このゲームが欲しくなっちゃったアナタ!
ルール無用,試合のすべてが場外乱闘というアメリカのスポーツエンターテイメント「バックヤードレスリング」のゲームが結構人気が高いというので,ルールを守るのが苦手なGueedならきっと何か共感するものがあると思い,彼に挑戦してもらうことにした。しかし,我々は重大な障害を見落としていた。なんとGueedは,プロレスをまったく知らなかったのである。
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4Gamer編集部とは,その名の通りプロレス雑誌の編集部である。編集者は誰もが重度のプロレスマニアで,全員あのピチピチのパンツを履いてダーダー言いながら出社している。中でも4Gamerのトップベビーとして,人一倍ダーダー言っているのが筆者である。
そんな筆者に対立するトップヒールとして,隣でaueki相手に"空中腕ひしぎドロップ落とし"の練習ばかりしている,4GamerのWWIIデータベースこと,メモに使っているノートの猫の絵が無闇にかわいい男こと,早い話がキモいGuevarista氏に「Are you 蝶野?」と伺ってみたところ,「東京マルイからモーゼル98カービン出ないかなぁ。っていうか日本軍でサバゲーするならラバー銃剣必須だよね」と,ガチともアングルとも取れない貴重な意見が得られた。キモーイ。でも筆者のクリスマスのお相手はGueva氏ぐらいしかいないので,あまりキモイキモイ言ってもいられない。
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水着女のバックをとったマイキャラクター。アメリカ家庭の裏庭では,毎日のようにこんな光景が見られるのか |
さて,そんなこんなで今回取り挙げるのは,アメリカのプロレス大好きプライベート団体から選りすぐりの役者……いや選手を集めて興行し,人気を博しているバックヤードレスリング(裏庭レスリング。以下,BYW)をゲーム化した,「Backyard Wrestling 2」だ。
アメリカには最大手のメジャー団体「WWE」などが存在するが,BYWとは子供のプロレスごっこをルーツとする,元はプロレスマニアが生み出したムーブメントだ。
裏庭と言われても,筆者には幼少の頃に埋めた金魚の死骸や祖父が栽培していたトリカブトという印象しかないが,とにかくアチラは裏庭でプロレスができる環境なのだ。テレビでプロレスを見た子供が「おおスゲェな! オレもやりたい! ヘイ,ケビン(弟)!おまえも付き合いなトーキングアバウト」とか言って,ダディが大切にしている芝刈り機や,ダディが日曜大工で作ったロッキンチェアーなどをガシガシ壊していたのだろう。
そんなムーブメントに目をつけた,カリフォルニアのBackYard Wrestling社が「金のニオイがプンプンしゅる」と言ったか言わずか,ケーブルテレビなどを通じて放送することで一大興行として育て上げたのが,このBYW。
元々プライベート団体発ということもあり,内容は過激だ。有刺鉄線やクギ付きバット,イスや会議室机といった定番の凶器やギミックを使うのはプロレスと同じだが,"インディーズ" "裏"といった雰囲気のBYWでは,技の危険度や選手の悪ノリ度,選手の瞳孔の開き具合といった点でプロレスをはるかに凌駕する。
家の2階からドロップキックをしたり,リング中央に3メートルもあろうかという脚立を配置,パイルドライバーの態勢で眼下の会議机めがけて落ちてみたりなんてことはザラ。技を繰り出す側も受ける側も「わー♪」と至福の表情をしているのが,変態的で印象的だ。
もちろん美しい技のバラエティもハンパではなく,筆者が夢の中で一度だけ成功した「四の字固めドライバー」なども平気でやってみせてくれそう。どうでもいいけど,ムービーをシゲシゲと見る限りでは,"STOP"と書かれた道路標識が,かなりポピュラーな凶器のようだ。
本作では,実在のバックヤードレスラーが20人以上登場し,実写ムービーもふんだんに使用されているため,ゲーム前に上で書いたような独特の雰囲気を,あらかじめ味わっておける。というか,筆者自身がムービーを見て少し興味を持ってしまったので,暇で暇でどうしようもなくて,かつ給料袋がドーンと立つほどお金をもらえるようになったら,なにげに日本でも発売されているBYWのDVDでも買ってみようと思っている。いずれにせよ編集長次第ということだ。
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バックヤードレスリング初心者にもお勧めの実写ムービー。メインメニューのMOVIE から,各レスラーのダイジェスト映像も見られる。日本国内では,資料としても割と貴重な気がする |
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スキンヘッドにメッシュのシャツと,ホモっぽくまとまっていた筆者のキャラクター。フットボールヘルメットを被った瞬間,意味不明な物体になった |
本作はプロレスゲームというより,格闘アクションゲームに近い。にもかかわらず,格闘ゲームとしても真新しい要素は皆無というのが斬新だ。
ゲームプレイは,ラップ的なBGMを聴きながら,あらかじめ用意された実名レスラーか,自分でエディットしたヘンテコレスラーを操作して,Career Mode(ストーリーモード),Exhibition Mode(クイック対戦モード)で闘っていくというもので,モチーフ以外は非常にカッチリとまとまったソフトである。
本作では,基本的に打撃攻撃と掴み(Grapple)からの投げ技やサブミッションで闘う。また防戦一方になった場合は打撃カウンターを駆使。攻撃や防御を続けることでTurboメーターが溜まったなら,いわゆる超必殺技であるSuper Modeを使うという感じだ。
また,この戦いに色を添えるのがマップに散らばるオブジェクト。イスや机はもちろん,違和感なく道端に転がっているクギ付きバットや壺,芝刈り機やチェーンソーなどで敵を攻撃できる。また本作は,そういった"武器を作り出すため"に(?)高度な物理エンジンも搭載しており,衝撃によって割れた木箱やガラスの破片なども武器として利用可能。
攻撃判定がヘンなせいで,中には殴っても殴ってもキャラクターがダウンせず,相手がノックアウトするまで体力を削り続けられるものもあった。さすがアメリカ。大味だ。
念のためいっておくと,本作が"面白い"というのは少し語弊があって,簡単な操作に慣れてしまえばストーリーモードの敵との戦いは割と単調。ただし打撃,投げ,防御,超必殺技という格闘要素はキチンと実装しているし,操作フィールも上々なので,友達との対戦プレイがアツそうというのが筆者の印象である。
さて,これまでいくつか海外産の格闘系アクションゲームを遊んでみたが,アチラ(海外)のデベロッパ/パブリッシャは,どんなテーマのゲームでも,まず"ゲームのシステムありき"として,"テーマでどう遊ぶか"に主眼を置いて開発/販売している感がある。「テーマの多くが色モノ。でも実際はゲームとしてもそこそこ遊べる。でも特筆すべき点がない」といったタイトルへの遭遇率が高い。グロテスクなキャラメイクやバカバカしいキャラモーションなどは実にくだらなくてピカイチなのだが,ゲームシステムの斬新さが無い部分で,(日本では)すごく損をしているという印象だ。
本作もやっぱり接待プレイ用にオススメすることになるだろうか。あ,女の子相手なら結構ウケそうな予感もしてきた。クリスマスにおコタでバックヤードレスリング。おお,なんかすごくメリケンな感じがしませんか? しませんね。
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本作のキャラメイクはカラーバリエーションが豊富。黒/白/黄色/赤/紫/緑,なんでもある |
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どこぞの民族衣装のような足周りがチャームポイントのマイキャラ。画面左はSuper Modeを発動したところ,画面右は微妙なアングルだが,ただピンフォールをしているだけだ |
■■Gueed(4Gamer編集部)■■
なんせ編集部のほぼ全員がプロレスの知識皆無なため,技の名前も用語も何一つ知りようもないままプロレスゲームの記事を書くという暴挙に挑んだ,今回のGueed。ボクシングとプロレスの違いも,どうやらよく分かってないっぽい。
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