― 連載 ―

※ゲームの中で起きることは,ゲームの中だから起きるのです。決して本当にやっていはいけません。おじさんとの約束だ。


主人公のカール・ジョンソン(CJ)。本物のストリートギャングがやりそうな犯罪なら,たぶんなんだってやってくれる頼もしいヤツ

 俺様はストリートイチのクールなワルさ。今日も元気に朝から自動車泥棒。頼まれれば銀行強盗でも,暗殺でも,対立組織の壊滅でも,スト破りでもなんでもやっちゃう。仕事の合間には,ゴキゲンな音楽をカーステからがんがん流しながら,海辺の道路を突っ走るぜ。というのが,この6月8日に全米でPC版が発売された「Grand Theft Auto:San Andreas」(以下,GTASA)だ。

 いわずと知れたGTAシリーズの最新作である。よもや知らない人はいないと思うが,GTAシリーズは世界中でン千万本売れたとか売れないとか,ちょっとした社会現象的ゲーム。つまり私のように,「ありふれた中年留学生というのは世を忍ぶ仮の姿で,ゲームの中ではとても悪の権化」みたいな人々が,世界中に軽く数千万人いるという推定も成り立つわけで,すごい。

ゲームはいきなり主人公が濡れ衣を着せられて逮捕されたり,家族や昔のダチ公がやっかいごとに巻き込まれていたりと,たいへん不幸な境遇から始まる。不幸が犯罪を生むんだなぁとしみじみ

 謎の暴れん坊(GTA3),マフィアのチンピラ(Vice City)ときて,今回は黒人青少年達のストリートギャングが主人公だ。「ヨーメーンカモンメーン」の世界である。
 実際のストリートギャングの恐さはハンパじゃなく,彼らの活動地域に近づくのは賢明ではないというのは,アメリカ国内では常識の一つとされている。だが彼らの世界は一種独特の文化を持ち,興味深いこともまた事実。「興味なんかねえよ!」という人は,ええと,このゲームにもまったく向いてないですよ。


舞台はロスによく似た都市"ロスサントス"など,3都市。近代的な超高層ビル群と治安の悪いストリートが混在しており,ロスによく似ている。ロスで見たような建築物(E3会場だったアレとか)もある

 次週以降,サン・アンドレアスのあっと驚く治安の悪さについて,現地直送でお届けしていく予定だ。ゴールドのチェーンを首から何本もぶら下げ,民家に向けてマシンピストルを乱射する予定である。ヒップホップのミュージシャンをリスペクトしつつ肩を揺らし,地面を何度も指さしながら歩き,夜はドラム缶で木材を焼いて焚き火するのだ。ええと,私のストリートギャングのイメージ,あってます?

 一応,「達成率100%」を目指したり,「犯罪行為をせずに暮らせるか?」なんて遊び方にもチャレンジする予定だが,個人的に本連載で一番やってみたい目標は「ガールフレンド完全制覇」である。なぜガールフレンドを完全制覇したいのかというと,その理由は聞かないでほしい。個人的な理由だ。

GTAシリーズ恒例ではあるが,やはりセクシーなお姉ちゃんが頻繁に道を歩いている。アメリカってこういう国なのかと思われがちだが,筆者の近所には,こういう女性は全然いない。おかしいなぁ

 というわけで,ゲームの詳細は来週以降に持ち越しだが,まずは撮れたてホヤホヤの最新グラフィックスをご堪能いただきたい。当然,プレイステーション2版に比べるとPC版のほうが断然キレイ……なはず。気の早い話ではあるが,過去の例を見るとMODも豊富なので,長く遊びたいならやっぱりPC版だよなぁなどと,プレイステーション2を持っていない私は思うのである。
 ではヘイメーンの皆さん,次週をお楽しみに。


髪型をアフロに変えたり,墨を入れたり,スプレーアートに興じたり,序盤からいかにもなことがいろいろできる。もっともっと,悪いこともいろいろしたいぞ

Grand Theft Auto(1998年)

シリーズ第1作。見下ろし型の2Dアクションだが,盗んだ車で街中を自由に走り,与えられるミッションをこなしていくという基本形は,このとき出来ていた。ちなみに,ゲームに出てくる三つの町は「Liberty City」「Vice City」そして「San Andreas」。なるほど。追加データ集として,舞台をロンドンに移した「Grand Theft Auto:London1969」がある。

Grand Theft Auto2(1999年)

シリーズ第2弾は,グラフィックスとゲームシステムに改良を施されて登場。GTASAで重要になる「リスペクト」という要素が初登場している。舞台となるのは,七つのギャング団がしのぎを削る名もない町で,プレイヤーは彼らの間を上手に渡り歩いてミッションを達成していく。現在,GTAとGTA2は無料でダウンロード可能だ。

Grand Theft Auto III(2002年)

2まで"真上見下ろし型2Dクライムアクション"だったGTAシリーズを3D化し,世界的に大ブレイクした作品。ニューヨーク風の町「リバティ・シティ」がゲームの中に完全に作り込まれ,そこを舞台に,常識的に問題のある,数々の犯罪的なミッションを遂行していくというもの。革命的だったのは,別にミッションを遂行しなくてもいい,というところか。精密に描かれた町の中で,勝手気ままに車をころがし,悪事を働いても全然オッケー。主人公は無名かつ無言の男で,やや不気味。大ヒットすると同時に,「暴力的すぎる」として数々のボイコット運動が起きたことでも名を知られている。

Grand Theft Auto : Vice City(2003年)

前作の大ヒットを受けて,翌年発表されたのが,このタイトル。舞台を1980年代のマイアミ風の都市「バイス・シティ」に移し,前作のゲーム性はそのままに,数々の要素の追加,改良が施された。ストーリーにも重点が置かれ,主人公トミー・ヴァルセルディはよくしゃべり,感情を表に出し,ゲームが進むにつれて土地の麻薬王を殺して成り上がったり,罠にはめられたりする。追加点の主なものは「航空機,船舶に乗れる」「複数の隠れ家(セーブポイント)が購入可能」「複数の施設を購入して上がりを得られる」といったところ。多数のハリウッドスターが,ボイスアクターとして出演していることでも知られる。


■■松本隆一(ライター/学生/ストリートギャング)■■
アメリカ在住,45歳のストリートギャング候補生。現地時間の6月8日,本作を購入するために朝からショップを4軒もハシゴ。ウォルマートなら入荷しているだろうと思ったが見つからず,腹立たしげに買って食べたホットドッグがとても不味くてファッキンだったと,たいへんお怒りであった。うーんリスペクト。
タイトル Grand Theft Auto:San Andreas
開発元 Rockstar North 発売元 Rockstar Games(Take Two Interactive)
発売日 2005/06/07 価格 49.99ドル
 
動作環境 対応OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9以上),Pentium III/1GHz以上[Pentium4またはAthlon XP以上推奨],メインメモリ:256MB以上[384MB以上推奨],グラフィックスカード:GeForce 3以上[GeForce 6シリーズ以降推奨],グラフィックスメモリ:64MB以上[128MB以上推奨],HDD空き容量 3.6GB以上[フルインストール時4.7GB以上]

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