新作紹介 : ドカポン・ザ・ワールド Online

ゲーム機由来のRPG風双六ゲーム

ドカポン・ザ・ワールド Online

Text by 麻生ちはや
2007年7月4日

 

 「ドカポン・ザ・ワールド Online」は,2004年11月にプレイステーション2用ソフトとして発売された「ドカポン・ザ・ワールド」のPCオンライン版に当たるタイトルだ。そもそもドカポンは,1993年に発売された「ドカポン王国IV 〜伝説の勇者たち〜」から連綿と続くシリーズ作品で,根強いファンもいる。
 双六やモノポリーのようなボードゲームに,RPGの味付けをした作品で,プレイヤーはルーレットを回して出た目の数だけマスを進み,留まったマスでモンスターとの戦闘をはじめとする,さまざまなイベントをこなしつつ,ゴールを目指す。
 そう聞くと,ほのぼのとした家族向けタイトルが想像されるが,プレイヤー同士の直接対決が可能なうえ,魔法やアイテム,スキルを駆使した他プレイヤーへの妨害工作ができるのも本タイトルの特徴。あまりやりすぎると現実の人間関係にも影響が出るかも,ということで,当時は「RPG風友情破壊ボードゲーム」「ズルい奴ほど,よく勝てる」といった,ユーモアあふれるキャッチフレーズが付けられていた。

 

 

複雑な操作はないが,ゲームパッド向き

 

「次元のはざま」は軽いトレーニング代わりの場所。最初にゴールしたプレイヤーには,ちょっとしたアイテムがプレゼントされる

 自分のハンドル名,職業,性別,色を決めてキャラクターを作成すれば,すぐにゲームに参加できる。最大4人でのオンライン対戦が楽しめるが,自分で部屋を作れば,自分以外の3人をNPCに担当させるソロプレイも選択可能だ。
 ゲームモードには「ストーリーモード」のほか,「週数を指定」「お金を指定」が用意され,それぞれ勝利条件が変わる。ストーリーモードはドカポンの世界をフルに楽しめるモードだが,ワンプレイは3時間を超えるので要注意。なお,以下の内容はストーリーモードでのプレイを前提に執筆している。
 基本はボードゲーム形式なので,複雑な操作は要求されない。ゲームは,現実世界とドカポン王国をつなぐという「次元のはざま」からスタートし,ここが初心者向けの軽いチュートリアルを兼ねている。
 プレイステーション2からの移植仕様ゆえ,ルーレットを回すボタンや戦闘時の選択・決定ボタンは「○□△×」で示されている。キーボードでのプレイも可能だが,ランダムに発生するミニゲームのなかには,素早い操作が要求されるものもあり,できればゲームパッドの利用をおすすめしたい。

 

ハンドル名を入力し,職業,性別,色を決めれば,キャラクターメイキングは完了。初期段階の職業は,僧侶,魔法使い,盗賊,戦士無職の5種類だが,随時転職可能だ

 

 

世界を解放する勇者は,お金にうるさい?

 

 さて,お金=パワーという世界観のパラレルワールドにあるドカポン王国。金庫からお金を奪われた王国を救うべく,4人の勇者すなわちプレイヤー達は「ドカポン城」のある「アジアエリア」から冒険に出発する。ゲームの勝利条件はとにかくお金を稼いで,一番のお金持ちになること。現実の世界地図にそっくりなこの世界,スタート地点となるアジアエリアの先には,「ロシアエリア」「ヨーロッパエリア」さらには「南米エリア」や「オセアニアエリア」が広がっている。
 各エリアはゲームスタート時にはそれぞれ孤立しており,そのままでは先に進めない。各エリアの村々を占拠しているモンスターを倒して解放し,さらにボスモンスターを倒すことで,次のエリアへのルートが開けるようになっている。

 

スタート地点のアジアエリアには,「トーキョー村」「インド村」「カンコク村」「モンゴル村」などが点在し,マスの上には召喚されたモンスターが立ちはだかる トーキョー村をモンスター「ゴクウ」から解放すると,感謝の言葉とともに大金が。自分が解放した村に投資すると町や市に発展し,資産価値も高まっていく

 

 倒したモンスターからは大金とレア装備品が得られるだけでなく,村人から感謝されてお礼がもらえるわ,以後その村から上納金を徴収できるようになるわと,いいことづくめだ。ただし,一つの村を救えるのは一人だけ。ほかの誰よりも早く村にたどり着き,素早くモンスターを倒さなければ,あとから追いついたプレイヤーに手柄を横取りされてしまうこともある。
 狙ったマスにピタリと留まるためには,ルーレットと運だけには頼っていられない。冒険の途中で手に入れた,特殊な効果を持つアイテムを駆使しつつ一番乗りを目指す。逆に,自分が村にたどり着くまでの間,ライバルの戦闘を長引かせたいと思ったら,モンスターを回復アイテムや魔法で支援するという妨害工作も可能なのだ。

 

アジアエリアのボスモンスターは,「龍の洞窟」にいる「惨僧法師」だ。ボスへの挑戦権を得るための前提条件は,毎回異なる 解放した村はその後の投資によって,町から市へと発展。その価値はゲーム内通貨に換算されて,プレイヤーの資産となる

 

 

相手の手の内を読み合う戦闘が楽しい

 

 お店やイベントマス以外の地形に留まると,モンスターとの,あるいはプレイヤー同士の戦闘が開始される。戦闘はリアルタイムではなく,まず先攻/後攻を決め,それぞれの行動を事前入力するターン制だ。相手が「MAGIC」で攻撃してくると思うならこちらはカウンターマジックを,「必殺」で来ると考えたなら「反撃」を,といった駆け引きが展開する。
 防御側は相手の行動を読んでいかにダメージを抑えるか,攻撃側はいかに虚を突くかという心理戦で,自分の読みがズバリ当たると,思わずニヤリとしてしまう楽しさがある。マップを進むにつれ,敵も高度なスキルを使って攻撃してくるようになるので,先攻がやや有利になっていく傾向がある。最初のカードで先攻を引けるかどうかという,運も実力のうちなのだ。

 

地形マスに留まると戦闘開始。カードを引いて,先攻/後攻を決める 攻撃側,防御側で選ぶコマンドは異なる。相手の手の内を想像して行動を決定

 

 戦いに勝てば,経験値とお金,そして敵が持っていたアイテムや,ときには高性能の武器や防具が手に入る。自分が倒されると,逆にアイテムを奪われてしまうだけでなく,スタート地点のドカポン城か途中の教会まで戻され,さらに1ターンお休みのペナルティが付く。ゲーム後半になるほどにこのペナルティは痛恨で,ライバル達との差を埋めるのが難しくなる。戦闘では慎重かつ確実に勝利を狙おう。

 

両者のコマンド入力が終わると戦闘開始。1ターンで決着がつかない場合は次のターンに持ち越しとなる 「ゴクウ」を倒して「にょいぼう」をゲット。武器・防具には職業との相性もあるので注意して交換しよう

 

 

毎回違う成長過程を楽しめる,転職システム

 

 戦闘で一定の経験値を得れば,キャラクターはレベルアップして,各種ステータスが上昇するのだが,ステータスの成長度合いは職業によって異なる。例えば僧侶なら最大HPが上がりやすいし,盗賊なら素早さが上がりやすい。

 ドカポン・ザ・ワールド Onlineには転職システムがあり,お金さえ払えば何度でも転職可能だ。僧侶としてゲームをスタートし,ある程度最大HPを上げたら次は魔法使いで魔法力を成長させ,3度目の転職では盗賊になって素早さを伸ばすというふうに,プレイヤーの育て方次第で強さの異なるキャラクターが作れるのが,本タイトルの魅力の一つとなっている。
 また,同じ職業で何度かレベルアップを重ねて,熟練度を上げることによって就けるようになるという,さらなる上位職も用意されている。

 

 

悲喜こもごもの,イベントNPCとの遭遇

 

 地形マスに留まったとき,モンスターでなくイベントNPCに遭遇することがある。突然やってくるNPCは,HPとステータスを回復してくれる「白衣の天使」,武器か防具のどちらかを強化してくれる「流れの鍛冶屋ガッツ」といった好都合なものから,いきなり写真を高額で売りつけてくる「写真家フォト」,ブラックメールをプレイヤーに押しつける「闇の住人ウェーバー」まで,その数20種類以上。また,1位のモンスターを予想してお金を賭けるミニゲーム「モンスターレース」もランダムに発生する。予想が当たれば一発逆転も可能な,このチャンスを生かそう。

 

「ブラックメール」は,所持していると数ターン後に持ち主にとんでもない不幸をもたらす。ほかのプレイヤーに送って,押しつけてしまうのが定石 踊り子ルチルのために曲に合わせてボタンを押すイベント。うまくいけばお礼がもらえるようだが,大失敗すると「リズム感ゼロよ」と怒られてしまう 水曜日にランダムで起こるモンスターレースでは,予想が当たればお金とアイテムが手に入る。王国の大臣ローズ&ラベンダーが進行を担当する

 

 

ゲームモードの拡充に期待

 

 ドカポン・ザ・ワールド Onlineは過去にシリーズ作品をいくつも出しているタイトルだけあり,プレイヤー同士の駆け引きや,転職システムを用いたキャラクター育成,イベント内容の豊富さといった部分は十分楽しめるものに仕上がっている。
 ただし,長時間プレイの覚悟が必要なストーリーモードか,週数や金額を決めたモードのどちらかしか用意されておらず,遊び方のバリエーションが少ないのがやや残念。世界各地域という設定のままでは難しいかもしれないが,戦績などでアンロックされる新しいマップなどもぜひ欲しいところだ。
 オープンβテストなど,今後スケジュールはまだ発表されていないが,より気軽にプレイ可能なゲームモードが追加されれば,シリーズ従来作品を知らないプレイヤーでも参加しやすいタイトルとなるだろう。

 

 

タイトル ドカポン・ザ・ワールド Online
開発元 スティング 発売元 スティング
発売日 2007/春 価格 未定(月額課金制)
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium 4/1.6GHz以上(Pentium 4/2.8GHz以上推奨),メモリ:256MB(512MB以上推奨),HDD空き容量:4GB以上(インストール時に8GB以上必要),グラフィックスチップ:DirectX 9.0c対応のもの(GeForce FX5200,Radeon X600以上推奨),グラフィックスメモリ:64MB以上(128MB以上推奨)

(C)2007 STING

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http://www.4gamer.net/preview/dokapon/dokapon.shtml