「A3インタビュー」

小島氏
■小島幸博(こじま ゆきひろ)氏プロフィール
A3のプロデューサー。ソフトハウス「アトラス」での勤務後,ゲーム雑誌やゲームサイトの編集長クラスを歴任,また最近ではゲームオンのMMORPG「ミュー」のプロデューサーも勤めた。「A3」では,宣伝プロデューサーとして活躍中。
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今後

4G:
 さて,今後はA3でどういう遊びを提供してくれる予定ですか? 私の個人的な印象では,騎士団トーナメントは順調に開催されてはいるけれど,その"先"がちょっと見えないなぁという感じです。トーナメントはこれまで5回行われていますが,リミテッドサービスの開始からたった4か月しか経過してないのに,もうここで安定していっちゃうのかなぁっていう懸念があります。

小島氏:
 おっしゃるとおりだと思います。ここ,ポイントなのでちゃんと書いてください(笑)。
 私の目指すA3の最終形というのは,"仮想世界における戦争と政治"をゲーム内に実現することなんです。現在はまだ"国家を治める"とか,プレイヤーの一人一人が"国家"というものを強く意識してはいないと思っています。

4G:
 確かに。私なんかは,せっかく騎士団トーナメントで国家の中で高い位置につけるのなら,高い税収を設定するなど,"圧政を施く"なんてことができあたらなぁ,と思うんですけど。

小島氏:
 そうですね,まさにそういった意味合いです。現在でもショップの売り上げによって一定の税収がとれるんですけど,それでは"市場を操作してる"とかそういう感覚はありませんよね。なので,もう少しエルタキンという地位に意義をもたせる意味でも,将来的には税率をある程度動かせるようにできたらいいなと考えています。
 さらに,税率が上がって国民が苦しみ出したら,エルタキンよりさらに上の位のネトランが「おいおいなにやってんの?」と出て行くと(笑)。そこで「じゃあ戦って決着つけようか」ってことで,エルタキンから"果たし状"なんかが出せるといいですね。
 最終的には,勝ち負けによって元の税率に戻りエルタキンが空席になるか,ネトランが入れ替わるかってところまでいくと。デートで映画を観ながら「来週の税率どうしようか?」なんて考えるのって,なんかすごくワクワクしませんか?

4G:
 騎士団トーナメントに関しては,ある程度A3のキャッチである「Love and Hate」なやりとりが行われているようですが,もう少し"殺伐さ"がほしいと思っていたところですし,ぜひ実装していただきたいです。個人的には,もっと国家がぐっちゃぐっちゃになったり,逆に,一つのネトラン,そしてトールが長期間国家を平定して君臨するっていうのが見てみたいですね。そのほうが,プレイヤーはゲームの中での自分の位置が見つけやすいでしょう。

 それでは時間も時間ですし,韓国でサービスが始まっている「A3 Part II」の実装について,また開催が迫るワンフェス(※7)や東京ゲームショウについて教えていただけますか。

小島氏:
 分かりました。
 先ほどからいくつか新機能の話をしていますが,これもPart IIも合わせて,実装は秋以降と考えてください。レベル制限などは比較的変更のきく要素ですが,それ以外はさすがに本家開発会社と調整しなければいけない部分もありますし。

 次にワンフェスについては,既報の通り,レディアンドールの試作品を出展する予定です。このドール,結構いい作りなんでぜひ期待してほしいですね。

4G:
 このレディアンドールは,今後発売されるんですよね?

小島氏:
 そうです。ただ作りが非常に精巧だし,価格も1万数千円というオーダーですので,おそらく限定500個程度の限定販売になると思いますよ。

4G:
 まぁ金属パーツもふんだんに使用されているようですしね。
 あと東京ゲームショウの出展内容が最も気になる部分です。なにせゲームはA3,プロデューサーは小島さんですからね。

小島氏:
 ははは(笑)。
 えーと,そうですね。これはまだどこにも発表してないんですが,Part IIで実装される新キャラクター「アーチャー」(※8)が触れるかも――,とだけ言っておきましょう。

4G:
 ほう! 騎士団の構成そのものを変えてしまうというアーチャーですか。遠距離攻撃もできるという。

小島氏:
 これぐらいで勘弁してください(笑)。

4G:
 分かりました。では最後に数あるMMORPGタイトルの中で,プレイヤーがA3を選ぶポイントを,もう一度まとめていただけますか?

小島氏:
 先ほどもいったとおり,A3で目指しているのは,仮想世界内に"戦争と政治"を実現することです。
 もちろんこれは最終的な目標であり,現在,そしてサービスイン直後の楽しみ方としては,やっぱり"大人の世界"といった雰囲気を楽しんでいただきたいと思います。騎士団トーナメントで最強を目指すもよし,毎週のイベントで局地的なアツい戦闘を楽しむもよし,ギャンブルで遊んでもよし。R-18ではありますが,幅広い年齢層の人に遊んでもらえると思います。

 もちろん現在はいろんなMMORPGが存在しています。絵画の世界でいうなら,シャガールやゴッホといった秀逸な絵がたくさんある展覧会といった感じでしょうか。そんな中で,たまにはダリのシュールな世界も覗いてみるか? っていう,そんな感覚で選んでもらえると嬉しいですね。そう,ポイントはダリ。ダリです。今そう決めました(笑)。

4G:
 おっしゃっていることは漠然とですが,分かるつもりです。本日はサービス方式に対する疑問も氷解しましたし,実に有意義でした。ありがとうございました。

※7……ワンダーフェスティバル2004[夏]。2004年8月29日に東京国際展示場(通称:東京ビッグサイト)で開催されるガレージキットの祭典。詳細は「こちら」

※8……A3の最新アップデートである「Part II」で実装予定の新キャラクター。弓を背負った女性のイメージイラストが公開されている。。



 2時間以上かけてじっくり話が聞けたこのインタビュー。
 今回,筆者が一番聞きたかったのは「本気のプレイヤーだけ集めたかったんじゃないですか?」という部分だ。つまり,リミテッドサービス開始前に小島氏が語っていたコンセプトが,初志貫徹して今でも生きているのかというところ。「リミテッドサービスだけでは,正式サービスイン後ににビジネスにならないような人数しか集まらないんじゃないか」。そんな理由で2次,3次と,コンセプトと覆す危険を冒して人を増やしたのではないかというところだ。
 インタビューを読んだ人なら,これらのほとんどが杞憂であったことは分かったはず。人を増やしたのはあくまでもゲームを成り立たせるため,そして,増やした結果,大きく"大人の世界"が崩れることはなかった,としている。
 もちろんゲームが成り立つか否かというのは,ある程度は事前に計算しておかなければならないところでもある。A3ならA3で,"そのゲームが最も面白くなる参加人数,接続者数"というものは,事前に把握しておくべきだとも思う。

 ただA3に関しては,"リミテッドにする"というコンセプトが先行したため,ある意味ゲーム内でプレイヤーがどういった世界を形成するかは未知数だった。これはインタビュー中に小島氏がたびたび「手探り」という単語を口にしていたことに象徴されている。

 とはいえ最終的には,これまでの施策のほとんどは効を奏している模様だ。最も印象的だったのは,"A3の今後"を語るときの小島氏の目。実にとキラキラ輝いているではないか。
 第3次の限定ダウンロードも参加上限間近。あとは正式サービスへ向けて,氏の目指す"仮想世界の戦争と政治"といった部分の実装,またプレイヤーのフィードバックがどのように反映されていくのかに,注目していきたい。

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