― 不定期連載 ―
Text by 川崎 政一郎
 

オープンβテスターの募集も開始され,いよいよ目の前に迫ってきた「ギルド ウォーズ」の初級導入連載第2弾をお届けしよう。今回は,このゲームの柱の一つであるRPGモードについて解説する。PvPモードの陰に隠れて見落とされがちだが,ミッションを中心としたRPGモードもゲームとしての完成度が高く,魅力的な要素を多く持っている。RPGモードをプレイすることで,ギルド ウォーズのシステムに慣れ親しんでいこう。

 
 

本作は,時間を掛けるのが前提のMMOタイトルとは一線を画した画期的な要素が目白押しだ。ミッションもその一つである
ミッションの最中はこのようなムービーシーンが,ゲーム画面からシームレスに切り替わる。いきなり本拠地が崩壊という,予想だにしない展開だ

 RPGモードでサブジョブを取得したら,いよいよ「ミッション」に取りかかろう。本作におけるミッションは,ティリアという広大な世界を旅しながら長編ストーリーをたどっていくもので,現在25本のミッションが用意されている。ミッション1本あたりに要する時間はだいたい30分〜2時間前後。ミッションでは,さまざまなNPCも登場して,まるで映画のようにストーリーが展開する。
 
 ギルド ウォーズは,ともすればPvPをメインとしたゲームだと思われがちだが,RPGモードだけでもかなりのボリュームがあり,しかもよく作り込まれている。
 序盤のミッションのストーリーを簡単に紹介してみよう。プレイヤーはサブジョブを取得するまでの間に,ときどき「チャール」という獣人族をフィールド上で見かけるだろう。現在の拠点である城塞都市アスカロンは,このチャールからの断続的な襲撃に悩まされているのだ。そこでプレイヤーは,アスカロンのルリック王子と共に,チャールの前線基地を叩きに行く,というのが1番目のミッション内容である。
 
 しかし,このミッションをクリアした直後に恐るべき事態が発生する。別の場所に待機していたチャールの軍勢が,大規模な攻城兵器を完成させてアスカロンに迫ってくるのだ。ルリック王子の一行は前線基地に赴いていたため無事だったものの,アスカロンは目の前で見るも無惨に破壊されていく……。そして瞬く間に時は過ぎ去り,2年の歳月が経過する。この荒廃したアスカロンから,新たな冒険が始まるというわけだ。これが最初のミッションとはなかなか信じがたい,怒濤の展開である。
 
ミッション用のムービーシーンの最中には,プレイヤー扮するキャラクターも登場する。物語が進展するにつれ,次第に重要な役割を担っていくことになる 実際にミッションを行っているところ。クエスト同様,具体的な指示が随時更新されるので,次にいったい何を行えばいいのか戸惑うことはない 地盤が傾いた廃墟を舞台に,ルリック王子が逃げ道を確保するための時間稼ぎを行っているところ。ミッションによって使命はがらりと変わる
 
無事にミッションをクリアすることで,活動エリアが少しずつ広がっていく。ゆくゆくは世界中を股に掛ける冒険者として名を馳せることになるだろう
上級者向けの要素として,ボーナスミッションも充実している。難度は高くなるものの,達成時には追加報酬を得られるのだ
 崩壊後のアスカロンには,ルリック王子をはじめとした生存者が細々と暮らしているが,彼らはもちろんチャールに対して並々ならぬ怨みを抱いている。そこでプレイヤー達はアスカロン周辺の砦などを巡回し,チャールの拠点を一つずつ潰していく。ここまでがミッション序盤の大まかな内容だ。
 アスカロンが崩壊した時点で,崩壊前の世界には戻れないことに注意しよう。実は,崩壊前のフィールドだけでもかなり広く,クエストや報酬で得られるスキルも多い。もし隅々まで楽しもうとしたら,それだけでも数日間は遊べるボリュームがあるだろう。いったんアスカロンが崩壊してしまうと,それらのクエストなどはできなくなる。
 とはいえ,スキルについていえば,この部分は無視して進んでもかまわない。実はあとで獲得できるチャンスが用意されているのだ。崩壊前のアスカロンは,あくまでもチュートリアル的な位置づけのため,基本的なゲームシステムをざっと理解したら次はミッションに取りかかる,くらいの認識でかまわないだろう。
 
 アスカロン崩壊後のミッション内容は多岐にわたっているが,共通していえるのは「どれも一筋縄ではいかない」ということだ。単純に「〜〜を倒せ」といった内容は一つたりともなく,必ずといっていいほど展開が途中で二転三転する。例えば,壊れたカタパルトを修復して敵の拠点を攻めたり,逆に一定時間敵の大群から拠点を防衛したり,さらには敵対勢力と陣取り合戦を行ったりと,どれも新鮮な気持ちでプレイできるだろう。しかも,各ミッションはプラスアルファの報酬を得られる「ボーナスミッション」を含んでおり,上級者も繰り返しプレイできるようになっている。
 次のミッションが行われるエリアは,広域マップ画面上で点滅している地名を見れば分かる。また,ミッションをクリアしないと新たなエリアへ入れないこともある。また,クエスト一覧のウィンドウから「重要なクエスト」を進めていけば,何らかの形で次のミッションに結びつくようになっていることが多い。
 
 これら,RPGモードの舞台となる地域は,ミッション4〜5本単位で大きく切り替わる。序盤は荒廃したアスカロンの周辺地域だが,その次は氷河,森林,そして砂漠……と,世界中をくまなく踏破していくことになる。そしてプレイヤーは,アスカロンのみならず,さまざまな場所でうごめきつつある闇の勢力と,戦いを繰り広げていくのだ。
 
「グレートノーザンウォール」でのミッションを遂行中。ミッションや街も含めたすべてのエリアは,同じ縮尺でマップ上に示されている ミッション序盤はアスカロンのために力を尽くす展開となる。アデルバーン国王とルリック王子は,国を復興するという目的は同じでも,その手段には相違があるようだ アスカロン近辺でのミッションが一段落したら,冒険の舞台は新天地へと切り替わる。実際のプレイ中はこれらの風景の変化にも注目してほしい
 
画面左上の「-32%」が現在のデスペナルティ値を示している。この状態で近接戦闘を続けるのは,かなりのリスクを伴う
デスペナルティとは逆に,場合によってはメンバーの「士気」が上昇することも。画面は最大値である10%の士気を獲得した状態だ
 次に,アスカロンの崩壊後,言い換えるとチュートリアル部分が終了してから,ゲームシステム面で気をつけるべき点を説明していこう。
 
 最も重要なのはデスペナルティ関連である。これからは,キャラクターが死亡するたびに「士気」が減り,体力とエネルギーの上限に15%ほどペナルティが科せられる。士気は,再び敵を倒すことで少しずつ増えていくが,逆に死に続けると最大で60%まで減ってしまう仕組みだ。ここまでペナルティが大きくなってしまったら,戦闘はかなり難しくなる(逆に士気が上がれば,体力やエネルギーにボーナスが付くという特典もある)。
 
 ただし,これらのデスペナルティ効果は別のエリアに移動すると綺麗にリセットされる。あくまで一時的なものである。しかも金銭や経験値での永続的なペナルティはない。その意味で,本作ではリスクを恐れずさまざまな戦術を試すことができる。
 
 本作には合計480ものスキルをはじめとした,幅広い要素から戦術を選べる。それだけに,緊張感の高さと,新たな戦術に挑戦するときのハードルの低さを両立したこのペナルティシステムは,とてもよくできているといえるだろう。
 
 アスカロン崩壊後は,ミッション,クエストともにパーティ単位での行動が前提となる。パーティの構成人数はアスカロン崩壊直後では最大で4名だが,ミッションの舞台が氷河地帯に切り替わると6名,そして終盤では8名と次第に大所帯になっていく。
 
原稿執筆時点では一般向けのβテストではないため,筆者は傭兵としかパーティを組んでいない。しかし,それでもあまり支障がないくらいに,傭兵のAIはよくできている
 冒険時にはさまざまなジョブの傭兵も雇える。彼らはしっかりとジョブに沿ったスキルを使ってくれるので,積極的に活用しよう。編成時は,当然ながらメンバー内に回復担当のモンクが一人はいるようにするのが基本だ。それ以外のメンバーは,自分のジョブや目的地などの状況に応じて調整するのがよいだろう。
 
 傭兵と共にプレイする際に覚えておいてほしいのは,「傭兵の攻撃ターゲットは基本的にプレイヤーに従う」ということだ。つまり,いかにして的確な目標を素早く見つけ,各個撃破していくかが大きなポイントとなる。逆にいえば,プレイヤーが敵のターゲットを意味もなく切り替えて攻撃していたら,なかなか敵を倒せないので注意したい。
 倒すべき敵の順番は,基本的には,
 
  ヒーラー → キャスター → それ以外
 
と覚えておけばよいだろう。そして,傭兵に指示を与えるという意味では,たとえプレイヤーキャラクターが近接攻撃を主体とするウォーリアだったとしても,"弓"が活躍する場面は意外と多い。間接攻撃で敵との距離を離しておけば,仮にピンチに陥っても,いったん逃げてから立て直すことができるのだ。
 
 本作のRPGモードはミッションを軸に進行していくが,それとは直接関係のない冒険用エリアも数多く用意されている。これらの多くはクエストなどに関連しているが,最初から全エリアをくまなく踏破しようとは考えないほうがよい。中にはやたらと難度の高いエリアもあるので,もし「壁にぶつかったと思ったら後回しにする」くらいに考えておこう。本作ではエリア間の移動を瞬時に行えるので,例えば,キャラクターを成長させたあとに難度の高いクエストに再挑戦,といったスタイルでも一向にかまわないのだ。
 
 ちなみに,クエスト報酬として得られるスキルについては,しばらくミッションを進めると,拠点エリアでトレーナー用NPCから購入可能となっている。依頼されたクエストを置いて先に進んでいくと,なんとなく気になってしまうプレイヤーもいるかもしれないが,本作はかなり割り切ったゲームシステムなので,そのあたりは心配ない。RPGモードではあくまでもミッションがメインなのだ。
「ミッションとは直接関係のない冒険用エリアはとても多い。ミッションを進めている段階ではスルーするかもしれないが,いずれ挑戦する機会もあるだろう 丸いピンが刺さっている場所は,すべてミッションまたは対人戦に関わりのあるエリアである。冒険の舞台はさらに広がっていく 依頼されるクエストはとても多いが,それら全部をクリアしてから先に進む必要はない。最初は重要なスキルを得られるタイプを率先して行うとよいだろう
 
 

同じスキルでも,特性ポイントを注ぎ込まないとその効果は微々たるものだ。戦術の基本コンセプトとなる特性を決め,それに応じたスキルを選ぶ必要がある
 キャラクターは合計480あるスキルの中から,状況に応じて8種類を選び出すことは前回の記事で述べた。ただし,これらのスキルは誰が使っても全部同じ効果,というわけではない。すべてのスキルは,何らかの「特性」と呼ばれる系統に属しており,この特性のレベルを上げることで効果はさらにアップしていくのだ。
 
 ここでは,実際にウォーリアの特性を例に説明していこう。
 
●ウォーリア用の特性一覧
ソード マスタリー:剣を用いた攻撃の基本ダメージと攻撃するスキルのダメージ量が増大
アックス マスタリー:斧を用いた攻撃の基本ダメージと攻撃するスキルのダメージ量が増大
ハンマー マスタリー:ハンマーを用いた攻撃の基本ダメージと攻撃するスキルのダメージ量が増大
タクティクス:主に,「スタンス」と呼ばれる各種戦闘モードの効果が増大
ストレングス:攻撃による防具貫通率が増大。敵にダメージを与えたり,身を守るスキルの効果が増大

特性に注ぎ込むためのポイントは,レベルアップによって獲得できる。ポイントは有限のため,多くのプレイヤーは2〜3種類の特性を重視してるようだ
 具体的な手順としては,まずキャラクターがレベルアップすると,上記の特性に割り振るためのポイントを獲得できる。そして,これらにポイントを注ぎ込むと特性レベルが上がっていくが,同時に次に必要となるポイント量も次第に増えていく。キャラクターが獲得できるポイントには上限があるので,すべての特性レベルを高くするのは事実上不可能で,2種類前後に集中して注ぎ込むのが現実的といえるだろう。特性ポイントの割り振りによって,スキルを選ぶための方向性がある程度定まるというわけだ。
 例えば,「ソード マスタリー」を集中的に上げているキャラクターは,自然と剣を用いたスキルに特化し,戦い方も変わっていくのである。特性ポイントの割り振りが,キャラクター育成の非常に大切な要素になってくるのだ。
 
拠点エリアでは特性ポイントの再割り振りを行える。移り変わる状況に適応させるために,キャラクターのスペックを煮詰める作業が面白いのだ
 とはいえ,本作では(「Diablo2」などとは異なり),拠点エリアで特性ポイントの振り直しが可能だ。なので新たなスキルを習得したら,とりあえず特性ポイントを割り振ったうえで実際に使ってみて,自分に向いているかどうかをチェックするとよい。このように,仮に選んだスキルの構成が同じキャラクターでも,特性レベルの配分によって微妙な性能差が生じることになる。これも本作ならではの奥深いシステムである。
 
 さらに,サブジョブ用の特性レベルが上げられることも育成を奥深くしている。極端な例だが,メインのジョブは一切無視して,サブジョブ用の特性とスキルに絞っても,別段大きな問題はない。なので,メインとサブ用のジョブの組み合わせは30通りあるものの,どの組み合わせでも戦術を練れば十分に役立つ可能性がある。繰り返すが,本作における要はキャラクターの性能ではなく,プレイヤーの頭脳なのだ。
 厳密には,細かい部分でメインジョブの優遇措置はいくつか設けられているが,ここではとりあえずスキル選択の幅広さを,大まかに掴み取ってもらえればよい。メインとサブ用のスキルが絡み合うことで,コンボ技をはじめとした戦術の幅は大きく広がっていくのだ。
 
スキルアイコンにカーソルを当てると,それがどの特性に属しているのかが分かる。自分が専攻した特性に見合ったスキルを選ぼう スキルを選ぶ際は,エネルギー消費量,発動時間,再使用時間の3項目に注目しよう。一見似たようなスキルでも,これらの要素は微妙に違っている 実はメイン用のジョブとして選んだ際にのみ,選択できる特性項目がある。ウォーリアの場合は"ストレングス"がそれに該当する

 

 
武器を選ぶ際は,何はともあれ特性レベルの条件を満たしていることを最優先。そのうえで,ダメージ値の高いものを選ぶとよい
 そのほかに序盤で押さえておきたい点としては,武具に関するシステムがある。まず武器に関しては,性能を引き出すための条件として,特性レベルが定められていることに注意したい。特性レベルが武器で指定されているレベルに達していないと,ダメージは激減してしまうのだ。もちろんダメージ値の高い武器ほど,必要とする特性レベルも上がる。とりあえず装備するだけなら誰でも行えるため,初心者はこれらの特性条件を見落としがちなので,忘れずにチェックしておこう。
 
 防具に関しては,特定の拠点エリアにおいて,職人NPCに合成を依頼する形で入手可能だ。依頼時は金銭のほかに,対応した材料が必要となる。
 これらの材料の入手方法はユニークで,冒険時の戦利品に「分解キット」を使用することで材料が得られる。材料は30種類以上とかなりの数があるので,普段の冒険時から分解キットを携帯し,こまめに確保していこう。そして持ちきれなくなった材料は,いったん「倉庫」に預けておくのがお勧めだ。本作の倉庫は「EverQuest II」などと同様,同一アカウントであればほかのキャラクターとも共有できるので使い勝手がよい(逆に共有部分しかないわけでもあるが)。
 
ポイントを注ぎ込んだメインジョブ用の特性は,ぜひともルーンで強化を行っておきたい。しかも最低ランクのマイナー系ルーンは,デメリットが一切ないのだ
 もう一つ,防具に関して知っておきたいのは「ルーン」によって魔法効果を付加できるということだ。具体的には,メインジョブ用の特性に限り,1〜3レベル上げられるのだ。ランクの低いルーンは比較的値段も安いので,主に専攻している特性のルーンだけでも確保しておくと,いくらか冒険を行いやすくなる。ただし,これらのルーンは,一度防具に付加したら取り外すことは不可能だ。また,高ランクのルーンには体力の上限が落ちるデメリットもあるので,注意が必要だ。
 
 本作は個性的なシステムが多すぎて,そのすべてを細かく解説することは難しい。しかし,ここまでの説明をじっくりと読めば,とりあえずRPGモードの中盤までは自分の力で進められるはずだ。
 次回はいよいよ,本作のもう一つの柱である"PvPモード"の魅力に迫っていこう。
 
防具名称の右側に,作成時に必要な材料がアイコンで示されている。かなり数多くの材料を必要とするのが分かるだろう 材料はショップで買えるが,やや割高な価格設定。「分解キット」を用いて自給自足する癖をつけておこう すべての防具は購入時に「カスタマイズ処理」が施され,ほかのキャラクターは装備できなくなる
 
武器については,金銭を払うことでカスタマイズ処理を行える。ほかのキャラクターは装備できなくなるが,ダメージ値が20%増大するメリットがある メインジョブによって,装備できる防具の種類が定められる。ジョブ用の防具によって,外見のみならず防御力やエネルギー回復率などは異なる 持ちきれなくなったアイテムは,共有倉庫を使って一時的に別のキャラクターに預けることも可能だ

 →連載第1回はこちら

タイトル ギルド ウォーズ
開発元 ArenaNet 発売元 エヌ・シー・ジャパン
発売日 2006/01/27 価格 オープンプライス(パッケージ版) / 月額課金料金980円
 
動作環境 Windows 98/Me/2000/XP,PentiumIII/800MHz以上(PentiumIII/1.0GHz以上推奨),メモリ 256MB以上(512MB以上推奨),HDD空き容量 500MB以上,VRAM 32MB以上(64MB以上推奨)

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