を垂らして魚がかかると,魚のパワーゲージが表示され,アクション開始だ。上のゲージが釣り糸のパワー,下のゲージが魚の体力を示している。上の釣り糸パワーがなくなるまでに,魚の体力をなくせば成功となる。マウスクリックで竿を引けば,魚の体力を減らせるのだが,魚はランダムに暴れて釣り糸のパワーを減らそうとする。その時は釣り糸を緩めてパワーを無駄にしないよう,調節していこう。
めでたく釣り上げれば,アイテムが手に入る。釣りで入手できるアイテムには,そのものズバリの魚のほかに,装備品の各種アクセサリーや,武器のスロットに挿入する強化アイテムなどがある。強化アイテムは,初期レベルの釣り竿でも結構な確率で手に入るので,時間を忘れて没頭してしまうこと請け合いである。魚は回復アイテムとして使用でき,またNPCに売ればなかなかの稼ぎになる。ただのミニゲームに留まらない,重要なシステムといえるかもしれない。
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スキルと釣り竿さえあれば釣りは可能だが,余裕があるなら餌も用意しておこう。獲物がかかる確率を一定時間増加させる効果がある |
回復薬として使用できる魚は,ポーション類とは別のクールタイムが設定されている。交互に使うことで効率のいい回復が行える |
■新要素その2「PKシステム」
新要素の二つめはPK(プレイヤーキリング)システムだ。オープンサービスから,フィールド上での対人戦闘が解禁された。マップによる制限はあるものの,かなり自由度の高いPKが行える。 PKが許可されているのは,最初の街とその周辺を除いたほぼ全域。おおよそLv20以上が対象のマップで行われる。
PKを受けた側には2つの選択肢がある。反撃を行うか否かだ。反撃を行った場合は同意のもとの戦闘と見なされ,双方共にペナルティは発生しない。反撃を行わず,一方的に殺された場合,PK側は赤ネームとなり,NPCの利用不可などのペナルティが発生する。
DEKARONでは「ニエテ」(悪)と称される赤ネーム状態は性向値としてステータスに表示され,一定時間が経過するか,同等レベルのモンスターを倒すことで回復し,元の白ネーム「ヘリオン」(善)に戻る。なお,PKによって殺されても,装備を奪われるといったことはない(しかし,赤ネーム状態で死んだ場合,装備がドロップすることがあるので要注意)。
筆者が少し試したところ,この性向値の回復は思いのほか早く,数人程度をPKしても,すぐに白ネームに戻ってしまった。MMORPGのPKシステムにはいろいろなパターンがあるが,本作でのPKは,「PKする側のメリット・デメリットは共に少なく,される側のデメリットも最小限」という調整のようだ。
PKシステムそのものについては議論が絶えず,賛否両論かもしれないが,昨今のMMORPGにおいて,純粋なPKを採用したものは珍しい。コンボやブロックといったシステムが絡む対人戦は,モンスター相手の戦闘とは違いなかなか白熱したものになる。「PK上等」を旨とするプレイヤー諸氏には,是非とも(一度くらいは)挑戦してもらいたい仕様だ。
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PKの結果赤ネームになってしまった。この状態になるのは一方的に攻撃して殺した場合のみだ |
性向値が一定を超えると,監獄に投獄されてしまう。なんともおどろおどろしい場所だ |
■新要素その3「UIの変更」
三つめの新要素となるのが,インタフェースの変更。韓国での現行バージョンと同じく,すっきりしたデザインに変更されている。さらに一部のウィンドウのみではあるが,その配置を好みに合わせて変更できるようになり,カスタマイズ性も強化されている。各種のウィンドウを開くためのメニューは画面右下にまとめられおり,ショートカットキーも一目で確認可能。基本的な操作方法に変更はないため,クローズドβからのプレイヤーでも,操作に戸惑うことはないだろう。
また,レベルアップ時にステータスポイントを割り振るインタフェースが一新されているのも見逃せない。ポイントを割り振る際にプレビューが表示され,確定するまでは能力上昇が反映されなくなったのだ。これで「うっかり振り間違い」というミスも防げるはずだ。ユーザーの意見が反映された修正であり,こういった変更は素直に歓迎できる。
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主に変更が加えられたのは,画面下に表示されるインタフェース。そのほかのウィンドウにも細かな変更が加えられている |
スキルの取得にも確認ウィンドウが追加された。ポイントの振り間違いには十分注意しよう |
そのほかの新要素としては,Lv85以上のキャラクターのみが入場できるフィールド「パイトン城」の導入や,Lv90台専用の装備の実装があるが,残念ながらこれらについてはお伝えできない。なにせ筆者のキャラクターはまだLv20そこそこである。開かれたばかりの日本のサーバーでは,これらにはまだまだお目にかかれないが,本国のサービスと実装度の差が縮まるのは嬉しいことだ。その内容は,ぜひとも自分の目で確かめてほしい。
■補考「オープンサービスの実力はいかに」
さて,ここでは,前回のレビューでは触れなかった点を補足しよう。前回はオープン前のサーバでの孤独なプレイだったので,ほかのプレイヤーと絡む部分について触れておく。
人で賑わう街の中央部には露店が立ち並ぶ。ほかのMMOタイトルでもよく目にする光景である。露店を開くのに特別なスキルは必要ない。メニューから「露店を開く」を選択し,ウィンドウに商品を並べるだけでOKだ。露店からアイテムを買う場合は,看板を出しているキャラクターをクリック。商品にカーソルを合わせると,詳細が表示される。重要な装備スロット数はアイテムの上に「○」で表示されるので,よく確認して買うようにしよう。
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街の中には多数の露店が並ぶ。NPC商店では売られていないレアアイテムはここで売買される |
自分で露店を出す場合は,画面右下のコマンドメニューから。特別なスキルなどは必要ないので,誰でも露店が出せる |
パーティを組むのもいたって簡単だ。パーティウィンドウからパーティ名を入力して結成ボタンを押せば,即完了となる。後はパーティに誘いたいプレイヤーをクリックで選択し,画面上部のメニューから勧誘しよう。6人まで参加可能で,リーダーはアイテムの分配方法を設定できる。これもごく一般的な仕様といっていいだろう。パーティの募集も,マップ全体に聞こえる「シャウト」でたびたび行われているので,実際にパーティを組むのは,さほど難しくないはずだ。
なおクローズドβ時にたびたび起こっていたスクリプトの不具合や,クエスト中の強制終了などもほぼ修正され,快適にプレイできたことを付け加えておこう。
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直感的な操作が可能なパーティ作成ウィンドウ。このウィンドウを操作するのは基本的にパーティリーダーの仕事だ |
Lv50以上になれば,ギルドも結成できる。すでにこの条件を満たし,エンブレムをつけたキャラクターを何人も見かけた。今後はもっと増えていくだろう |
先日行なわれたオフラインイベントでは,いささか方向性を決めかねているようなところも見られたが,ゲーム内でプレイヤーの前にGMが姿を見せることも多く,日本モリアがこのタイトルにかける意気込みが感じられる。
また,共同運営を行うスープレックスからは,今後,小説や映画(?)といったメディアミックス展開が控えており,そうした方面に期待するファンからすれば,非常に楽しみだろう。
■総評「オーソドックスながら可能性を残した良作」
新要素を中心に解説してきたが,ここではそれらを踏まえたうえで,もう一度全体について振り返ってみたい。
やはり本作を語るうえで避けて通れないのは,独自性の少なさであろう。しかし今回追加された新要素は,そういった評価を覆すには至らなかったものの,作品の完成度を確実に高めている。そのため,全体としてフラットな印象は強く残るものの,同系統の3D MMORPGの中にあっては,DEKARONは「秀作」であると筆者は考えている。
戦闘はストレスなくサクサクと進むし,マップ間の移動に関しても実にスムースだ。プレイを盛り上げる演出にもこと欠かない。
グラフィックスはこの手のゲームとしてはそつなくまとまっており,とくに風景の美しさにはハッとさせられることもある……,などなど,文章にするとありきたりな表現になってしまうが,長時間ゲームと向き合うことになるMMORPGでは,これらはとても重要な要素である。
このようにDEKARONは良質なのだが,未だプレーンなケーキの土台に留まっている気がする。つまり,これからいろいろな要素を,この上に盛り付ける余地が残っているということだ。韓国では新クラスや攻城戦の導入を視野に入れた開発が行われていると聞く。開発元のゲームハイ,および日本運営元の日本モリア/スープレックスに,一層の期待を寄せる次第である。
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ところでこの記事のスクリーンショットを選ぶ段になって,とても後悔したことが一つ。なんで女性キャラクターで始めなかったのか……。むさくるしい絵ばかりになって申し訳ない限りです
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