新作紹介 : ポスタル・ファッジパック

春の陽気にピッタリのあの男がパワーアップして帰ってきた

ポスタル・ファッジパック

Text by 松本隆一
2007年4月9日

 

 

これ一本でシリーズのほとんどすべてがあなたの手に

 

 3月30日にドライブから発売された「ポスタル ファッジパック」は,初代「ポスタル」と続編「ポスタル2」,そしてそのパワーアップキットやファンが制作したMODなどを一つのパッケージに収めた一本。
 今までポスタルシリーズを一度もやったことがないという,ある意味健全なライフスタイルの人でも,これさえ買えば,最新作「ポスタル2 ロシアより愛をこめて」以外,ほとんどのポスタルプロダクトをプレイできてしまって,ああ,どうしようというシロモノだ。
 動作保証外だが,Mac版とLinux版(出てたんですね)まで同梱しているという太っ腹で,ポスタル・デュード(主人公)も大喜びだろう。

 

初代ポスタルに追加データを加えた完全版ポスタル。発売と同時に世界中で物議をかもした一本があなたの手に ポスタル2では,一人称視点のFPSにパワーアップ。妻に頼まれた「おつかい」をこなす主人公の一週間が描かれる 主人公の週末二日間を描く「ポスタル2 ウィークエンド」。とはいえ,のんびり休日を過ごすわけではないのだ

 

 

五つのゲームとおまけがついた永久保存版
なくすなよ!

 

●ポスタル+スペシャルデリバリー

 

素朴な画面が時代を感じさせるが,やってることはひどい

 1997年に登場したポスタルは見下ろし型視点のアクションゲーム。突然狂気に陥った主人公が,スーパーマーケットや街頭で無差別に殺戮を繰り返すという内容が世界的に問題になり,発売禁止となる国や地域が続出。それまで子供向けの知育ソフトを作っていたデベロッパ Running with Scissorsはこれでハジけてしまい,以降ポスタル一筋の怪しいメーカーに。今回は,パワーアップキット「スペシャルデリバリー」を同梱した完全版だ。

 

●ポスタル2

 

行き過ぎたバイオレンス表現は,もはやギャグとして見られている

 2003年に登場した期待の続編はUnreal Engine 2.0を使ったFPSに変身し,またしても世界中で物議をかもした。主人公は妻に頼まれた「おつかい」をこなすのだが,途中,いろいろとイライラするような仕掛けが施されており,そのイライラに耐えて淡々とおつかいをこなしていくか,あるいはキれて銃を撃ちまくるかはプレイヤー次第。ファッジパックでは,このポスタル2にパワーアップキットも導入してあるため,マルチプレイも可能。

 

●ポスタル2 ウィークエンド

 

かなり唐突にゾンビが出現。これもすべて彼の妄想の世界なのだろうか

 ポスタル2の大規模なパワーアップキットで,本編で描かれなかった主人公の週末の風景が登場する。目覚めたのはなぜか病院で,家に帰ろうと立ち上がった彼に,ゲーリー・コールマンや改造された猫,牛のかぶりものを付けた男など,非常に変な連中が襲いかかる。
 ただの病院が突然廃屋に変わったり,透明な敵が襲ってきたりと,果たしてこれは現実なのか,それとも主人公の頭の中の出来事なのか分からなくなる演出が憎い。

 

●エターナル・ダムネーション

 

なにを目的になんのために戦うのかすら不明。画面も雰囲気もひたすら暗い

 Unreal Engine 2.0を使うポスタル2はMOD作りも盛んだが,このエターナル・ダムネーションは,それらのファン制作MODの中でも出色の出来。ポスタル2が,本編のおバカ/お下品テイストをすっかり拭い去ったバイオレンス・ホラーに変身しているのである。
 精神を病んで病院に収監されている男が体験する,不気味で凶暴な数々の出来事。画面は暗く,恐怖をあおる演出もなかなか堂に入ったものだ。

 

●ウィーク・イン・パラダイス

 

取って付けたような帽子とメガネだが,まさに取って付けたのである

 こちらもファン制作のMOD。基本は“ウィークエンド”で拡張された新機能やアイテムを本編でも使えるようにするものだが,それ以外にも銃や刀などがリファインされたり,帽子やメガネを着用した変な人がうろうろしたりなど,細かいところにいろいろな変化が見られる。
 とりあえずポスタル2をクリアして,さあ,もう一丁やるか,というときにプレイするといいだろう。本編との違いを探して歩くのもマニアックでなかなかよろしいかと。

 

 

まさにポスタル一人占め! 健康にはぜひ留意しよう

 

どう見ても嬉しそうなゲーリー・コールマン氏

 さらにおまけとして,ポスタルベイブ(実物)のイメージショット集,プロモーションムービー,さらに音声ファイルなども付いてくるので,お得感は倍増だ。すでにポスタルシリーズをいくつか持っている人は価格と相談ということになるだろうが,入手が難しい気がしてならない初代ポスタルや,MODファイルなども入っているので,コレクションアイテムとしての価値は十分だろう。
 デベロッパのRunning with Scissorsからは現在,Unreal Engine3を使った「Postal 3」を開発中とアナウンスされており,前述の“ロシアより〜”とこのファッジパックを以て,ポスタル2関係のプロダクトは終わりとなりそうだ。次回作を期待しつつ,ファッジパックを楽しんでみるのも風情があるというか,なんというか。ともかく,ゲームの中で起きることはゲームの中だから起きるのだ,ということがすっかり分かっている大人の人はぜひどうぞ。

 

 

スクリーンショット

 

 

タイトル ポスタル・ファッジパック
開発元 Running With Scissors 発売元 ドライブ
発売日 2007/03/30 価格 8190円(税込)
 
動作環境 OS:Windows Me/XP/Vista,CPU:Pentium III/733MHz以上[Pentium III/1.20GHz以上推奨],メインメモリ:256MB以上[512MB以上推奨],グラフィックスメモリ:32MB以上[64MB以上推奨]

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http://www.4gamer.net/preview/postal_fp/postal_fp.shtml