― 連載 ―

タイトル
ジャンル
開発元
販売元
実勢価格
発売日
Tom Clancy's Ghost Recon 2(アジア版)
:アクションシューティング
Red Storm Entertainment
Ubi Soft
:7800円(税込)
:2004年11月16日
※日本語Xboxで動作可
※Xbox Live対応

このゲームが欲しくなっちゃったアナタ!


特殊部隊か4Gamer編集部かの二択を迫られたGueedは……といった導入も飽きてきた,今回のハンドリングXbox。もともとXbox用タイトルだった"HALOシリーズ"よりも,PCゲーマーにとってはある意味よっぽど深刻なタイトルである「Tom Clancy's Ghost Recon 2」に,その深刻さに耐えられそうもないGueedが今,敢えて挑む。何を隠そう,彼は前作「ゴーストリコン」(PC版)の大ファンなのだ。

 いい加減,筆者と担当編集者のどちらがチーム"Ghosts"にふさわしいか,決着をつけねばらならない。
 今のところは,両者一歩も譲らない。筆者が遅刻をすれば担当編集は大幅に遅刻してKazuhisaの機嫌を損ねるし(迷惑),担当編集が彼女にフラれたら,すかさず筆者もフラれた。フラれた直後に「ありがとうな」と,負け惜しみと強がりをミックスした未練タラタラかつダサ男まる出しのメールを送ったところまでは,どうやら互角のようだ。
 このままではラチがあかんし,今まで通り女子社員にも嫌われ続けそう。というわけで,4GamerのWWIIデータベースこと,電話口で「えっと,えっと」を連呼する男ことGuevarista氏に,トム・クランシーの小説では,なぜ最後に必ずアメリカが勝つのかについて疑問を差し挟んでみたところ「中東最強の兵器は告げ口。イスラエルの空爆を誘うなんて簡単ですよ。まったく徳の低い戦いだウハハハハハハ! さて」といって,ニセの稟議を量産していた。とってもいい人だし知識の量は認めるんだけど,会話中にミリタリー用語で難解な比喩を使うのやめてください。誰も分かんないしキモいから。
 

迷彩にゴーグル,M4カービンと,まさしく特殊部隊の装備。野外マップとこのグラフィックスの質感だけで「ああ,ゴーストリコンだなぁ」と感じられるのはなぜだろう

 そんなこんなで,年の瀬も迫ったとある週末,筆者が某人気RPG(ヒント:8作目)のパッケージをガムテープでぐるぐる巻きにしておいてプレイに励んだのが,アクションシューティング「Tom Clancy's Ghost Recon 2」(以下,GR2)だ。
 あらかじめ,このフレーズは書き飽きたことを高らかに宣言しておくとして,トム・クランシーは,「今そこにある危機」や「パトリオット・ゲーム」などの代表作で世界的に有名な軍事スリラー作家。氏は筆者の30歳年上,分りやすくいうと蛭子能収や森進一と同い年であり,保険屋からの脱サラ前に9年をかけて執筆した「レッドオクトーバーを追え」が一躍ベストセラーに。以後,膨大な軍事関連タームを好き勝手に使いこなして今日の地位を築いた,アメリカ大好きおじさん(注:偉い人)である。まったく,同じこと何度説明させる気だ,このおっさんは。
 同氏が携わったゲームつながりの代表作としては,やはり「レインボー・シックス」(以下,RS)シリーズが有名だろう。RSシリーズの詳細は,我ながらウィレム・デフォーへのリスペクトぶりが勘に障る本連載の第2回「こちら」を読んでいただくとして,GRシリーズはRSシリーズの派生系タイトルといえる。まじめに書くと,CQBメインの特殊部隊シューティングであるRSシリーズに対して,美しいグラフィックエンジンで,野外から屋内までの戦闘が一通り遊べる"ネットサバゲ"と形容できるのが,GRシリーズといった感じだ。どちらも俗にいう"リアル系"(この呼び方,あんまりかっこ良くないですね)のFPSに属するタイトルである。

 GRのキャンペーンモードは,「超極右政党に支配されたロシアvs.NATO軍」という構図を描いたもので,そこに合衆国陸軍特殊部隊の"Ghosts"が投入されるという内容。つまりタイトル通り「"Ghosts"(チーム:Ghost)が"Recon"(偵察)」するわけだ。
 一方GR2は,世相を反映してか,舞台は北朝鮮。北朝鮮政府が大幅に軍事予算をとったため,国内の農業の基礎が崩壊。軍事費削減を試みる政府に,将軍Jungが反政府勢力として反旗を翻すというプロットである。一応繰り返しておくと,将軍である。
 これを真顔で「世相を反映した」なんていうと,きっと抗議メールが殺到するのだろうか。なんでもお隣の韓国では,政治的な影響を考えて本作が発売できなくなったとか。我が国も決して他人事ではないはずだし,政治に影響しないところが逆に悲しかったりして。


キャンペーン間のムービーは,実際にGhostの兵士が,体験談を語るようにミッションの内容を説明してくれる。下段右はパッドでの操作系。Xboxのパッドはシューティングゲームにかなりハマる

今回から追加された三人称視点。ズームする際などは少しまどろっこしいが,日本人好みではあるかも(?)

お約束のナイトビジョン

 というわけで師走の週末,筆者は某人気RPG(ヒント:ヒロインがボンキュッボン)を浴槽に沈めてGR2をプレイしてみた。

 GRとGR2をザッと比較して大きく異なる点は,三人称視点が追加された点(一人称視点もある),そして物理エンジンHavok 2.0が搭載された点だろうか。
 「正直要らないんだけど」と思っていた三人称視点は,凝ったキャラクターのアクションが見られる点,チーム行動中のフォーメーションや周りの地形が分りやすい点においてはマルだ。匍匐状態で左右のキーを押したとき,ごろりと転がって移動してくれるのが,効率悪そうだが兵士っぽくて良い。
 またHavok 2.0が搭載されたことで,橋や建物などのオブジェクトを破壊した場合,現実と同じような挙動で破片が飛び散り,ガラガラと崩れるように崩壊するようになった。ただ,転がった破片に兵士はつまづかないし,破片そのもので敵を倒したりもできない。ゲームプレイそのものには一切関わってこないのが残念だ。

 ところで,GRファンなら誰でもその洗礼を浴びたことと思うが,初代GRには"敵AIの射撃精度が超凶悪"という問題があった。物陰からおでこでも出そうものなら,ガガガ! と瞬時に前頭葉を打ち抜かれたものだ。
 今作GR2では,"命中精度"においては若干下げられている印象を受けるが,代わりに敵AIの索敵能力がやたらに高い。そのため敵集団を迂回して目的地へ向かう,という動きが限定され,GRが広いマップと共に持っていた"あらゆるルートで攻略してみる"という楽しさは半減してしまった。つまりキャンペーンモードは割と一本道になることが多いのだ。筆者のヘタさ加減を差し引いても,そうなることが多いのだ。

 最後に,編集長の目を気にしながら4Gamer的なコメントを入れるとするなら,一番気になるのはGR2のPC版だ。噂によれば高解像度対応やダイナミックライティングの使用など,主にグラフィックス周りのリファインがなされ,Xbox版では不可能だったビークルへの搭乗などもできるらしい。少しぐらいコンシューマライクになるのは覚悟しているが,GRが見せた臨場感とゲームらしさの奇跡的なバランス取りが,今作にも受け継がれているといいのだが。
 

トレーニング風景。ゴーストリコンは伝統的にしゃがみでの移動が速く,ゲームのテンポが良い

Ghostは合衆国所属だが,オプションで他国のユニフォームも選択できる


 
■■Gueed(4Gamer編集部)■■
いつも何かしら許せなくて憤っている彼だが,ココリコの遠藤に対する世間の評価以上に許せないのが,映画「オールド・ボーイ」に対する世間の評価らしい。「あれをありがたがるカンヌって!」と言い放ち,カンヌがありそうな方角に向かってフランス人を侮辱するブラックジョークを飛ばしていた。だから素直に「Mr.インクレディブル」を観るべきだと勧めたのに。


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