― レビュー ―
A列車で行こう7 パワーアップキット第3弾が登場
A列車で行こう7 ダイヤ・コンストラクション
Text by UHAUHA
2005年11月9日

 

■ダイヤグラム設定で列車の運行を思うがままに

 

「A列車で行こう7」に「ダイヤ・コンストラクション」を導入することで,各駅の到着時刻,発車時刻を表す簡易時刻表と,各車両が前駅を出てから何時間何分経過したかが表示される。細かいダイヤ設定を行った場合には全体を把握するのに便利

 人気の鉄道経営シミュレーション「A列車で行こう7」(以下,A7本体)には,オリジナル列車をデザインできる「A列車で行こう7 トレイン・コンストラクション」,地形や建物を自由に設計/配置できる「A列車で行こう7 マップ・コンストラクション」といった"マニア向け"のパワーアップキットが発売されてきた。そして10月27日,そのパワーアップキットの最後を飾る「A列車で行こう7 ダイヤ・コンストラクション」(以下,ダイヤ・コンストラクション)が発売された。

 

 ダイヤ・コンストラクションは,「駅詳細設定」と「ポイント詳細設定」機能の追加がメインのパワーアップキット。分単位で発車時刻/ポイント分岐を設定でき,発車月,発車曜日を細かくセッティングすることにより,今までよりも幅広い列車運行設定が可能となる。また各駅に「簡易時刻表を表示」,各車両に「走行時間を表示」するといった機能,そして4種類のオリジナル車両が追加される。

 

 これまでのパワーアップキットは,デザインした列車をA7本体で走らせる,作成したマップをA7本体で遊ぶなど,エディタでデータを作ってA7本体で使うという形式だった。しかしダイヤ・コンストラクションには,A7本体に拡張機能がプラスされた「A-Train7+DIAGRAM」が用意されている。本作を導入すれば,今後A7本体を起動することはなくなるだろう。

 

ダイヤ・コンストラクションで追加される4種類の追加車両は,いずれもアートディンクのオリジナル

 

 

■使いやすい設定画面で手の込んだダイヤを組める

 

前とほとんど変わっていない駅設定画面だが,「毎月」という項目が追加され,ひと月のみ列車を走らせることも可能だ。もっと細かくセッティングしたければ,駅設定ウィンドウ上部にある「詳細設定」を選ぶ

 それでは,ダイヤ・コンストラクションによって追加される機能で,実際どんなことができるのか紹介していこう。

 

 まずは「駅設定」について。駅設定画面でセッティングできる項目は,「発車月」が追加されているだけで,今までと大きな違いはない。ここでは発車時刻(10分単位),発車間隔(1時間単位),発車曜日設定(毎日,平日,休日),発車月(毎月,1月〜12月の一つ)をセッティングできる。

 

 ダイヤ・コンストラクションのウリでもある,発車時刻の「分単位設定」などの細かいダイヤ設定を行うには,ウィンドウ上部にある「詳細設定」を選ぶ。駅詳細設定では発車月,発車季節,発車曜日を細かくセッティングでき,例えば“1月,3月,5月,9月,12月の月曜日,水曜日,日曜日だけ列車を走らせる”といった極端な運行設定も可能になる。

 

 分刻みのダイヤ設定は「発車時刻グラフ」で指定していく。グラフは縦軸(24マス)が“時”,横軸(60マス)が“分”を表しており,発車させたい時刻のセルに色を付けていくだけと,実に手軽。例えば発車時刻を13時48分に設定する場合は「時番号13H:分番号48」のセルをクリックするだけ。40〜50までのセルをまとめてセッティングしておけば,この時間内に停車した列車は0分停車ですぐに発車するわけだ。

 

 「ポイント設定」も駅設定と同じ。今までどおり各列車番ごとに直進/分岐を設定するポイント設定があり,分刻みの設定が必要なら詳細設定を選べばよい。駅詳細設定と同様に「分岐時刻グラフ」が表示され,分岐方向に進ませたい時間帯に色を付けていく。

 

ダイヤ詳細設定画面。発車月/曜日も個々にセッティング可能。各駅,各列車で大量に発車時刻を設定できる ポイント詳細設定画面。水色の部分が分岐ルートになる部分で,自由に直進&分岐を振り分けられる

 

 どちらの詳細設定グラフも,1か所だけでなく複数箇所を設定できるため,ダイヤ編成の自由度は格段に上がった。また1時間単位,10分単位で設定するときは,時番号,分番号を選択しての「一括設定」や,2か所選ぶだけで等間隔に発車時間/ポイント分岐時間がセッティングされる「反復機能」なども利用できる。

 

 「詳細設定」では細かくダイヤ設定ができるわけだが,実際に列車を走らせてみないと分からない(見えてこない)ことも多い。そんなときは「ダイヤグラムウィザード」が役に立つ(メニューの「ダイヤ」)。ダイヤグラムウィザードでは,列車を走らせながらダイヤのセッティングが可能で,駅に停車すると駅設定画面が表示され,ポイントにくるとポイント設定画面が表示されるという具合に,走行ルートを追いながら設定するため分かりやすい。
 各駅の到着時刻や発車条件を一覧で見られる「時刻表」と併用すれば,ダイヤ全体を把握するのに役立つ。ダイヤグラムウィザードで設定していくとゲーム内の時間が進んでしまうのだが,進んだ時間を戻して再開する機能が付いているため,納得するまで試行錯誤できるところが嬉しい。

 

 複雑になりがちなダイヤ&ポイントの詳細設定画面も比較的使い勝手がよく,しかも分かりやすい。また初心者でも簡単にダイヤを組めるダイヤグラムウィザードを用意した点は高く評価したい。

 

ダイヤグラムウィザードでは実走しながらダイヤを組める。ルート全体を通してのダイヤ設定がしやすい

 

 

■複雑なダイヤを組みたい人には気になる部分も……

 

A列車で行こうシリーズ特有の時間の経過速度により,この1日に何往復もできそうな路線でも,実際は片道6時間4分も要する。24時間で2往復しかできず,分単位のダイヤ設定を生かし切れない

 各駅,各車両,各ポイントに複数の発車時刻を設定できるようになり,しかも分刻みのダイヤを作れるようになったことで,かなり突き詰めた列車運行ができるようになったのは素直に喜べるところだ。

 

 おそらく多くのファンがダイヤに求めるのは,日本の鉄道の特徴でもある“過密ダイヤのコントロール”だろう。例えば山手線のような1周約1時間の環状線を作り,朝5時に始発電車が走り出す。そして朝の通勤ラッシュ時間帯に合わせて待避線から続々と列車が入り,同一路線上を分刻みで走る。ラッシュ時間が終われば,夕方のラッシュ時間が来るまで一部の列車がゾロゾロと待避線に入っていく。……8月は夏休みシーズンだし,少し本数を減らしてそうかな? などなど,各列車を細かくダイヤ設定し,思いどおりに自動運行している様子を,マニアならずとも眺めたいのではなかろうか。設定自体はいとも簡単にできてしまうダイヤ・コンストラクションだけに,非現実的な時間経過という仕様のため無意味になってしまっているのが残念でならない。

 

 そういった不満要素はあるが,グラフによる複数箇所の発車時刻/ポイント設定や発車月,発車曜日設定など,一歩踏み込んだダイヤ設定をしたい人は導入する価値があるだろう。

 

1日を通して分刻みのダイヤ設定ができれば,複々線にしなくても多くの列車をやりくりできそうだ 発車時刻&分岐時刻グラフでは,2か所を設定して反復機能を使うことで,簡単に等間隔な時刻設定ができる

 

タイトル A列車で行こう7 ダイヤ コンストラクション
開発元 アートディンク 発売元 サイバーフロント
発売日 2005/10/28 価格 3675円(税込)
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(DirectX 9.0c以上),CPU:Celeron/1GHz以上(Pentium 4/2GHz以上推奨),メインメモリ:512MB以上,グラフィックスメモリ:64MB以上(128MB以上推奨)

(C)ARTDINK 2005 (C)CYBERFRONT 2005

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http://www.4gamer.net/review/a7_diagram/a7_diagram.shtml