プレイレポート 三國志:豪傑大陸

第五回

張松永年
りょふhほうせん 後編
 周瑜,呂布ときたら,お次は! そう,張松です。たしかにネームバリューでは負けるが,その代わり顔グラフィックスがショッキングなので,前の二人に見劣りはしない。まあ軽く説明をしておくと,もともとは劉璋配下で,曹操に面と向かって悪口を言って激怒させたことで有名。イマイチ器の小さい主君劉璋を見限り,劉備に蜀の地を乗っ取らせようと画策した首謀者で,バレて処刑されたというのが歴史上の主な仕事。さらには「三国志」きってのブサイクという,なかなかに濃い人物ではある。
 マジメな話,大立者でなくても楽しくプレイできてしまうのが「三國志X」の凄いところ。ちょっと頭はいいものの,それ以外の短所がいろいろとブチ壊しにしている張松の,屈折した生き様をご覧あれ。今回は「仮想」モードでやってみてます。

大陸に黄巾の嵐が吹き荒れる184年。在野でふらふらしているこのワタシ張松は,現在ピチピチの15歳だ。顔グラフィックスを見る限りちょっと信じられないが,これは生涯変化しないのでしょうがない。顔のことは言うな!

 とりあえず顔ではなくパラメータを見てもらえば分かると思うが,ワタシはそれなりにおツムがよろしい。知力と政治力はなかなかのもの,と自負している。ただし,それ以外の能力は,なんというかもう壊滅的。こんなワタシがこの乱世で何かを為そうと思ったら,武力での勝負はなるたけ避けつつ,知力を武器にしていくしかない。

 幸い「三國志X」には,知力による戦い「舌戦」が備わっている。貧弱なボウヤでも,舌戦を駆使することで一目置かれる存在になれるのだ。この際,舌先三寸でどこまでのし上がれるかということを,ワタシの人生のテーマとしていきたい所存だ。

偏りのすごい張松の顔,もといパラメータ。知力と政治は一級品だが,残りの統率,武力,魅力は三級品だ 黄巾党が全土に勢力を広げ,その討伐を命じられた大将軍何進と戦っている時代。ちょうど乱世の幕が開いたころだ スタート地点は益州の成都。中規模の都市だが,現在どこの勢力下でもない空白地。張松以外に武将もおらず,ちょっと寂しい

知力が少々高いとはいえ,今のワタシはせいぜい気の利いた文官クラス。天下には,もっと頭のいいヤツらがゴロゴロしているわけで,まずはそいつらと勝負できるほどの実力を身につけることが先決だ。焦ってどっかの勢力に仕官したりせず,酒場で有力者からの依頼事をこなし,少しずつお金と経験を貯めていくことにした。要するにフリーター生活ですな。

 最初は「収穫の手伝い」とか「家畜の世話」とか「岩をどかす」とか,はっきりいってカスのような仕事ばかりだが,こういうのを地道にこなしていければ名声が上がり,よりグレードの高い仕事をもらえるようになる。いい仕事は報酬の額も多いし,特技だけでなく基本能力の経験も上がったりするので,まずはせっせと名声を上げていくことにする。

 お金が貯まったら,それを投じて自分の本拠地の内政を勝手に行なえば,さらに素早く名声を上げられる。ただ問題なのは,ワタシ張松は「技術」や「農業」を上げるのは得意だが,それによって減った「治安」を上げるのは苦手,ということだ。武力が低いからね! 最初は成都で内政しまくってたのだが,治安が一ケタまで下がってしまったため,別の都市に引っ越しすることにした。治安低いと怖いじゃん? 以後,武都,漢中,上庸と,都市を転々としながら同じことを繰り返していくワタシ。張松の通り過ぎたあとは,なぜか豊かな犯罪都市ばかりが残るのであった。

報酬にアイテムをもらえる仕事は,なかなかおいしい。知力を上げる「書経」のためなら,薬草だって取ってきますよ? お金が貯まったら貯まったで,それを使って自分が住んでいる都市の内政を勝手に行なうのだ。そうすると名声がさらに上がる 名声が低いうちは,ほかの武将にもあまり相手にしてもらえない。呂布にこういうこと言われると,マジ怖いんですけど

豪傑コラム:実に多彩な依頼事

 酒場でもらえるさまざまな依頼事は,「三國志X」でも重要なエッセンスだ。ある程度ゲームが進んで,天下国家のほうに目がいくと,どうしても酒場から足が遠のいてしまうものだが,実は名声が上がってからもらえる仕事に重要なものが多い。「武力修行」「統率修行」などの修行系は,能力値ごとの経験が上がるうえに重要アイテムも手に入る。「名所巡り」「霊山巡り」などは,目的地を一度知ってしまえば簡単で,報酬も多い。「一騎地域最強」や「舌戦地域最強」は,報酬も高額で,相手になった武将との親密度を上げることもできる。こういった依頼事をうまく利用していけば,より効率的にゲームを進めていくことができる。
 また,実利とは無関係だが,依頼事はゲーム中でももっとも楽しい部分でもある。「象の世話」や「大酒大会」など,依頼内容自体もユーモラスだが,有力者や依頼者,武将本人のセリフなども相当面白い。依頼事は全部で83種類。それぞれに何種類ものメッセージが用意されている。全部を見られるようにがんばろう。

有力者や依頼者には,正直こちらをナメているとしか思えない発言も多々ある。こういうユーモラスな部分を見逃すともったいない


依頼事の中でワタシ張松が得意なのは,「消えた鍛冶屋事件」とか「家出少年の謎」といった,舌戦でカタをつけるタイプの仕事。まぁこのワタシがそこらのおっさんやガキに口で負けるはずもない。ハナをほじりながらでも楽勝。ほじりやすい鼻しているし。

 逆に苦手なのは,外で出会う盗賊の類。近頃なぜか物騒なので,できるだけ外に出ないようにしているのだが,やっぱりでかい仕事はいくつもの都市を行き来しないといけない。で,道中盗賊に出くわすと,せっかく貯めた金を奪われてしまうのである。一度「たかが盗賊ごとき!」と思って強行突破しようとしたら瞬殺されてしまい(死んでないけど),盗賊にあきれられたほどのワタシである。その後はすっかり懲りて,賊に出会ったらすぐさま幾ばくかの金を出して勘弁してもらうか,あるいはお金を全部使い切った状態でないと外出しないようにした。

無数の鍛冶屋や家出息子を探し出し,説得した張松。そのへんのおっさんに舌戦で負けるはずがない そのへんのごろつきに瞬殺される張松。一騎討ちで受けた傷よりも,ごろつきのセリフのほうが十倍も胸に痛かった 何進軍,丁原軍,孫堅軍,それに黄巾軍にも誘われた張松。黄巾軍はルックスの点で親近感が持てる武将も多かったが,やめておいた

時は流れて20歳になったワタシ張松は,何回目かの引っ越しで洛陽にやって来た。何進軍の何進本人が統治している巨大都市で,人口も武将数も非常に多い。依頼もなかなかハイレベルなものが多くなり,「許攸の鼻を折っちゃってよ」とか「華キンをヘコましてやってください」なんて仕事をもらったりもする。そんなことをして有力者に何の得があるのか,ちょっと疑問だが,報酬も悪くないので次々と舌戦で片付けていった。曹操,荀攸,周瑜の3人を倒し,中原イチの論客になる「舌戦地域最強」も果たす。この連中はかなりの強敵だったが,その前に華キンと仲良くして「威圧」を習得していたのがよかった。

 舌戦関連以外では,「名所巡り」や「七王都巡り」などといった,紀行系の仕事もあらかたこなしていく。このあたりは,該当地が分かんないとかなりヤッカイだが,名所というのがどこか,王都というのがどこかさえ分かっていればそんなに大変ではない。とくに「霊山巡り」は,全部回ると全部の能力値が1ずつ上がるおトクな仕事だ。在野でヒマしてる武将諸君には,ぜひおススメしたい。

議論でほかの武将をやっつけるという,舌戦そのものの依頼も多くなってきた。鍛冶屋のおっさんよりは熱い戦いができるので大歓迎 曹操,荀攸,周瑜という名だたる武将3人を倒すのはかなり骨が折れたが,激闘の末に落とすことに成功。未だ舌戦で負けなし 5か所の霊山を全部めぐると,突然仙人が出現。能力値を一つずつ上げてくれた。知力だけ+5してくれたほうが嬉しいんだけど


洛陽に来て早数年。もともと何進軍の統治下にあるため,治安が下がっても勝手に戻してくれるのが嬉しいが,ここに落ち着いた理由はそれだけではない。この地には,「知力学問所」と「太学」があるのだ。ここで「知力鍛錬」を行なえば,費用と時間はかかるが,知力を100まで上げられる。最近では,お金を稼いでは学問にばかり注ぎ込んでいる。

 ここらでワタシは究極の依頼事「地図の作成」を引き受けることに。これは,大陸全土の50都市をすべてを回ってくるという,非常にかったるい任務である。しかも,「どの都市はすでに訪れた」「どの都市はまだ行ってない」ということは表示されないため,ちゃんと覚えておかなくてはならないのだ。だが,かったるい全国行脚の途中,ラッキーにも人相見の達人・許劭と偶然遭遇。名声が700を突破していたので,この先生に「名士」として認定してもらえたのである。名士になったおかげで,以後は旅の途中で盗賊に出会っても,舌戦で撃退することができるようになった。

 道中,いろんな都市の武将と親交を暖めてきたため半年以上かかったが,なんとか洛陽に帰還。ここで得た報酬金5000をさらに有効に使うため,ついにワタシは何進軍に仕官することにした。在野武将だと知力学問所の利用費が1回金300なのに対し,何進軍に所属していると社員割引で1回につき金100になるのだ! 実に割引率66%。何進軍でマジメに出世する気はないため,ヒマさえあれば知力学問所でお勉強。たまーに何進様から「宮城にその愉快なツラを出せ」という命令がくるが,怒らせない程度に任務をこなして,またすぐ学問所にこもるのであった。

 猛勉強の甲斐あって,ついに199年,30歳になったワタシの知力は100を突破したのであった! まぁ,知力を上げるアイテム「書経」込みの数値だが,それでも現在ワタシが知る武将の中ではNo.1の数値。ここまでは,いわばプロローグ。これからが,ワタシの,張松の人生本番なのである!(次回へ続く)

「地図の作成」は,全国をくまなく回る必要がある,かったるくも面倒くさい仕事。しかし報酬は金5000と破格だ 何進軍の武将としての仕事はほったらかしで,自分の勉強に励む張松。ゆっくりだが,着実に知力が上がっていく 30歳になった現在のところ,舌戦は40連勝中でもちろん負け知らず。しかし「よく考えてくれ」って,鍛冶屋にそんなこと言っても

 

■■K.サワノフ(フリーライター)■■
集団の中に潜む変なキャラが昔から好きで,例えば格闘ゲームでも「どちらかというと,色物キャラの中でも最もひどい部類」に心奪われる傾向がある。今回の企画で担当編集は徐庶を推したのだが,本人たっての希望により,主に風采が上がらないことで歴史に名を残した男・張松に決定した。

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