
第三回 「戦闘・戦略編」(前編)
第1回/第2回と,内政がいかに大切かについて紹介してきた。内政が弱ければ勝てない。だがもちろん,内政が何より大切なのは,戦闘に勝利するためである。そのあたりについて,第三回と第四回の戦闘・戦略編(前編/後編)で触れていきたいと思う。

 |
ヒーローのレベル上げに勤しんでいるシーン。敵との戦いも楽しいが,モンスターとの戦いもヒーローの成長が垣間見れてなかなか楽しい(WC3) |
軍事ユニットとは,敵国を制圧するために欠かせない存在だ。作品ごとにその種類などは千差万別ではあるが,扱いは一貫して同じである。
基本的に軍事ユニットを作成するには既定の資源が必要となるが,能力(スペック)次第で作成コストの上下幅がかなり広い。つまり優秀な軍事ユニットを作成するためには,相当なクオリティの内政が求められるわけで,序盤に起こる戦闘は,必然的に低スペックな軍事ユニット同士の戦いになる。
ただし「ウォークラフト」は例外で,最初から強力な"ヒーローユニット"を作成できたりと,常にアクション制の高い戦闘が楽しめる。戦闘に特化したタイトルの醍醐味である。

 |
内政が一段落して,弓騎兵で敵を攻めようと企んでいるところ。偵察ユニットの"自動偵察機能"が実に便利だ(RoN) |
では,どのタイミングで内政専念をやめて軍事ユニットを作り始めるか……。この見極めが初心者にとって,最初に突き当たる大きな障害になっているに違いない。大まかにいってしまえば,内政編でも触れた"過剰資源"が生まれ始めるころが,まさにそのタイミングといえる。
もちろん熟練したプレイヤーは,内政のバランスを操作してユニットを作るタイミングを早めたり遅くさせたりもする。ただし,始めたばかりでこのようなことを覚える必要はない。
敵が軍事ユニットを作り始めるころに合わせるというのも,一つのきっかけだ。そのタイミングが分からない……という人は,のちに触れる偵察ユニットの項目を読んで,うまく使いこなせるよう練習しておこう。

 |
象はヒットポイントが高く,壁役にはぴったり。象を壁に,うしろには射程ユニットを置くことで象のアンチユニットも簡単に殺せる(AoM) |
ジャンケンのグーチョキパーの関係は,さすがに誰もが知っているだろう。どのRTSの軍事ユニットも,基本的にほぼ同じ関係で成り立っている。つまりあらゆるユニットに得手不得手の相手があり,すべてに対して強いというユニットはまず存在しないといっていい。例えば弓兵は槍兵に強く,槍兵は騎兵に強く,騎兵は弓兵に強いといった具合である。
RTSの戦闘とは,この関係を正しく覚えて運用することに終始する。つまり,まずはこの相互関係を頭に叩き込むことこそ,RTSにおいては大切なのであり大前提なのである。
この関係を踏まえると,例えば"チョキ"という軍事ユニットだけで攻めようとしたとき,敵が"グー"の軍事ユニットを備えている場合,不利なのは目に見えている。そこで覚えておいてもらいたいのが,基本的に軍隊は2種類以上の軍事ユニットで構成するということ。これで圧倒的不利に陥ることもなければ即全滅するということもなく,安定を保つことができる。
ではジャンケンの関係を踏まえて,実際に軍隊同士の戦いが起こったときのポイントとは。まず初心者は,ヒットポイントが高くて攻撃力/防御力に優れたユニットは最前線に出し,ヒットポイントが低いが長い射程を持つユニットなどは後衛に配置させるという,基本中の基本を徹底させることを心がけるべし。肉弾戦系ユニットが壁となり,後方から射程系ユニットが攻撃し続けるというのが,最初に身に付けるべき基本戦術である。RTSではヒットポイントが高いユニットは,攻撃を目的するユニットでもあるが,"壁役"という重要な役割を担っているのだ。

 |
ファーシーアーは,2頭のスピリットウルフを召還できる。敵陣地をより早く発見できのだ(WC3) |
大概どのRTSにも,"偵察用ユニット"というのが存在する。その存在意義は,暗く閉ざされた未開拓地域を偵察してマップを完成させるためでも,手のついていない資源を探すためでもない。そもそもマップを完成させて資源を見つけなくてはならないのは,当たり前のこと。本来偵察ユニットに要求される役目は,敵国の情報を知るということなのだ。上手に敵地を偵察することで,敵が攻めてくる場所やタイミングを特定でき,敵国の内政からある程度の戦略を想像できるのだ。
偵察ユニットで最低限チェックすべき点は,敵国の軍事ユニット作成所の位置と,採取している資源。これらは軍事ユニットと違って"動かない"ので,比較的楽に確認できる。
偵察ユニットをさらに上手に使うには……やはりキチンとコマメに操作しようということなのだが,慣れるまでは難しいだろう。まずは前回触れたナンバリング機能などを偵察ユニットに設定して,偵察ユニットが暇している時間をできる限り減らす努力をしてみるといいだろう。

 |
槍は馬にボーナスを持っており,それなりに数が用意できれば簡単に倒せる。RoNは比較的ジャンケン関係の強いタイトルである(RoN) |
どのユニットを作るかを決定する判断基準は,大きく分けて2種類ある。一つは自身が主導権を握る,つまり先手を取るパターン。もう一つは,先述の偵察ユニットを駆使して,相手が作成した(するであろう)軍事ユニットを把握したうえ,ユニットを作成するという戦術。当たり前ではあるが,自身が先手を取る場合は,軍隊編成をジャンケンの法則で負けないようにすること。このへんは経験を積んで慣れる必要がある。
先手を取る手段としては,足の速い軍事ユニットによる編成がなかなか効果的だ。機動力を最大限に生かして,敵の軍隊も内政もどちらも臨機応変に狙えるからだ。まぁ慣れないうちは,先にユニットを作り,敵の軍事ユニットの種類も確認してから,あっちにこっちにと攻撃方面を広げてみると,案外相手はパニックに陥るかもしれない。

 |
迅速な移動が可能なレイダーを用いた内政荒らし。労働者の密集度が高いところを狙うのがミソだ(AoM) |
いよいよ軍事ユニットを作った。さて何を攻撃しようか? まずは「内政荒らし」について解説しよう。これはその名の通り,敵の内政,つまり「労働者を攻撃する」ことをいう。軍事ユニットの供給源である労働者を攻撃して,敵が軍事ユニットをこれ以上作成できないようにする戦術である。何もRTSは軍事ユニット同士の戦いが軸というわけではないのだ。
内政荒らしを行ううえでのポイントは,相手陣地に踏み込んでも,自分の軍隊が全滅することはないと確信できた場合。具体的には,まず軍隊の数で勝っている場合や上記でも紹介した2種類による軍隊構成,足の速いユニットを用いることが挙げられる。
では実際に敵国の内政部分に侵入したとしよう。ここで相手プレイヤーが取る行動は,大きく分けて2種類ある。一つは普通に守備隊を派遣してくること。そしてもう一つは"カウンター",すなわち手薄になったこちらの陣地を攻撃してくることだ。
注意したいのは,敵が「肉を切らせて骨を断つ」という戦略だった場合。こちらからの攻撃では決定的なダメージを負わせられず,逆に敵の軍隊が自陣に攻めてきて大ダメージを負ってしまうというパターンである。これを防ぐ具体的な方法は,基本的には上記でも触れた偵察ユニットによる敵状の把握である。常に「相手に勝てる軍隊を用意する」ことが,RTSの戦闘の極意だ。
次回の後編では,実際の"攻め方" "守り方"といった戦術について掘り下げていく。また,マルチプレイについても言及していく予定だ。すべて読み終わったころには,きっとRTSをプレイしたくて身悶えすること請け合い! ぜひお楽しみに。(後編に続く)
■■Halen(4Gamer編集部)■■
最近は編集部で一番働いているんじゃなかろうかというくらい,日々忙殺されている最年少編集者。それなのに,もっとRTSを普及させようと,家に帰ってからも寝る間を惜しんで本記事を執筆している。こんな健気な元世界チャンプって見たことない! |
▲上に戻る

4Gamer.net

|