HalenのRTS講座 入門編

第二回 「内政編」

 RTSというと,多彩な軍事ユニットで派手に戦闘して,敵国を滅ぼす! というイメージを思い描く人が多いだろう。事実そういう一面もあるが,勝敗を決する要因となるのが"戦闘"ではない。その段階に至るまでの内政こそが,相手を上回り勝利する力を得られるかどうかを決めるのである。内政とは,軍事ユニットを作成するために必要な資源採取などを行う,国家構築の根本にあたる部分なのだ。なかには生産概念を一切排した「サドンストライク」のようなタイトルもあるが,ここでは内政概念のあるタイトルだけを対象とするがご了承いただきたい。

 

資源の役目&おさらい

アトランティスの労働者は,なんと貯蔵庫を必要としない。かなーり内政が楽チンだが,移動速度が遅いというネックも(AoM)

 では,実際に資源の種類について触れてみるとしよう。
 昨今のRTSは,大体2種類から6種類の資源(食料や木,金など)が用意されている。労働者を作成するのに必要な資源,建物を作るのに必要な資源,軍事ユニットを作成するために必要な資源……といった具合に,よく調べてみると各資源の用途は割と明確だ。
 ここで頭の片隅に留めておいていただきたいことが一つ。第一回の攻略記事でも触れているが,初期段階で労働者作成を怠ってまでして軍事ユニットを作成しないということ。生産概念のあるタイトルでは,まず内政の拡大,すなわち資源の採取を完璧に行うことが,最も基本かつ重要なのである。


内政の拡大とは?

陸の食料のみならず,海の魚などからも食料は採取できる。基本的にかなりアドバンテージになるため,海マップでは魚も取るべし(AoM)

 では内政拡大とは何か? 具体的には,労働者の数を増やすということだ。一人で木の伐採をするよりは二人で同様のことをしたほうが効率がいい。ただこれだけの理由である。とはいえ,「じゃあ100人作ってから軍事ユニットを作り始めるのが最良なの?」というと,そう単純なものでもない。まず100人作るまでに相手軍事ユニットが攻めてきて,全員倒されるだろう。どこかで見切りをつけなければならない。
 ここでは"Age系"限定で話をさせていただくが,内政が成立するタイミングとは,労働者を連続生産しつつ,かつ過剰資源が発生したときといえる。資源が余れば更なる内政の効率化を図るためのテクノロジーの研究ができるし,軍事ユニットの生産もできる。そして二段階,三段階上の内政へと進化させていくのだ。
 ちなみに俗にいう"ラッシュ"(早期攻撃)も,一段階めの内政拡大を済ませたうえで攻撃をしているのだ。

エイジ オブ ミソロジー ライズ オブ ネイション ウォークラフトIII
資源は食料,木,金,そして恩恵の4種類が登場し,基本的には木と食料が内政拡大のミソとなる。ただしエジプトに限っては建物を建てるのに木の代わりに金を使用するなど,文化圏による違いもあるので,違いをあらかじめ把握しておくのは必須。戦闘での要は金となるので,資源バランスを保つのが最初は難しいかも 資源は金(財貨),食料,木,金属,石油,知識の6種類が登場し,さらにレアリソースと呼ばれるものもある。内政面はほかのRTSとは一線を画すシステムで,街や採集所に"労働者を割り振れる最大数"が決められている。採集所から貯蓄庫までの移動距離などもなく,労働者を割り振ると時間ごとに一定の資源が手に入る。内政要素を実質オート化した作品である 資源が金と木の2種類しかないというシンプルなシステムになっている。というのも,本作は内政面を最大限簡略化しており,早い段階における戦闘の実現など,どちらかというと戦略に特化したタイトルなのだ。ユニットの作成に要するのは金で,木は建物の建築軍事ユニット作成に使用する。特に内政に細かい手を加える必要はない

 

国家の命,労働者を守る

壁や建物をうまく利用して,敵軍事ユニットの進入ルートを無くしている様子。常に心がけておきたいところ(AoM)

 熟練した敵は,軍事ユニットの供給源である"農民"を断とうと考える(これについての詳細は戦略編で触れるので,ここでは軽く紹介しておく)。
 迅速な移動力を持ち攻撃力の高いユニットを使った"荒らし行為"や,射程を持ったユニットによる遠距離攻撃など,多数の内政攻撃手段があるが,これらを防ぐには敵が進軍可能なルートを潰すという方法が好ましい。例えばマップ上にうまく建物を並べるか壁を建築して,自国の"一定範囲内"に敵軍事ユニットを進入させないというテクニック。非常に簡単で,農民一人を使って自陣の周りの"穴"(というか考えられるルート)に,壁なりを張れば十分。この建設方法は身につけたい。壁を攻撃して進軍してくることもあるが,時間稼ぎにはなる。もちろんタワーなど自陣防衛専用の建物で防御する方法も併用したい。

キーボード,ショートカットを使うべし

画像は「ライズ オブ ネイション」のショートカット設定画面。実に多岐に渡って変更が可能(RoN)

 熟練者を除く多くの人は,マウスのみで遊んでいるのではなかろうか? キーボードを使うのはややこしいからといったこともしばしば聞くが,ハッキリいって,これでは処理が間に合わない。キーボードのショートカットを有効に使うことは,多数の作業を素早く行う必要のあるRTSでは不可欠だ。最初からすべてのキーを使いこなせとはいわないが,例えば建物へのショートカット,ユニットを作成するキー,最低限このぐらいは設定しておくといい。またキーボードを使用することで,内政面のみならず戦闘面での恩恵も素晴らしいものになる。騙されたと思って,説明書を読みながらセッティングを試してみてほしい。

熟練者の内政とは

ゴッドパワー"隕石"で内政を一瞬にして破壊している様子。完成された内政でも,不意の一発で崩れることも(AoM)

 ――きめが細かいの一言。可能な限り効率的な循環を構築するために,一人一人の労働者の管理,無駄のない資源配分……それは絶妙であると同時に,"なんてせわしいんだ"と思ってしまうほど。これは超高速なマウスさばきだけに頼ったものではなく,より行き通った内政を目指すには上記の項目でも触れたショートカットの"ナンバリング"という作業が欠かせない。これはユニットや建物など(単体でも複数でも可)にナンバーを割り当てて,割り当てたナンバーを押すことで該当のものを選択できるという基本的なショートカット。ナンバリングが実装されていないRTSは皆無といってもいいほどで,熟練者はこのナンバリングの扱いを怠ったりしない。
 また,働いていない労働者,俗にいう"暇人"を最小限抑えることも,熟練者は心が掛けている。働いていない労働者を数十秒のあいだ発生させるだけでも,正直かなりの損失だ。こういったことを発生させないために,労働者への指示,また動いていない労働者を知らせるショートカットも,多用する人はしている。ここまで労力を費やす意味とは……やはり保険みたいな意味合いも含まれる。内政負けして,軍事ユニットで圧倒されたのが敗因に直結する,などのシチュエーションも少なくはない。いつかワンランク上を目指すとくのために,頭の片隅にでも置いておくといいだろう。

 

■■Halen(4Gamer編集部)■■
本連載ではRTSの戦術を理論化しているが,基本的には野性の本能で戦うタイプのRTSファイターと見られている。最近HalenがRTSで遊んでいるところを見ないので,「今でもチャンプになろうと思ったら,なれる?」と聞いてみたところ,「ちゃんと練習すれば,なれると思いますよ」という強気な発言が返ってきた。

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