ハリウッド最強の映画スタジオにするには,多くの施設とセットを用意し,良い脚本を生み出し,有能な監督と俳優がいなければ無理。奇才ピーター・モリニュー氏ならではのユーモアとアイデアで,映画スタジオ経営者の苦悩を味わえる
「ポピュラス」や「ダンジョンキーパー」など,奇抜なアイデアを盛り込んだ,誰も見たことのないようなゲームを作り続けることで有名なピーター・モリニュー氏の最新作「ザ・ムービーズ」。プレイヤーは1920年代に設立された,ハリウッドの映画スタジオ(映画会社)のオーナーとなり,2005年までの経営を行う。スタジオ施設を建設し,監督,俳優,クルーを雇って映画を撮り,数々のヒット作を生み出すハリウッド最強の映画スタジオにするのが目標だ。
映画会社の経営だけでなく,自分でオリジナル映画を撮って楽しめるというのが最大の魅力である本作。2006年1月27日にラッセルから発売される日本語版をいち早くプレイできたので,「こんなふうにプレイしていくんだぜ!」というところを中心に紹介していこう。
なお,今回の記事で使用している日本語版は開発中のもので,画面写真は製品版とは異なる場合がある。もし記事中の写真に妙な訳のテキストがあっても,製品版では修正されている可能性が高いので,そのへんはご安心いただきたい。
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スタジオ経営だけでなく,実際に自分で映画も撮れるところが本作の魅力。台詞を吹き込んだり,字幕を付けたり,音楽を挿入したりと,編集の自由度は高い。ゲームをプレイするのとは違うセンスが問われるところ |
ハリウッド最強の映画スタジオにするには,多くの施設とセットを用意し,良い脚本を生み出し,有能な監督と俳優がいなければ無理。奇才ピーター・モリニュー氏ならではのユーモアとアイデアで,映画スタジオ経営者の苦悩を味わえる
“ハリウッド最強”の映画スタジオというのは,スタジオの総合力を示す「スタジオチャート」,人気の俳優がいるかを示す「スターチャート」,公開した映画の完成度を示す「映画チャート」のすべてででトップの座に君臨し,5年ごとに行われる「ライオンヘッド映画祭」で賞を総ナメにする……,そんな映画スタジオのことだ。それを目指して,経営者であるプレイヤーは映画スタジオ建設&経営,監督と俳優の育成&管理,映画撮影&公開の各分野に目を光らせていく。
本作には,ほかの経営シムにあるような入場料,アトラクション利用料,ショップの商品料金設定などの金額設定はなく,あるのは監督と俳優のギャラ設定だけ。収入は,撮影した映画を公開して得られる興業収入のみ。収支画面とにらめっこするゲームというより,映画の公開期間が長くなるようなウケの良い映画を作るために,映画スタジオの充実を図り,監督や俳優がベストな状態で撮影に臨めるような環境を作るべく奮闘する。これが本作の“経営部分”である。
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ストレスの影響で飲んだくれる俳優。お陰で撮影は完全にストップ。リハビリ施設での療養が必要になる |
普段の生活で服装が本人のイメージに合わないと苦情が出る。恥ずかしい服装でウロウロさせると面白い |
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経営シムに金額設定はつきものだが,本作ではスターのギャラ設定のみ。役者が多いとギャラ総額も膨大に |
公開された映画のランキング。下の四つが,我が映画スタジオの作品だ。これでは興行収入も期待できない |
脚本家に書かせた脚本は,ストーリーや演出にプレイヤーが一切関与しないため,予想外の内容になることも多い。しかし,「オリジナル脚本部」という施設を建てることで,いよいよオリジナル脚本の作成が可能になる。これこそが,本作のもう一つのお楽しみである。
脚本家の書いた脚本で撮影する場合,プレイヤーが設定できるのは配役のみ。完成した映画を観てみると,親子のつもりが恋人同士だったとか,同性同士の危険な恋愛映画になっていたなんてこともある。それはそれで面白いが,やはりオリジナル脚本こそ本作の醍醐味だ
本作における映画は,細かいシーンのつなぎ合わせでできている。例えばドアから入ってくるシーン,お風呂に入っているシーン,殴るシーン,本を閉じるシーン,歩きながら話すシーン,群集を落ち着かせるシーンなどが,ジャンルとセットごとに用意されている。これらを自由に組み合わせることで,オリジナル映画を作成していくのだ。
各シーンには,カメラアングルと俳優の行動パターンが固定で用意されており,俳優に対して,大げさに演技させたり,表現感情の起伏などを指示したりできる。これにより,例えばバスルームでのカップルの会話シーンでも,ロマンチックな展開にしたり,痴話喧嘩にしたりと雰囲気の異なるシーンが作れる。
映像表現だけでなく,音楽やセリフを自分で吹き込んだり字幕を付けたり,余分なシーンをカットしたりなどの編集機能も揃っており,ゲーム中で高評価のオリジナル映画を作ることにチャレンジできる。
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オリジナル脚本部を建設すれば,独自の脚本を作れる。ジャンル,構成,配役の選択や衣装の変更も可能 |
脚本は,使用するセットごとに用意された,さまざまなシチュエーションのシーンをつなぎ合わせて作っていく |
なお,作成した映画はWindows Media Video(wmv)形式でムービーファイルとして出力でき,本作を持っていない人への公開も可能だ。コミュニティ機能も充実しており,開発元であるLionhead Studiosの「The Movies」公式サイト(英語)で作成したムービーを公開することで,視聴者から評価や感想を得られるし,逆にほかのプレイヤーが作ったムービーに対する評価や感想も書ける。
とりあえず公開されているムービーはすぐにダウンロードできるので,まずはぜひ一度観てみよう。
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全体的な流れは用意されているが,無視しても構わない。それにしても一体,どんな映画になるんだろう…… |
シーンごとに演出を調整できる。同じシーンでも,泣いたり,笑ったり,怒ったりと違った使い方ができる |
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「StarMaker」では,スターの属性(見た目,得意ジャンル,性格)や年齢(18〜65歳)も設定可能だ。自分の好きな俳優さんをモデルに作ってみてはいかが? |
待望の「ザ・ムービーズ 日本語版」は,2006年1月27日に発売される。海外では「プレミアムエディション」にのみ同梱されていたボーナスCDが,日本語版では標準で同梱されており,このボーナスCDには追加コスチュームデータ10種,サウンドトラック20曲,コンセプトアート集,特典映像などが収録されている。なんとも嬉しいサービスだ。
すでに頭の中はオリジナル映画の構想でいっぱいという,未来の映画監督諸君。発売日まであと1か月ちょっと,お正月映画などを観て勉強しつつ,期待に胸を膨らませながら過ごしてほしい。