これまでの二回が両方ともフライトものだったので,今回はちょっと趣向を変えて,ドライビングシミュレータにチャレンジしてみることにした。が,車をテーマにした博物館はあっても,なぜか肝心の大型筐体の展示はなく,かなりトホホな感じ。そこでいったん博物館から目を転じ,富士重工や三菱重工といった開発会社を中心に情報を集めてみることにした。すると,神奈川スバルにドライビングシミュレータがあるとの情報が。これまで博物館などを中心に素材集めをしていたが,まさか営業所や展示場に大型シムが置かれているとは予想外だ。今後はこうした場所もチェックも必要だなぁ。
選べる車種は,インプレッサWR/レガシー/レガシーB4の3車種。コースは,ファンにはお馴染みのグラベルとサーキットの2種類が体験できる。プレイ時間は2分間だ。また写真を見てもらえば分かるが,本機はマルチモニター仕様で,三つのスクリーンによって映し出される走行シーンは大迫力。所沢航空発祥記念館のフライトのときも感じたが,やはりマルチモニターの横に広い視界は操縦席や運転席の視界を再現するのに適しており,かなり満足度の高いプレイが堪能できた。 しかもそれだけではない。筐体の下には6本の制御装置が付いていて,ハンドリングや路面に合わせて筐体が揺れたり傾いたりするのだが,筐体の動作は単純な揺れ/傾きではなく,ブレーキング時にはフロントが沈んだり,悪路を走行していると小刻みにガタガタ揺れたりと,かなり本格的な体感が得られるのだ。もちろん筐体のみの動きだけではなく,ハンドルも振動したり路面の手応えを伝えてくれる。シートもインプレッサSTi純正シートを採用しており,座り心地,雰囲気とも十分だ。正直,なぜ普通の営業所にこれほどのシムが? と驚かされてしまった。お金取れるんじゃないですか? これ。 ここを訪れた人は誰でもプレイできるそうで,30〜50才くらいのプレイヤーが多いという。ほとんどの人が,車の下見やオイル交換の待ち時間にプレイするらしい。お父さんと一緒に来店した子供も大喜びでプレイしていくそうだ。なお筐体の近くに赤いボタンがあったので何かと質問してみたら,プレイヤーに何らかのトラブルが発生したときにお客を守るための緊急停止ボタンなのだそうだ。 プレイを終えての感想は面白い! の一言に尽きる。筐体がソフトの魅力におんぶに抱っこではなく,ハードとソフトが互いに引き立て合っているあたりがかなりの好感触。残念な点があるとするならば,ハンドルも本物にして欲しかった点と,(店舗までの)交通事情が少々厳しいところ。気軽に訪れてプレイというわけには行かないが,この手のシムが好きなら一度は体験してもらいたい。興奮すること間違いなしだ。ショップのPRにシミュレータを使う神奈川スバルの遊び心に感心しつつ,今後は他社でもこうした店舗が登場してくれることを願う筆者であった。
|