Tom Clancy's Ghost ReconText by 川村ハルト レインボーシックスに代わる待望の次世代特殊部隊がついに!
現在,世界で最も著名な軍事小説作家,トム・クランシーの同名小説をゲーム化した「レインボーシックス」(以下R6)は,続編「ローグスピア」の完成度の高さも相まって,あっという間に特殊部隊シミュレーションの金字塔を打ち立てた作品である。 前置きが長くなってしまったが,要するに"Tom Clancy's"を冠する特殊部隊シミュレーションの新作が,ようやくアナウンスされたわけだ。1本は「Rogue
Spear:Black Thorn」。これはR6シリーズの旧エンジンを使用した新ミッションパック(単体でプレイ可能)といった位置付けで,もう1本が,ここでレビューする最新作の「ゴーストリコン」(以下GR)だ。新作ということで非常にそそる「GR」は,期待通り世界観もトム・クランシーテイスト抜群で,なかなかに心躍らせるものとなっている。 「ローグスピア」を基に生まれたけれど,システムも一新した新生シリーズだ
同社からほぼ同時期に特殊部隊モノが2タイトルもリリースされたことから,とまどっている人もいるだろう。そこで,R6シリーズとの比較をしながら紹介していこう。 本シリーズの魅力の一つだった,出撃前に侵入経路を計画するプランニング機能は本作ではなくなってしまった。といっても,プランニング自体は屋内戦闘をより楽しむためのモノであったわけだから,これについては気にせずともよいだろう。
スペシャリストの存在が,全24隊員の魅力を際立たせる
プレイヤーは最初,ライフルマン6名,スナイパー2名,サポート(マシンガンナー)2名,デモリション2名,計12名のスタンダード隊員が与えられる。R6のように,ミッションごとに装備を細かくカスタマイズする仕組みではなく,隊員別にフェイバリットの装備は固定。最初の12名の装備は,M16やらM246やら米陸軍支給のものばかりだ。ちなみにフラッシュバンや突入用爆薬などはなく,代わりに対戦車ミサイルやクレイモアなどが登場するのもGRならではの特徴。 また本作の注目すべき点として,各ミッションの必須任務のほかに"Xミッション"がある。このミッションを達成すると,"スペシャリスト"という隊員が部隊に追加されるのだ。
その名からも分かる通り,スペシャリストはスタンダード隊員よりも優れた能力を持っている。装備も個性的なものばかりで,ランドウォーリアシステムが生んだ最新兵器OICW(Objective Individual Combat Weapon)を始め,SA-80,MP5-SD対人センサー,ライフルも50口径の巨砲M82A1,山猫で有名なドラグノフ,マシンガンはMG3やRPK74など,それだけで人柄が見えてきそうなバリエーションである。何よりスペシャリストは容姿やファッションも個性的で,女性隊員もいる。有志の制作による,スーザン・グレイ隊員のランジェリー壁紙の存在も確認されたりするので,興味がある人は探してみよう。 オリジナルタイトルであることを強調してきたが,前作から受け継いだイイ点もある。それはゲーム全体に漂うドライで殺伐とした雰囲気。個々の隊員ごとに身体能力に差はあるし,銃器別に殺傷力も異なる設定がなされているにもかかわらず,撃たれればだいたい一発で死んでしまうハードな世界である。 マルチプレイ目的での購入もオススメ
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やっぱりマルチが一番楽しい。海外では韓国サーバが軽いので密かに狙い目。仲良く遊ぼうね |
最大36人対戦可能なマルチプレイも壮絶に面白い。キャンペーンの15ステージに加え,五つのマルチプレイ専用マップも収録されている。
アクション色の濃い一般のFPSとは,まったく異なったゲームである。ジャンプしながら敵の銃撃をかわすなんて曲芸はできないが,味方の援護射撃を頼りに突破口を切り開くという,オトナの銃撃戦が楽しめる。
ホストの設定可能な項目は多岐に渡り,チーム戦もデスマッチもお手のもの。GPSをオンにすれば,広大なマップでも敵の位置をある程度は把握できるので短期決戦に仕立てられるし,逆にオフにすれば,敵の位置が掴めない非常にスリリングな戦いとなる。Respawn(死後復活)がオンなら派手な銃撃戦となるし,オフなら誰もが慎重となりこれまたスリリングな戦いとなる。
具体的にほかのマルチプレイ作品と比較してしまうと「デルタフォース」シリーズのようにスナイパーが戦場を制することもないが,「カウンターストライク」のように足で稼ぐゲームでもない。「Return to Castle Wolfenstein」のようにド派手でもなく,かといって「Operation Flashpoint」ほど忍耐強い射撃も必要ない。「SWAT3」のように1人対複数からの逆転が絶望的とも限らない。ついでにいうと「Tribes2」ほど大規模な戦争にもならず,「エイリアンvs.プレデター2」のような檻の中での殺戮劇とも違う。ここ最近の主流タイトルの中では,どこかに一部突出しない,バランスの良さを持つ作品である(一応フォローだけど,筆者は全部好きです,全部)。
何者も寄せ付けない超豪華フルコースだった「ローグスピア」と比較すると,微妙に小粒めいてしまったイメージはあるが,そんなことはゲームの面白さとは関係ない。2002年3月には完全日本語版,そして海外では早くもミッションパックが発売される。R6に代わり,今後のユービーアイソフトの主力となるタイトルであることは間違いないのだから,今後数年に渡って楽しむつもりで購入しよう!
■発売元:ユービーアイソフト (c)2001 Red Storm Entertainment, Inc. Red Storm and Red Storm Entertainment are trademarks of Red Storm Entertainment, Inc. Red Storm Entertainment, Inc., is a Ubi Soft Entertainment company. All Rights Reserved. Tom Clancy's Ghost Recon is a trademark of Rubicon, Inc. under license to Ubi Soft Entertainment. |