紹介記事 : Ashen Empire

生産系スキルが妙に凝った,古風な作りの2DタイプMMORPG

Ashen Empire

Text by 川崎政一郎
2007年3月2日

 

2DタイプのMMORPG「Ashen Empire」とは?

 

 Iron Will Gamesが運営中の,2DタイプのMMORPG「Ashen Empire」。過去に開発チームの買収やタイトル名の変更など(古くからの4Gamer読者にとっては「Dransik」といったほうがピンと来るかもしれない),数奇な運命を辿ってきたタイトルだ。メジャータイトルとはいえない作品になってしまったが,立派に現役で稼働している。
 稼働しているばかりか,2006年12月には2本め(!)の拡張パック「Sand of Creation」が発売されており,第三者の心配をよそに,並のMMORPGよりはよっぽど確実に進化し続けている。
 このタイミングで,本作がどんなタイトルなのかをあらためて紹介してみよう。

 

ここまでレトロに見えるオンラインゲームが2007年に現存しているというのは,ある意味ちょっと喜ばしい 選べる種族は「Human」「Nightelf」「Orc」。髪型や肌の色は変えられるが,異種族ですら見た目はほとんど一緒 課金システムはやや複雑だが,無料の状態でもじゅうぶん遊べるので安心してほしい。詳細は後述

 

 

キャラクターレベル制とスキルレベル制を組み合わせた育成システム

 

Ashen Empireをひと言で言うと,形を変えた「ウルティマ オンライン」だ。ただ一つ決定的に違うのは,キャラクターのレベルとスキルのレベルを別々に設け,より柔軟性のある育成方法を実現していること

 スキルを使ったアクションを起こすと,キャラクターレベル用の経験値も一緒に獲得される。つまりそれは言い換えると,一日のんびりと釣りをして過ごすような人でも,着実にキャラクターがレベルアップしていくということだ。それが良い方向に作用するのか悪い方向に作用するのか,判断できるほどまではプレイが進んでいないのでなんともいえないが,試みとしては面白い。
 それ以外のゲームの全体像は,システムもイメージも「ウルティマ オンライン」(UO)に近い。実際,おそらく多くの人にとって,グラフィックスの第一印象や画面インタフェース,ゲームシステム詳細を聞いて最初に思い浮かべるのは,UOではないだろうか。

 

 

多彩なスキルが登場。“生産系”マニアも満足

 

 ゲーム内にはたくさんのスキルが登場するが,実はキャラクターは,自由にこれらを習得できる。デメリットや制限はない。習得するスキルの合計値にさえ制限が設けられていないため,育て間違えを恐れる必要すらない。なんと潔い仕様だろうか。
 ゲームの序盤で関わるスキルトレーナーを下にざっとまとめてみたが,キャラクターに直接関わってくるスキル数はもっと多い。たとえば「Blacksmith」の場合だと,鉱山から鉱石を採掘して(Mining),鉄へ精錬して(Iron Smelting),鍛冶を行う(Iron Forging)プロセスに分けられているのだ。また,「Fly-casting」(釣り)のようにトレーナーを必要としないスキルもある。
 これらの数多くあるスキルごとに,経験値やレベルが別々に設けられている。純粋にゲーム内での生産活動をメインにしたい人でも,存分にやりがいがあるというわけだ。

 

・武器スキル関連のトレーナー

Large Blade: 大剣
Small Blade: 小剣
Axe Weapon:
Blunt Weapon: 鈍器
Polearms: ポールアーム
Archery:
Crossbow: クロスボウ
Thrown Weapon: 投擲武器

 

・魔法スキル関連のトレーナー

Body Mage: 肉体に関連した魔法
Nature Mage: 自然に関連した魔法
Soul Mage: 精神に関連した魔法
Mind Mage: 心に関連した魔法

 

・生産スキル関連のトレーナー

Cooking: 調理
Leatherworking: 革細工
Blacksmith: 鍛冶
Carpentry: 大工
Tailoring: 裁縫

 

戦闘系のスキルは,マスタリーのNPCから武器をもらい,それを装備してモンスターと戦えば自然と上昇していく 魔法の詠唱方法はやや複雑。ルーンスロット(Cキー)に,属性に対応したアイテムを装備しなければならない 鍛冶の作業を行っているシーン。採掘,精錬,鍛冶のそれぞれのアクションが,妙に凝っているのが面白い

 

 

初心者用の島におけるプレイの様子

 

 作成したキャラクターは,最初にチュートリアル用の島へと降り立つ。島の中心部には大きな街があり,そこには各種ショップやスキルトレーナーといったNPCが一通りいる。序盤はこの街を拠点にしつつ,少しずつゲームに慣れていく,という展開になるだろう。この初心者用の島における実際のプレイの様子を,写真と共に紹介しよう。

 

キャラを作ってチュートリアル用の島に降り立ったら,近くに立っているNPCに話しかけてみよう。クエストを依頼され,その内容は緑色のチャットメッセージで確認できる(画面左下)。最初の町の範囲内だけでも,くまなく歩き回ると10以上のクエストを確認できるはず Qキーを押すたびに,戦闘モードのON/OFFを交互に切り替えられる。戦闘モードがONの状態で敵をダブルクリックして隣接すると,後は自動的に攻撃し続けてくれる。戦闘モードがOFFの間は,攻撃は行えないものの,ヒットポイントとスタミナの回復スピードがとても速い

 

キャラクターが最初に訪れる街は,南にいるゴブリンからの襲撃に悩まされている。このゴブリンは強く,レベル5未満のキャラクターが襲われれば命はないだろう。ゲーム内に登場するアクティブモンスターの反応範囲は広いので,画面に表示されるモンスターネームには常に注意しておこう 写真のモンスター“Triddle”を倒して得られる「Blue Topaz」は,ショップへの売却価格が40GPと高く,序盤でのお金稼ぎとして集中的に狙うのがお勧め。また,これを数多く倒すことで「Novice Killer of Insects」という称号も獲得できる。称号は,とあるクエストの遂行条件にもなっているので一石二鳥だ

 

 

ハウジング機能も実装され,地道に進化している

 

 日本のコミュニティではあまり名前を見かけないAshen Empireだが,前述のとおり,「Talazar's Revenge」や「Sands of Creation」と2本の拡張パックを発売し,着実に進化し続けている。さらに,先日行われた大型アップデート「Construction」によって,プレイヤーが家を建築(ハウジング)できるようになったのだ。ハウジング機能に関しては,かなり前から開発作業を行っているのを見ていただけに(関連記事),なかなか感慨深いものがある。

 

 なお,Ashen Empireの課金システムは,“token”と呼ばれる専用の通貨をドルで購入し,それを消費してさまざまなサービスを得る,という珍しいタイプだ。tokenの消費状況によって,アカウントが「Diamond」「Gold」「Silver」「Bronze」の4種類に区分けされる。例えば,まったく課金を行っていない状態のアカウント「Bronze」では,1日の間に取得できる経験値量の上限や,PvPサーバーにおけるほかのキャラクターへの攻撃時などに制限がある。そしてtokenが支払われた期間に応じて,「Bronze」→「Silver」→「Gold」→「Diamond」とグレードアップするのだ。さらにtokenを利用したアイテム課金(のようなもの)も始まっており,そういった課金情報についての詳しい情報は,公式フォーラムの「こちら」を参照してほしい。

 

 写真を一目見れば分かるように,Ashen Empireは今となってはある意味,かなりアクの強いタイトルである。そのため,万人に手放しでお勧めできるタイトルとは言いにくいのだが,プレイしながらなんとなく,昔のPCゲームの匂いを思い出してしまった。例えば,昔のウルティマオンラインを懐かしく思うような人には,一度遊んでみてもらいたいタイトルだ。

 

 

タイトル Ashen Empires
開発元 Iron Will Games 発売元 Iron Will Games
発売日 2005/01/17 価格 8.95ドル/1か月,ほか
 
動作環境 N/A

(c) 2006 Iron Will Games, LLC.

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/preview/ashenempire/ashenempire.shtml