「アークロード」は,hangameの本家本元である韓国のNHN Gamesが10億円近い費用を投じて開発した,同社初といえる本格派ファンタジーMMORPGだ。日本でのサービスは,NHN Japanのポータルサイト「ハンゲーム」を通じて行われ,6月19日〜6月26日にクローズドβテストが実施された。
本作の目玉は,すべての力を統べる者「アークロード」を目指すギルド同士の攻城戦と,プレイヤーがプレイヤーに賞金をかけるバウンティーシステムなどのPvP要素にある。
加えて,料理システムや変身システム,騎乗生物,アイテム強化など,冒険を盛り上げてくれる要素もたっぷり用意されている。成長システムはレベル制を採用しており,また戦闘は韓国産MMORPGでおなじみのクリックタイプとなっている。操作はシンプルで,マウス一つでほとんどの操作が可能だ。
舞台は剣と魔法のファンタジー世界
「アークロード」の舞台は,精霊達によって作られた「アーコン」が眠るというカントラ大陸だ。伝説によると,アーコンには奇跡の力が秘められており,火/水/風/土/魔法の五つすべてを集めた者は地上のあらゆる力を手に入れられるといわれている。プレイヤーは,それら伝説のアーコンを求めて冒険を繰り広げるのだ。
三つの種族,八つのクラス
ゲームには「ヒューマン」「オーク」「ムーンエルフ」の3種族が用意されており,それぞれ三つのクラス(ムーンエルフは二つ)から選択が可能だ。種族とクラスの関係は,ファンタジー系のMMORPGに慣れた人ならすぐに理解できるだろう。
●ヒューマン
●オーク
●ムーンエルフ
エレメンタリスト (Elementalist) |
レンジャー (Ranger) |
ムーンエルフはすべて女性キャラで,ほとんどのステータスは平均以下だが,エレメンタリストはチャクラムという独特の武器と召喚獣を使って戦うため,戦場では侮れない | 弓や投げナイフ,ブーメランのような長距離武器だけでなく,短剣による近接戦闘もこなすレンジャー。それぞれの武器に精霊術をかけて強化することもできるのだ |
多彩な要素を持つゲームシステム
●ハンティングシステム
倒したモンスターの死骸に対して特定のスキルを使用することにより,モンスターの肉,毛皮などの素材を取得できる。特殊なアイテムの制作にはハンティングシステムを使わなければ手に入らない素材が必要になることもある。
●料理システム
ハンティングシステムで手に入れた食材を使って料理を作れる。料理はアイテムとして使用することで,プレイヤーにさまざまな効果をもたらす。大きな効果を与えてくれる料理になるほど,高級な食材が必要になる。
●変身システム
モンスターから手に入れた素材を用い,一定時間モンスターに変身できるアイテムの作成が可能だ。モンスターに変身している間は,さまざまな能力を獲得できる。また,変身中はモンスターと同じ姿になるため,ほかのモンスターとの戦闘を避けられる。
●騎乗生物
ヒューマンには馬,オークには砂漠牛,ムーンエルフにはライオン(のような生物)と,各種族にそれぞれ専用の騎乗生物が用意されている。騎乗生物は村のNPCから購入でき,一定のレベルに達すれば利用可能になる。
髑髏とバウンティシステムが織りなす個性的なPvP
戦闘のベースはあくまでギルド戦であり,三つの種族が用意されているものの,同種族のプレイヤーが団結して他種族のプレイヤーと戦うようなRvRはできない。
プレイヤー間のPvPは,ゾーンによる制限はあるが,ある程度自由に行ってかまわない。PvPに関しては,プレイヤーをやる気にさせる仕掛けが存在している。それが「髑髏」と呼ばれるアイテムだ。これはプレイヤーキャラクターを倒すことでのみ入手可能で,髑髏を素材として製作する「髑髏装備」には特別な力があり,これを訴求力としてゲームが進んでいくのだが,次に述べるバウンティシステムとのバランスが大切になる。
●バウンティシステム
さて,PvPは公式に認められているが,ペナルティ的なものがないわけではない。自分より下のレベルのプレイヤーに対してPKを繰り返すたびにキャラクターの“バッドポイント”が蓄積する。そして,ある程度バッドポイントが溜まったキャラクターは懸賞金をかけられる可能性があるのだ。そうなると,賞金首となってほかのプレイヤーから狙われてしまうわけで,これはちょっと問題。髑髏は欲しいが,といって賞金首になるのはイヤだ,さあ,どうしようということで頭を使わなければならない。
●アークロード
ワールドに四つ存在する城に対する攻城戦に勝利し,さらに4人の城主を倒したプレイヤーは絶対権力者「アークロード」の称号を手にする。アークロードとなったプレイヤーは「昼夜を逆転させる」「天候を操る」「隕石を降らせる」「ドラゴンを召喚する」といったさまざまな驚異的な能力を使えるようになるのである。
伝統の中で培われ,完成したシステム
インタフェースやマップなど,丁寧に作られたという印象を与えるゲームだ。さまざまなクエストが用意され,プレイヤーに次々と新しい目標やヒントを与えてくれる。操作法も非常にシンプルで,MMORPGに慣れていない人でも簡単に楽しめるだろう。さらには,城をめぐってギルド同士が競い合う攻城戦や,アークロードという存在を用意し,さらなる発展を遂げたGvGシステムなど,まさに韓国産MMORPGの中で培われ完成されていったシステムを確実に踏襲し発展させた内容といえる。
PvPにまつわる髑髏とバウンティシステムの絡み合いが非常に興味深く,こうした要素を日本のプレイヤーがどのように受け止めていくのかが楽しみだ。