大型Sim千夜一夜
Text by Murayama
第二回:所沢航空発祥記念館
雰囲気満点のコックピットで
ジャンボジェット機シミュレータを堪能
ジャンボジェットシミュレータ
形態 大型旅客機(架空の機体)
プレイ料金 無料
プレイ時間 5分〜15分
人数 1〜2名

 前回,三菱みなとみらい技術館でヘリシミュレータを楽しみ,大型Simの魅力の一端に触れられたような気がした担当者。なんだかこの連載が始まってからというもの(といってもまだ二回めだが),フライトものに大きく興味を持つようになってきたような気がする。そこで今回取材先として選んだのは,埼玉県は所沢の航空記念公園内にある所沢航空発祥記念館。ここはフライトシムを楽しめるだけではなく,フライトの歴史も学べてしまうという,いまの筆者には一石二鳥の場所だ。また航空発祥記念日館のある航空公園は,博物館としての面白さだけではなく,日本初の空港である所沢空港の跡地であることからフライトファンにとっては由緒ある場所ともいえる。

 航空公園駅を下車すると,いきなり国産初の旅客機であるYS-11がお出迎え。所沢航空発祥記念館に入館する前にもC-46が見られるなど,シミュレータにたどり着く前からテンションは上がる一方だ。
 今回紹介するジャンボジェット機シミュレータは,三菱プレシジョンが製作したもので,二人掛けのコックピットはかなり雰囲気がいい。ジョイスティックなどのちょっとしたゲームデバイスを導入すれば,家庭でもそこそこの操縦席を堪能できるかもしれないが,正直ここまでのものを家庭に再現するのは絶対に無理。そういう理由だけでも所沢航空発祥記念館を訪れて,プレイする価値はあるだろう。天上側のパネルについた四つのボタンを押せば各エンジン出力を個別にONにできたり,独特の形状のスロットルを使えばエンジン別に出力を調整できたり,フラップのレバーなども一度引いてから前後に倒さないと切り替えられないなど,本物感覚が体験できる。一人でもプレイできるが,二人で副操縦士と操縦士に分かれて,スイッチ類を分担してプレイすれば,面白さは格段に増すことだろう。まんま本物というわけではないが,誰もが適度に操縦席の雰囲気を楽しめるという点では,かなりイイ線をいっていると思う。

 初級/中級/上級の3種のモードから選択した後,フライトの時間帯を昼/夕方/夜から選んでゲームスタート。初級を選ぶと自動フライトになってしまって眺めるだけなので,本サイトの読者なら,中級か上級を選んでプレイするのがいい。中級と上級については格段に難度が変わるという感じではなく,風の影響があるかな? という程度だったので(違うかもしれないが),上級を選んでみても問題はないのかもしれない。
 シミュレータではあるが,架空の旅客機で架空の地域をフライトするというもので,アナウンスにしたがって操作をしていけば,誰でもそこそこ楽しめることだろう。エンジンの出力などについても,最適な数値を音声で教えてくれる以外に,計器の部分に線が表示されるのでかなり親切設計だ。またATC(航空交通管制)のような音声も演出として入っており,ちょっと感心させられた。
 一つだけ残念だったのは,地形のグラフィックスにあまり力が入っていなかったこと。目立つ景色というと空港と山くらいで,あとは比較的平坦な風景。もしも地上にオブジェがそれなりに設置されていたら,最高峰のシミュレータになったのにと思ってしまった。とはいえ5年前に開発されたものなので,そこまで望むのは贅沢なのかもしれない。あるのかどうかは分からないが,景色のCGを強化した次世代版などにも期待したいものだ。
 プレイ時間については設定があるそうで,5分,10分,15分の3種類があるとか。日によって設定を変更しているそうなので,夏休みシーズン中などは短く設定されているようだ。なのでじっくりとプレイするなら平日が狙い目だ。

※筐体の設置場所の関係上,どう撮影しても映り込みが発生。なるべく映り込みが画面中央にかからないように撮影したのでご容赦を。

 所沢航空発祥記念館には,ほかにもシミュレータがあったので簡単に紹介しておこう。

EGG TRIPER
 正確にはシミュレータではなく,子供向けの2Dのヘリコプターゲーム。操縦桿に合わせて筐体が左に右にと動き,男性の勇ましい声によるアナウンスあり,操縦だけではなくクイズまで楽しめるなど,かなりゲームっぽいなと思っていら,あのナムコが平成5年に開発したものだった。シミュレータとして語るよりも,一種のレトロゲームとしての価値に注目したい筐体だ。プレイ時間は約5分程度。上手に攻略できれば,画面上に認定証が表示される。

スカイドリーム
 初心者でも楽しめるフライトシミュレータ。初級/中級/上級の3種のモードがあり,離陸,飛行,着陸が楽しめるようになっている。間違えた操作をすると,きちんと音声でアドバイスをしてくれたり,計器やスイッチの使用時には,その場所に設置されたランプが点灯して教えてくれたりするので,初めての人でも比較的安心してプレイできるだろう。
 またフライトシミュレータというと着陸が難しい印象があるが,初級や中級モードでは,大胆に滑走路に向かって進入しても着陸してくれる。着陸後にはスコアが表示されるので,友達と競争してみるのも面白そうだ。プレイ時間は約4分。ちなみに,この筐体は1階と2階に1台ずつ設置されており,1階の方が若干暗いため画面が見やすく操作はしやすかった。ちなみに開発は三菱プレシジョンとのこと。

 

おまけ
実際のヘリや航空機に触れられて感激!
 所沢航空発祥記念館でシミュレータを楽しんだ後は,実際に展示されているヘリに乗ったり,触ったりして楽しむと,かなり満足度Up。寄贈や払い下げの機体はレプリカなどと違って迫力満点だ。マイクロソフト フライト シミュレータでおなじみのビーチクラフトを始めとする10数機が展示されているが,オススメはノースアメリカンT6G(操縦席が閲覧可能),シコルスキーH-19(搭乗可能),バートルV-44(搭乗可能)の3機。個人的には,伊勢湾台風で救助に活躍したバートルV-44の迫力にクラクラきてしまった。モニター上の航空機もいいけど,やっぱり本物の迫力には勝てないなぁと思ってしまいました。

おまけ

 

所沢航空発祥記念館
住所 埼玉県所沢市並木1-13(県営所沢航空記念公園内)
TEL 04-2996-2225
開館時間 9:30 〜 17:00(月曜定休)
料金 一般:520円 / 小・中学生:260円
※大型映像館の利用は別途料金が必要
アクセス 西武新宿線「航空公園駅」より徒歩8分

■■Murayama(4Gamer編集部)■■
フライトシムは滅法苦手で「飛行機だけは勘弁な」というスタッフが多い4Gamer編集部の中で,なんと"マイクロソフト フライトシミュレータ シリーズ"で,ちゃんと着陸させるスキルを持っている,ヒコーキ編集者。今回は所沢空港の膨大な歴史について書いたら「長すぎ」と言われて,全部削ったらしい。

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