「大航海時代 Online」4G独占インタビュー第2弾を掲載 - 2004/04/24 00:30


 2004年4月14日,コーエーは新作MMORPG「大航海時代 Online」の発表会を開催した。その発表会の模様は「こちら」「こちら」でお伝えしたが,この発表会は正直"時期尚早"といった感じで,ほとんど情報が出てこなかった。
 そこで同日中に本作のプロデューサーである上野彰三氏にインタビューを行った(記事は「こちら」)ものの,これまた回答の大半が"言えない"か"決まっていない"で,結局どういうゲームなのか,あまり理解できないうちにインタビュー時間が終了。結果,本作のデキに懐疑的な記事を掲載せざるを得なかった。

 しかし「分からない」ままで放り出しておくのも怠慢なので,忙しい上野氏に無理をいって,もう一度インタビューを行った。その結果は,……まずは自分の目でご確認を。


■コンセプトは,「海を翔けるロマン」

forGamer:
 何度も時間を作ってもらってすみません。でも,どうしてももっと詳しい話が聞きたいんですよ。まずは,そもそもの開発経緯について教えてください。

上野氏:
 MMORPGの良いところは,ネットワーク上の異空間でさまざまな人々と出会って,チャットしたり,共に冒険を楽しんだりするところにあると思います。ところがほとんどのMMOは,モンスターを探して戦いに次ぐ戦いを経て,レベルアップやアイテム収集を行うなど,主に戦いがメインの殺伐とした空間が構築されてしまっているような気がしたんです。
 そこで,戦いだけではなくいろいろなことができて,ワクワクドキドキできるようなロマン溢れる世界をプレイヤーに提供できないか? と検討した結果,"冒険"や"交易" "海戦"といった要素を自由に楽しんでもらえる「大航海時代」のオンライン化ということに行き着いたのです。
 もちろん,ファンからの要望が非常に高かったというのも大きな要因ではありますね。

forGamer:
 なるほど。そのあたりが開発コンセプトにもつながってくるんですかね?

上野氏:
 本作のコンセプトをひと言で表すなら,「海を翔けるロマン」です。繰り返しになりますが,本作のプレイヤーには,16世紀半ばに巻き起こった一大ムーブメント"大航海時代"の世界でさまざまな生き方を楽しみながら,当時のロマンを体感してほしいと考えています。まだ見ぬ街や大陸,海域,そしてそこに待ち受けている新たな発見に心躍らせながら,大海原を翔け回ってもらいたいですね。

forGamer:
 うーん,また話が大きくなってきちゃいましたね。もう少し具体的に,本作の世界の中でプレイヤー達は何を目指してプレイしていくのか教えてください。

上野氏:
 やはりそう来ましたか(笑)。では今回は,もう少し話しましょう。
 一般的なMMOだと,初めに職業(クラス)を選び,その職業を極めるためにスキルを磨いたりレベルアップしたりするのがプレイの主な目的でしたよね。大航海時代 Onlineでは,プレイヤーの目的は職業とは関係なく,まったく自由といえるくらい幅広くなっています。
 まぁ,プレイの始めこそ"冒険家見習" "商人見習" "軍人見習"の中から一つの職業を選択することになりますが,これは最初のギルドを決めるための目安に過ぎません。冒険家見習であれば冒険者ギルドから仕事をもらい,冒険者としての能力を成長させていくわけですが,交易や商業活動を行い,商人としての能力を成長させることも可能です。
 それは戦闘も同様ですね。冒険の道すがら,海賊に出会って戦いを繰り返すことで,戦闘の能力が開花していきます。つまりプレイヤーは,いつの時点でも「やりたいなあ」と思ったことを自由に選択できるのです。

forGamer:
 なるほど。……ぜひもう少し具体的に(笑)。

上野氏:
 そうですねぇ,例えば冒険の道を極めたい人は,新たな街や新海域,遺跡や宝物など700以上におよぶ発見物のコンプリートを目指すのもいいでしょう。同様に,商人の道を極めたい人のためには"大都市の一等地に自分達の商館を所有すること",軍人の道を極めたい人のためには"海賊や敵国の私掠船を討伐し,大提督となって爵位を得ること"など,人生の大目標に当たるものを用意しています。もちろん,複数の道を目指しても構いません。
 またこれらの道を選ばずに,海賊としてアウトローに生きるといった選択肢をとることも可能です。ちなみに職業は約50種類あって,冒険,商人,軍人の三つの職業系統に分かれています。



■職業とレベル/スキルの関係

forGamer:
 では次は,レベルとスキルのシステムについて詳しく教えてください。正直まだ,どうすればレベルが上がるのか? という基本的なことも分からないんですよ。

上野氏:
 キャラクターの最もベーシックな能力を表現するものが「レベル」です。レベルは職業系統と同じく"冒険" "交易" "戦闘"の3種類があり,プレイヤーの行動によって経験を積み,レベルアップしていきます。
 このレベルが最も大きく影響するのは,扱える船と,転職ですね。船は,「冒険レベルがいくつ以上ないと冒険者用の船足の速い船を操れませんよ」とか,「容量の大きい交易用の船は交易レベルがいくつ以上必要ですよ」とかが決まっているので,希望する船に乗るために,該当するレベルをその船が要求する数値まで上げるなんてことが必要になります。このへんは,カーレースのレギュレーションに似ているかもしれませんね。

forGamer:
 ではスキルについても教えてください。

上野氏:
 スキルは,文字通りキャラクターの"能力",言い換えれば"できること"で,職業によって得意不得意があります。要は,ほかの職業系統のスキルを「覚える」ことはできるが,職業系統ごとに"成長させやすいスキル"は違ってくるという感じです。
 例えば,冒険系統の職業なら"操帆"や"発掘" "鑑定"など,商人系統は"会計"や"織物取引" "交渉"など,そして戦闘(軍人)系統なら"砲術"や"追跡" "収奪"といったところです。もちろん,まだまだたくさん用意していますよ。

forGamer:
 そういえば,レベルは転職にも影響するとのことでしたね。この転職についても詳しく教えてください。

上野氏:
 キャラクターは,一定のレベルになると,別の職業へ転職できます。このシステムによって,プレイヤーは自分が好きなプレイを選べるという感じですね。
 冒険系統では,遠洋探検家や考古学者,ハンターなどの職業があり,最終的には大冒険家や博物学者などを用意しています。交易系統だと宝石商や宣教師,香料商人などがあり,最終的には大富豪などになれます。そして軍人系統なら,用心棒や上級士官,私掠海賊などがあり,最終的には大提督や大海賊などを用意しました。
 さらに,冒険者と軍人の職業を合わせ持った運び屋や,商人と軍人を掛け合わせた武器商人のような中間的な職業も存在します。

forGamer:
 転職できる職業って,どのように決まるんでしょうか? 例えば軍人的な行動ばかりなら,大富豪にはなれませんよね。やはり3種のレベルによって決まってくるんですかね?

上野氏:
 そうです。行動したことの比率によって冒険,交易,戦闘の各レベルが決まり,選べる職業が変わってきます。そのキャラクターの生き方次第で職業を選べるということです。

forGamer:
 なるほど。じゃあプレイヤーは,キャラクターの職業にあまりこだわる必要はないんですね。

上野氏:
 その通りです。職業の大目標のみを追い求めてもいいですし,ほかのことも片手間にやりながらマルチに生きてもいい。本作では,マルチに生きることが不利になるというわけではありませんから。

■どんな世界なのか?

forGamer:
 ちょっと順番が前後しちゃいましたが,世界観についても詳しく教えてください。

上野氏:
 もちろん,本作の舞台は中世ヨーロッパの大航海時代をベースにしています。この世界では,他国との領海権や各種条約が複雑に取り決められていて,航海者達はすべて国王の認可を受けて航海しているという状態です。
 コロンブスやガマ達が王の勅命を受けて新航路を開拓していったように,プレイヤーもこの許可を勝ち取っていかなければなりません。プレイ開始時にはキャラクターは当然駆け出しの航海者なので,近海を航海する許可しか受けていません。そのためしばらくは,せいぜい沿岸警備や近海貿易ができる程度です。
 しかし,"名声"を蓄えて国王の認可が下りれば,新たな海域へと航行できるようになります。さらに,王の勅命を受けてそれを達成していけば,より早く名声が溜まり,ほかの海域への航行許可も得られるでしょう。

forGamer:
 勅命とはどういったものでしょう?

上野氏:
 勅命は各国の情勢に合わせたシナリオ仕立てになっており,プレイのガイド役も兼ねています。もちろんシナリオの勅命などに頼らず,自由な行動で十分な名声を得て,自力で認可を勝ち取ってもいいですよ。

forGamer:
 なるほど,"名声"というパラメータが重要なんですね。では話を変えて,パーティ(艦隊)についてお聞きします。パーティを組むことのメリットはなんでしょう? 言い換えれば,プレイヤー達は,どういうときにパーティを組むんですかね? 前回はそれが凄く疑問で。

上野氏:
 それこそ,「行き先が近いから一緒に行く?」とか,「君のクエスト,ピラミッド探検なの? だったら俺もそこに行ってみたいなあ」といった気軽な気持ちで組んでもらいたいですね。
 システム的な面では,まず,クエスト達成のための「手助け」の要素が挙げられます。実はパーティメンバーのスキルは共有できるので,例えば自分のキャラクターが"アラビア語"をしゃべれないとしても,メンバーの誰かがアラビア語をしゃべれたら(該当するスキルがあれば)通訳してもらえるわけです。考古学や測量といった専門的な知識(スキル)も同様です。あとクエストクリア時の追加ボーナスも,パーティを組むメリットの一つです。それから,海戦でもパーティを組んでいるほうが断然有利ですね。
 ただし,パーティの編成を常に必要としているわけではありません。職業によってできることや覚えられるスキルに制限がないので,ソロプレイのみでも十分に個人の目標を達成していけます。

forGamer:
 では,最後の質問です。ズバリ,本作の一番のウリをお聞かせください。

上野氏:
 本作の一番のウリは,各人が自由に自分のロマンを自分のスタイルで追いかけられることですね。冒険,交易,戦闘それぞれの要素をどれだけ追い求めるのかもプレイヤーの選択次第ですし,ソロでプレイするのも艦隊を組むのも商会(プレイヤーズギルド)を組織するのも,やはりプレイヤー次第です。
 海域を広げていくのも,自分のペースでOK。勅命シナリオを楽しみながら新しいエリアに進出するもよし,同じ海域にとどまって名声をちくちく溜めるもよし。名声も,依頼クエストを解いて効率良く稼ぐ手もあれば,ひたすら発見報告,投資,敵艦隊討伐を繰り返して気ままに稼ぐ手もあります。

forGamer:
 お金儲けの方法もいろいろありそうですね。

上野氏:
 もちろんそうです。安全海域の中のみで実入りの少ない採集,食品貿易,盗賊討伐を繰り返す人もいれば,危険海域を突っ切って金鉱石や香辛料を仕入れたり,未知の秘宝を掘り出したり,それらの商船を襲って大儲けする人もいる。
 パーティ待ちで1時間も待たされるゲームではなく,毎日好きな時間帯に好きな時間だけプレイでき,みんなが集まったときには大西洋横断航海を決行したり,海賊艦隊を組んで敵国の艦隊を襲ったり,大きなクエストを解いたりといった協力プレイが可能な設計になっています。

forGamer:
 なるほど〜。そうですね,おかげでずいぶんと本作について分かってきました。本日はありがとうございました。



 以上。ご覧の通り,前回とはうってかわって,ずいぶんと具体的な話を聞かせてもらえた。おかげで,本作の輪郭はもちろん,その本質も見えてきた。
 その本質とは,簡単にいえば,"役割を演じる"という意味での本来のRPGだ。大航海時代……つまり実在した時間/場所を舞台に,プレイヤーがそれぞれの役割を演じられるゲームなのだろう。
 正直いって,できることが多すぎることに不安がなくもないが,それこそ"大航海時代シリーズ"や"太閤立志伝シリーズ"で「できることが多いゲーム」のノウハウを培ってきたコーエーだし,どううまくまとめてくるか,むしろ楽しみだ。

 ともあれ,百聞は一見にしかず。βテストさえ開始されれば,多くの疑問も一気に氷解するのだろう。forGamerでは,今後も上野氏への追加インタビューを含め本作の情報を掲載していく予定だが,それとは別に,βテストが1日も早く開始されることも祈っておこう。(Iwahama)

「大航海時代 Online」の記事一覧は,「こちら」

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