= プレスカンファレンス=
「ローグスピア ブラックソーン」

2002/02/19
文/ Gueed

 というわけで,近頃立て続けにイベントが催されてすっかり"メイド服"に見慣れてしまったが,今回ユービーアイソフトのプレスカンファレンス会場に選ばれたのも,ご存じNecca 秋葉原店。会場には多くの流通,プレス関係者が足を運び,なかなか賑やかな中でのカンファレンス開催となった。

 さて,ユービーアイソフトといえばもう察しがつくと思うが,今回紹介されたタイトルは,つい先日日本語マニュアル付き英語版が発売されたばかり「ローグスピア ブラックソーン」(以下RSBT),そしてもう少し前になるが同じく日本語マニュアル付きで発売された「ゴースト レコン」(以下GR)のネタだ。両タイトル共に完全日本語版が,それぞれRSBTは2002年4月3日に,GRは2002年3月22日の発売が決定しており,本日メインの発表となったのは「ローグスピア ブラックソーン 完全日本語版」である。
 しかも今回は,映画「梟の城」やPS2用ソフト「メタルギアソリッド」などでアクションの指導を行うなどをして有名な,軍事専門家の(しかも特殊部隊経験者ときてる!)「毛利 元貞(もうり もとさだ)」氏がゲスト。普段滅多に,というよりまず聞けない特殊部隊の話題や,本作を経験者の切り口で分析した意見を聞けたので,早速その模様をお伝えしよう。

 ……とその前に,簡単に両タイトルを紹介しておこう。
 RSBTは「レッドオクトーバーを追え」「パトリオットゲーム」で世界的に有名な売れっ子作家「Tom Clancy(トム・クランシー)」のシナリオを元に,対テロリスト作戦を遂行する特殊部隊をモチーフにしたミリタリーアクション。FPSのプレイスタイルながらも,撃ちまくりの爽快感より目的達成のためのミッション計画をメインに据え,ほかのタイトルとは一線を画すコンセプトが人気のゲームだ(ちなみに,開発元はRed Storm Entertainment)。リアリティを徹底しているのが特徴的な本作だが,そのクオリティは米国国防総省の新兵訓練用のシミュレータとして本作のエンジンが採用されていることからも分かる。兵士の意思決定能力の訓練に最適だというのが採用理由とのことだ。
 打って変わって「ゴースト レコン」はミッション計画よりもアクション性を重視した作品。屋内戦闘がメインのRSBTに比べて,GRは屋外での戦闘も多い。ちなみに,こちらのほうが後に発売されただけあって,グラフィックスも格段に向上している(ゲームエンジン自体変わっているようだし)。
 対照的な両タイトルだが,ゲーム性の違いから現時点ではではうまく住み分けている様子。初心者にはGRのほうが人気があるようだ。


 さて,前置きが長くなったが,あらためて会場の模様を。  カンファレンスは,ユービーアイソフトの鹿住氏によるRSBTの紹介で幕を開けた。同氏の紹介のあと,RSBT完全日本語版のデモムービーが公開された。「事実上完全日本語版の初お目見え」となったわけだが,ゲーム中のブリーフィングや,戦闘中のチームのやり取り,画面中の文字などが,文字通り完全に日本語化されていた。さらに,同タイトルのコンシューマ機への展開もほぼ決定しているようだ。実は,すでにヨーロッパではXboxでの発売が決定しているようだが,残念ながら国内では未定。鹿住氏いわく「年内にはありえないでしょう」とのことなので,コンシューマ機での発売はしばらくおあずけのようだ。  この後は,いよいよお待ちかね毛利氏のお話。  米国同時多発テロ以後なにかと忙しくなって「嬉しいのかどうか分からん」とのっけから,高いテンションで話を聞かせてくれた毛利氏。同氏の話は,鹿住氏による質問攻めというスタイルで展開されたので,ここではインタビュー風にお伝えするとしよう。

鹿住氏:
さっそくですが,本作(RSBT)を見たときの感想は正直どうでしたか?

毛利氏:
というかですねぇ,初めて見たとき「ん?どっかで見たぞ?」っていう感覚だったんですよ。でもこのゲームのクレジットを見てその理由が分かりましたね。だってモーションキャプチャで協力してるヤツラみんな知ってるもん(笑)。正直,「ここまで見せていいの」って思ったぐらいです。それぐらいリアルだってことですね。

鹿住氏:
毛利さんは,映画やコンシューマタイトルなどで演技指導をされていますが,どのような点に留意して指導されていますか?

毛利氏:
映画であれば,基本的に監督のイメージを尊重しますね。映画だとリアリティよりも,もう少し"見せる"演出が必要になりますし。必ずしも無駄のない動きだけを指導するわけではないですよ。まぁそういうもんです。

鹿住氏:
なるほど。では今度はちょっと突っ込んだ質問を(笑)。本作に登場する特殊部隊Rainbowは多国籍なメンバーで構成されていますが,現実の世界ではそのようなことはあるのですか?

毛利氏:
うーん。微妙な質問だなぁ(苦笑いしながら)。まぁ詳しくは言えませんが,すべての国が協力できる体制を作ろうという動きはありますよ。アメリカやイギリスなどは,活発に技術の交換を行ってるみたいですしね。

鹿住氏:
毛利さん,ちょっと歯切れが(笑)。では次。これは個人的に聞きたかったのですが,実際にこのゲームプレイしていて,いわゆる"相討ち"をしてしまう場面が多々ありましたが,実際の現場でそのようなことは起こりうるのですか?

毛利氏:
いや,はっきりいって頻繁にありますね。屋内などの近接戦闘では,敵よりもむしろ味方に攻撃される危険性が高いといっていいでしょう。だからこそ,計画フェーズが重要になるんです。陽動→実動のイキがピッタリあってないとかなり危険ですからね。

鹿住:
やっぱりそうなんですか〜。怖い世界だなぁ。そうだ,あともう一つお聞きしたかったのは日本の現状です。日本にも"SAT"と呼ばれる特殊部隊ありますよね? ぶっちゃけたハナシ,世界的に見てSATのレベルはいかほどなんでしょうか?

毛利氏:
そんなのぶっちゃけられませんよ〜(苦笑)。"レベル低い"なんて言ったらいろんな方々になんて言われるか分かったもんじゃありませんし(笑)。ただ一ついえることは,日本の特殊部隊の訓練カリキュラムは成長段階だということです。あ,そうだ,訓練で思い出したけど,このゲームでびっくりしたのはミッション終了後にリプレイを見れるっていうこと。これは実際の特殊部隊の訓練と同じ手法なんですよ。

鹿住氏:
うんうん。そう言っていただけると(嬉しいなぁ)。では時間も押してきましたので最後の質問です。このゲーム,毛利さんが点数をつけるとしたら何点ですか?

毛利氏:
むずかしいなぁ。よく考えてみてくださいよ。私がこのゲームをプレイしても「う〜ん,いつもの訓練風景だなぁ」なんですから。だけど,僕自身も欲しいと思うタイトルではあります。これで分かるでしょ?(笑)

鹿住氏:
そうですね。それはいい意味に受け取っておきます(笑)。正直答えづらい質問ばかりだったと思いますが,長い時間ありがとうございました。



と,こんなカンジだ。毛利氏は特殊部隊経験者のイメージとは裏腹に,実に気さくに質問に答えてくれる御仁だったので,終始和やかムードのカンファレンスとなった。

 さて,日本語版の発売を真近に控えたRSBT,GRの両タイトル。英語版の発売から時間が経っているのも事実だが,完全日本語化のメリットはかなり大きいだろう。RSBTに至ってはブリーフィングの英語で二の足を踏んだ人も相当数いたのでは? と思うし,あらためて本作に挑戦するには絶好の機会ではないだろうか。(Gueed)

 ちなみに,両タイトルの完全日本語版がユービーアイソフトから正式発表されるのは今回が初めて。というわけで,以下に正式なリリース情報を記載しておこう。

■レインボーシックスシリーズ ローグスピア ブラックソーン
発売日:2002年4月3日
価格:8800円
プレイ人数:1人〜8人

■トム・クランシーシリーズ ゴースト レコン
発売日:2002年3月22日
価格:9800円
プレイ人数:1人〜36人

 なお,RSBT,GR共に,当サイトにデモ版をUpしている。興味を持った人はぜひ試してみてほしい(過去記事も,まとめてあるのでぜひ一読を)。

■「ローグスピア ブラックソーン」
デモ版:http://www.4gamer.net/patch/demo/data/rsbt.html
記事:http://www.4gamer.net/DataContents/game/0320.html

■「ゴースト レコン」
デモ版:http://www.4gamer.net/patch/demo/data/ghost.html
記事:http://www.4gamer.net/DataContents/game/0215.html
レビュー:http://www.4gamer.net/review/live/gr.html

-- 余談 --
 毛利氏が,カギと共にズボンにぶらさげていたこのキーホルダー。よく見ると「Emergency」とか「Armed」とか書いてある。普通の人が持ってるなら"ジョークアイテム"で済むけど,持ってる人が人だけに,もしやキチンと意味があるものなんだろうか……怖いような,ワクワクするような