― 特集 ―

「大航海時代 Online」インタビュー

Text by 大路政志
Photo by kiki

 

 

 大航海時代を舞台に,冒険者や商人,軍人となって海洋冒険を楽しめる「大航海時代 Online」(以下,DOL)。2004年末の時点で好評のうちにクローズドβテストを終えた本作だが,コーエーでは現在,2005年2月23日(水)午後4時半よりスタート予定のプレオープンサービスに向け,数々のアイデアをゲーム性へと結実させるべく,鋭意開発に努めているという。
 プレオープンサービスで,DOLは一体どのような姿を我々に披露してくれるのか。またどのような魅力を見せてくれるのか。クローズドβテストをプレイした人も,そうでない人も,大いに気になるところだろう。
 今回4Gamerでは,DOLのディレクターを務める渥美貴史氏にインタビューする機会を得た。プレオープンサービス,そして正式サービスが刻一刻と迫っている中,さらなる高みを目指しているであろうDOLが,どの程度のレベルまでパワーアップされているのかを,このインタビュー記事でチェックしてほしい。ファンならずとも,今後の展開に大きな期待が持てること請け合いの頼もしい発言の数々に,心ときめかされるはずだ。

コーエー ソフトウェア事業部
ソフトウェア5部 マネージャー

渥美貴史氏

コーエーのネットワークゲーム第2弾「三國志 Internet」で,ディレクター兼メイン企画を務める。その後,PlayStation 2用の「決戦II」「三國志戦記」のディレクションを担当し,現在は「大航海時代 Online」のディレクターを務めている。


■ 販売形態:無料ダウンロード版も選択可能に

 

4Gamer:
 こんにちは,今日はよろしくお願いします。まずは,販売方法の話から聞かせてもらえますか? 先ほど広報担当者に聞いたところでは,少し変更があったとのことでしたが。

 

渥美氏:
 はい。以前の発表では,日本国内ではパッケージ販売プラス課金という形でお伝えしましたが,日本での配布方法が変更になりました。具体的には,パッケージ販売と無料ダウンロードによる配布という2種類から選べる形になります。

 

4Gamer:
 なるほど,ダウンロードのみでもOKになったというわけですね。

 

渥美氏:
 そのとおりです。とはいえ,ダウンロードには時間がかかるのでパッケージも販売してほしいという声もありますので,どちらかを選べる方法を採りました。

 

4Gamer:
 そういえば,プレオープン開始のニュース(記事は「こちら」)でも,ダウンロード版の存在を示唆する内容がありましたね。どういった経緯で,ダウンロードメインでいこうという流れになったのでしょうか?

 

渥美氏:
 当初からそのほうが良いだろうとは思っていたんですよ。ただ実際,パッケージはパッケージで効果が出ていたもので,会社全体で慎重に検討していました。結果は,"お客様のニーズを反映して"というところですね。
 パッケージ売りという情報が流れたあと,いろいろと情報を収集してきましたが,その結果「なんで日本だけパッケージなの?」という声も大きかったですし。

 

4Gamer:
 「信長の野望 Online 〜飛龍の章〜」では,新しく始める人はパッケージ(本体付き),継続する人はダウンロード版(本体なし/アップデート専用)と区別されていましたが,DOLでは,初めからパッケージとダウンロードのどちらかを選べるようになったということですね。

 

渥美氏:
 そう考えてもらって構いません。飛龍の章の場合,本体ソフトを持っていれば,オンライン上でアップグレードチケットを購入することで,パッケージを買うことなく遊べたわけですが,これがプレイヤー達に「わざわざお店に行く必要がない」と大変好評をいただきました。その結果,我々も「これならいけるんじゃないか」という感触を強く持ちました。

 

4Gamer:
 なるほど。ところでダウンロード版について,わざわざ「無料」と話していましたけど,当然パッケージ版は有料ですよね。それぞれ,どういった料金体系になるのですか?

 

渥美氏:
 ダウンロードはもちろん無料で,パッケージ版は2480円(税別)となります。どちらも14日間の無料体験期間がついていまして,その期間内に"アップグレード"を行えば,そのまま製品版のアカウントになる,という仕組みです。
 このアップグレードチケットの価格は2800円(税別),また,別に30日間1500円(税別)の課金をお支払い頂くことになります。

 

4Gamer:
 あ,アップグレードしないと,ダウンロード版もパッケージ版も,14日が過ぎると遊べないわけですね。無料でダウンロードできるのは,14日間の体験版と考えてもよさそうですね。

 

渥美氏:
 そうですね。なので,製品版アカウントまで含めて考えれば,ダウンロード版で2800円,パッケージ版だと計5280円となります。「信長の野望 Online」よりはクライアントが安く,その分課金が少し高いという感じですね。

 

4Gamer:
 では,割高であるパッケージ版を買うメリットはなんですか? 何かゲーム内アイテムがもらえるとか……。

 

渥美氏:
 いや,ゲーム内はすべて同じです。その代わり,パッケージ版にはクライアント以外に,ほかでは手に入らないグッズをたくさん付けています。このグッズを手に入れるだけでも断然お買い得になっていますよ。ダウンロードはどうしても時間がかかってしまいますし,メディアが欲しいというひと人にはうってつけでしょう。
 グッズの内容は,世界観の紹介やゲーム導入部分を解説した冊子,航海用地図や街地図などなど,ぜひ楽しみにしてください。

 

4Gamer:
 ということは,初心者や,解説書とか地図を見ながらプレイしたい人には,パッケージ版がお勧めということですかね。

 

渥美氏:
 はい,そのとおりです。

 

4Gamer:
 現時点(2005年1月末)では正式サービスは"3月開始予定"となってますが,具体的にはいつごろになりそうでしょうか?

 

渥美氏:
 それはまだ「3月予定」のままでお願いします。プレオープンの状況を見つつ判断する予定です。

 

4Gamer:
 じゃあ,早ければ3月中旬にも……。

 

渥美氏:
 んー,それくらいにいければいいな,というところでしょうか。

 

4Gamer:
 プレオープンでのキャラクターデータを正式サービスに引き継げるということもありますし,3月上旬だとプレオープン期間が短くなってしまい,もったいないですもんね。

 

渥美氏:
 そうですね。それなりのプレオープン期間を設けたいなとは思っています。

 

4Gamer:
 あと少しでプレオープンが開始されますが,現在の作業状況はどんな感じなんでしょうか?

 

渥美氏:
 本当に追い込み段階といった感じですね。プレオープンが始まるギリギリまで作業できるわけではないので,今はテストのフェイズに入るか入らないかの,まさに追い込み段階といったところです。
 あんなものを組み込みたい,こんなものを組み込みたいというアイデアが山のようにある状況なんですが,一方で「このスケジュールだと……」という現実的な判断をしなければならない局面もある。しかし,やはりなんといっても"お客様の喜ぶ声を聞きたい!"というわけで,メンバー一同にはギリギリまで無理をしてもらっています(笑)。


ゲーム開始直後から,操作方法やゲームの進め方が実に分かりやすく表示されるようになった。このおかげで,MMOゲームを初めてプレイする人でも,ストレスなく序盤を乗り切れるはずだ。また写真では分かりづらいが,マウスホイールクリック(入力は変更可能かもしれない)でオートランニングが可能になり,地上での移動も実に快適に