― 連載 ―

Dungeons & Dragons Online: Stormreach

第3回 誰も気づかない「善のオーラ」にしょんぼりの巻

 パーティプレイが命のMMORPG「Dungeons & Dragons Online」(以下,DDO)で,呪文の使えない劣等生パラディンが,どのようにみじめに生きていくかを綴った週刊連載記事「ダンジョン道中しょんぼり記」。
 前回の冒険で得た経験により,私のパラディンは晴れてレベル2になった。ここで別のクラスを獲得する「マルチクラス」の選択肢も浮上するが,私に迷いはない。固い信念のもとパラディンのトレーナーを訪問し,パラディンとしてのレベルアップを頼んだ。トレーナーの「パラディン呪文を唱えるのにはWisdomが足りないが,よろしいかな?」という,ご丁寧な忠告に少々しょんぼりしたが,そこは自分で選んだ道である。
 パラディンはレベル2に達すると,次の二つの特殊能力を得る。これからが本領発揮だ。

 

・Divine Grace(信仰の恩寵)
 3種類すべてのセービングスローに,“Charisma修正値”に等しい値が上乗せされる

 

・Lay on hands(癒しの手)
 (10+パラディンレベル)דCharisma修正値”分のHPを回復させる。アンデッドに対して使用すればダメージを与える

 

 この時点で私の「Charisma」は17なので,“Charisma修正値”は3。つまり「Divine Grace」によってすべてのセービングスローは3アップし,また「Lay on hands」によって36のHPを回復させる能力を得たわけだ。私の今のHPは44なので,瀕死の状態であっても一瞬でほぼ全快できるのは素晴らしい。ただし1回の休憩ごとに1回しか使えないため,使いどころをよく考えなければならない。

 

 今回は,Harborエリアから次のエリアであるMarketplaceにアクセス可能にするための橋渡しとなるクエスト,通称「Waterworks」に挑戦する。

本日のお仲間達

私(パラディン レベル2 人間・女性)
レベル2になり,一気に強くなったと今回ちょっと自信過剰気味の劣等生パラディン。とりあえず,パーティ内にいるだけで「Aura of Good」(善のオーラ)によって味方のアーマークラスとセービングスローにボーナスを与えており,もうそれだけで十分働き過ぎといえるだろう。

 

Aさん(ウィザード レベル3 ウォーフォージド・男性)
前回に引き続き参加してくれた召喚魔術師。レベルが上がり,召喚するモンスターも犬からサソリにグレードアップしてご満悦の様子。主な仕事は,サソリが戦っているのを見守ることだが,右手に持つ立派なクォータースタッフで私の背中を突いて後押しする係でもある。

 

Fさん(ファイター レベル2/ローグ レベル1 ハーフリング・女性)
ファイターとローグのマルチクラスキャラクター。実は前回も登場したDさん(おじさんバード)と同じプレイヤーが操っている。MMORPGでは,このように一人のプレイヤーが複数のキャラクターを持つことは珍しくない(同一サーバー内で5キャラまで持てる)。パーティ内での主な仕事は,今回もボイスチャット。

 

Gさん(ソーサラー レベル2 エルフ・女性)
今回,パーティの核となって活躍してくれた。ソーサラーとしての豊富なSPを生かして呪文を連発する一方,Enfeeble効果付きのロングボウで遠隔攻撃も行うという,縦横無尽の大活躍。日本人のボイスチャットは初体験だったようで,Fさんのトークに戸惑いつつも自身はテキストチャットでパーティを盛り上げてくれた。本人は奥さんに聞かれるとまずいとのことでボイスチャットは自粛。

 

Bさん(バーバリアン レベル2 ドワーフ・男性)
前回に続いて登場の“紳士系”バーバリアン。ボイスチャットデビューを果たすも,恥ずかしがりの性格のためか言葉少なめ。今回はメインタンクとして前線をしっかりと支えてくれた。マイクから漏れた鳴き声から,リアルで犬を召喚できることが明らかに。

 

Hさん(ローグ レベル1 ハーフリング・女性)
レベル1ながら参加してくれたチャレンジャー。ベテランのFさんの陰に隠れつつも,スニークアタックでぷすぷすと健気に敵を削り続けた,縁の下の力持ち。普段はクロスボウを使っているが,目立たない場面でこっそり二刀流を試しているのも私は知っている。

 

本日のパーティの特徴

・ヒーラーなし
 ヒーラー,つまりクレリックもバードもいない。普通の感覚ではヒーラーなしでWaterworksに行くのは無謀だが,あえてチャレンジすることに。代用となる回復手段は,ポーションと私の「Lay on hands」である。だが何よりも,ダメージを受けないようにしながら進んでいく必要がある

 

・ローグのスニークアタック
 今回の冒険で一番多く敵を倒していたのはFさんだった。ローグの特殊能力「スニークアタック」は,それくらい強力だ。ただし,スニークアタックは正面から敵の攻撃を受け止めるタンクとの連携が大事。その意味では今回の二人のタンク役,私とBさんもそれなりにがんばったということだろうか

 

・エルフのソーサラー
 ソーサラーはSimple Weapon(単純武器)しか扱えないため,本来ロングボウは使えない。だがGさんはエルフという種族ボーナスで,ロングボウ,ショートボウ,ロングソード,レイピアを扱えるのである。エルフで魔法使いというのは,それぞれの長所を生かしやすくて,いい組み合わせなのだ。

人気の大規模クエスト「WW」に出撃

○クエスト「Waterworks」

クエストは,Marketplaceへと繋がる門を守っている衛兵に話しかけるところから始まる。衛兵によると,港の長官であるZinの許可がないと門は通せないという

 「Waterworks」は,ほどほどの難度と多めの経験値,そして魅力的な固定報酬で人気のクエストだ。ゲーム内では「WW」と略されることが多く,グループメンバー募集のボードでは常にWWに関するものを見かける。
 ちなみに「Waterworks」というのは俗称(というかエリア名)で,正式なクエスト名称ではない。実際には「The Harbormaster's Seal」と「The Lost Seekers」という二つのクエストから成り立っている。この二つのクエストが発生するタイミングはほぼ同時だが,「The Harbormaster's Seal」は一度しか発生しない。一方の「The Lost Seekers」は何度でも挑戦可能だ。

 

 このクエストは,Waterworksにある四つのダンジョン(便宜上,パート1 〜 パート4とする)を順に攻略していくという形式になっている。「The Harbormaster's Seal」はパート2までクリアすれば達成できるのだが,普通は最後に固定報酬が待っている「The Lost Seekers」の達成を目指して,パート4まで続けるものだ。
 港の長官Zinに会いに行くと,「Waterworksの中にいるGuard Temberから,Writ of Commendation(推薦状)を受け取ってくれば,それに私の印を押して門を通れるようにしてあげよう」と言われる。これが「The Harbormaster's Seal」クエストだ。

 

 Waterworksのダンジョン入り口に立っているGuard Aglerに話を聞くと,Guard Temberがどのあたりにいるかについて,さらに詳しい情報が得られる。ここで受けるクエスト「Gone Missing」は,単にGuard Temberに会うためのつなぎの役割をするクエストだ。Guard Temberに会って話を聞くと,彼の従兄弟2人が行方不明で,連れ戻してくれれば推薦状を与えようという話になる。それが「The Lost Seekers」クエストだ。

 

 従兄弟2人のうち,Arlosを救出するミッションがパート1とパート2だ。Arlosの救出に成功すればGuard Temberは推薦状を書いてくれる。この推薦状をZinのところへ持っていけば,Marketplaceへの通行許可が得られる。
 一方,もう1人の従兄弟であるVennは,さらに別の場所に囚われているらしい。それを探しに行くのがパート3とパート4だ。ここで目にすることになる秘密の言葉「Seal of Shan to kor」は,Marketplaceでプレイヤーをさらなる冒険へと駆り立てることになる。

 

 

 さて,私達のパーティはヒーラーなしで,この大規模クエストに挑むのだ。そこでメンバーそれぞれ回復ポーションを大量に買い込んでからダンジョンに潜ろうという話になったのだが,ポーションを六つ買ったら,私はもうほぼ無一文になってしまった。とほほ。

 

 私達パーティの今回の作戦は,二人のタンク(私とBさん)が盾となって敵の攻撃を受け止める一方,二人のローグ(FさんとHさん)がスニークアタックを駆使して敵を倒していくというもの。いざ冒険が始まってみると,重視してポイントを振っておいた「Intimidate」(威圧。敵の注意を引き付ける)技能が,なかなか役に立ったような気がする。
 そこにAさんとGさんの魔法使いによる効果的な後方支援が加わって,思いのほか冒険は順調に進んだ。いいタイミングで「Rest Shrine」を使えたのも良かったと思われる。約2時間にわたる冒険の末,私達は無事,地上に戻ってきたのだ。

 

 

 ヒーラーなしで,Waterworksを通してクリアできたことに喜ぶパーティ。今回良かった点はなんだったのか,さまざまな意見が出た。スニークアタックの強さ,Enfeeble効果付きロングボウの凄さ,サソリの貢献などなど。
 だが,なんといっても一番の勝因は,私のパラディンの「善のオーラ」だと心の奥底で確信していた。善のオーラが,皆の命を最後まで守り通したのだ。もっとも,皆の注目はGさんのEnfeeble効果付きロングボウにすっかり集中しており,善のオーラの貢献については誰一人言及しなかった。いつか誰かが言い出してくれるのではとドキドキしながら期待していた私の顔は,次第にしょんぼりしていったのであった。

「Armor of the Unknown Hero」
 Waterworksのパート4をクリアするともらえる固定報酬の中の一つ。名前からして,ぜひ着てみたいと思わせる鎧だったので入手したものの,ハーフプレートということで性能はいまいち。ただCharismaが1アップするので,状況によって着替えようと思う。

「能力値と能力修正値」

 

能力値 能力修正値
1 −5
2〜3 −4
4〜5 −3
6〜7 −2
8〜9 −1
10〜11 0
12〜13 +1
14〜15 +2
16〜17 +3
18〜19 +4
20〜21 +5
22〜23 +6
24〜25 +7
26〜27 +8

 各キャラクターが,「Strength」(筋力)いくつ,「Dexterity」(敏捷力)いくつといった具合に能力値を持っているのは,あらためて説明するまでもない。だが多くの場合,各種判定において重要になってくるのは能力値自体ではなく,能力値をもとに決定された「能力修正値」(Modと表示される)のほうだ。

 

 例えば,近接攻撃によるダメージには「Strength」の能力修正値がそのまま上乗せされる。「Strength」が15のプレイヤーは通常のダメージに+2を加えるといった具合だ。「Dexterity」の修正値はそのままアーマークラスと反応セービングスローの値に上乗せされるし,「Charisma」の修正値がパラディンの各種能力の計算に用いられるのも本連載で述べたとおり。

 

 

■■Sluta(ライター)■■
今回,担当編集者がE3に出発してしまうという悲惨な目に遭ったのは,月曜連載のMurayama氏と火曜連載のSluta氏。何が悲惨なのかというと,彼らはゴールデンウィーク前の4月28日までに,E3期間中の分の原稿提出を求められていたのである。驚いたことに,火曜連載の原稿は前日の27日までにあっさり全部届き,編集者の度肝を抜いた。
タイトル ダンジョンズ&ドラゴンズオンライン:ストームリーチ
開発元 Turbine 発売元 さくらインターネット
発売日 2006/08/10 価格 ダウンロード版 1500円(税込) 利用料金:1500円/1か月(税込)
 
動作環境 OS:Windows XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium 4/1.60GHz以上[Pentium 4/3GHz以上推奨],メインメモリ:512MB以上,グラフィックスメモリ:32MB以上,HDD空き容量:3GB以上

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http://www.4gamer.net/weekly/ddo/003/ddo_003.shtml