― 特集 ―
Hot Summer Night 2005

 世界最大のゲームソフト販売/開発企業として日本でも知名度の高いElectronic Artsが,アメリカ現地時間の先週7月14日,本社キャンパスのあるカリフォルニア州レッドウッドシティにおいて,同社恒例のプレス向けイベント「Hot Summer Night2005」を開催した。5月のE3(Electronic Entertainment Expo)から2か月。今回のイベントでは,さらに詳しい情報やデモが公開されたのだ。

 Hot Summer Night2005は,新情報が少ないといわれる夏の時期に,プレス向けに詳しくゲームを説明してくれるElectronic Artsの(親切な?)イベントである。場所は,カリフォルニア州の同社のメインキャンパスで,まさに"キャンパス"の名にふさわしく,カフェテリアや公会堂,さらにはバスケットコートやビーチバレー場などのスポーツ施設までを敷地内に保有している。ここまでの施設を用意しているのは,業界広しと言えどもEAくらいではないだろうか。

 さてEAの近況だが,E3に前後して,3月31日に終わる最終計上四半期度が,前年の9000万ドルから800万ドルと,なんと90%以上も下落したことを発表している。まだ発表されてはいないものの,本年度の第一計上四半期も同じ状況になるのではないかとEA関係者は予測しているという。その理由は,グロスマージン(粗利)の低下による利益率の低下と,運営コストの上昇であるとプレスリリースでは説明されている。
 つまり,EA Sportsのタイトルの価格が引き下げられたことなどの影響で利益が出しにくくなったことと,同時期に三つも市場投入される次世代コンシューマ機(レボリューション,プレイステーション3,Xbox 360)に対応することによる開発コストの一時的な上昇が原因らしい。さらにはスポーツゲームに絡むライセンス競争で,ESPNと15年で7900万ドルの契約を結ぶなどの出費も強いられている。なんだか,驚くようなビッグビジネスの世界である。
 もっとも,現世代機やゲームボーイアドバンスの登場した2001年にはソフトウェアセールスが業界全体で50%近くも跳ね上がっていることから,現在の状況を同社は楽観視しているようだ。実際,2004年度の一年間では経常利益が3%上昇しているし,株価は現在も上昇を続けている。


 今回のHot Summer Nightsのラインナップを見ても,Electronic Artsの土台の強さは十分に体感できるものだった。同社の3分の1の収入を誇るEA Sportsはもちろんのこと,映画「ハリー・ポッター」や「ロード・オブ・ザ・リング」「ゴッドファーザー」などのライセンス作品があるし,独自タイトルにも「Battlefield 2」や「Need for Speed:Most Wanted」があり,2004年度のレーシングゲームでは全米トップの作品の最新作「Burnout Revenge」や,2004年度のPCセールスで一位となった「The Sims 2」の拡張パックも控えている。
 野心的な作品に対するサポートも忘れておらず,PCゲームの「Black & White 2」や,コンシューマ機ではBurnoutと同じ開発チームが制作する破壊尽くしのFPS「Black」なども,今回はプレイアブルな状態で公開されていた。またイベントとは関係ないが,Valve Entertainmentの「Half-Life 2:Game of the Year Edition」が,なぜかElectronic Artsから発売されることが決まったばかりだ。

 今回レポートするPCタイトルは,先にニュースとしてお伝えした「Battlefield 2:Special Forces」以外に全6タイトルだ。数は多くないが,本年度にリリースされる作品としては大作が多いのが特徴。発売を楽しみに,じっくりと読んでいただきたい。(奥谷海人)

Battlefield 2:Special Forces
The Godfather The Game
Black & White 2
その他のPCゲーム